英語の免除:英検1級とTOEIC
JNTOの2026年度施行要領では、筆記試験の外国語(英語)について、次のいずれかに該当する人は免除を申請できるとされています。
英検
- 実用英語技能検定1級に合格している人(有効期限なし)
TOEIC(すべて公開テストに限る。IPテストは対象外)
- TOEIC Listening & Reading Test 900点以上
- TOEIC Speaking Test 160点以上
- TOEIC Speaking & Writing Testsのうち、Speaking Test 160点以上
- TOEIC Speaking & Writing Testsのうち、Writing Test 170点以上
TOEICの有効期限に注意
観光庁のガイドラインでは、TOEICのスコアは「その得点を得たテストが行われた日の属する年度、またはその翌年度」に実施される試験を受ける人に限るとされています。2026年度の施行要領では、2025年4月1日以降に実施されたテストが対象と書かれていました。
つまり、TOEICで免除を狙うなら、受験する年度の前年度の4月以降にスコアを取る必要がある、ということです。古いスコアは使えないので注意しましょう。
日本地理・日本歴史・一般常識の免除
英語以外の科目にも、免除の対象となる資格や試験があります(JNTOの2026年度施行要領で確認)。
日本地理
- 総合旅行業務取扱管理者、または国内旅行業務取扱管理者の試験に合格している人
- 旅程管理主任者(ツアーコンダクター)の資格は対象外
日本歴史
- 歴史能力検定の日本史1級または日本史2級に合格している人
- 大学入学共通テストの「日本史B」または「旧日本史B」で60点以上(2022年1月以降に実施された試験が対象。「歴史総合、日本史探究」は対象外)
一般常識
- 大学入学共通テストの「現代社会」または「旧現代社会」で80点以上(2022年1月以降に実施された試験が対象。「公共、倫理」「公共、政治・経済」は対象外)
通訳案内の実務
- ほかの検定による免除はありません
共通テストの科目は、学習指導要領の改訂で名称が変わっています。対象になる科目名をよく確認しましょう。
前年度の合格科目も免除できる
全国通訳案内士試験には、前年度の試験結果を使う免除もあります。
前年度一部合格科目免除
前年度の筆記試験で「合格」とされた科目は、翌年度に限り免除を申請できます(外国語は同じ言語に限る)。2026年度の施行要領では、2025年度の試験で合格した科目が対象とされ、2024年度以前の結果は対象外でした。
前年度5科目合格者免除
前年度に筆記試験の5科目すべてを受験して合格した人(口述で不合格だった人など)は、翌年度に筆記試験全体の免除を申請できます。2026年度の施行要領では、前年度に免除を使った科目が含まれる場合はこの申請はできないとされていました。
大切な注意点
- 自動では免除されません。必ず願書申請の際に免除申請をする必要があります。
- 申請には前年度の受験番号などの情報が必要です。筆記試験の結果や受験番号は、自分で控えておきましょう。
この仕組みを使えば、「1年目は地理・歴史・一般常識に集中し、2年目に残りの科目と口述に挑む」といった2年計画も立てられます。ただし翌年度に限られるので、計画は慎重に。
免除申請のタイミングと書類
免除を使ううえで一番大切なのは、申請のタイミングです。
2026年度の場合(施行要領で確認)
- 願書の申請期間:6月1日〜7月9日
- 免除申請の書類は、この期間内に電子申請システムでアップロードする
- 期間を過ぎると免除申請は受理されない
- 願書が承認されたあとで、免除申請を追加・変更することはできない
準備しておく書類の例
- 英検1級:合格証明書(和文)、またはデジタル証明書ファイル
- TOEIC:公式認定証(デジタル認定証も可)
- 歴史能力検定:合格証明書
- 共通テスト:大学入試センター発行の成績通知書など
合格証明書の発行には時間がかかる場合があります。施行要領でも、書類が間に合わなかった場合の特別措置はないと書かれていました。証明書は早めに取り寄せておくのが鉄則です。
見落としやすいポイント
資格を取ったあとに名字が変わった人は、氏名の変更を証明する書類も必要になります。
免除を活かした年間スケジュール
ここでは、2026年度の日程を参考にした年間スケジュールの一例を紹介します。翌年度以降の日程は変わる可能性があるので、必ず最新の情報で確認してください。
2026年度の日程(JNTOの施行要領で確認)
- 願書申請:6月1日〜7月9日
- 筆記試験:8月16日
- 筆記試験の結果通知:9月25日
- 口述試験:11月29日
- 最終合格発表:2027年1月22日(予定)
免除を狙う人のスケジュール例
- 前年の秋〜冬:英検1級やTOEICを受験。TOEICは前年度4月以降のスコアが必要
- 春:免除に使う証明書を取り寄せる。免除にならない科目の勉強を本格化
- 6〜7月:願書と免除申請を電子申請。書類のアップロードを忘れずに
- 8月:筆記試験(免除されていない科目だけ受験)
- 9〜11月:口述試験の対策に集中
英語を免除できれば、筆記の勉強時間を日本地理・日本歴史・一般常識・通訳案内の実務に回せます。そのぶん、口述対策にも早めに取りかかれるのが大きなメリットです。
よくある失敗と、免除を使う前に考えたいこと
失敗1:TOEICのスコアが古くて使えない
「前にTOEICで900点を取ったから大丈夫」と思っていたら、有効期限外だった――というケースに注意しましょう。受験年度の前年度4月以降のスコアが必要です。
失敗2:IPテストのスコアで申請しようとする
会社や学校で受ける団体特別受験制度(IPテスト)は対象外です。公開テストを受けましょう。
失敗3:証明書の取り寄せが間に合わない
申請期間の締め切り直前に動き出すと、書類が届かないことがあります。
免除を使っても、英語力は必要
免除は筆記試験の科目だけが対象です。口述試験では英語でプレゼンや通訳を行うので、英語を話す練習は免除に関係なく欠かせません。英語の免除を使う人こそ、空いた時間を口述対策に回しましょう。
ポイント:今日は、自分が使えそうな免除をリストアップし、必要な証明書と有効期限をメモするところから始めましょう。
合格率の数字から見えること
JNTOが公表している数表によると、2025年度の英語の試験は、受験者数3,180人に対して最終合格者は500人で、合格率は15.7%でした。2024年度は、受験者数3,022人、最終合格者303人で10.0%です。数表には、受験者数に筆記試験の免除者数も含まれると注記されています。
2025年度の英語について段階別に見ると、筆記試験(1次)の合格率は29.8%、口述試験(2次)の合格率は50.6%でした。筆記試験で多くの人が絞られ、口述でもおよそ半分が合格という結果です。
この数字から言えるのは、筆記の5科目をすべて基準点以上にそろえることが最初の大きな壁だということ。免除制度を上手に使って、勉強すべき科目を減らすことは、合格への現実的な戦略の一つです。
ただし、合格率は年度によって変わります。最新の数字はJNTOのページで確認しましょう。



