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毎日4〜6時間睡眠で元気な人は実在した。でも訓練ではなれない「ショートスリーパー遺伝子」

毎日4〜6時間睡眠で元気な人は実在した。でも訓練ではなれない「ショートスリーパー遺伝子」

読む前に予想してみよう!

訓練すれば誰でもショートスリーパーになれる

研究カード(どんな研究?)
対象
短時間睡眠の家系・双子・遺伝子改変マウス
規模
1〜数家系+マウス
研究の種類
遺伝学研究・動物実験
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

短い睡眠でも元気な「ショートスリーパー」は実在し、DEC2などの遺伝子変異が見つかっている。ただし非常にまれで、訓練でなれるという証拠はない。

ひとことで言うと短い睡眠で平気な人は、生まれつきの特別な遺伝子を持っている!

もくじ
  1. 母と娘から見つかった「DEC2」の変化
  2. 双子で比べてみたら…
  3. 「訓練でショートスリーパーに」はほぼ無理
  4. まとめ

「睡眠は4時間で十分。むしろ頭が冴える」。そんな人の話を聞くと、ちょっとうらやましくなりますよね。1日に使える時間が3〜4時間も多いなんて、人生で何年分得するのでしょう。

実は、短い睡眠でも本当に元気な人は実在します。しかもその秘密の一部は、遺伝子にありました。

でも残念ながら、「自分も頑張ればなれるかも」と思った人には、ちょっと厳しい話になります。

01母と娘から見つかった「DEC2」の変化

遺伝子は、体をつくるための「設計図」のようなもの。DEC2は、睡眠や体内時計にかかわる他の遺伝子の働きを調節する役目を持っています。設計図のほんの1文字が違うだけで、必要な睡眠時間が変わってしまうことがある、というわけです。

その後、同じ研究チームは、2019年にADRB1(『Neuron』誌)やNPSR1(『Science Translational Medicine』誌)など、別の遺伝子の変化でも短時間睡眠の家系を見つけています。いずれも、変化をマウスに組み込むと睡眠が短くなることが確かめられました。こうした人たちは「家族性自然短時間睡眠(FNSS)」と呼ばれ、多くが4〜6時間台の睡眠で元気に過ごしているそうです。

設計図のたった一か所の違いが、睡眠の長さを変えることがある
設計図のたった一か所の違いが、睡眠の長さを変えることがある

02双子で比べてみたら…

アメリカ・ペンシルベニア大学などのPellegrinoさんらは2014年、睡眠を削る実験に参加した約400人の遺伝子を調べ、その中の二卵性の双子のペアに注目しました。片方だけがDEC2(BHLHE41とも呼ばれる)の、2009年とは別の場所の変化を持っていたところ、その人のほうがふだんの睡眠が短く、徹夜をしたときの集中力の落ち方も小さかったと報告されています。

同じ家庭で育った双子でも、遺伝子の違いで眠りが変わる。生活習慣だけでは説明できない、ということがよくわかる例です。

03「訓練でショートスリーパーに」はほぼ無理

ここが大事なポイントです。

本物のショートスリーパーは、非常にまれだと考えられています。どのくらいの割合でいるのかは、まだ信頼できる数字がありません。見つかっている遺伝子の変化も、それぞれ1〜数家系だけのものです。そして、ふつうの人が睡眠を削り続けても、ショートスリーパーには変身しません。

6時間睡眠を2週間続けた実験(ペンシルベニア大学、2003年)では、参加者は眠さには慣れたように感じていたのに、注意力の成績は徹夜明けと同じレベルまで落ちていました。つまり「短い睡眠に慣れた」と感じるのは、多くの場合感覚がマヒしているだけなのです。

04まとめ

ショートスリーパーは実在する。でもそれは、まれな遺伝子の“当たりくじ”を引いた人たちの話でした。

研究者たちは、こうした遺伝子の仕組みを調べることで、「なぜ私たちは眠る必要があるのか」という大きな謎に迫ろうとしています。私たち“ふつうの人”にできるのは、くじを引き直すことではなく、自分に必要な睡眠をちゃんととることです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerPeople who feel energetic after only four to six hours of sleep really do exist, and part of the reason… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

People who feel energetic after only four to six hours of sleep really do exist, and part of the reason lies in their genes. In 2009, a research team in California studied a mother and daughter who naturally slept about six hours a night. They found that both had a small change in a gene called DEC2, which helps control other genes related to sleep and the body clock. When the researchers put the same change into mice, the mice also slept less than usual.

