語彙数を知ると何がいいのか
語彙数の目安を知っておくと、次のようなメリットがあります。
- ゴールまでの距離がわかる:あと何語くらい覚えれば目標に届くかイメージできる
- 教材選びの基準になる:自分の語彙レベルに合った単語帳や本を選びやすくなる
- 成長を実感できる:数か月ごとに測ると、語彙が増えていることを確認できる
一方で、語彙数はあくまで目安です。同じ「5,000語」でも、意味がわかるだけなのか、使いこなせるのかで、実際の英語力は大きく違います。また、どの単語を1語と数えるか(run と running を別に数えるか、など)によっても、数字は変わります。
ポイント:語彙数は「成績表」ではなく「地図」。現在地と目的地を確認するために使いましょう。
学習指導要領で示された語数
日本の学校の英語で学ぶ語数は、文部科学省の学習指導要領(小学校・中学校は2017年、高等学校は2018年告示)で示されています。
- 小学校:600〜700語程度
- 中学校:小学校で学んだ語に加えて 1,600〜1,800語程度
- 高等学校:中学校までに学んだ語に加えて 1,800〜2,500語程度
合計すると、高校卒業までに約4,000〜5,000語程度を学ぶことになります。
この数字の意味
- 中学校を卒業するころには、約2,200〜2,500語程度に触れていることになります。
- 大学入試用の単語帳の多くは、高校で学ぶ語に加えて、入試でよく出る語もカバーしています。
- 難関大学の入試や英検準1級以上をめざす場合は、これより多くの語彙が必要になることがあります。
教科書で学ぶ語数と、実際に覚えている語数は同じではありません。学んだ語を何度も復習して、自分のものにしていくことが大切です。
英語の本や映画を楽しむには何語必要か
英語の本や映画を辞書なしで楽しむには、どれくらいの語彙が必要なのでしょうか。
研究で知られている目安
言語学者ポール・ネーション(Paul Nation)の2006年の研究では、英語の書かれた文章(小説や新聞など)を無理なく理解するには 8,000〜9,000ワードファミリー、話し言葉(映画や会話)には 6,000〜7,000ワードファミリー 程度が必要だという見積もりが示されています。
「ワードファミリー」とは
ワードファミリーは、同じ語から派生した語をまとめて1つと数える単位です。
- happy ファミリー:happy、happily、happiness、unhappy など
つまり、ワードファミリーで数えた数は、単語帳の見出し語の数とは同じではありません。1つのファミリーには複数の語が含まれるので、見出し語で数えると、もっと多い数になります。
数字との付き合い方
「8,000以上も必要なのか」と落ち込む必要はありません。
- この数字は、辞書なしで無理なく読むための見積もりです。
- 学習者向けの本(グレーデッド・リーダーズなど)なら、ずっと少ない語彙から楽しめます。
- 語彙は、単語帳だけでなく読書やリスニングの中でも少しずつ増えていきます。
ポイント:大きな数字は「最終目的地」。途中の段階でも、レベルに合った教材を選べば、英語は十分楽しめます。
自分の語彙数を測る方法
方法1:単語帳のサンプルテスト
使っている、または使う予定の単語帳でテストします。
- 単語帳の見出し語から、一定間隔で100語を選ぶ(たとえば10番ごと)
- 意味を隠して、わかるかどうかをテストする
- わかった割合を、単語帳の総語数にかける
例:2,000語の単語帳で、100語中65語わかった → 約1,300語はわかっている。
方法2:レベル別の単語帳で段階チェック
中学レベル、高校基礎、高校標準、難関レベルのように、レベル別の単語帳のサンプルを順番にテストします。「わかる割合が8割を切ったレベル」が、今の自分の学習ポイントです。
方法3:オンラインの語彙テスト
インターネット上には、語彙の大きさを推定するテストもあります。手軽に試せますが、テストによって数え方や結果が違うので、同じテストで定期的に測って変化を見る使い方がおすすめです。
注意点
- 「なんとなく見たことがある」は、わからないに入れる
- 意味がわかるかどうかだけでなく、発音もできるか確認すると、より正確
ポイント:測る目的は、自分の弱いレベルを見つけること。数字の大小より「どこから勉強すればいいか」を知ることが大切です。
よくある失敗
失敗1:数字だけを追いかける
「1万語覚えた」と言っても、意味がわかるだけで使えない単語ばかりでは、英語力はなかなか上がりません。数と深さの両方を意識しましょう。
失敗2:自分のレベルより上の単語帳から始める
難関レベルの単語帳から始めても、基礎の単語が抜けていると、長文は読めません。サンプルテストで8割以上わかるレベルの単語帳を仕上げてから、次に進みましょう。
失敗3:人と語彙数を比べて落ち込む
語彙数は、学んできた期間や方法によって大きく違います。比べるべきは、3か月前の自分です。
失敗4:一度測って終わりにする
語彙数は、測り続けることで意味を持ちます。3か月に1回など、定期的に同じ方法で測りましょう。
1週間の語彙チェック計画
今の語彙レベルを知り、次の学習につなげる1週間のメニューです。
- 月曜:中学レベルのチェック――中学レベルの単語帳や単語リストから50語を選び、意味がわかるかテスト。
- 火曜:高校基礎レベルのチェック――同じく50語をテスト。
- 水曜:高校標準〜入試レベルのチェック――同じく50語をテスト。
- 木曜:結果の整理――各レベルのわかった割合を表にし、「8割を切ったレベル」を確認する。
- 金曜:学習ポイントの決定――8割を切ったレベルの単語帳を、次に取り組む1冊に決める。
- 土曜:1日の数を計算――その単語帳の知らない単語の数と、目標の日までの日数から、1日の新規語数を決める。
- 日曜:記録――今日の日付と結果をノートに書き、3か月後にもう一度測る予定をカレンダーに入れる。
ポイント:「3か月後にもう一度測る」を予定に入れておくと、成長が数字で見えて、やる気が続きます。
まとめ:現在地を知って、一歩ずつ
英語の語彙数の目安をまとめます。
- 学習指導要領では、高校卒業までに約4,000〜5,000語程度を学ぶ
- 英語の本を辞書なしで無理なく読むには、ワードファミリーで8,000〜9,000程度という研究の見積もりがある
- 数字は目安。自分の現在地を知り、次に学ぶレベルを決めるために使う
- 定期的に同じ方法で測って、成長を確かめる
目標を決めるときは、「高校卒業レベルの4,000〜5,000語を、まずは見てすぐわかる状態にする」のように、今の自分に近いゴールから設定すると続けやすくなります。
今日は、使っている単語帳から10番ごとに20語だけ選んで、意味がわかるかテストしてみてください。それだけで、自分の現在地がぐっとはっきり見えてきます。



