生徒が作るテスト問題 ― 定期テスト前に「出題者の目」で範囲を見直し、友だちと解き合う
定期テストの前に、生徒が自分で問題を作り、班で解き合って、良い問題を「クラス予想問題集」にまとめる。問題を作るには、範囲のどこが大事かを考えなければなりません。ただし、自分で作った問題で自己テストしても効果が見られなかったという研究もあるので、範囲と出題の観点を先生が具体的に示してから作らせます。
- ⏱ 時間
- 30-45分
- 🧰 準備
- 少し
- 👥 形態
- 個人→班(4人)
- 🎯 技能
- 復習・文法・語彙・リーディング
- 📶 CEFR
- A2-B1

- テスト範囲の中で「どこが大事か」を自分で判断し、出題者の目で範囲を見直す。
- 問題を作り、友だちの問題を解き、まちがいを直し合う中で、範囲の内容を何度も思い出す。
- 自分で学習の計画を立て、テストに向けて主体的に準備する経験をする。
生徒が作るテスト問題ってなに?
ひとことで言うと、定期テストの前に、生徒が「出題者」になって範囲から問題を作り、班で解き合って直し、良い問題を「クラス予想問題集」にまとめる活動です。
定期テスト前の授業を「プリントを配って自習」にしていませんか。生徒にとって一番の勉強は、問題を解くことだけではありません。問題を作るには、「この単元で先生が確かめたいのは何か」を考える必要があります。その思考が、範囲の要点を整理するきっかけになる、というのがこの活動のねらいです。ただし、やり方を誤ると、教科書のすみっこの細かい単語ばかりを問う問題が並ぶ、という落とし穴もあります。
料理を「食べる側」から「作る側」に回るようなものです。作る側になると、どの材料が大事か、どんな味つけにするかを考えなければなりません。ただし、ふだん料理をしない人に「好きに作って」と任せると、つけ合わせばかり凝ってメインがない料理になりがちです。だから先に「献立表(範囲表)」と「レシピの型(問題の型)」を渡すのが大事です。
似た活動とのちがい
| ふつうのテスト前自習 | 生徒が作るテスト問題 | クイズ・クイズ・トレード | |
|---|---|---|---|
| 生徒がすること | 配られたプリントを解く | 問題を作り、友だちの問題を解いて直す | カードの問題を出し合い、カードを交換する |
| 何を問うかを決めるのは | 先生 | 生徒(範囲表と問題の型を手がかりに) | 先生が作ったカード(または生徒) |
| 残るもの | 解いたプリント | クラス予想問題集 | なし(その場の練習) |
やり方を3ステップで
- 大事な所を選ぶ:範囲表を見て、大事だと思う所に★をつける。良い問題・悪い問題の例を比べる。
- 作る:型を変えて1人3問を作り、答えと「この問題で確かめたいこと」も書く。
- 解き合って直す:班で問題を回して解き、「良い問題チェック」で直して、班のベスト2を提出する。
授業の流れ(分ごと)
| 時間 | 活動 | 先生の動き |
|---|---|---|
| 0:00〜5:00 | 範囲表と問題の型の説明・良い問題/悪い問題の例 | 「大事なところ」を一緒に確認 |
| 5:00〜8:00 | 範囲表に★をつける(個人) | 文法・本文・語彙の観点を示す |
| 8:00〜18:00 | 問題を3つ作る(型を変えて) | 選ぶ・穴埋めの問題は答えが1つに決まるか、英作文などは認める答えがはっきりしているか確認 |
| 18:00〜28:00 | 班で問題を交換して解く・採点 | 机の間を回りながら、まちがいの多い問題をメモする |
| 28:00〜35:00 | 「良い問題チェック」で直し、班のベスト2を選ぶ | 選ばれた問題を回収 |
| 35:00〜40:00 | 振り返り(まちがえた所をメモ) | 次の授業で予想問題集として配布 |

- 範囲表を配る:テスト範囲の単元・文法・重要表現を一覧にした表(ワークシートの上段)を先生が用意する。生徒は自分が大事だと思う所に★をつける。
- 良い問題・悪い問題を見せる:「答えが2つある問題」「本文のすみの固有名詞を問う問題」と、「単元の文法を使わないと解けない問題」を並べ、どちらが良いかを考えさせる。
- 問題を作る(10分):1人3問。型を3つとも変える(穴埋め・並べかえ・本文の内容を英語で答える など)。答えと「この問題で確かめたいこと」も書く。
- 班で解き合う(10分):4人班で問題用紙を時計回りに回し、他の3人の問題を解く。作った人が採点し、まちがえた人に解説する。時間が足りなければ、2人分だけ解く・1人2問にする・1問ずつ順に渡す、などに調整する。
- 問題を直す(7分):「良い問題チェック」を使って、選ぶ・穴埋めの問題は答えが1つに決まるか(英作文や訳の問題は、認める答えや採点の基準がはっきりしているか)、範囲の大事な所か、英文にまちがいがないかを班で確認し、直す。
- ベスト問題を選ぶ:班で良い問題を2つ選んで提出。先生は確認・修正して、次の授業で「クラス予想問題集」として配る。
- 振り返り:友だちの問題でまちがえた所をワークシートにメモ。テスト前日にそこを見直すよう伝える。
問題の型(中学〜高校)
- 穴埋め:I have lived here ___ 2020.(since / for)
- 選択:If I ( am / were ) a bird, I could fly.
