宇宙人がいるなら、なぜまだ会えないのか?「フェルミのパラドックス」の答え候補

読む前に予想してみよう!
宇宙人からの電波は、これまでに確実に受信されたことがある
話題になった信号はあるが、再観測で確認されたものはない。
- 対象
- 銀河系の文明
- 規模
- 観測による証拠なし
- 研究の種類
- 理論・思考実験
- 確かさ
- ★☆☆☆☆
銀河には数千億の恒星と、それ以上の惑星がある。なのに宇宙人の証拠はゼロ。物理学者フェルミの「みんなどこにいるんだ?」という疑問は、今も解けていない。
ひとことで言うと宇宙は広いのに、なぜだれも来ないの?という大なぞ!
もくじ
1950年ごろ、アメリカの研究所で昼ごはんを食べていた物理学者エンリコ・フェルミは、同僚たちとUFOの話題で盛り上がっていました。そのとき、ふとこう言ったと伝えられています。
「で、みんなどこにいるんだ?」
この素朴な疑問は、のちにフェルミのパラドックスと呼ばれ、70年以上たった今も解けていません。
01なぜ「パラドックス(矛盾)」なのか
計算すると、こうなります。
- 私たちの天の川銀河には、数千億個の恒星がある
- 系外惑星の観測から、多くの恒星が惑星を持つことが分かってきた(確認済みだけで6,000個以上)
- 銀河は約130億年の歴史があり、地球より何十億年も早く生まれた惑星もある
もしどこかで文明が生まれ、宇宙船で少しずつ広がっていけば、数百万〜数千万年で銀河じゅうに広がれる、という計算もあります。宇宙の歴史から見れば、ほんの一瞬です。
それなのに、宇宙人がいる証拠は1つもない。ここに大きな矛盾があるのです。

02答えの候補①:そもそも生命はとても珍しい
地球のような条件がそろうのは、ものすごく珍しいという考え方です。生命の誕生、複雑な生き物への進化、知性の獲得。どれか1つでも極めてまれなら、銀河に文明は私たちだけかもしれません。
03答えの候補②:文明はすぐに消えてしまう
文明が生まれても、長く続かない可能性もあります。戦争、環境の破壊、天体衝突など。宇宙の歴史の中で、文明が同時に存在する時間が短ければ、出会うチャンスはほとんどありません。
04答えの候補③:いるけど、私たちが気づいていない
宇宙は広すぎて、まだほとんど探せていないという考え方です。
SETI研究所などによれば、これまでに調べられたのは、探すべき範囲(星の数・周波数・時間)のごく一部にすぎないとも言われます。大海原からコップ1杯の水をくんで「魚がいない」と言っているようなものかもしれません。
05答えの候補④:わざと静かにしている
「進んだ文明はあえて姿を見せない」「地球を動物園のように観察している」などの説もあります。ただ、これらは確かめる方法がないので、科学的な仮説としては扱いにくいものです。
06ドレイクの方程式
1961年、アメリカの天文学者フランク・ドレイクさんは、銀河の中に電波で交信できる文明がいくつあるかを見積もる式を考えました。これがドレイクの方程式です。
星が生まれるペース、惑星を持つ星の割合、生命が生まれる確率、知性が生まれる確率、文明が続く年数などをかけ算していきます。ところが、生命や文明に関わる部分は誰にも分からないため、答えは「私たちだけ」から「何百万個」まで、研究者によって大きく変わってしまいます。
07まとめ
「みんなどこにいるんだ?」――この問いには、「私たちだけ」と「まだ見つけていないだけ」の両方の可能性が残っています。
どちらだったとしても、ものすごいことです。答えを見つけるのは、もしかすると今これを読んでいるあなたの世代かもしれません。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerAround 1950, while having lunch with colleagues, physicist Enrico Fermi is said to have asked, "So where is…
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Around 1950, a scientist named Enrico Fermi was eating lunch with his friends. They were talking about aliens. Fermi asked, "So where is everybody?" Our galaxy has hundreds of billions of stars, and many of them have planets.
