教科書本文から「いっしょに使う語」を探すコロケーション・ハント
take medicine、heavy rain、make a mistake。単語を1語ずつではなく「かたまり」で拾うと、自然な語の組み合わせに気づき、自分が書いたり話したりするときに表現を選ぶ手がかりになります。
- ⏱ 時間
- 10-15分
- 🧰 準備
- 少し
- 👥 形態
- ペア
- 🎯 技能
- 語彙・リーディング
- 📶 CEFR
- A2-B2

- 単語を「1語ずつ」ではなく、よく一緒に使われる組み合わせ(コロケーション)で拾う目を育てる。
- 日本語の直訳では作れない組み合わせに気づき、自分の作文・会話で使えるようにする。
コロケーション・ハントってなに?
ひとことで言うと、意味のわかった教科書本文から、take medicine や heavy rain のように、よくいっしょに使われる語の組み合わせ(コロケーション)を探して印をつけ、表に集める活動です。
日本語にも「写真を撮る」「お茶をいれる」のような決まった組み合わせがあります。「お茶をつくる」とは、ふつう言いません。英語でも「薬を飲む」は、ふつう take medicine と言います。単語を1語ずつではなく、組み合わせごと覚えるのが大事なところです。
単語リストでの暗記とのちがい
| 単語リストでの暗記 | コロケーション・ハント | |
|---|---|---|
| 覚える単位 | 1語ずつ(medicine=薬) | 組み合わせごと(take medicine) |
| 材料 | 単語帳 | 意味のわかった教科書本文 |
| 気づくこと | 単語の意味 | 日本語から直訳するとまちがえやすい組み合わせ |
やり方を3ステップで
- 型を決める:今日探す型を1つ決める(例:動詞+名詞)。
- 探して集める:ペアで本文から組み合わせを探して表に書き、直訳するとまちがえそうなものに★をつける。迷ったものは辞書の例文で確かめる。
- 使ってみる:穴あきクイズを出し合い、★の組み合わせを1つ使って自分のことを1文書く。
授業の流れ(分ごと)
| 時間 | 先生 | 生徒 |
|---|---|---|
| 0:00〜2:00 | 「薬を飲むは英語で?」とクイズ。drink medicine と take medicine を板書 | 予想して答える |
| 2:00〜3:00 | 今日探す型(動詞+名詞)を1つ指定 | 型を確認 |
| 3:00〜8:00 | 机の間を回り、見つけた数を聞いて励ます | ペアで本文から探してマーカー・表に記入 |
| 8:00〜9:00 | 「直訳と違うものに★を」 | ★をつける |
| 9:00〜12:00 | ★の組み合わせを集めて板書。1〜2個足す | 発表・ノートに追加 |
| 12:00〜15:00 | 穴あきクイズを出す | ペアで出し合い、自分の文を1文書く |

- 内容理解が終わった本文を使う。 初めて読む本文ではなく、意味がわかっている本文の方が、形に目を向ける余裕があります。教科書本文か、ワークシートのオリジナル英文を使います。
- 導入クイズ(2分)。「薬を飲む」「強い雨」を英語で言わせ、ふつうは take medicine / heavy rain と言うことを紹介します(液体の薬を飲む動作そのものを言うときは drink the medicine も使います)。
- 探す型を1〜2つ指定する。 例:「動詞+名詞(have a good time)」「形容詞+名詞(heavy rain)」。最初は型を1つにしぼります。
- ペアで5分間ハント。 見つけた組み合わせにマーカーを引き、表に書き出します。ペアで1冊の教科書を見ると相談が生まれます。動詞と名詞が並んでいれば何でもコロケーションというわけではありません(たとえば want a book の want は、あとの名詞をほとんど自由に入れかえられます)。組み合わせの結びつきの強さには段階があり、本文の missed the bus や have dinner は、学習者用辞書でもよくいっしょに使う組み合わせとして扱われることがあります。初めての回は、先生が take medicine・make a cup of tea・do homework・make a mistake など、よくいっしょに使われる組み合わせを候補として選んでおき、その中から探させます。
- 「日本語にすると?」の列を足す。 「強い雨」→ ふつうは heavy rain、のように、日本語から直訳するとまちがえそうなものに★をつけます。★は自分用の印で、正解は1つではありません。do homework のように日本語と同じ発想で言えるものも、大事なコロケーションです。
- 全体で★の組み合わせを集めて板書(3分)。 先生が1つ2つ足してもかまいません。よくいっしょに使われる組み合わせかどうか迷ったものは、学習者用辞書の例文で確かめてから板書します。
- 最後に穴あきクイズと1文作文。 「__ a mistake」「__ rain」をペアで出し合い、★の組み合わせを1つ使って自分のことを1文書きます。
