低反発マットも耳で測る体温計も「NASA生まれ」。でもマジックテープは違った

読む前に予想してみよう!
マジックテープ(面ファスナー)はNASAが宇宙用に発明した
1950年代にスイスの技術者が発明。NASAは使っただけ。
- 対象
- NASAの技術移転事例
- 規模
- 1976年以降2,000件以上
- 研究の種類
- 公式事例集(NASA Spinoff)
- 確かさ
- ★★★★☆
低反発フォーム、浄水技術、耳で測る赤外線体温計はNASAの研究から生まれた「スピンオフ」。一方テフロンやマジックテープはNASAより前に発明済み。
ひとことで言うと宇宙のために作った技術が、きみの枕や体温計になっている!
もくじ
寝返りを打つと、ゆっくり形が戻る低反発マットレス。じつはこれ、もとをたどるとNASAにたどり着きます。
NASAには、宇宙や航空のために開発した技術を民間に渡す仕組みがあります。そこから生まれた製品を「スピンオフ」と呼び、NASAは1976年から毎年、事例集『Spinoff』を出しています。紹介された技術は2,000件以上です。
ただし、「NASAが発明した」と言われるものの中には、じつは違うものもまじっています。今回はホントとウソを分けてみましょう。
01ホント①:低反発フォームは「飛行機の座席」から
低反発フォーム(メモリーフォーム)は、1960年代にNASAの航空研究の契約のもとで開発されました。目的は、飛行機の座席のクッションをよくして、事故の衝撃から乗る人を守ることです。
ゆっくり沈んでゆっくり戻る性質は、体重を広い面で受け止めます。この性質が、のちにマットレスや枕、ヘルメットの内側、病院のベッドなどに広がりました。

02ホント②:月へ行く船の「水をきれいにする技術」
アポロ宇宙船では、飲み水の細菌を増やさないために、銀イオンを使う浄水の仕組みが研究されました。NASAの事例集によると、この技術はのちにプールやスパ(ジャグジー)、噴水などの水の衛生管理に応用されています。
宇宙船では、水をくみ直すことができません。だから「少ない薬品で、長く清潔に保つ」技術が必要でした。
03ホント③:耳でピッと測る体温計は「星の温度計」の親戚
耳に入れて数秒で測れる赤外線体温計。これはNASAのジェット推進研究所(JPL)が、遠くの星や惑星の温度を測るために使っていた赤外線センサーの技術を応用したものです。
すべての物体は、温度に応じた赤外線を出しています。鼓膜から出る赤外線を読めば、体の中心に近い温度が分かる、というしくみです。
04ウソ:マジックテープもテフロンも「NASA以前」
よく聞く「NASAの発明」には、誤解もあります。
05なぜ宇宙の技術は日常に来るのか
宇宙は「軽く、小さく、壊れにくく、少ない電力で」という厳しい条件だらけです。その条件をクリアした技術は、地上でも役に立つことが多いのです。
06スピンオフは今も生まれている
NASAは今も、宇宙開発で生まれた技術を企業に紹介し、特許のライセンスを提供しています。宇宙飛行士の健康管理、ロボット、気象観測などの分野から、これからも新しいスピンオフが生まれてくるでしょう。
07まとめ
宇宙のために作った技術は、思いがけず枕や体温計として私たちの身近にあります。
でも、「NASAが作った」と「NASAが使った」は別物。ルーツを確かめる目を持つと、身の回りの製品がもっと面白く見えてきますよ。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerNASA has a system for passing technology developed for space and aviation to companies, and the products…
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Some things in our homes came from NASA research. Memory foam was made in the 1960s to make airplane seats safer. Now it is used in beds and pillows. Ear thermometers use sensor technology that once measured the temperature of stars.
But some "NASA inventions" are not true. Velcro was invented in the 1950s by a Swiss engineer. NASA only used it. It did not invent it.
67 words ・ CEFR A2
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私たちの家にある物の中には、NASAの研究から生まれたものがあります。低反発フォームは、飛行機の座席をより安全にするために1960年代に作られました。今ではベッドや枕に使われています。耳で測る体温計には、かつて星の温度を測ったセンサーが使われています。
しかし、「NASAの発明」の中には本当ではないものもあります。マジックテープは1950年代にスイスの技術者が発明しました。NASAはそれを使っただけです。発明したわけではありません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
NASA発の日用品と、誤解されている「NASAの発明」が主題なので A。
Q2. Why was memory foam first made?
Memory foam was made in the 1960s to make airplane seats safer. とあるので B。
Q3. In the passage, "invented" means ...
invent は「発明する」=初めて作り出すこと。NASAは使っただけで発明していない、という対比なので D。
NASA has a system for passing technology developed for space and aviation to companies, and the products that come from it are called "spinoffs." Since 1976, NASA has published a yearly report that has described more than 2,000 of them. Memory foam, for example, was developed in the 1960s under a NASA aviation research contract to improve airplane seat cushions and protect passengers in crashes.
Ear thermometers use infrared sensor technology that NASA's Jet Propulsion Laboratory had used to measure the temperature of distant stars and planets. However, not every famous "NASA invention" is real. Velcro, Teflon, and the powdered drink Tang all existed before NASA used them.