So there may be other life. But we have never found any sign of aliens. This puzzle is called the Fermi paradox. No one knows the answer yet.
66 words ・ CEFR A2
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1950年ごろ、エンリコ・フェルミという科学者が友人たちと昼ごはんを食べていました。彼らは宇宙人について話していました。フェルミは「で、みんなどこにいるんだ?」とたずねました。
私たちの銀河には数千億の恒星があり、その多くは惑星をもっています。だから、ほかの生命がいるかもしれません。しかし、私たちは宇宙人のしるしを一度も見つけていません。このなぞはフェルミのパラドックスと呼ばれています。まだ誰も答えを知りません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
宇宙人がいてもよさそうなのになぜ見つからないのか、というなぞが主題なので B。
Q2. What were Fermi and his friends talking about?
They were talking about aliens. とあるので B。
Q3. In the passage, "puzzle" means ...
puzzle はここでは「なぞ、難問」。答えがまだわからない問いなので C。
Around 1950, while having lunch with colleagues, physicist Enrico Fermi is said to have asked, "So where is everybody?" His question became known as the Fermi paradox. Our galaxy has hundreds of billions of stars, and observations show that many of them have planets. Some planets formed billions of years before Earth. If even one civilization had started to spread through space, it could have reached the whole galaxy in a few million to tens of millions of years.
But we have found no evidence of aliens. Possible answers include the idea that life is extremely rare, that civilizations do not last long, or that we have searched only a tiny part of space.
114 words ・ CEFR B1
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1950年ごろ、物理学者エンリコ・フェルミは同僚と昼食をとりながら、「で、みんなどこにいるんだ?」とたずねたと言われています。彼の問いは、フェルミのパラドックスとして知られるようになりました。私たちの銀河には数千億の恒星があり、観測からその多くが惑星をもつことがわかっています。地球より何十億年も前にできた惑星もあります。
もし一つでも文明が宇宙に広がり始めていたら、数百万年から数千万年で銀河全体に到達できたはずです。それなのに、私たちは宇宙人の証拠を何も見つけていません。考えられる答えには、生命がきわめてまれだという考え、文明は長く続かないという考え、そして私たちは宇宙のごく一部しか探していないという考えなどがあります。
4択リーディングクイズ
Q1. Why is it called a "paradox"?
星も惑星も多く、文明が広がる時間も十分なのに But we have found no evidence of aliens. という矛盾がパラドックスなので D。
Q2. How long might it take one civilization to spread through the galaxy?
in a few million to tens of millions of years とあるので A。
Q3. Which is NOT given as a possible answer to the paradox?
A〜C は本文に挙がっている答えの候補。宇宙人が見つかったという記述はなく、むしろ証拠はないと書かれているので D。
Around 1950, during a lunchtime conversation about UFOs, physicist Enrico Fermi reportedly asked a simple question. "So where is everybody?" More than seventy years later, nobody has a satisfying answer. The Milky Way contains hundreds of billions of stars, exoplanet surveys suggest that planets are common, and some worlds formed billions of years before Earth.
By some calculations, a civilization spreading gradually through space could colonize the whole galaxy in a few million to tens of millions of years, a short time by cosmic standards. And no evidence of extraterrestrial intelligence has been found. Perhaps life, complex organisms or intelligence is extremely rare. Perhaps civilizations destroy themselves or fade away before they can meet. Or perhaps they exist and we have missed them.
Since 1959, when two physicists proposed searching for radio signals from other star systems, SETI has examined only a tiny fraction of the possible stars, frequencies and times. Some ideas, such as advanced civilizations deliberately hiding from us, are difficult to test, which makes them hard to treat as scientific hypotheses. Estimates from the Drake equation, devised in 1961, range from one civilization to millions, because nobody knows the values of its key factors.