日本語から1語ずつ置きかえると、ちがう語を選んでしまいそうな組み合わせ(★の候補)
- 薬を飲む → take medicine(ふつうは take。液体の薬を飲む動作なら drink the medicine も使う)
- 強い雨 → heavy rain(ふつうは heavy)
- まちがいをする → make a mistake(do は使わない)
- かぜをひく → catch a cold / かぜをひいている → have a cold
- 濃いコーヒー → strong coffee(ふつうは strong)
- 交通量が多い → heavy traffic(many は使わない)
- 夢を見る → have a dream(see は使わない)
- シャワーを浴びる → take a shower
覚えておきたい、よくいっしょに使う組み合わせ(日本語と発想が近いものもふくむ) 9. 写真を撮る → take a picture 10. 決心する → make a decision 11. 高い熱 → a high fever 12. 約束を守る → keep a promise 13. 電話をかける → make a phone call 14. 進歩する → make progress
- 小学校:3・4年は音声中心で、"Let's play soccer." "Let's go swimming." のように、歌やチャンツの決まった言い方を「かたまり」で言う活動にとどめます。5・6年は、音声で十分に慣れ親しんだ表現(play soccer, have breakfast など)を、絵カードの文字を見ながら読んだり書き写したりする活動につなげます。
- 中学:まずは have / take / make / do の4語にしぼって、本文中の組み合わせを仕分けます。
- 高校:長文や英字新聞の記事で「形容詞+名詞」を探し、英作文の自由記述で1つ以上使うことを条件にします。
- 大人数クラス:班ごとに段落を分担し、見つけた組み合わせを模造紙やスライドに集約します。
- 苦手な生徒が多いクラス:探す語を先生が太字にしておき、「この動詞のあとの名詞に線を引こう」と範囲をしぼります。
- オンライン・タブレット:本文を共同編集の文書に貼り、ペアごとに色を変えてハイライトさせると、全体の結果が一目でわかります。
- 知識・技能:後日の小テストで「__ a mistake」のような穴埋めや、日本語→英語のコロケーション問題を出します。
- 思考・判断・表現:★の組み合わせを、自分の作文の中で場面に合わせて使えているか。
- 主体的に学習に取り組む態度:自信のない組み合わせを辞書やコーパスで確かめて判断を見直したり、小テストや作文で返ってきた誤りをふり返って、覚え方・使い方を変えたりしようとしているか。ノートのリストの量は学習の資料にはなりますが、それだけで評価しません(この観点は、粘り強い取組の中で自分の学習を調整しようとしているかを含めて見るものです 1)。
下の表は、活動中に生徒の様子を見るための目安です。★は自分用の印なので採点には使いません。
| 観点 | A | B | C |
|---|---|---|---|
| 発見 | よくいっしょに使われる組み合わせを本文から見つけ、迷ったものは辞書の例文で確かめている | 先生が示した候補の中から、本文の組み合わせを見つけている | 見つけられない(候補を指さして一緒に探す) |
| 使用 | ★の組み合わせを自分の文で正しく使えている | 使っているが一部誤り | 使えていない |
- 何でもコロケーションにしてしまっていたら → 最初から「全部探して」は混乱のもと。型を1つにしぼり、例を1つ見せてから始めます。
- ★の判断で迷って手が止まったら → 「日本語から直訳したら、この英語になる?」と考えさせます。★は自分用の印なので、迷ったら★なしでOK。気になる組み合わせは学習者用辞書で確かめます。
- リストを作って終わりになっていたら → 使わないと残りません。次の授業の想起クイズ や英作文で必ずもう一度出します。
- 先生も自信がない組み合わせが出てきたら → 学習者用の英英辞典の例文や、コーパスで確かめてから板書します。「確かめてから次回答えます」で十分です。
- 作文で無理に使って不自然になったら → 「自分のことで、本当に言いそうな場面」で使うよう例を示します。
英語を専攻する大学生32人を対象にした小規模な実験では、聞く・読む教材の中で決まった言い回しに気づかせる指導を受けたグループ(17人)の方が、会話のインタビューで、指導を知らない2人の評価者から話す力がより高いと評価されました。話の中で使われた決まった言い回しの数は、評価の高さと関係していました 2。ただし、22授業時間にわたる指導の結果で、この15分のハント活動そのものを調べた研究ではありません。人数の少ない1つの実験で、覚えた言い回しが長く残るかまでは確かめていません。
