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【どんでん返し】マシュマロを我慢できた子は成功する? 900人の追試で効果は大幅に縮んでいた

【どんでん返し】マシュマロを我慢できた子は成功する? 900人の追試で効果は大幅に縮んでいた

読む前に予想してみよう!

約束を守らない大人と過ごした子どもは、マシュマロを待つ時間が短くなった

研究カード(どんな研究?)
対象
4歳児を15歳まで追跡
規模
約900人(追試)/28人(キッドらの実験)
研究の種類
縦断データの概念的追試+実験
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

我慢できた子ほど将来の成績が良いという有名研究。約900人で追試すると関係は元の半分ほど、家庭環境などを考慮すると、さらに大きく縮んだ。

ひとことで言うとマシュマロをがまんできるかより、まわりの環境のほうが大事かも!

もくじ
  1. 伝説の始まり:スタンフォード大の保育園
  2. 900人で追試してみたら
  3. 「待たない」のは、むしろ合理的な判断かも
  4. まとめ

目の前に、ふわふわのマシュマロが一つ。「今すぐ食べてもいいよ。でも、私が戻ってくるまで待てたら、もう一つあげる」。

これが、心理学で最も有名な実験の一つ、マシュマロテストです。「待てた子は、大人になって成績も良く、成功しやすい」――この話は、子育て本や自己啓発本で数えきれないほど紹介されてきました。

ところが2018年、この「伝説」に大きなどんでん返しが起こります。

01伝説の始まり:スタンフォード大の保育園

1960年代から70年代、米スタンフォード大の心理学者ウォルター・ミシェルらは、大学の付属保育園の子どもたちを対象に、この「待てるかどうか」の実験を行いました。

その後、子どもたちが成長してから追跡調査をすると、長く待てた子ほど、10代になって学業の成績(大学進学適性試験SATの点数など)や、ストレスへの対処が良い傾向が見つかりました(Developmental Psychology, 1990)。

「幼いころの自制心が、将来を予言する」。このメッセージはあまりにも魅力的で、世界中に広まりました。

ただし、元の追跡調査の対象は、スタンフォード大の関係者の子どもが多く通う一つの保育園で、しかも追跡できた人数はかなり限られていました。

02900人で追試してみたら

つまり、「待てたから成功した」というより、待てる子が育ちやすい環境(家庭の余裕など)が、のちの学力にも影響していた可能性がある、ということです。

「我慢する力」だけでなく、それが育つ「土」も大切だった
「我慢する力」だけでなく、それが育つ「土」も大切だった

03「待たない」のは、むしろ合理的な判断かも

さらに、子どもが待てない理由について、目からウロコの研究があります。

米ロチェスター大のセレステ・キッドらは、マシュマロテストの前に、子どもたちに「もっといいクレヨンを持ってくるね」などと約束する場面をつくりました(Cognition, 2013)。すると、大人が約束を守ったグループの子は、その後マシュマロを平均で約12分待てたのに、約束を破られたグループの子は、平均で約3分しか待たなかったのです。参加者は28人と小規模ですが、差ははっきりしていました。

「この大人は約束を守らない」と学んだ子にとって、目の前のマシュマロをすぐ食べるのは合理的な判断です。約束が守られない環境で育てば、「今もらえるものは今もらう」ほうが賢い。待てないのは、意志の弱さではなく、環境に合わせた賢さなのかもしれません。

04まとめ

マシュマロテストは、「自制心が人生を決める」という分かりやすい物語として広まりました。でも大規模な追試が教えてくれたのは、子どもの未来を形づくるのは、本人の我慢強さだけではない、ということでした。

一つのマシュマロの向こうには、その子が育つ家庭や社会、そして大人との信頼関係が見えている。そう考えると、この実験はむしろ、私たち大人への問いかけなのかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn the marshmallow test, a child can eat one marshmallow now or wait to get two. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In the marshmallow test, a child can eat one marshmallow now or wait to get two. Studies of Stanford children tested in the 1960s and 1970s suggested that children who waited longer later had better school results.

However, those children mostly came from one university preschool. In 2018, researchers used data from about 900 children across the US. The link between waiting at age 4 and school achievement at age 15 was about half as strong as before. After considering family income and early language skills, it shrank by about two-thirds. Another study found that children waited much longer when an adult had kept a promise to them. Waiting may depend on trust, not just willpower.

116 words ・ CEFR B1

和訳を見る

マシュマロテストでは、子どもはマシュマロを今1つ食べるか、待って2つもらうかを選べます。1960年代から70年代のスタンフォード大学の研究は、長く待てた子どもほど、後に学校の成績が良いことを示唆しました。

しかし、その子どもたちの多くは、一つの大学の付属保育園の出身でした。2018年、研究者たちはアメリカ各地の約900人の子どものデータを使いました。4歳で待てたことと15歳での学力の関係は、以前の約半分の強さでした。家庭の収入や幼いころの言葉の力を考慮すると、それは約3分の2小さくなりました。別の研究では、大人が約束を守ってくれたとき、子どもははるかに長く待ちました。待てるかどうかは、意志の力だけでなく、信頼によるのかもしれません。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. What happened after researchers considered family income and early language skills?

Q3. What can we infer from the study about adults keeping promises?

重要単語

  • delay of gratificationC1
    名詞(句)満足の遅延(ごほうびを待つ力)Delay of gratification is often linked to self-control. gratification は gratify(満足させる)の名詞形。instant gratification「即座の満足」と対比される。
  • self-controlB2
    名詞自制心Self-control helps us resist temptation. self-discipline, willpower も近い意味。lose self-control「自制心を失う」。
  • temptationB2
    名詞誘惑The marshmallow was a big temptation for the child. 動詞 tempt「誘惑する」。resist temptation「誘惑に抵抗する」がセット。
  • reliableB1
    形容詞信頼できるChildren waited longer when the adult was reliable. rely on(頼る)+-able。反対は unreliable。名詞 reliability(信頼性)。
  • family backgroundB2
    名詞(句)家庭環境、家庭背景Family background can affect school achievement. background は「背景・経歴」。socioeconomic background(社会経済的背景)も入試頻出。
  • conceptual replicationC1
    名詞(句)概念的追試The 2018 study was a conceptual replication of the marshmallow test. 同じ手順をそのまま繰り返す direct replication(直接追試)に対し、方法を変えて同じ仮説を検証するもの。

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4コマでわかる

【どんでん返し】マシュマロを我慢できた子は成功する? 900人の追試で効果は大幅に縮んでいたの4コマ漫画
「マシュマロを我慢できた子は将来成功する」という超有名研究、約900人で追試したら効果は元の半分ほど。さらに家庭の環境などをそろえて比べると、そこから3分の2ほど小さくなったらしい。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Mischel, Shoda & Rodriguez (1989) Delay of gratification in children, Sciencedoi.org
  2. Shoda, Mischel & Peake (1990) Predicting adolescent cognitive and self-regulatory competencies from preschool delay of gratification: identifying diagnostic conditions, Developmental Psychologydoi.org
  3. Watts, Duncan & Quan (2018) Revisiting the marshmallow test: a conceptual replication investigating links between early delay of gratification and later outcomes, Psychological Sciencedoi.org
  4. Kidd, Palmeri & Aslin (2013) Rational snacking: young children's decision-making on the marshmallow task is moderated by beliefs about environmental reliability, Cognitiondoi.org