保護者の役割は「先生」ではなく「伴走者」
中学生の英語の勉強で、保護者の方が文法を教えたり、問題を解説したりする必要はありません。教える役割は、学校の先生や教材に任せて大丈夫です。
保護者の方にお願いしたいのは、「伴走者」の役割です。
- 勉強を続けられる環境を整える
- 子どもの頑張りに気づき、声をかける
- 困っているサインを見逃さない
- 必要なときに、学校や塾につなぐ
中学生になると、親に勉強を見られることをいやがる子も増えてきます。だからこそ、「教える」「チェックする」より、「そばで応援する」関わり方が、長い目で見て効果的です。
ポイント:英語が苦手な保護者の方でも、伴走者にはなれます。むしろ「一緒に学ぶ姿勢」を見せることが、子どもの励みになることもあります。
では、具体的にどんなことができるのか、7つの方法を見ていきましょう。
サポート①②:音読の聞き役と単語テストの出題
① 音読の聞き役になる
教科書の音読は、中学英語の勉強の中でもとても大切な練習です。保護者の方は、その「聞き役」になってください。
- 1日1回、「今日の音読を聞かせて」と声をかける
- 英語の正しさを判断する必要はありません
- 「前よりスラスラ読めるようになったね」「声がはっきりしてきたね」など、変化に気づいて伝える
人に聞いてもらうと、子どもは適度な緊張感を持って読むので、一人で読むより集中できます。
② 単語テストの出題者になる
単語の小テストや定期テストの前に、出題役をお願いします。
- 子どもの単語リストの日本語を読み上げる
- 子どもが英語を言う、または紙に書く
- リストの英語と照らし合わせて、合っているか確認する
英語の発音がわからなくても、日本語を読み上げてつづりを確認するだけなので、英語が苦手な方でもできます。
例:
- 保護者「『借りる』は?」
- 子ども「borrow。b-o-r-r-o-w」
- 保護者「正解! r が2つだね」
間違えた単語に印をつけておき、翌日もう一度出題すると、さらに効果的です。
サポート③④:学習環境と時間の見える化
③ 勉強しやすい環境を整える
家庭の環境は、勉強の続けやすさに大きく影響します。
- 勉強する場所を決める(自分の部屋でもリビングでも)
- 机の上には、今使う教材だけを置く
- 勉強中は、テレビの音を小さくするなど、家族で協力する
- 教科書の音声を聞くためのスマホやタブレットの使い方を、一緒に確認する
最近の教科書には、二次元コードなどで音声が聞けるものも多くあります。音声の出し方がわからないと音読が進まないので、最初に一緒に確認しておくとスムーズです。
④ 勉強時間を「見える化」する
カレンダーや表に、勉強した日に丸をつける方法がおすすめです。
- 英語を勉強した日に丸(または好きなシール)
- 1週間続いたら、家族で小さなお祝い
丸が並んでいくのを見ると、子どもは「続けたい」という気持ちになります。保護者の方は、結果(点数)よりも、続けていること自体を認めてあげてください。
ポイント:「何点だった?」より「今週も毎日続けたね」。行動をほめると、行動が続きます。
サポート⑤⑥:声のかけ方と、つまずきのサインに気づく
⑤ 前向きな声のかけ方
同じことを伝えるにも、言い方で子どものやる気は大きく変わります。
- × 「なんでこんな点数なの?」
- ○ 「どの問題が難しかった? 一緒に見てみようか」
- × 「もっと勉強しなさい」
- ○ 「今日は英語、何をやる予定?」
- × 「お兄ちゃんはもっとできたのに」
- ○ 「前のテストより、この部分はよくなったね」
具体的に聞く、比べるなら過去の本人と比べる、というのがコツです。
⑥ つまずきのサインに気づく
英語は積み上げの教科なので、早めに気づけば、立て直しも早くなります。こんなサインが見えたら、声をかけてみてください。
- 教科書の音読で、読めない単語が多い
- 小テストの点数が急に下がった
- 「英語きらい」「わからない」と言い始めた
- 英語の宿題を後回しにすることが増えた
気づいたら、「どこがわからないの?」と聞くより、「今の単元の最初の例文を読んでみて」と頼んでみましょう。読めない・意味が言えない場所が、つまずきの場所です。必要に応じて、学校の先生に相談するのもよい方法です。
サポート⑦:保護者も一緒に英語を楽しむ
⑦ 家庭で英語に触れる機会をつくる
保護者の方が英語を楽しんでいる姿を見せることは、子どもにとって大きな刺激になります。
- 家族で英語の歌を聞く、英語の映画を字幕つきで見る
- 子どもが習った表現を、家で使ってみる
- 保護者の方も、子どもと同じ単語を覚えてみる
例:子どもに英語を教えてもらう
- 保護者「今日習った英語、1つ教えて」
- 子ども「I'm looking forward to 〜. は『〜を楽しみにしている』って意味」
- 保護者「じゃあ、I'm looking forward to dinner! かな?」
人に教えることは、とても効果的な学習法です。子どもが「先生」になる時間をつくると、覚えたことを思い出して説明する練習になります。
家庭での英語サポート1週間の例
- 月:音読を聞く(5分)
- 火:単語テストを出題する(5分)
- 水:「今日習った英語を1つ教えて」と聞く
- 木:音読を聞く(5分)
- 金:1週間の丸の数を一緒に数える
- 土:家族で英語の歌や動画を楽しむ
- 日:次の週の予定を一緒に確認する
定期テスト前と高校受験期の関わり方
定期テスト前
テスト前は、子どもが計画を立てる手助けをしましょう。
- テスト範囲表を一緒に見て、「英語はいつから始める?」と聞く
- 計画を紙に書いて、見える場所に貼る
- 単語テストや本文の出題役を、いつもより多めに引き受ける
計画を立てるのは子ども自身、保護者の方は確認と応援、という役割分担が理想です。
高校受験期
中3の受験期は、子ども自身が一番プレッシャーを感じています。
- 模試の結果は、判定よりも「どの分野が伸びたか」に注目して話す
- 志望校の入試の形式や日程を、一緒に確認する
- 食事や睡眠など、生活面でのサポートを意識する
英語の過去問を解いた後に、「リスニングはどうだった?」と具体的に聞くと、子どもは自分の課題を言葉にしやすくなります。
やりがちなNG例と、今日からできること
やりがちなNG例
- 子どもの勉強をすべて管理しようとする
中学生は、自分で計画を立てて実行する力を育てる時期です。細かく指示しすぎると、自分で考える機会を奪ってしまいます。計画は子どもが立て、保護者は相談役になるのが理想です。
- 点数だけで評価する
点数が下がったときに責めると、子どもはテストを見せなくなってしまいます。点数より、取り組みの過程に目を向けましょう。
- 教材を次々に買い与える
新しい教材が増えると、どれも中途半端になりがちです。まずは教科書と、学校で使っている問題集を仕上げることを優先しましょう。
- 自分の英語の苦手意識を伝えてしまう
「お母さんも英語はできなかったから」「お父さんも英語は苦手だった」という言葉は、子どもに「英語はできなくても仕方ない」というメッセージとして伝わることがあります。
高校受験を見すえて
中3になると、受験への不安から、保護者の方も焦りを感じることがあると思います。そんなときこそ、生活リズムを整え、しっかり眠れる環境をつくることが、一番の受験サポートになります。
今日は、お子さんに「今日の英語の音読、聞かせてくれる?」と声をかけてみてください。5分の聞き役が、毎日の習慣の第一歩になります。



