宇宙最強の磁石「マグネター」。月までの半分の距離からクレジットカードを壊す

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5万光年も離れた星の爆発が、地球の上空の大気に影響したことがある
2004年のマグネターSGR 1806-20の巨大フレアは、地球の電離圏に乱れを起こした。
- 対象
- マグネター
- 規模
- 天の川銀河の約30天体+巨大フレア・電波バーストの観測
- 研究の種類
- 観測研究+理論
- 確かさ
- ★★★★☆
マグネターは磁場が約1000兆ガウス(地球の約2000兆倍)の中性子星。2004年には5万光年先から地球の大気をゆらす大爆発を起こした。謎の電波バーストの犯人候補でもある。
ひとことで言うとマグネターは、宇宙でいちばん強い磁石みたいな星だよ。
冷蔵庫にくっつける磁石。病院のMRI。私たちが知っている「強い磁石」は、せいぜいそのくらいです。
ところが宇宙には、桁ちがいの磁石があります。名前はマグネター。NASAによると、その磁場は約1000兆ガウス(地球の約2000兆倍)。月までの半分の距離から、クレジットカードの磁気データを消してしまえるほどです。
しかもこの星は、ときどき大爆発を起こします。2004年には、5万光年も離れた場所から、地球の大気をゆらしたことまであるのです。
01正体は「星の燃えかす」
マグネターは、中性子星の一種です。
中性子星は、太陽よりずっと重い星が超新星爆発を起こしたあとに残る、とても小さな星。NASAによると、直径はわずか20kmほど。それなのに重さは太陽以上という、超高密度の天体です。
1992年、ダンカンとトンプソンは、「生まれたての中性子星が猛スピードで回転していると、内部の動きで磁場がどんどん強められ、ふつうの中性子星の1000倍ほどの磁場をもつ星ができる」という理論を発表しました。これが「マグネター」の始まりです。

022004年12月27日、5万光年先からの閃光
2004年12月27日、いて座の方向、約5万光年先にあるマグネターSGR 1806-20が、巨大な爆発(巨大フレア)を起こしました。
原因は、星の表面のかたい殻(地殻)が強すぎる磁場のねじれに耐えきれず、ひび割れたことだと考えられています。地震ならぬ「星震」です。
NASAは、「もし同じ爆発が10光年以内で起きていたら、地球の大気は深刻なダメージを受けただろう」と説明しています。ただし、知られているマグネターはどれも、それよりずっと遠くにあります。
03謎の電波「FRB」の犯人?
マグネターは、天文学の大きな謎にも関わっています。
高速電波バースト(FRB)は、1000分の数秒ほどの一瞬だけ、宇宙のどこかから強い電波が届く現象です。2007年に初めて報告されて以来、ほとんどが遠い銀河から来ていて、正体がつかめませんでした。
04まとめ
- マグネターは、磁場が約1000兆ガウス(地球の約2000兆倍)の中性子星
- 2004年の巨大フレアは、5万光年先から地球の電離圏を乱した
- 謎の高速電波バーストの、少なくとも一部の犯人と考えられている
直径20kmほどの小さな星が、銀河の反対側からでも地球を揺さぶる。宇宙の「小さいもの」を、決してあなどってはいけません。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMagnetars are a type of neutron star, the tiny, extremely dense object left after a giant star explodes.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
A magnetar is a very small dead star. It is only about 20 kilometers wide, but it is heavier than the Sun. It is the strongest magnet we know.
Its magnetic field is about two thousand trillion times stronger than Earth's. In 2004, a magnetar very far away had a huge explosion. Its energy even disturbed the air high above Earth.
61 words ・ CEFR A2
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マグネターは、とても小さな死んだ星です。幅はわずか約20キロメートルですが、太陽より重いのです。マグネターは、私たちが知っている中で最も強い磁石です。
その磁場は地球の約2000兆倍も強いのです。2004年、とても遠くにあるマグネターが巨大な爆発を起こしました。そのエネルギーは、地球のはるか上空の大気まで乱しました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
マグネターという最強の磁石の星について説明しているので A。
Q2. How wide is a magnetar?
It is only about 20 kilometers wide とあるので C。
Q3. In this passage, "explosion" means ...
huge explosion のエネルギーが地球の上空まで届いたという文脈から「爆発」。B が正解。
Magnetars are a type of neutron star, the tiny, extremely dense object left after a giant star explodes. A magnetar is only about 20 kilometers across, yet its magnetic field is about two thousand trillion times stronger than Earth's. NASA says it could erase a credit card from half the distance to the Moon. Magnetars sometimes release enormous flares.
On December 27, 2004, a magnetar about 50,000 light-years away produced a flare that, in just 0.1 seconds, released more energy than the Sun gives off in 150,000 years. Its gamma rays even disturbed Earth's upper atmosphere. Magnetars may also explain fast radio bursts, mysterious flashes of radio waves. In 2020, one was detected from a magnetar in our own galaxy.
120 words ・ CEFR B1
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マグネターは中性子星の一種です。中性子星とは、巨大な星が爆発したあとに残る、小さくて極めて密度の高い天体です。マグネターの直径はわずか約20キロメートルですが、その磁場は地球の約2000兆倍も強力です。NASAによると、月までの半分の距離からクレジットカードのデータを消せるほどです。マグネターはときどき巨大なフレアを放ちます。
2004年12月27日、約5万光年離れたマグネターがフレアを起こし、わずか0.1秒のあいだに、太陽が15万年かけて出すよりも多くのエネルギーを放出しました。そのガンマ線は地球の上層大気まで乱しました。マグネターは、謎の電波の閃光である高速電波バーストの説明にもなるかもしれません。2020年には、私たちの銀河の中にあるマグネターからそれが検出されました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
マグネターの正体、巨大フレア、高速電波バーストとの関係を説明しているので D。
Q2. What happened on December 27, 2004?
a magnetar about 50,000 light-years away produced a flare とあるので B。
Q3. What does the 2020 detection suggest?