- 並べかえ:( been / I / Kyoto / have / to / never ).
- 英→日:The boy who is playing the piano is my brother.
- 日→英:私は今朝からずっと勉強しています。
- 誤文訂正:She have finished her homework already.
- 本文の内容を英語で答える:Why did Mika feel proud?(本文に答えがある問い)
- True / False:本文の内容に合う文に T を書く
- 語形変化:Write the correct form: (swim) → I enjoy ___ in the sea.
- 条件英作文:Write one sentence about your dream using "want to."
良い問題のチェックリスト
- 範囲の大事なところ(★)を問うている
- 正解が1つに決まる(または答えの許容範囲を書いている)
- 問題文の英語にまちがいがない
- 難しさが学習目標に合っている(習ったことを正しく理解していれば解ける)
- 1人の3問は型を変え、班全体でも型がかたよらない
悪い問題の例(見せて考えさせる)
- 本文の登場人物の飼い犬の名前を問う(細部すぎる)
- 「この文を訳しなさい」だけで、何を確かめたいかがわからない
- 選択肢に正解が2つある
- 小学校:単語の絵カードで「What's this?」クイズを作り、班で出し合う。作るのは1人1問でよい。
- 中学:文法の単元ごとに「この型で作る」と型を指定すると、問題の質がそろう。作った問題は先生がまとめて、次の単元の授業はじめの小テストにも使える。
- 高校:長文読解の範囲で、本文の要点を問う問題(主旨・理由・言いかえ)を作らせる。選択肢の「まちがいの選択肢」を考えることで、読みの精度が上がる。
- 大人数クラス:班で作った問題をクラス全体で集め、quiz-maker などでクイズにすると、40人分の問題を効率よく共有できる。
- 苦手な生徒が多いクラス:教科書の例文の一部を空欄にするだけ、など作り方を1つにしぼる。問題文の型(Fill in: ___)を印刷しておく。
- オンライン・タブレット:共有フォームに問題を投稿させ、自動で問題集にする。班の問題を別のクラスと交換して解くこともできる。
この活動はテスト前の学習方法を身につけるための活動なので、問題の出来そのものを点数化する必要はありません。下の表は、活動中に形成的に見る(次の指導に生かす)ポイントで、原則として観点別の評定には直接使いません。観点別評価は、各単元の目標と五つの領域に合わせて、実際に英語で問題に答える場面などで見ます。「主体的に学習に取り組む態度」の資料にする場合も、1回のふり返りだけでなく、粘り強さと自分の学習の調整を何回かの記録で見ます。
| 見るところ | よくできている | できている | 手助けの例 |
|---|---|---|---|
| 問題と答えの英語 | 正確な英語で、答えがはっきり決まる(または認める答えが明確な)問題を作れる | 意味の通る問題を作れる | 教科書の例文を使った穴埋めから |
| 何を問うか | 単元の要点を問う、型の違う問題を作れる | 範囲の内容から問題を作れる | ★をつける段階で先生と一緒に確認 |
| 学習の調整 | 解き合いで見つけた弱点をメモし、テスト前の学習計画に生かしている | 振り返りを書ける | 「まちがえた問題をもう一度」を具体的に指示 |
- 細かすぎる問題ばかりになる(本文の数字・固有名詞)→ 範囲表に★をつける段階を必ず入れ、「この単元で一番大事なことは?」をクラスで確認してから作る。
- 答えが2つある問題・英語がまちがっている問題→ 班の「良い問題チェック」で確認させる。先生が最終確認してから問題集にする。
- やさしすぎる問題で満足する→「習ったことを正しく理解していれば解けるか」「学習目標に合っているか」を基準にする。解き合いの正答率は、あとで難しさをふり返る参考に使う。
- 作るだけで、解き合いの時間がなくなる→ 解き合いと直しの時間を先に確保する。問題数を2問に減らしてもよい。
- 自分の作った問題だけで満足する→ 研究でも、自分で作った問題を自分で解くだけでは効果が出ないことがあると伝え、友だちの問題・先生の問題も必ず解かせる。
大学の講義を使った実験では、学習者が自分で問題を作るグループ、問題に答えるグループ(テスト)、読み直すグループを比べたところ、1週間後の成績は、問題を作るグループとテストのグループで読み直しより高く、問題を作ることはテストと同じくらい有効な学習法だと考えられました 1。なお、この実験では大事な語があらかじめ示され、資料を見ながら問題と答えを作る、という条件でした。なぜ効いたのか(大事な所を考えたからか、など)までは調べられていません。また、読んだ文章について質問を作る方略を生徒に教えた介入研究をまとめたレビューでは、新しい文章の読解の理解が伸び、効果量の中央値は標準化されたテストで0.36、研究者が作ったテストで0.86でした 2。ただしこれは読解の方略の研究で、このページで作る文法・語彙の問題に同じ効果があてはまるわけではありません。