197 words ・ CEFR B2
和訳を見る
1950年ごろ、UFOについての昼食時の会話の中で、物理学者エンリコ・フェルミは単純な問いを投げかけたと伝えられています。「で、みんなどこにいるんだ?」。70年以上たった今も、納得のいく答えを持っている人はいません。
天の川銀河には数千億の恒星があり、系外惑星の調査は惑星がありふれていることを示唆し、地球より何十億年も前にできた世界もあります。ある計算によれば、宇宙を少しずつ広がっていく文明は、数百万年から数千万年で銀河全体に移り住むことができます。宇宙の尺度では短い時間です。それなのに、地球外知性の証拠は見つかっていません。生命、複雑な生物、あるいは知性がきわめてまれなのかもしれません。文明は出会う前に自滅したり衰えたりするのかもしれません。あるいは、存在するのに私たちが見逃しているのかもしれません。
2人の物理学者がほかの恒星系からの電波信号を探すことを提案した1959年以来、SETIは可能性のある恒星・周波数・時間のごく一部しか調べていません。進んだ文明がわざと私たちから隠れているといった考えは、検証が難しく、そのため科学的な仮説として扱いにくいものです。1961年に考案されたドレイクの方程式による見積もりは、文明1つから数百万までの幅があります。重要な因子の値が誰にもわからないからです。
4択リーディングクイズ
Q1. According to the passage, why is the expansion time of a civilization important?
数百万〜数千万年は a short time by cosmic standards(宇宙の尺度では短い)なので、もし文明があればすでに広がっているはず、という論理。A。
Q2. Why are ideas like aliens deliberately hiding hard to treat as scientific hypotheses?
are difficult to test, which makes them hard to treat as scientific hypotheses とあるので B。検証可能性が科学的仮説の条件。
Q3. What does the Drake equation example show?
range from one civilization to millions, because nobody knows the values of its key factors とあるので C。
重要単語
- paradoxB2名詞逆説、矛盾して見えることThe Fermi paradox is a famous puzzle in science.
para-(反して)+dox(意見)。形容詞 paradoxical、副詞 paradoxically(逆説的に)も長文で頻出。 - civilizationB1名詞文明Is there another civilization in our galaxy?
civil(市民の)から。英国式つづりは civilisation。 - signalB1名詞信号Scientists listen for radio signals from space.
sign(しるし)と同語源。動詞で「合図する、示す」。 - extraterrestrialC1形容詞・名詞地球外の/宇宙人We have no evidence of extraterrestrial life yet.
extra-(外の)+terra(地球・大地)。映画『E.T.』はこの略。terrestrial は「地球の・陸上の」。 - hypothesisB2名詞仮説Each hypothesis tries to explain the silence.
複数形は hypotheses(-ses)。test a hypothesis「仮説を検証する」がセット。 - colonizeC1動詞移り住む、植民地化するA civilization could colonize the whole galaxy.
colony(植民地・集団)の動詞形。細菌が「コロニーを作る」の意味でも使う。 - deliberatelyB2副詞わざと、故意にSome say aliens are deliberately hiding from us.
形容詞 deliberate(故意の、慎重な)。on purpose と同義。入試の同意語問題で頻出。
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- Are We Alone?(NASA Science)science.nasa.gov
- The Fermi Paradox(SETI Institute)seti.org
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銀河系には数千億の星があって、惑星もそれ以上ある。なのに宇宙人のサインは1つも見つかっていない。物理学者フェルミが昼ごはん中に言った「みんなどこにいるんだ?」という疑問、70年以上たっても答えが出ていないらしい。
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- Cocconi & Morrison (1959) Searching for Interstellar Communications, Naturedoi.org
- NASA Science: Are We Alone?science.nasa.gov
- SETI Institute: The Fermi Paradoxseti.org
- NASA Exoplanet Archiveexoplanetarchive.ipac.caltech.edu
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。