私たちの銀河のマグネターから高速電波バーストが検出されたことから、少なくとも一部はマグネター由来と推測できるので C。
Magnetars are neutron stars, the collapsed cores of massive stars, that possess the strongest magnetic fields known: roughly a thousand trillion gauss, according to NASA, or about two thousand trillion times Earth's field. In 1992, two astrophysicists proposed that a newborn neutron star spinning extremely fast could amplify its field to about a thousand times the usual value, and around 30 such objects are now known in our galaxy. Their power was dramatically demonstrated on December 27, 2004, when the magnetar SGR 1806-20, some 50,000 light-years away, emitted a giant flare that released more energy in a tenth of a second than the Sun does in 150,000 years.
Its gamma rays measurably disturbed Earth's ionosphere. The likely trigger was a "starquake," in which the star's crust cracked under twisted magnetic stress. Magnetars are also prime suspects in the mystery of fast radio bursts, millisecond flashes usually arriving from distant galaxies. In 2020, two teams independently detected a similar burst from SGR 1935+2154 inside the Milky Way. Because that burst was far weaker than typical distant ones, however, magnetars may explain only some fast radio bursts.
185 words ・ CEFR B2
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マグネターは、重い星がつぶれた中心核である中性子星のうち、知られている中で最も強い磁場をもつものです。NASAによると、その磁場は約1000兆ガウスで、地球の磁場の約2000兆倍に達します。1992年、2人の天体物理学者が、非常に速く回転する生まれたての中性子星は磁場を通常の約1000倍にまで増幅しうると提唱しました。現在、天の川銀河ではこうした天体が約30個知られています。
その威力が劇的に示されたのは2004年12月27日のことでした。約5万光年離れたマグネターSGR 1806-20が巨大フレアを放ち、10分の1秒のあいだに、太陽が15万年かけて出すよりも多くのエネルギーを解放したのです。そのガンマ線は、測定できるほど地球の電離圏を乱しました。引き金となったのはおそらく「星震」で、ねじれた磁気の圧力によって星の地殻がひび割れたと考えられています。マグネターは、ふつうは遠い銀河から届く1000分の1秒単位の閃光である高速電波バーストの謎でも、有力な容疑者です。2020年、2つのチームが独立に、天の川銀河の中のSGR 1935+2154から似たバーストを検出しました。ただし、そのバーストは遠方の典型的なものよりはるかに弱かったため、マグネターで説明できるのは高速電波バーストの一部だけかもしれません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main purpose of the passage?
マグネターの性質、2004年の巨大フレア、高速電波バーストとの関係を説明しているので C。地球の危機をあおる内容ではない。
Q2. What caused the 2004 giant flare, according to the passage?
a "starquake," in which the star's crust cracked under twisted magnetic stress とあるので A。
Q3. Why does the author say magnetars "may explain only some" fast radio bursts?
Because that burst was far weaker than typical distant ones と理由が示されているので B。1例だけで全体を説明できるとは限らない、という限界の指摘。
重要単語
- magnetarC1名詞マグネター(超強磁場の中性子星)A magnetar is the strongest magnet in the universe.
magnetic+star からの造語。pulsar(パルサー)も pulsating star から来た同じタイプの名前。 - magnetic fieldB2名詞(句)磁場Its magnetic field is incredibly strong.
field は「場・領域」。gravitational field(重力場)、electric field(電場)とセットで。 - flareC1名詞・動詞フレア(突発的な増光・爆発)、ぱっと燃え上がるThe giant flare lasted only a fraction of a second.
solar flare「太陽フレア」が有名。flare up は「(怒り・争いが)燃え上がる」。 - burstB2名詞・動詞突発的な放出、破裂(する)Astronomers detected a fast radio burst.
活用は burst-burst-burst。burst into tears「わっと泣き出す」は入試頻出。 - starquakeC1名詞星震A starquake cracked the star's crust.
star+quake(ゆれ)。earthquake, moonquake と同じ作り。 - gamma rayC1名詞(句)ガンマ線Gamma rays hit Earth's atmosphere.
X線よりさらに波長が短い高エネルギーの電磁波。gamma-ray burst「ガンマ線バースト」。 - amplifyC1動詞増幅する、強めるFast spinning can amplify a star's magnetic field.
ample(十分な)と同語源。amplifier は音を大きくする「アンプ」。
公式・一次情報をチェック
- Cosmic Explosion Among the Brightest in Recorded History(NASA)www3.nasa.gov
- Neutron Stars(NASA Imagine the Universe!)imagine.gsfc.nasa.gov
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宇宙最強の磁石「マグネター」は、磁場が約1000兆ガウス(地球の約2000兆倍)。NASAによると、月までの半分の距離からクレジットカードのデータを消せるほど。2004年には5万光年先で大爆発し、地球の上空の大気までゆらしたらしい。
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出典・参考文献(5件)タップで表示
- Duncan & Thompson (1992) Formation of very strongly magnetized neutron stars: Implications for gamma-ray bursts, The Astrophysical Journaldoi.org
- Hurley et al. (2005) An exceptionally bright flare from SGR 1806–20 and the origins of short-duration γ-ray bursts, Naturedoi.org
- The CHIME/FRB Collaboration (2020) A bright millisecond-duration radio burst from a Galactic magnetar, Naturedoi.org
- Bochenek et al. (2020) A fast radio burst associated with a Galactic magnetar, Naturedoi.org
- NASA, Cosmic Explosion Among the Brightest in Recorded History (2005)www3.nasa.gov
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。











