睡眠・休息ホント

海外に行かなくても毎週「時差ボケ」になっている? 休日の寝坊が生む“社会的時差ボケ”

海外に行かなくても毎週「時差ボケ」になっている? 休日の寝坊が生む“社会的時差ボケ”

読む前に予想してみよう!

平日と休日の起床時間がズレると、体は時差ボケに近い状態になる

研究カード(どんな研究?)
対象
ヨーロッパを中心とした一般の人
規模
501人〜数万人規模のアンケート
研究の種類
質問票による横断的な観察研究(複数)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

平日と休日の睡眠時間帯のズレは、毎週海外旅行をしているような「社会的時差ボケ」を生む。ズレが大きい人ほど肥満などとの関連が報告されている(因果は未確定)。

ひとことで言うと休みの日の寝坊は、体にとってはミニ海外旅行!

もくじ
  1. 体内時計と「社会の時計」のズレ
  2. 名づけ親の研究と、気になる健康との関係
  3. 月曜がつらいのは「時差ボケの帰国日」だから
  4. まとめ

月曜の朝、なぜかいつも以上に体が重い。頭がぼんやりして、お腹もすかない。まるで時差ボケみたい――。

その感覚、実はかなり正確です。海外に行っていなくても、私たちの多くは毎週のように「時差ボケ」を体験していると考えられているんです。研究者はこれを「社会的時差ボケ(ソーシャル・ジェットラグ)」と呼んでいます。

01体内時計と「社会の時計」のズレ

体の中には、眠気やホルモン、体温のリズムをつくる体内時計があります。一方、学校や仕事の始まる時刻は社会が決めた「社会の時計」です。

平日は社会の時計に合わせて早起きし、休日は体内時計の言うままに寝坊する。すると、

  • 平日の睡眠の“真ん中の時刻”:午前3時ごろ(0時〜6時に寝る場合)
  • 休日の睡眠の“真ん中の時刻”:午前6時ごろ(2時〜10時に寝る場合)

というように(あくまで一例ですが)、睡眠の時間帯が毎週3時間も前後に動くことになります。これは体にとって、週末ごとに3時間の時差がある国へ行き、月曜に帰ってくるのとほぼ同じ状態です。

「体の時計」と「社会の時計」の綱引き
「体の時計」と「社会の時計」の綱引き

02名づけ親の研究と、気になる健康との関係

2021年のレビュー論文によると、先進国で学校や仕事に通う人のおよそ3分の2が社会的時差ボケを経験しているとされます。その後の研究でも、社会的時差ボケの大きさが、気分の落ち込みや飲酒の多さ、成績の低さなどと関係しているという報告が出ています(いずれも観察研究)。

ただし、これらの多くはアンケートで「関係がある」ことを示した観察研究で、「時差ボケが原因で太る」と言い切れるわけではありません。たとえば、夜型の人は食事の時間や生活習慣そのものが違う、といった別の理由も考えられます。名づけ親のRoennebergさんたち自身も、2019年に自分たちの質問票の限界や誤解されやすい点を整理した「自己批判的レビュー」を出しています。

03月曜がつらいのは「時差ボケの帰国日」だから

休日に遅く起きると、朝の光を浴びるのも遅くなり、体内時計はさらに後ろへずれます。その状態で日曜の夜を迎えると、いつもの時間に眠くならない。そして月曜の朝、体内時計的には“まだ真夜中”のまま、無理やり起きることになります。

つまり「ブルーマンデー」の一部は、気分の問題ではなく、時差ボケの症状なのかもしれません。

04まとめ

平日と休日で起きる時間が大きくズレる生活は、毎週の海外旅行のようなもの。月曜のだるさは、その「帰国後の時差ボケ」かもしれません。

完全にそろえる必要はありません。まずは休日の寝坊を1時間だけ短く。それだけで、来週の月曜が少し軽くなるはずです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany people get up early on weekdays for school or work and sleep late on weekends. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Many people get up early on weekdays for school or work and sleep late on weekends. This shifts the middle of their sleep by several hours every week, which is similar to traveling to a country with a different time zone each weekend and returning on Monday. In 2006, researchers in Germany named this gap between the body clock and the social clock "social jetlag."

In a survey of 501 people, those with later body clocks had larger gaps, and larger gaps were linked to more smoking. In 2012, the same group reported that people with more social jetlag tended to have a higher BMI. However, these were surveys, so they cannot prove that social jetlag actually causes weight gain.

120 words ・ CEFR B1

和訳を見る

多くの人は平日は学校や仕事のために早起きし、週末は遅くまで寝ています。これにより、睡眠の真ん中の時刻が毎週数時間ずれます。これは週末ごとに時間帯の違う国へ旅行して、月曜日に戻ってくるのに似ています。2006年、ドイツの研究者たちは、この体内時計と社会の時計のずれを「社会的時差ボケ」と名づけました。

501人の調査では、体内時計が遅い人ほどずれが大きく、ずれが大きいほど喫煙が多いことと関係していました。2012年、同じグループは、社会的時差ボケが大きい人ほどBMIが高い傾向があると報告しました。しかし、これらは調査なので、社会的時差ボケが実際に体重増加を引き起こすとは証明できません。

4択リーディングクイズ

Q1. Who named the gap "social jetlag"?

Q2. What did the 2012 report find?

Q3. Why can't these studies prove that social jetlag causes weight gain?

重要単語

  • jet lagB1
    名詞(句)時差ボケI suffered from jet lag for a week after my trip to London. social jetlag のように1語でつづることもある。get over jet lag「時差ボケを治す」。
  • circadianC1
    形容詞概日の(約24時間周期の)Our circadian rhythm tells us when to feel sleepy. circa(約)+dies(日)。circadian clock「体内時計」。
  • chronotypeC1
    名詞朝型・夜型のタイプMy sister is a late chronotype and loves staying up. chrono-(時間)+type。morning lark(朝型)/ night owl(夜型)の比喩もセットで。
  • misalignmentC1
    名詞ずれ、不一致A misalignment between body time and school time makes mornings hard. align「並べる、合わせる」に mis-(誤って)がついた形。
  • correlationC1
    名詞相関(関連があること)A correlation does not always mean one thing causes another. 動詞 correlate with ~「~と相関する」。causation(因果)との違いが入試の定番テーマ。
  • imposeC1
    動詞(規則・負担などを)課す、押しつけるSchool schedules are imposed by society. impose A on B「BにAを課す」。impose a tax「税を課す」。

動画でもっと知る

4コマでわかる

海外に行かなくても毎週「時差ボケ」になっている? 休日の寝坊が生む“社会的時差ボケ”の4コマ漫画
平日は7時起き、休日は11時起き。それ、体内時計的には毎週「東京→インド→東京」を往復してるのと同じくらいの時差らしい。社会的時差ボケ、という名前までついている。

押すと「マジかリスト」に保存されます

出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Wittmann et al. (2006) Social jetlag: misalignment of biological and social time, Chronobiology Internationaldoi.org
  2. Roenneberg et al. (2012) Social jetlag and obesity, Current Biologydoi.org
  3. Roenneberg et al. (2019) Chronotype and social jetlag: a (self-) critical review, Biologydoi.org
  4. Caliandro et al. (2021) Social jetlag and related risks for human health: a timely review, Nutrientsdoi.org