家庭学習の軸は教科書、YouTubeは「プラス1」
中学生の英語の家庭学習の中心は、やはり教科書です。定期テストも高校入試も、教科書で習う単語と文法が土台になっているからです。
そのうえで、YouTubeは次のような場面で力を発揮します。
- 発音:口の形や舌の位置を、映像で確認できる
- リスニング:学習者向けのやさしい英語や、ネイティブの自然な英語をたくさん聞ける
- 文法の解説:授業でわからなかった単元を、別の説明で聞き直せる
- やる気:勉強のしかたや、英語を使う楽しさを知るきっかけになる
一方で、YouTubeだけで英語力を伸ばそうとすると、「わかった気がするけれど、テストで書けない」状態になりがちです。動画は、見ている間は理解できても、自分で思い出したり書いたりしなければ、記憶に残りにくいからです。
ポイント:家庭学習は「教科書で土台、YouTubeでプラス1」。動画は教科書の勉強を助ける道具として使いましょう。
目的別:中学生に合う動画の選び方
YouTubeの英語動画は種類がとても多いので、目的に合わせて選ぶことが大切です。
発音を練習したい
英語の音を1つずつ解説する動画や、フォニックス(つづりと音の関係)を扱う動画がおすすめです。口の動きがよく見えるものを選びましょう。
リスニングに慣れたい
学習者向けに、ゆっくりはっきり話してくれる動画から始めましょう。字幕の有無を切りかえられるものが便利です。1本3〜5分程度の短いものが、中学生には向いています。
文法を復習したい
授業でわからなかった単元名(「不定詞」「現在完了」など)で検索すると、解説動画が見つかります。ただし、説明の仕方は動画によって違うので、教科書の説明と照らし合わせながら見ましょう。
英語を楽しみたい
好きなスポーツ、音楽、料理、動物など、興味のあるテーマの英語動画を見るのも立派な学習です。内容が全部わからなくても、「知っている単語が聞こえた」という経験が、英語への親しみにつながります。
選ぶときの3つの基準
- 1本が長すぎない(まずは10分以内)
- 自分のレベルに合っている(内容の半分以上はなんとなくわかる)
- 見た後に「何か1つ」を学べる
見るだけで終わらせない「4ステップ視聴法」
YouTubeを英語の勉強にするには、見た後に「自分で使う」ステップが欠かせません。次の4ステップで見てみましょう。
ステップ1:まず字幕ありで見る
内容をつかむために、英語字幕(なければ日本語字幕)ありで1回見ます。
ステップ2:気になった表現を3つ書き出す
動画を止めながら、覚えたい表現を3つだけノートに書きます。多すぎると続かないので、3つに絞るのがコツです。
ステップ3:字幕なしでもう一度見る
書き出した表現が、音でどう聞こえるかを意識しながら見ます。
ステップ4:書き出した表現で自分の文を作る
たとえば、動画で I'm really into 〜.(〜にハマっている)という表現が出てきたら、自分のことで文を作ります。
- I'm really into baseball these days.(最近野球にハマっている)
- My sister is really into K-pop.(姉はK-POPにハマっている)
自分の文を作って声に出すことで、見ただけの表現が「使える表現」に変わります。
ポイント:動画1本につき「表現3つ」「自分の文1つ」。これだけで、ただ見るのとはまったく違う学びになります。
1日の家庭学習メニューと1週間プラン
教科書を軸に、YouTubeを組み合わせた家庭学習メニューの例です。
平日の家庭学習メニュー(40分)
- 10分:単語(教科書の新出単語か単語帳)
- 15分:文法(授業の復習+問題集)
- 10分:教科書の音読
- 5分:YouTube(短い英語動画を1本、または解説動画の一部)
1週間プランの例
- 月:授業の復習+発音の動画で1つの音を練習(例:th の音)
- 火:文法問題+わからなかった単元の解説動画
- 水:教科書音読+学習者向けリスニング動画1本(4ステップ視聴)
- 木:単語テスト+好きなテーマの英語動画
- 金:1週間の復習
- 土:少し長めの動画を1本、4ステップ視聴法で
- 日:休み、または家族と英語の動画を楽しむ
動画の時間を決めておく
YouTubeは、1本見終わると次の動画がおすすめに出てきます。「英語の時間は5分(または動画1本)まで」と始める前に決めておくと、ついつい見続けてしまうのを防げます。
学年別のおすすめの使い方
YouTubeの使い方は、学年によって少しずつ変えるのがおすすめです。
中1:音に親しむ
英語の音やリズムに慣れることが一番の目的です。フォニックスや発音の動画、英語の歌、短いアニメなど、楽しく英語の音に触れられる動画を選びましょう。
中2:文法の理解を助ける
不定詞や比較など、中2で習う文法でつまずいたときに、解説動画で別の説明を聞いてみると、理解が進むことがあります。見た後は、必ず問題集で同じ単元の問題を解きましょう。
中3:リスニング力を上げる
高校入試のリスニングに向けて、学習者向けのニュースや、ゆっくり話す英語の動画を習慣にしましょう。1本を3回見る(字幕あり→字幕なし→音声に合わせて一部を音読)と、耳が慣れていきます。
ポイント:学年が上がるほど、「楽しむ」から「使う」へ少しずつ比重を移していきましょう。
スマホとの付き合い方と、家庭のルール作り
YouTubeを家庭学習に使うときに一番の課題になるのが、スマホやタブレットとの付き合い方です。
子ども自身ができる工夫
- 見る動画を、勉強を始める前に決めておく
- 英語学習用の再生リストを作り、そこから選ぶ
- 動画を見るときは、ノートとペンを横に置く
- 見終わったらすぐにアプリを閉じる
家庭でのルール作り(保護者の方へ)
- 勉強に使う時間と、自由に使う時間を分けて決める
- 勉強で使った動画について、「今日はどんな表現を覚えた?」と聞いてみる
- リビングなど、家族の目が届く場所で使うようにする
ルールは、大人が一方的に決めるより、子どもと話し合って決めるほうが守られやすいものです。「英語の動画は1日15分まで。見た後に表現を1つ家族に教える」のように、学びにつながるルールにするのもおすすめです。
また、動画によっては広告やコメント欄など、学習と関係のない情報も目に入ります。年齢に応じて、フィルタ機能や視聴制限の設定を家族で確認しておくと安心です。
よくある失敗と、今日からできること
よくある失敗
- 見るだけで満足する
動画を見終わったときの「わかった!」という感覚は、すぐに消えてしまいます。書き出す・声に出す・自分の文を作る、のどれか1つは必ずやりましょう。
- 難しすぎる動画を選ぶ
ほとんど聞き取れない動画を見続けても、なかなか力はつきません。内容の半分以上がなんとなくわかる動画から始めましょう。
- 教科書の勉強を動画に置きかえる
動画は楽しいので、つい教科書の勉強より優先したくなります。でも、テストの点数に直結するのは教科書です。順番は「教科書→動画」を守りましょう。
- 毎回違う動画を見る
気に入った動画は、2〜3回繰り返し見るのがおすすめです。1回目は内容、2回目は表現、3回目は音、と目的を変えると、同じ動画から多くのことを学べます。
今日からできること
今日は、興味のあるテーマの短い英語動画を1本選んで、4ステップ視聴法を試してみましょう。表現を3つ書き出して、1つだけでいいので自分の文を作ってみてください。



