ダチョウは砂に頭を隠さない。"頭隠して尻隠さず"に見えたのは、まさかの子育て中だった

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ダチョウは天敵に出会うと、砂の中に頭を埋めて隠れる
頭を埋めることはない。逃げられないときは首を地面に伏せて目立たなくする。走る速さは時速60km以上とも言われる。
- 対象
- 野生のダチョウ
- 規模
- 野外の長期観察
- 研究の種類
- 行動観察(フィールド研究)
- 確かさ
- ★★★☆☆
ダチョウが怖くて砂に頭を突っ込むことはない。地面に掘った巣で卵を転がす姿や、危険を感じて首を地面にぴったり伏せる姿が、遠くから「頭を埋めた」ように見えたらしい。
ひとことで言うとダチョウは頭をかくしてないよ。卵のお世話をしているんだ!
都合の悪いことから目をそらすことを、英語で"bury one's head in the sand"(砂に頭を埋める)と言います。もとになっているのは、「ダチョウは危険が迫ると、砂に頭を突っ込んで隠れたつもりになる」というイメージです。
日本の「頭隠して尻隠さず」と同じような、ちょっと間の抜けた姿。でも、実際のダチョウはそんなことはしません。
01そもそも頭を埋めたら息ができない
冷静に考えると、砂に頭を埋めたら呼吸ができません。そんな行動をとる動物が、厳しいサバンナで生き残れるはずがありません。
それにダチョウは、世界最大の鳥で、走るのがものすごく速い。時速60km以上で走れるとも言われ、長い脚のキックはライオンにとっても危険なほどです。危険が迫ったら、隠れるより走って逃げるか、戦うのがダチョウの基本戦略です。
02正体①:巣で卵の世話をしている
では、どうしてこんな誤解が生まれたのでしょう。有力な説明のひとつが子育てです。
ダチョウは木の上ではなく、地面を浅く掘って巣を作ります。そして、卵がまんべんなく温まるように、一日に何度もくちばしで卵を転がします。
ダチョウの卵は、今いる鳥の中で最大。1個の重さはニワトリの卵の20個分以上にもなります。そんな大きな卵がいくつも並ぶ巣を、長い首を伸ばしてこまめに世話する――。地面に頭を近づける時間が長くなるのは当然なのです。
遠くから見ると、地面のくぼみに頭を入れている姿は、まるで「砂に頭を埋めている」ように見えるのです。

03正体②:首をぺたんと伏せて「岩」になる
もうひとつの正体が、身を守るための伏せです。
サンディエゴ動物園の解説によると、ダチョウは危険を感じても逃げられないとき、地面にぺたんと座り込み、長い首と頭を地面にぴったりつけてじっとします。ダチョウの頭や首は、地面の色にとけこみやすい色をしています。
そのため遠くからは、大きな胴体だけがポツンと見えて、頭がどこかに消えたように見える。まるで頭を砂に埋めたかのように――。実際には、これはとても理にかなった隠れ方なのです。
042000年前から続く誤解
この誤解はとても古く、古代ローマの博物学者プリニウスの『博物誌』にも、ダチョウが頭と首を茂みに突っ込めば体全体が隠れたと思い込む、という趣旨の記述があるとされています。
人間は、動物の行動を自分たちの感覚で解釈しがちです。遠くから見えた姿に、人間らしい「おっちょこちょい」な理由をつけてしまったのかもしれません。そうして生まれた話が、2000年近く語り継がれ、のちにことわざにもなったのです。
05まとめ
- ダチョウは砂に頭を埋めない。そもそも埋めたら息ができない
- 頭を下げているのは、地面の巣で卵を転がしているとき
- 逃げられないときは、首を地面に伏せて目立たなくする
「頭隠して尻隠さず」どころか、ダチョウは賢く子育てし、賢く身を隠していました。笑われるべきは、遠くから見て早とちりした人間のほうかもしれません。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe English phrase "bury your head in the sand" means to ignore a problem.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
People say that ostriches hide their heads in the sand when they are afraid. This is not true. If they did, they could not breathe!
Ostriches make nests in holes in the ground. They often put their heads down to turn their eggs. From far away, it looks like their heads are in the sand. Also, ostriches can run very fast, so they usually run away from danger.
68 words ・ CEFR A2
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ダチョウは怖いと砂の中に頭を隠す、と人々は言います。これは本当ではありません。もしそうしたら、息ができません!
ダチョウは地面のくぼみに巣を作ります。卵を転がすために、よく頭を下げます。遠くから見ると、頭が砂の中にあるように見えるのです。また、ダチョウはとても速く走れるので、たいていは危険から走って逃げます。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
ダチョウが砂に頭を隠すという話が正しくない理由を説明しているので D。
Q2. Why do ostriches put their heads down?
They often put their heads down to turn their eggs. とあるので B。
Q3. In this passage, "run away from" means to ...
run away from ~ は「~から走って逃げる」なので A。
The English phrase "bury your head in the sand" means to ignore a problem. It comes from the idea that frightened ostriches hide their heads in the sand. In reality, ostriches never do this, since they would not be able to breathe. One likely source of the myth is how ostriches care for their eggs. They dig shallow nests in the ground and turn their huge eggs with their beaks several times a day.
From a distance, a bird with its head inside the nest looks as if its head is buried. Another source is a defensive behavior. When an ostrich is unable to escape, it lies down and presses its long neck flat on the ground, so only its body can be seen.