Later, the team found changes in other genes in different families. However, these natural short sleepers are extremely rare. In a 2003 experiment, people who slept six hours a night for two weeks felt used to it, but their attention still got much worse.

129 words ・ CEFR B1

和訳を見る

わずか4〜6時間の睡眠で元気に感じる人は本当に存在し、その理由の一部は遺伝子にあります。2009年、カリフォルニアの研究チームは、自然に一晩約6時間眠る母と娘を調べました。2人とも、睡眠や体内時計にかかわる他の遺伝子の調節を助けるDEC2と呼ばれる遺伝子に小さな変化を持っていることがわかりました。研究者たちが同じ変化をマウスに組み込むと、マウスもふだんより短く眠るようになりました。

その後、このチームは別の家族で他の遺伝子の変化も見つけました。しかし、こうした生まれつきのショートスリーパーは非常にまれです。2003年の実験では、2週間毎晩6時間眠った人々は、それに慣れたと感じていましたが、注意力はやはり大きく低下していました。

4択リーディングクイズ

Q1. What does the DEC2 gene do?

Q2. What happened in the 2003 experiment?

Q3. What can we infer from the passage?

重要単語

  • mutationC1
    名詞(遺伝子の)変異A tiny mutation can change how long we sleep. mutate「変異する」。mut- は「変わる」で、mutual(相互の)も同語源。
  • geneB2
    名詞遺伝子Scientists found a gene linked to short sleep. 形容詞 genetic「遺伝の」、genetics「遺伝学」。genome は「全遺伝情報」。
  • inheritB2
    動詞受け継ぐThe daughter inherited the mutation from her mother. inherit A from B「BからAを受け継ぐ」。名詞 inheritance「遺産、遺伝」。
  • rareB1
    形容詞まれなNatural short sleepers are extremely rare. 副詞 rarely「めったに~ない」は否定語扱い。ステーキの焼き加減「レア」も同じつづり。
  • sleep deprivationC1
    名詞(句)睡眠不足、断眠Chronic sleep deprivation harms attention. deprive A of B「AからBを奪う」の名詞形。be deprived of sleep「睡眠を奪われる」。
  • deteriorateC1
    動詞悪化する、低下するTheir attention deteriorated after two weeks of short sleep. get worse のかたい言い方。名詞 deterioration。
  • thriveC1
    動詞元気に育つ、繁栄するSome people thrive on very little sleep. thrive on ~「~で(を糧に)元気に過ごす」。flourish と近い意味。

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4コマでわかる

毎日4〜6時間睡眠で元気な人は実在した。でも訓練ではなれない「ショートスリーパー遺伝子」の4コマ漫画
毎日4〜6時間しか寝なくても元気な「ショートスリーパー」は都市伝説じゃなかった。実際に遺伝子の変化が見つかっている。ただし、とってもまれ。「訓練すればなれる」は今のところ根拠なし。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. He et al. (2009) The transcriptional repressor DEC2 regulates sleep length in mammals, Sciencedoi.org
  2. Pellegrino et al. (2014) A novel BHLHE41 variant is associated with short sleep and resistance to sleep deprivation in humans, Sleepdoi.org
  3. Shi et al. (2019) A rare mutation of β1-adrenergic receptor affects sleep/wake behaviors, Neurondoi.org
  4. Xing et al. (2019) Mutant neuropeptide S receptor reduces sleep duration with preserved memory consolidation, Science Translational Medicinedoi.org
  5. Van Dongen et al. (2003) The cumulative cost of additional wakefulness, Sleepdoi.org