このような指導の研究をまとめた総説では、①出会ったときに気づかせる、②辞書やコーパスで調べさせる、③特定の言い回しを覚えさせる、の3つの方向があり、いずれも効果が検討されています 3。ハントは①と②を組み合わせた活動です。
ドイツ語を母語とする上級の学習者の作文を分析した研究では、動詞+名詞のコロケーションの誤りに、母語の影響が予想以上に大きく出ることが報告されています 4。日本人を調べた研究ではありませんが、日本の生徒の drink medicine や strong rain も、日本語から直訳したために出てくると考えられる例です。だからこそ「直訳するとまちがえそうなもの」に★をつけて意識する手順を入れています。
❓ よくある質問
Q. コロケーションを探す活動は、どんな本文でやるとよいですか?
内容理解が終わった本文を使います。意味がわかっている本文の方が、形に目を向ける余裕があるからです。教科書本文か、ワークシートのオリジナル英文を使い、ペアで1冊の教科書を見ると相談が生まれます。
Q. 何でもコロケーションにしてしまう生徒がいたら?
最初から「全部探して」は混乱のもとです。「動詞+名詞(have a good time)」のように探す型を1つにしぼり、例を1つ見せてから始めます。★は「直訳するとまちがえそう」と自分が感じたものにつける印なので、迷ったら★なしでかまいません。
Q. 見つけたコロケーションのリストは、どう使いますか?
リストを作って終わりにすると残りません。最後に「__ a mistake」のような穴あきクイズをペアで出し合い、★の組み合わせを1つ使って自分のことを1文書きます。次の授業の想起クイズや英作文でも、必ずもう一度出します。
Q. なぜ「薬を飲む」を drink medicine と言ってしまうのですか?
ドイツ語を母語とする上級の学習者の作文を分析した研究では、動詞+名詞のコロケーションの誤りに母語の影響が大きく出ることが報告されています 4。日本人を調べた研究ではありませんが、「薬を飲む」をふつうの take medicine ではなく drink medicine と言ってしまうのも、日本語から直訳したために出てくると考えられる例なので(液体の薬を飲む動作そのものなら drink the medicine も使います)、「直訳するとまちがえそうなもの」に★をつけて意識させます。
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📑 出典(4件)
本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。
- 文部科学省 (2019). 小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知) 公式ページ ✔ リンク確認済観点別学習状況の評価を「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理した文科省の通知(2019年)
- Boers, F., Eyckmans, J., Kappel, J., Stengers, H., & Demecheleer, M. (2006). Formulaic sequences and perceived oral proficiency: Putting a Lexical Approach to the test. Language Teaching Research, 10(3), 245-261. doi:10.1191/1362168806lr195oa ✔ DOI照合済コロケーションなど決まった言い回しに気づかせる指導を受けた学生は、会話でより流ちょうと評価された小規模実験
- Boers, F., & Lindstromberg, S. (2012). Experimental and intervention studies on formulaic sequences in a second language. Annual Review of Applied Linguistics, 32, 83-110. doi:10.1017/S0267190512000050 ✔ DOI照合済決まった言い回し(コロケーション・イディオムなど)の指導研究の総説。気づかせる・辞書やコーパスで調べる・覚える、の3系統
- Nesselhauf, N. (2003). The use of collocations by advanced learners of English and some implications for teaching. Applied Linguistics, 24(2), 223-242. doi:10.1093/applin/24.2.223 ✔ DOI照合済上級学習者の動詞+名詞コロケーションの誤りを分析。母語の影響が予想以上に大きかった
最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら





