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🎲 授業アクティビティ集小学校中学校高校📖 約7分

ロールプレイ ― 場面と相手を変えて「ふさわしい言い方」を練習する

店員と客、先生と生徒、友だちどうし。同じ「お願い」でも相手によって言い方が変わります。役割カードで場面を決めて演じる、やり取りと語用論の練習です。

⏱ 時間
15-20分
🧰 準備
少し
👥 形態
ペア
🎯 技能
やり取り・スピーキング
📶 CEFR
A1-B1
🛡️
このページのウラ取り 出典 2 件 ― 原田英語.comが集めて読んだ論文・専門書・公的資料。DOI・ISBN・公式ページは書誌データベースとも照合済み 原田英語.comと校閲担当が、主張と出典を1つずつ照合・AI(Codex)による独立チェック済み(2026-10-18) ウラ取りの仕組み →
ロールプレイ ― 場面と相手を変えて「ふさわしい言い方」を練習するのイメージ
💡ねらい
  • 場面・相手・目的に合わせて、言い方(ていねいさ・前置き)を選ぶ力を育てる。
  • 教科書の会話文を「読む」から、自分の言葉で「やり取りする」へ進める。

ロールプレイってなに?

ひとことで言うと、ロールプレイは、ある場面の役になって会話をする活動です。このページでは、役割カードで「場面」「相手」「目的」を決め、相手の知らない情報も入れて、台本なしで即興で会話する形を扱います。

🎈たとえるなら

自動車教習所のコースでの練習です。本物の道路に出る前に、交差点や坂道など場面を決めて練習します。そして場面がちがえば、ふさわしい運転もちがいます。英語でも、相手や場面が変わると、ふさわしい言い方も変わることを体で知るのがこの活動のねらいです。

スキット(台本の会話)とのちがい

スキット このページのロールプレイ
台本 ある ない(役割カードだけ)
相手の答え 決まっている わからない(相手のカードは見ない)
主な練習 決まった会話を正確に言う その場で、相手に合った言い方を選んで対応する

やり方を3ステップで

  1. 比べる:同じお願いを、友だちに言う場合と、先生や店員に言う場合とで比べて見せる。
  2. 演じる:A・B の役割カードを読み、相手のカードは見ずに即興で会話する。
  3. 変えてもう一度:うまくいった言い方を共有し、場面や相手を変えて2回目を演じる。

授業の流れ(分ごと)

時間 活動 先生のポイント
0:00〜3:00 2つの場面を比べる 友だち/先生で言い方がどう変わる?
3:00〜6:00 表現の確認(ワークシートの表) 全員で音読
6:00〜7:00 役割カード配布・読む 相手のカードは見せない
7:00〜9:00 1回目のロールプレイ 台本なし
9:00〜12:00 ふり返り・良い表現の共有 2〜3ペアに再演してもらう
12:00〜15:00 役割交替・相手の関係を変えて2回目 友だち→目上など
ロールプレイ ― 場面と相手を変えて「ふさわしい言い方」を練習するの教室の配置と動き方
🗺️ 教室の配置と動き方(イメージ)
👣手順
  1. 場面を示す(3分):「友だちに消しゴムを借りる」と「先生にプリントをもう1枚もらう」。先生が両方を演じて「何がちがう?」と問う。
  2. 表現を比べる(3分):ワークシートの表を全員で音読し、Can I ...? と Could I ..., please? を比べる。Could I の方が控えめに聞こえること、どちらを選ぶかは相手との関係だけでなく、お願いの大きさや場面でも変わること(店員に Can I ...? と言うのもふつう)を確認する。
  3. 役割カードを配る:A カード「客:小さすぎるTシャツを交換したい」、B カード「店員:この色のLサイズは売り切れ、青ならLがある」。B の事情は A に見せない。
  4. 1回目(2分):ペアで即興で演じる。台本は書かない。
  5. ふり返り(3分):うまくいった言い方をクラスで2〜3個共有し、黒板の「表現バンク」に書く。
  6. 2回目(3分):役割を交替し、さらに C・D カード(生徒と先生)や「相手が友だち/目上」などの条件を変えて演じる。
🗣️先生の英語(そのまま使える)
TSituation one: you want to borrow an eraser from your friend. What do you say?
SCan I borrow your eraser?
TGood. Situation two: you want another handout from your teacher. Is it the same?
SCould I have another handout, please?
TRight. When we speak to a teacher or a store clerk, we often say "Could I ..., please?"
TRead your role card. Don't show it to your partner.
TStart when you are ready. No script. Just talk!
SExcuse me. I bought this T-shirt, but it's too small. Could I change it?
SI'm sorry, but size L is sold out in this color. How about this blue one?
TNow take cards C and D. Decide who is the student and who is the teacher.
🏫そのまま使える素材(場面カード12)
  1. 借りる:A 友だちに傘を借りたい/B 傘は1本しかない
  2. 交換:A Tシャツが小さい/B この色のLは売り切れ(ワークシート)
  3. プリント:A 欠席した次の日に先生に聞く/B 残り1枚、宿題は25ページ(ワークシート)
  4. 道案内:A 駅への道を聞く旅行者/B 駅は遠いのでバスをすすめる
  5. レストラン:A 注文したものとちがう料理が来た/B 店員、すぐ作り直す
  6. 誘いを断る:A 週末に映画に誘う/B 行きたいが部活の試合がある
  7. 電話:A 友だちの家に電話、友だちは不在/B 家族、伝言を受ける
  8. 病院:A 頭が痛い患者/B 医者、いつから?熱は?
  9. ホームステイ:A シャワーの時間を聞きたい/B ホストファミリー、朝は混む
  10. 謝る:A 借りた本を汚してしまった/B 持ち主、少し困っている
  11. お願い(高校):A 先輩に部活の練習メニューを変えてほしい/B 先輩、理由を知りたい
  12. 苦情(高校):A 隣の家の音楽がうるさい/B 隣人、パーティー中
🔁アレンジ
  • 小学校:買い物ごっこ(What would you like? / I'd like ... .)。お店の絵カードと値札を用意し、場面を楽しむことを優先する。
  • 中学:道案内・電話・買い物など教科書の場面をカード化。B カードに「ちょっとした問題(売り切れ・道を知らない)」を入れると即興性が出る。
  • 高校:断る・不満を伝える・説得するなど難しい言語行為へ。相手との関係で言い方を変えて比べる。
  • 大人数クラス:全ペアが同時に演じ、先生は2〜3ペアだけ前で再演してもらう。良い表現は「表現バンク」に追加していく。
  • 苦手な生徒が多いクラス:Starting lines の最初の2行を見ながら始めてよいことにする。1回目はスキットの音読、2回目で一部だけアドリブ、と段階をふむ。
  • オンライン・タブレット:ペアで演じたものを録音して提出。先生は表現の使い分けに一言コメントを返す。
📊評価のポイント
  • 知識・技能:依頼・謝罪などの表現を、正しい形で使えているか。
  • 思考・判断・表現:相手との関係や場面に合わせて、ていねいさを選んで伝えているか。相手の予想外の返答に即興で対応しているか。
  • 主体的に学習に取り組む態度:2回目で、共有された表現や新しい言い方を取り入れ、相手や場面に合わせて言い方を調整しようとしているか。この1回だけで決めず、単元の中の何回かの活動やふり返りを合わせて見ます。
観点 A B C
場面に合った言い方 相手・お願いの大きさ・場面を考えて言い方を選ぶ ていねいな表現を1つは使う 相手や場面に合わない言い方のまま
即興の対応 予想外の返答にも代案を出して会話を進める 短い答えで続ける 会話が止まる
目的の達成 目的(交換・お願い)を最後まで伝える 一部伝わる 伝わらない
⚠️よくあるつまずきと対処
  • 台本を読む劇になったら → B カードに A の知らない事情を入れて、即興性を残す。台本は書かせない。
  • 「ていねい=正しい」と思いこむ生徒には → 親しい友だちへの軽いお願いに Would you mind ...? を使うと、必要以上に改まって聞こえることがある(ただし、頼みごとが大きいときや遠慮がある場面では、友だちどうしでも自然に使われる)。相手との関係・お願いの重さ・場面で選ぶことを、先生の演技で笑いながら見せる。
  • 演じっぱなしで終わりそうなら → ふり返りで「うまくいった言い方」を共有する時間を3分必ずとる。
  • 恥ずかしがって声が小さいペアには → 全員が同時に演じるので、自分たちだけが注目されることはない、と伝える。立って演じると声が出やすい。
  • 役割カードの語が難しくて止まったら → カードに日本語の補足をつけるか、絵で場面を示す。
🔬なぜ効く?

場面や相手に合わせた言い方の知識を「語用論的能力」と呼びます。29研究(1,898人)をまとめた語用論の指導のメタ分析では、指導には大きなプラスの効果(g = 1.66)があり、外国語として学ぶ環境の方が効果が大きく、指導が長いほど効果が大きく、学校段階では高校での効果が最も大きかったと報告されています。ただし、効果の大きさは測り方で変わり(書いて答える談話完成課題で最も大きく、口頭で話す課題ではそれより小さい)、校種ごとの比較は研究の数が少なく暫定的です。また、これは指導のあとの測定の結果で、長く続くかや、ロールプレイだけの効果を示した値ではありません 1。

教え方については、依頼の表現を学習者132人に教えた研究で、明示的な指導(気づきを促す課題と説明)も暗示的な指導(強調表示など)も気づきを高めましたが、明示的な指導の方が適切な依頼の使い方で有利でした 2。この研究は、ロールプレイの前に表現と使い分けを明示的に扱う部分を支えるものです。演じたあとに場面を変えてもう一度演じるのは、別の場面でも使えるようにするための授業上の工夫で、その順序や回数の効果をこの研究が調べたわけではありません。

❓ よくある質問

Q. 英語のロールプレイが、台本を読む劇になってしまいます。

台本は書かせず、B カードに A の知らない事情(例:Lサイズは売り切れ、色ちがいならある)を入れて、即興性を残します。相手のカードは見せないのがポイントです。演じたあとは、うまくいった言い方を共有する時間を3分とります。

Q. ロールプレイで、何が身につきますか?

場面や相手に合わせた言い方を選ぶ力(語用論的能力)です。29研究をまとめた語用論の指導のメタ分析では、指導に大きなプラスの効果(g = 1.66)があり、学校段階では高校での効果が最も大きかったと報告されています。ただし効果の大きさは測り方で変わり、校種の比較は研究が少なく暫定的です 1。

Q. 表現は、演じる前に教えたほうがいいですか?

教えます。依頼の表現を学習者132人に教えた研究では、明示的な指導も暗示的な指導も気づきを高めましたが、適切な依頼の使い方では明示的な指導が有利でした 2。演じる前に表現を比べて見せます。演じたあとに場面を変えてもう一度演じるのは、別の場面でも使えるようにするための授業の工夫です。

Q. ていねいな言い方ほど、正しいのですか?

いつもそうとは限りません。親しい友だちへの軽いお願いに Would you mind ...? を使うと、必要以上に改まって聞こえることがあります(頼みごとが大きいときなどは友だちどうしでも自然です)。相手との関係で言い方を選ぶことを、先生の演技で笑いながら見せます。2回目は「相手が友だち/目上」など条件を変えて演じさせます。

Q. 小学校でもロールプレイはできますか?

買い物ごっこ(What would you like? / I'd like ... .)がおすすめです。お店の絵カードと値札を用意し、場面を楽しむことを優先します。苦手な子が多いクラスでは、最初の2行を見ながら始めてよいことにします。

🎁 玉手箱で使えるツール

原田英語の「英語の先生の玉手箱」の無料ツール。登録なしで授業にそのまま使えます。

📑 出典(2件)

本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。

  1. Ren, W., Li, S., & Lü, X. (2022). A meta-analysis of the effectiveness of second language pragmatics instruction. Applied Linguistics, 44(6), 1010-1029. doi:10.1093/applin/amac055 ✔ DOI照合済語用論(場面にふさわしい言い方)の指導のメタ分析(29研究・1,898人)。大きな効果(g = 1.66)。外国語環境・長めの指導・高校で効果大
  2. Alcón Soler, E. (2005). Does instruction work for learning pragmatics in the EFL context?. System, 33(3), 417-435. doi:10.1016/j.system.2005.06.005 ✔ DOI照合済学習者132人で、依頼表現を明示的/暗示的に教える効果を比べた研究。どちらも気づきは高まり、明示的指導がやや有利

最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら