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木星の月イオは「太陽系一の火山の星」。発見の1週間前に、論文が予言していた

木星の月イオは「太陽系一の火山の星」。発見の1週間前に、論文が予言していた

読む前に予想してみよう!

木星の衛星イオの火山の熱は、太陽の光で温められて生まれている

研究カード(どんな研究?)
対象
木星の衛星イオ
規模
探査機の接近観測+電波望遠鏡
研究の種類
観測研究と理論モデル
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

木星の衛星イオには数百の活火山がある。熱源は木星と隣の衛星に引っぱられる「潮の力」。1979年、探査機が噴火を見つける直前に、理論家が論文で火山を予言していた。

ひとことで言うと木星の月イオは、引っぱられてもまれて熱くなり、火山だらけになったよ。

もくじ
  1. 熱源は太陽でも放射能でもない「もみもみ」
  2. 1979年、予言は1週間で的中した
  3. 45億年ずっと噴火している?
  4. どんでん返し:地下に「マグマの海」はなかった
  5. まとめ

太陽系で、いちばん火山が活発な場所はどこでしょう?地球? それとも金星?

答えは、木星のまわりを回る月、イオです。大きさは地球の月より少し大きいくらい。なのに、その表面には数百もの活火山があり、溶岩の湖が広がり、噴煙が宇宙へ高く吹き上がっています。

しかも、イオの火山には、科学の歴史に残る「予言と的中」の物語があります。

01熱源は太陽でも放射能でもない「もみもみ」

小さな天体は、ふつう内部の熱をすぐに失って冷えてしまいます。地球の月にいまは活発な火山がないのも、そのためです。

ではイオは、なぜこんなに熱いのでしょう? カギは潮の力(潮汐力)です。

イオは巨大な木星のすぐ近くを回っています。さらに外側を回る衛星エウロパとガニメデと、公転のタイミングが1:2:4という、きれいな比にそろっています。このため、イオの軌道はわずかに楕円にゆがんだまま保たれます。

木星に近づくと強く引っぱられ、離れると少しゆるむ。イオは公転のたびに、巨大な手でもまれるように、体全体がのび縮みしているのです。その摩擦の熱が、火山のエネルギー源です。

木星に引っぱられ、隣の衛星にゆさぶられて、イオはもまれ続けている
木星に引っぱられ、隣の衛星にゆさぶられて、イオはもまれ続けている

021979年、予言は1週間で的中した

この「もみもみで火山ができる」という考えには、劇的なエピソードがあります。

理論が予言し、探査機がそれを数日後に確かめる。科学の歴史の中でも、めったにない見事な「答え合わせ」です。

0345億年ずっと噴火している?

2024年、アメリカ・カリフォルニア工科大学のデクレアらは、地上の電波望遠鏡でイオの大気の硫黄を調べました。

その結果、イオの硫黄は、重いタイプ(同位体)の割合がとても高くなっていました。これは、火山で吹き出した軽い硫黄が宇宙へ逃げ続け、イオがもともと持っていた硫黄の94〜99%を失ったことを示しています。研究チームは、イオは歴史のほとんど、あるいはすべてにわたって火山活動を続けてきたと結論しました。

04どんでん返し:地下に「マグマの海」はなかった

これほど火山だらけなら、イオの地下には溶けた岩の海(マグマオーシャン)が広がっていそうです。実際、そう考える研究者も多くいました。

ところが2023年末から2024年にかけて、NASAの探査機ジュノーがイオのすぐそばを2回飛び、イオが木星の潮でどれだけ変形するかを測りました。NASAジェット推進研究所のパークらは、その結果から、イオの浅いところに全体を包むマグマの海はないと報告したのです。マントルはほとんど固体で、マグマはできたそばから上へ移動し、噴火してしまうのかもしれません。

05まとめ

  • 木星の月イオは、数百の活火山をもつ太陽系一の火山の星
  • 熱源は、木星と隣の衛星による潮の力。1979年に予言から数日で発見された
  • 長い歴史ずっと噴火してきたらしいが、地下にマグマの海はないことが2024年にわかった

もまれ続けて熱くなる小さな月。宇宙には、私たちの「火山」の常識をくつがえす世界が、まだたくさんあります。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIo, one of Jupiter's moons, is the most volcanically active place in the solar system, with hundreds of… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Io, one of Jupiter's moons, is the most volcanically active place in the solar system, with hundreds of active volcanoes. Small worlds usually cool down quickly, so why is Io so hot? The answer is tidal heating. Io orbits close to giant Jupiter, and its orbit is kept slightly oval by the neighboring moons Europa and Ganymede.