ところが、反対の結果もあります。文章を読んで自分で問題を作り、時間をおいてその問題に答える「自作の問題で自己テスト」をした実験では、読み直しより良い効果は見られず、むしろ成績がやや低い傾向がありました。探索的な分析では、学習者の作った問題が、あとのテストで問われる内容をとらえていないことが多く、それが効果の出なかった一因かもしれない、とされています 3。
これらの結果から、このページでは「作り方」と「何を問うか」を先に示すことを大切にしています。範囲表で大事な所を確認してから作る、良い問題・悪い問題を比べる、友だちや先生の問題も解き合う、という手順は、この落とし穴を避けるための工夫です。なお、これらの研究は大学生や、母語での学習を対象にしたものが中心で、中高生の英語のテスト準備での効果は今後の課題です。
❓ よくある質問
Q. 生徒に問題を作らせると、本当に勉強になりますか?
大学の講義を使った実験では、問題を作るグループとテストのグループが、1週間後の成績で読み直しのグループを上回りました 1。一方、自作の問題で自己テストした実験では効果が見られず、探索的な分析で、作った問題があとのテストの内容をとらえていないことが多かったことが一因かもしれない、とされています 3。
Q. 細かすぎる問題ばかりになってしまいます。
先生が範囲表を配り、大事だと思う所に★をつけさせ、「この単元で一番大事なことは?」をクラスで確認してから作らせます。本文のすみの固有名詞を問う問題と、単元の文法を使わないと解けない問題を並べて、どちらが良いかを考えさせるのも効果的です。
Q. 作った問題は、どう使いますか?
4人班で問題用紙を時計回りに回して解き合い、作った人が採点・解説します。「良い問題チェック」で、答えが1つに決まるか(英作文などは認める答えがはっきりしているか)などを確かめて直し、班のベスト2を提出させます。先生が確認・修正して、次の授業で「クラス予想問題集」として配ります。
Q. 自分で作った問題だけ解けばいいのではありませんか?
自分で作った問題を自分で解くだけでは効果が出ないことがある、と伝え、友だちの問題・先生の問題も必ず解かせます。友だちの問題でまちがえた所はワークシートにメモし、テスト前日に見直すよう伝えます。
Q. 作った問題の出来は、評価しますか?
テスト前の学習方法を身につけるための活動なので、問題の出来そのものを点数化する必要はありません。活動中の様子は、次の指導に生かす形成的な評価に使います。観点別評価は、単元の目標に合わせて、実際に英語で問題に答える場面などで見ます。
🎁 玉手箱で使えるツール
原田英語の「英語の先生の玉手箱」の無料ツール。登録なしで授業にそのまま使えます。
📑 出典(3件)
本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。
- Ebersbach, M., Feierabend, M., & Nazari, K. B. B. (2020). Comparing the effects of generating questions, testing, and restudying on students' long-term recall in university learning. Applied Cognitive Psychology, 34(3), 724-736. doi:10.1002/acp.3639 ✔ DOI照合済大学の講義で、自分で問題を作る・問題に答える・読み直すの3つを比べた実験。1週間後、問題作りとテストは読み直しより成績が良かった
- Rosenshine, B., Meister, C., & Chapman, S. (1996). Teaching students to generate questions: A review of the intervention studies. Review of Educational Research, 66(2), 181-221. doi:10.3102/00346543066002181 ✔ DOI照合済生徒に質問の作り方を教える指導の介入研究のレビュー。読解の理解が伸びた(効果量の中央値は標準化テスト0.36・研究者作成テスト0.86)
- Myers, S. J., Hausman, H., & Rhodes, M. G. (2024). Testing effects for self-generated versus experimenter-provided questions. Journal of Experimental Psychology: Applied, 30(2), 241-257. doi:10.1037/xap0000487 ✔ DOI照合済自分で作った問題に後で答えても、読み直し以上の効果は見られなかった実験。作った問題が大事な所を外していたことが原因と考察
最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら






