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オウギワシの握力と大きさは? ナマケモノを木からさらう“最強クラスのワシ”の科学

オウギワシの握力と大きさは? ナマケモノを木からさらう“最強クラスのワシ”の科学

読む前に予想してみよう!

オウギワシの握力は、野生の個体で測定されて正確な数字がわかっている

研究カード(どんな研究?)
対象
オウギワシ(アマゾンなどの野生個体)
規模
16巣・獲物306個体ほか
研究の種類
巣の観察・食べ残し調査と文献の集計
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

オウギワシは体重4〜9kg、後ろの爪は約8〜10cmの巨大なワシ。ナマケモノやサルを狩る。ただしネットで見かける「握力○kg」は、測定の根拠が見つからなかった。

ひとことで言うとナマケモノやサルをつかんで飛ぶ、森で一番強いワシ!

もくじ
  1. オウギワシとは? 大きさと見た目
  2. 獲物の半分はナマケモノ
  3. 「握力○kg」は本当? 見つかった測定例は小型のタカ・ハヤブサだけ
  4. 強さの正体は「足のつくり」
  5. まとめ:最強のワシを脅かすのは森の消失

結論から言うと、オウギワシは体重およそ4〜9kg、翼を広げると約2mになる、世界最大級のワシです。後ろ足の爪は約8〜10cmもあり、ナマケモノやサルを木の上からさらって食べます。

ただし、ネットでよく見かける「握力○○kg」という具体的な数字は、調べた範囲では測定にもとづく根拠が見つかりませんでした。この記事では、確かめられる事実だけで「最強クラスのワシ」の正体に迫ります。

01オウギワシとは? 大きさと見た目

オウギワシ(英名 Harpy eagle)は、メキシコ南部から南米の熱帯雨林にすむワシです。頭の冠羽を扇のように広げることが和名の由来とされます。

猛禽類の保護団体ペレグリン基金によると、体長は約1m、翼開長は最大約2m、体重は4〜9kg。メスはオスよりかなり大きいのも特徴です。

そして目を引くのが足。太い脚に、後ろ向きの指の爪が約3〜4インチ(約8〜10cm)。同団体は「ハイイログマの爪と同じくらい」と紹介しています。

後ろ向きの指の爪が特に大きい。獲物を押さえ込む“万力”のような足
後ろ向きの指の爪が特に大きい。獲物を押さえ込む“万力”のような足

02獲物の半分はナマケモノ

アマゾン中央部で5つのつがいを3年間調べた2014年の研究でも、エサは2種のナマケモノが中心でした。一方で、分布域全体ではこれまでに69種の獲物が記録されています。木の上でゆっくり暮らす動物を狙う「森の上層の狩人」なのです。

03「握力○kg」は本当? 見つかった測定例は小型のタカ・ハヤブサだけ

猛禽類の握る力は、実際に測られたことがあります。2010年の研究では、北米のタカやハヤブサに力を測るセンサーをつかませて、生きた鳥の握力を記録しました。体重をそろえて比べると、足で獲物をしとめるタカのほうが、くちばしを使うハヤブサより握る力が強かったのです。

面白いのは、実際の鳥が出した力は、筋肉や骨の形から計算した予測値より一貫して低かったこと。つまり「体のつくりから計算した最大値」は、本物より大きく出がちです。

オウギワシについて、こうした実測データは見つかりませんでした。「人間の何倍」といった数字は、出典がたどれない限り話半分に聞くのが安全です。

04強さの正体は「足のつくり」

数字がなくても、オウギワシの強さは足の形が物語っています。2009年に猛禽類の爪を比べた研究によると、タカ・ワシの仲間は後ろ向きの指(第1趾)と内側の指(第2趾)の爪が特に大きいのが特徴。暴れる大きな獲物を押さえつけておくための形だと考えられています。