124 words ・ CEFR B1
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英語の "bury your head in the sand"(砂に頭を埋める)という言い回しは、問題を無視するという意味です。これは、おびえたダチョウが砂に頭を隠すという考えから来ています。実際には、ダチョウは決してそんなことはしません。息ができなくなってしまうからです。この神話の出どころとして考えられるのは、ダチョウの卵の世話の仕方です。ダチョウは地面に浅い巣を掘り、1日に何度もくちばしで巨大な卵を転がします。
遠くから見ると、頭を巣の中に入れた鳥は、まるで頭が埋まっているように見えるのです。もう1つの出どころは身を守る行動です。逃げられないとき、ダチョウは地面に伏せて長い首を地面にぴったりつけるので、胴体だけが見えるのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What does the phrase "bury your head in the sand" mean?
means to ignore a problem とあるので A。
Q2. How many times a day do ostriches turn their eggs?
turn their huge eggs with their beaks several times a day とあるので C。
Q3. Why might an ostrich lying flat look as if it has no head?
presses its long neck flat on the ground, so only its body can be seen とあるので D。
The expression "to bury one's head in the sand" rests on a belief that ostriches, when threatened, plunge their heads into the ground and imagine themselves hidden. The idea is ancient; the Roman naturalist Pliny is said to have described ostriches that thought their whole bodies were concealed once their heads were in a bush.
But no field study is known to have recorded such behavior, and an animal that suffocated itself would hardly survive on the savanna. Ostriches, the largest living birds, rely instead on speed, reportedly exceeding 60 kilometers per hour, and on powerful kicks. Two real behaviors probably gave rise to the myth. The zoologist Brian Bertram, who observed wild ostriches in Kenya for a long period, described a communal nesting system in which several females lay eggs in a single scrape on the ground, while a male and one female take turns incubating them.
To turn the enormous eggs, the birds repeatedly lower their heads into the nest. In addition, an ostrich that cannot flee may lie down and stretch its neck flat along the ground, where its coloring blends with the soil. Seen from far away, both postures look as though the head has vanished.
200 words ・ CEFR B2
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「砂に頭を埋める」という表現は、ダチョウが脅かされると頭を地面に突っ込み、隠れたつもりになるという思い込みに基づいています。この考えは古く、古代ローマの博物学者プリニウスは、頭を茂みに入れると体全体が隠れたと思い込むダチョウについて書いたとされています。
しかし、そのような行動を記録した野外研究は知られておらず、自ら窒息するような動物がサバンナで生き残れるとはとても思えません。現生最大の鳥であるダチョウは、代わりに時速60キロを超えるとも言われる速さと、強力なキックに頼っています。おそらく2つの実際の行動がこの神話を生みました。ケニアで野生のダチョウを長期間観察した動物学者ブライアン・バートラムは、複数のメスが地面の1つのくぼみに卵を産み、オスと1羽のメスが交代で温めるという共同営巣の仕組みを記述しました。
巨大な卵を転がすため、ダチョウは何度も頭を巣の中へ下げます。さらに、逃げられないダチョウは地面に伏せて首を地面に沿ってまっすぐ伸ばすことがあり、その体の色は土にとけこみます。遠くから見ると、どちらの姿勢も頭が消えたかのように見えるのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main purpose of the passage?
ダチョウが頭を埋めるという誤解と、それを生んだと考えられる2つの行動を説明する文章なので C。
Q2. According to Bertram, how do ostriches share nesting duties?
several females lay eggs in a single scrape ... while a male and one female take turns incubating them とあるので D。
Q3. Why does the author mention that an animal that suffocated itself would hardly survive?
頭を埋めたら窒息し生き残れない、という点から、その行動が生物学的にありえないことを示しているので A。
重要単語
- ostrichB2名詞ダチョウThe ostrich is the largest living bird.
an ostrich policy は「現実逃避の方針」という比喩表現。 - buryB1動詞埋めるOstriches do not bury their heads in the sand.
発音は /ˈberi/(ベリー)。名詞 burial(埋葬)。bury oneself in ~「~に没頭する」も頻出。 - nestA2名詞巣The bird dug a shallow nest in the ground.
動詞で「巣を作る」。nesting「営巣」。empty nest は「子が巣立った家庭」。 - predatorB2名詞捕食者、天敵Lions are predators of ostriches.
反対語は prey(獲物)。predator and prey はセットで生物系長文に頻出。 - camouflageC1名詞擬態、カムフラージュLying flat works as camouflage.
フランス語由来。動詞としても使える(camouflage itself「身を隠す」)。 - incubateC1動詞(卵を)抱く、温めるThe male and female take turns to incubate the eggs.
名詞 incubator は「孵卵器・保育器」、ビジネスでは「起業支援組織」の意味も。
公式・一次情報をチェック
- Ostrich(San Diego Zoo Wildlife Alliance, サンディエゴ動物園)animals.sandiegozoo.org
- Truth or Tail: Do ostriches really bury their head in the sand?(Cleveland Zoological Society)clevelandzoosociety.org
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「ダチョウは怖くなると砂に頭を突っ込む」は大ウソらしい。実際は、地面に掘った巣で卵をくちばしで転がしている姿や、首を地面にぴったり伏せて隠れる姿を、遠くから見て勘違いしたのが原因と考えられている。そもそも砂に頭を埋めたら息ができない。
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※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。