108 words ・ CEFR B1
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NASAには、宇宙や航空のために開発された技術を企業に渡す仕組みがあり、そこから生まれた製品は「スピンオフ」と呼ばれます。1976年以来、NASAは毎年報告書を発行しており、そこでは2,000件以上のスピンオフが紹介されてきました。たとえば低反発フォームは、飛行機の座席クッションを改良して事故のときに乗客を守るため、1960年代にNASAの航空研究の契約のもとで開発されました。
耳で測る体温計は、NASAのジェット推進研究所が遠くの星や惑星の温度を測るために使っていた赤外線センサーの技術を利用しています。しかし、有名な「NASAの発明」のすべてが本物というわけではありません。マジックテープ、テフロン、そして粉末ジュースのタンは、どれもNASAが使う前から存在していました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is a "spinoff" in this passage?
the products that come from it are called "spinoffs" とあり、宇宙・航空の技術から生まれた製品のことなので C。
Q2. What technology do ear thermometers use?
infrared sensor technology that NASA's Jet Propulsion Laboratory had used to measure the temperature of distant stars and planets とあるので B。
Q3. What does the writer suggest about Velcro?
Velcro ... existed before NASA used them とあるので、NASAが発明したわけではない。A。
The mattress that slowly regains its shape after you roll over owes part of its history to NASA. The agency runs a technology transfer program that passes innovations developed for aviation and space to private companies. Since 1976, its annual publication, Spinoff, has documented more than 2,000 resulting products. Memory foam was developed in the 1960s under a NASA aeronautics research contract, to make aircraft seat cushions absorb impact and protect passengers.
Because it spreads weight over a wide area, it later found its way into mattresses, pillows, helmet liners, and hospital beds. For the Apollo missions, NASA studied a way of purifying water with silver ions, and the method was later applied to swimming pools and other facilities. Infrared ear thermometers adapted sensor technology that NASA's Jet Propulsion Laboratory had used to measure the temperature of stars and planets.
A spinoff means that NASA contributed to a product. It does not mean the agency invented it alone, and several popular stories get this wrong. Velcro was invented by a Swiss engineer in the 1950s. Teflon was discovered by accident in a chemical company's laboratory in 1938. And Tang was already being sold before NASA adopted it.
197 words ・ CEFR B2
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寝返りを打つとゆっくり形が戻るマットレスは、その歴史の一部をNASAに負っています。NASAは、航空や宇宙のために開発された新技術を民間企業に渡す技術移転プログラムを運営しています。1976年以来、年刊誌『Spinoff』は、そこから生まれた2,000件以上の製品を記録してきました。低反発フォームは、航空機の座席クッションに衝撃を吸収させて乗客を守るため、1960年代にNASAの航空研究の契約のもとで開発されました。
体重を広い面に分散させるので、のちにマットレス、枕、ヘルメットの内張り、病院のベッドにも使われるようになりました。アポロ計画のために、NASAは銀イオンで水を浄化する方法を研究し、その方法はのちにプールなどの施設に応用されました。赤外線の耳式体温計は、NASAのジェット推進研究所が星や惑星の温度を測るために使っていたセンサー技術を応用したものです。
スピンオフとは、NASAが製品に貢献したという意味です。NASAが単独で発明したという意味ではなく、よく知られた話のいくつかはこの点を取り違えています。マジックテープは1950年代にスイスの技術者が発明しました。テフロンは1938年に化学メーカーの研究所で偶然発見されました。そしてタンは、NASAが採用する前からすでに売られていました。
4択リーディングクイズ
Q1. Why was memory foam originally developed?
to make aircraft seat cushions absorb impact and protect passengers とあるので B。
Q2. Which statement about Teflon is true according to the passage?
Teflon was discovered by accident in a chemical company's laboratory in 1938 とあるので C。B はマジックテープ。
Q3. What does the author say a "spinoff" means?
A spinoff means that NASA contributed to a product. It does not mean the agency invented it alone とあるので D。
重要単語
- spinoffC1名詞副産物、派生した技術Memory foam is a famous NASA spinoff.
spin off(回転して飛び出る)から。テレビの「スピンオフ作品」も同じ語。 - technology transferC1名詞(句)技術移転Technology transfer brings space research to our homes.
transfer は「移す、乗り換え」。trans-(向こうへ)+fer(運ぶ)。 - infraredC1形容詞赤外線のThe thermometer reads infrared light from your ear.
infra-(下の)+red。赤より波長が長い光。ultraviolet(紫外線)と対で覚える。 - purifyB2動詞浄化するSilver ions can help purify drinking water.
pure(純粋な)+-ify(~にする)。名詞 purification。water purifier は「浄水器」。 - misconceptionC1名詞誤解It is a common misconception that NASA invented Velcro.
mis-(誤った)+conception(考え)。myth(俗説)と並んで説明文で頻出。 - absorbB2動詞吸収するMemory foam absorbs impact well.
absorb shock「衝撃を吸収する」。be absorbed in ~「~に夢中になる」も頻出。 - adoptB2動詞採用するNASA adopted Tang for its astronauts.
「養子にする」の意味もある。adapt(適応する)とつづりが似ているので入試で狙われる。
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- NASA Spinoff 公式サイト(NASA)spinoff.nasa.gov
- Memory Foam(NASA)nasa.gov
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低反発マットレスも、耳でピッと測る体温計も、もとはNASAの研究から生まれた技術らしい。でも「マジックテープはNASAの発明」はウソ。NASA発のホントとウソをまとめた。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- NASA Spinoff(技術移転の公式事例集)spinoff.nasa.gov
- NASA: Memory Foamnasa.gov
- NASA Spinoff 2004: Water Treatment Systems Make a Big Splashspinoff.nasa.gov
- NASA Spinoff: Infrared Thermometer(耳式体温計)spinoff.nasa.gov
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。