As Io moves closer to Jupiter and then farther away, its whole body is stretched and squeezed, and this creates heat. In 1979, three scientists published a paper predicting volcanoes on Io. Only days later, the Voyager 1 spacecraft passed Io, and an engineer spotted a volcanic plume in its images. It was the first active volcano found beyond Earth.

117 words ・ CEFR B1

和訳を見る

木星の月の1つであるイオは、数百の活火山をもつ、太陽系で最も火山活動が活発な場所です。小さな天体はふつうすぐに冷えてしまうのに、なぜイオはこんなに熱いのでしょうか。答えは潮汐加熱です。イオは巨大な木星の近くを回っており、その軌道は隣の衛星エウロパとガニメデによって、わずかに楕円の形に保たれています。

イオが木星に近づいたり遠ざかったりするにつれて、体全体が引きのばされたり、しぼられたりして、それが熱を生むのです。1979年、3人の科学者がイオの火山を予言する論文を発表しました。そのわずか数日後、探査機ボイジャー1号がイオのそばを通過し、ある技術者が画像の中に火山の噴煙を見つけました。それは地球以外で見つかった初めての活火山でした。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. What keeps Io's orbit slightly oval?

Q3. Why was the 1979 discovery especially impressive?

重要単語

  • volcanoA2
    名詞火山Io has hundreds of active volcanoes. ローマ神話の火の神 Vulcan から。複数形は volcanoes。active volcano「活火山」。
  • tidal heatingC1
    名詞(句)潮汐加熱Tidal heating keeps Io's interior hot. 潮汐力で天体が変形をくり返し、その摩擦で熱が生まれること。エウロパの地下海の熱源としても登場する。
  • eruptionB2
    名詞噴火Voyager 1 captured an eruption on Io. 動詞 erupt。比喩で violence erupted「暴力が噴き出した」とも使う。
  • plumeC1
    名詞噴煙A plume rose high above the surface. もとは「羽根」。羽根のように立ちのぼる煙や水柱を指す。a plume of smoke。
  • resonanceC1
    名詞共鳴Io, Europa and Ganymede are in orbital resonance. orbital resonance は公転周期が簡単な整数比になること。イオ・エウロパ・ガニメデは 1:2:4。
  • magma oceanC1
    名詞(句)マグマの海Juno found no shallow magma ocean. magma は地下の溶けた岩、地表に出ると lava(溶岩)。区別して覚えよう。
  • flexB2
    動詞曲げる、曲げのばしするJupiter's gravity flexes Io again and again. flex one's muscles「力こぶを見せる」。flexible(柔軟な)と同語源。

4コマでわかる

木星の月イオは「太陽系一の火山の星」。発見の1週間前に、論文が予言していたの4コマ漫画
木星の月イオは、数百の活火山をもつ太陽系一の火山の星。熱源は、木星と隣の月たちに引っぱられ続ける「潮の力」。しかも1979年、探査機ボイジャーが噴火を見つけるわずか数日前に、ある論文がそれを予言していたらしい。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Peale, Cassen & Reynolds (1979) Melting of Io by Tidal Dissipation, Sciencedoi.org
  2. Morabito, Synnott, Kupferman et al. (1979) Discovery of Currently Active Extraterrestrial Volcanism, Sciencedoi.org
  3. de Kleer et al. (2024) Isotopic evidence of long-lived volcanism on Io, Sciencedoi.org
  4. Park et al. (2024) Io's tidal response precludes a shallow magma ocean, Naturedoi.org
  5. NASA Science, Ioscience.nasa.gov