05まとめ:最強のワシを脅かすのは森の消失

オウギワシはIUCNで危急種(VU)とされています。2021年の研究では、森の半分以上が失われた地域では、親が十分なエサを運べず、巣立った若鳥が飢え死にした例も報告されました。開けた場所の獲物に切り替えることができなかったのです。

「握力○kg」より確かなのは、この巨大なワシが広い森なしには生きられないという事実でした。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe harpy eagle, which lives in tropical rainforests from southern Mexico to South America, is one of the… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The harpy eagle, which lives in tropical rainforests from southern Mexico to South America, is one of the largest eagles on Earth. Females are much bigger than males, and the claw on the back toe can be 8 to 10 centimeters long. A 2015 review of diet studies found that sloths made up about half of its prey, both in number and in weight, while large monkeys came next.

Many websites give an exact number for the eagle's grip strength, but these figures do not seem to come from real measurements. The only grip force measurements we found come from smaller hawks and falcons, and those birds produced less force than the numbers calculated from their body shape.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

メキシコ南部から南アメリカの熱帯雨林にすむオウギワシは、地球上で最大級のワシの一つです。メスはオスよりずっと大きく、後ろの指の爪は8〜10センチメートルにもなります。2015年に食性の研究をまとめた論文によると、ナマケモノは数でも重さでも獲物の約半分を占め、次に多いのは大型のサルでした。

多くのウェブサイトがこのワシの握力について正確な数字を示していますが、それらの数字は実際の測定にもとづいていないようです。見つかった握力の測定例は小型のタカやハヤブサのものだけで、それらの鳥が出した力は、体の形から計算した数値よりも小さかったのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main point of the passage?

Q2. According to the 2015 review, what was the second most common prey?

Q3. What can we infer about grip numbers calculated from body shape?

重要単語

  • talonC1
    名詞(猛禽類の)かぎ爪The eagle grabbed the branch with its sharp talons. ふつうの爪は claw、猛禽類の鋭い爪は talon。複数形で使うことが多い。
  • raptorC1
    名詞猛禽類Eagles, hawks, and owls are all raptors. ラテン語 rapere(奪い取る)から。rapid(速い)や rapture と同じ語源。bird of prey とも言う。
  • preyB2
    名詞獲物Sloths are the main prey of harpy eagles. pray(祈る)と同じ発音なので注意。predator(捕食者)と対で覚える。fall prey to ~「~の餌食になる」。
  • canopyC1
    名詞林冠(森の上のほうの葉が茂る層)Harpy eagles hunt in the forest canopy. もとは「天蓋(ベッドの上の覆い)」。森を上から覆う葉の屋根のイメージ。
  • deforestationB2
    名詞森林破壊Deforestation makes it hard for eagles to raise chicks. de-(取り除く)+forest+-ation。環境問題の英作文・長文で最頻出レベル。
  • grip forceB1
    名詞(句)握る力Scientists measured the grip force of hawks with a sensor. grip strength とも言う。get a grip「しっかりしろ」という口語表現もある。
中南米の森の王者オウギワシ。後ろの爪はクマの爪なみの約8〜10cmで、獲物の約半分はナマケモノ。でもネットでよく見る「握力○kg」は、調べても測定データが見つからなかった。強さの正体は数字より“足のつくり”にあった。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Aguiar-Silva, Sanaiotti & Luz (2014) Food Habits of the Harpy Eagle, a Top Predator from the Amazonian Rainforest Canopy, Journal of Raptor Researchdoi.org
  2. Miranda (2015) Conservation implications of harpy eagle Harpia harpyja predation patterns, Endangered Species Researchdoi.org
  3. Miranda et al. (2021) Tropical deforestation induces thresholds of reproductive viability and habitat suitability in Earth's largest eagles, Scientific Reportsdoi.org
  4. Sustaita & Hertel (2010) In vivo bite and grip forces, morphology and prey-killing behavior of North American accipiters and falcons, Journal of Experimental Biologydoi.org
  5. Fowler, Freedman & Scannella (2009) Predatory Functional Morphology in Raptors, PLoS ONEdoi.org