心理学

同じ曲が頭から離れない「イヤーワーム」はなぜ起きる? ガムをかむと消えやすいという実験も

同じ曲が頭から離れない「イヤーワーム」はなぜ起きる? ガムをかむと消えやすいという実験も

読む前に予想してみよう!

頭から離れない曲は、「考えないようにする」と早く消える

研究カード(どんな研究?)
対象
一般の人・大学生
規模
約3000人(調査)ほか
研究の種類
調査研究+実験研究
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

頭の中で同じ曲がくり返される「イヤーワーム」は多くの人が日常的に経験。テンポが速めで覚えやすい形の曲ほどなりやすく、ガムをかむと減ったという実験もある。

ひとことで言うと頭の中で曲がリピートするのは、脳がこっそり「歌っている」からかも!

もくじ
  1. ほとんどの人が経験している
  2. 頭に残る曲には「型」がある
  3. ガムをかむと、頭の中の曲が減った
  4. まとめ

朝、テレビで流れたCMソングが、夜になってもまだ頭の中でリピートしている。止めたいのに止まらない。

答えを先に言うと、この現象は「イヤーワーム(耳の虫)」と呼ばれ、心理学では「不随意的音楽イメージ」として研究されています。ほとんどの人が経験するありふれたもので、テンポが速めで、覚えやすい形のメロディーの曲ほどなりやすいことがわかってきました。止め方の候補として、ガムをかむという意外な方法まで実験されています。

01ほとんどの人が経験している

フィンランドのリーッカネン(Liikkanen)さんがインターネットで行った大規模な調査では、大多数の人が少なくとも週に1回はイヤーワームを経験していました。音楽を日常的に聴いたり、演奏や歌をしたりする人ほど経験しやすい傾向もありました。

「考えないようにしよう」とすると、かえって考えてしまう。これはシロクマ実験で知られる「皮肉なリバウンド効果」と同じパターンだと考えられています。

02頭に残る曲には「型」がある

「なじみやすい形」と「ちょっとした意外さ」の組み合わせ。それがキャッチーさの正体なのかもしれません。

頭の中で同じフレーズを回り続ける「耳の虫」
頭の中で同じフレーズを回り続ける「耳の虫」

03ガムをかむと、頭の中の曲が減った

研究チームの解釈はこうです。頭の中で曲が流れるとき、脳はこっそり「歌う準備(口や舌の動きの計画)」をしている。ガムをかむと口の動きの計画がふさがり、頭の中の歌声も出にくくなるのではないか、というわけです。

04まとめ

同じ曲が頭から離れないのは、よく知っている、テンポが速めで覚えやすい形の曲が、脳内で勝手に再生されやすい傾向があるためと考えられます。無理に追い払うより受け流すのが吉で、ガムをかむという手もあります。

この記事を読んで、何かの曲が頭に流れ始めた人……ごめんなさい。ガムを用意してください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerAn earworm is a piece of music that repeats in your mind without your control. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

An earworm is a piece of music that repeats in your mind without your control. A large online survey in Finland found that most people experience earworms at least once a week. In 2017, researchers in London asked about 3,000 people which songs got stuck in their heads. The songs named most often had been successful in the charts and had appeared there recently.

Compared with similar songs, they also tended to have a faster tempo and a common overall melody shape with some unusual details. How can we get rid of them? A British study found that trying to push a song away often works less well than letting it play. Another study showed that chewing gum reduced the number of times songs came to mind.

127 words ・ CEFR B1

和訳を見る

イヤーワームとは、自分の意思とは関係なく頭の中でくり返される音楽の一部のことです。フィンランドの大規模なオンライン調査では、ほとんどの人が少なくとも週に1回はイヤーワームを経験していることがわかりました。2017年、ロンドンの研究者たちは約3,000人に、どの曲が頭から離れなくなったかを尋ねました。最も多く名前が挙がった曲は、ヒットチャートで成功し、最近チャート入りしていた曲でした。

似た曲と比べると、それらはテンポが速めで、メロディー全体はよくある形なのに細部に少し珍しい部分がある傾向もありました。では、どうすれば追い払えるのでしょうか。イギリスの研究では、曲を押しのけようとするよりも、流れるままにしておくほうがうまくいくことが多いとわかりました。別の研究では、ガムをかむと曲が頭に浮かぶ回数が減ることが示されました。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. What did the 2017 study ask about 3,000 people?

Q3. Based on the passage, what is the best advice for someone with an earworm?

重要単語

  • earwormC1
    名詞頭から離れない曲That commercial song became an earworm. ドイツ語 Ohrwurm(耳の虫)の直訳から広まった語。
  • catchyB2
    形容詞覚えやすい、耳に残るThe chorus is so catchy. catch(つかむ)+-y。a catchy tune / slogan の形で使う。
  • involuntaryC1
    形容詞意図しない、自分の意思によらないEarworms are a kind of involuntary memory. in-(否定)+voluntary(自発的な)。volunteer と同じ語源。
  • melodyB1
    名詞旋律The melody goes up and down in a simple pattern. 形容詞 melodic。harmony(和音)、rhythm(リズム)と合わせて音楽の3要素。
  • suppressC1
    動詞抑える、押さえつけるTrying to suppress a thought can make it stronger. sup-(下に)+press(押す)。suppress anger / a yawn など感情や反応を抑える場面で使う。
  • tempoB1
    名詞テンポ、速さSongs with a fast tempo are often catchy. イタリア語で「時間」。the tempo of life「生活のペース」のようにも使う。
同じ曲が頭の中でエンドレス再生される現象は「イヤーワーム(耳の虫)」と呼ばれる。イギリスの実験では、ガムをかむと頭の中の曲が減ったらしい。脳内の「歌う準備」をジャマするからと考えられている。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Beaman & Williams (2010) Earworms (stuck song syndrome): Towards a natural history of intrusive thoughts, British Journal of Psychologydoi.org
  2. Jakubowski et al. (2017) Dissecting an earworm: Melodic features and song popularity predict involuntary musical imagery, Psychology of Aesthetics, Creativity, and the Artsdoi.org
  3. Beaman, Powell & Rapley (2015) Want to block earworms from conscious awareness? B(u)y gum!, Quarterly Journal of Experimental Psychologydoi.org
  4. Liikkanen (2011) Musical activities predispose to involuntary musical imagery, Psychology of Musicdoi.org