まずは自分の現在地を知ろう
スコア別の勉強法を考える前に、今の自分がどの帯にいるのかを把握しましょう。まだ受験したことがない人は、公式サイトのサンプル問題や新形式に対応した模試を使って、おおよその位置をつかみます。
目安になるのは、公式に示されているCEFRとの対応です。
- バンド1〜2.5:CEFR A1〜A2(基礎段階)
- バンド3〜3.5:CEFR B1(中級)
- バンド4〜4.5:CEFR B2(中上級)
- バンド5以上:CEFR C1〜C2(上級)
英検を受けたことがある人は、英検のCEFR対応と見比べて「だいたいこのあたり」と見当をつけるのも一つの方法です。
大切なのは、総合スコアだけでなくセクションごとのスコアを見ることです。たとえば総合が4でも、リーディング4.5・スピーキング3という人と、全セクション4の人では、やるべきことがまったく違います。一番低いセクションが伸びしろの大きい場所です。
ポイント:「総合で何点」より「どのセクションが何点」。弱点がはっきりすると、勉強時間の配分が決まります。
バンド1〜2.5:基礎の土台をつくる時期
この段階では、TOEFLの問題集に進む前に、英語そのものの土台づくりを優先しましょう。TOEFLの問題は大学レベルの英語が題材なので、基礎がないまま解いても「わからない」が続くだけになりがちです。
優先すること
- 中学〜高校基礎の単語と文法――まず基本的な単語帳1冊と文法書1冊を決めて繰り返す
- やさしい英語をたくさん聞く・読む――学習者向けの英語ニュースや多読用の本
- 音読――読んだ英文を声に出し、英語の語順に慣れる
よくある失敗
いきなり公式模試を解いて落ち込んでしまうパターンです。この段階では、問題形式を知る程度にとどめ、正答率は気にしなくて大丈夫です。
1週間メニュー例(1日40分)
- 単語 15分(毎日)
- 文法問題 15分(月・水・金)/やさしい英語の音読 15分(火・木・土)
- やさしいリスニング 10分(毎日)
- 日曜:1週間分の単語の想起テスト
教材選びのコツ
この段階の教材は「今の自分が8割くらい理解できるもの」を選ぶのが目安です。難しすぎる教材は、辞書を引く時間ばかりが増えて、英語に触れる量が減ってしまいます。TOEFL専用の教材にこだわらず、英検や高校の教科書レベルの教材から始めてかまいません。土台ができてからTOEFL形式に移るほうが、結果的に近道になります。
バンド3〜3.5:TOEFLの形式に慣れる時期
日常的な英語はある程度わかるようになってきた段階です。ここからは、TOEFLの問題形式に慣れつつ、アカデミックな語彙を増やしていきます。
優先すること
- アカデミック単語――環境、生物、歴史、経済など、講義によく出る分野の単語を増やす
- Complete the Wordsの練習――つづりまで正確に覚えることを意識する
- リスニングのメモ取り――話の目的・理由・結論だけを書く練習
- スピーキングのリピート練習――短い文を聞いてそのまま言う
たとえば次のような文を聞いて、そのまま繰り返せるかを試してみましょう。
- The library will be closed early on Friday.
- Please submit your report by the end of next week.
最初は短い文でも言い切れないことがあります。音をかたまりで捉える練習を続けると、少しずつ長い文も再現できるようになります。
1週間メニュー例(1日60分)
- 単語 15分(毎日)
- リーディング演習 20分(月・水・金)/リスニング演習 20分(火・木・土)
- リピート練習 10分(毎日)
- ライティング:Build a Sentence 10問(毎日)
- 日曜:模試の1セクションを本番の時間で
バンド4〜4.5:弱点をつぶして安定させる時期
大学の授業についていく土台ができてきた段階です。多くの人が「ここから伸び悩む」と感じるのもこの帯です。やみくもに問題を解くより、弱点のセクションと問題タイプを特定して集中的に練習することが効果的です。
優先すること
- ライティングの型を固める――Email(約7分)とAcademic Discussion(約10分)を時間内に書き切る
- スピーキングの答え方の型――Take an Interviewで、結論→理由→具体例の順に45秒以内で話す
- 間違いノート――模試で間違えた問題の「なぜ」を一行で記録する
たとえばAcademic Discussionで、次のように意見を書き始める練習をしてみましょう。
- In my view, online classes are useful, but they cannot fully replace face-to-face learning.
- I partly agree with Maria's point, because ...
他の参加者の意見に一言触れるだけで、議論に参加している答案になります。
1週間メニュー例(1日90分)
- 単語 15分(毎日)
- 弱点セクションの演習 30分(毎日)
- ライティング1本を時間を計って書く 20分(月・水・金)
- スピーキング録音と聞き直し 20分(火・木・土)
- 間違いノートの見直し 10分(毎日)
バンド5以上:上級者の仕上げ方
英語で行われる授業に自信を持って参加できるレベルです。ここからは、小さな取りこぼしを減らす段階になります。
優先すること
- 適応型の前半を落とさない――前半の出来が後半の難易度を決めるので、ケアレスミスを減らす
- 語彙の幅と正確さ――似た意味の単語の使い分け、コロケーション
- スピーキングの明瞭さ――内容だけでなく、聞き取りやすさや自然なリズム
- ライティングの精度――冠詞、時制、主語と動詞の一致など細かな文法の見直し
この段階では、英語で書かれた大学の講義動画や学術系の記事を日常的に読んだり聞いたりすることも、試験対策と同じくらい効果があります。
1週間メニュー例(1日90分)
- 学術系の英文記事を1本読み、要点を英語で3文にまとめる 20分(毎日)
- 講義系の英語音声を聞いてメモを取り、英語で要約して話す 20分(毎日)
- ライティング1本を時間を計って書き、翌日に細かな文法を見直す 25分(月・水・金)
- スピーキングの録音を聞き、言い直しや沈黙が出た箇所を分析 20分(火・木・土)
- 日曜:新形式対応の模試を通しで解く
上級者の答案で差がつくのは、たとえば次のような小さな部分です。
- × The number of students who study abroad are increasing.
- ○ The number of students who study abroad is increasing.
主語が The number(数)なので動詞は is になります。こうした「わかっているのに書くと間違える」ミスを一つずつ減らしていくのが、この段階の勉強です。
よくある失敗
高得点を狙うあまり、ライティングで難しい単語を無理に使ってミスを増やしてしまうパターンです。上級者ほど「正確で読みやすい文」を意識しましょう。
どの段階でも共通する3つの習慣
最後に、スコアに関係なく続けたい習慣を紹介します。
- 毎日の単語――短くてもいいので毎日。間隔をあけて復習する
- 毎日の音――リスニングとリピートを1日10分でも
- 週1回の本番形式――時間を計って1セクションを解く
伸び悩んだときのチェックリスト
しばらく勉強してもスコアが動かないときは、次の点を見直してみましょう。
- 同じ教材を「解いて終わり」にしていないか(復習の時間を取っているか)
- 弱点セクションを避けて、得意なセクションばかり練習していないか
- 本番と同じ時間・同じ条件で解く練習をしているか
- スピーキングやライティングで、自分の答えを見直したり聞き直したりしているか
どれか一つでも当てはまれば、そこが次に手を入れるポイントです。
TOEFLのスコアは、一気に上がるというより、階段のように少しずつ上がっていくものです。今の段階でやるべきことを決めたら、しばらくは迷わずに続けてみましょう。今日はまず、自分の一番低いセクションを1つ選び、明日からの1週間メニューを書き出してみてください。



