名詞・冠詞英語は名詞を見るたびに2回チェックする。「数えられる?」「聞き手もどれかわかる?」

日本語は「りんご」も「水」も「家具」もそのまま言えますが、英語は名詞を1つ使うたびに「数えられるか」「a か the か何もつけないか」を決めなければなりません。この単元では、その判断の根っこにある感覚(形・区切り・聞き手の頭の中)を手に入れ、furniture や advice のような入試の定番から、冠詞の位置、ネイティブの「世界の見え方」までを一気につなげます。名詞と冠詞が決まると、英作文の減点が目に見えて減ります。
知ってた? 目から鱗
Q1an apron は、もとは a napron だった?
昔の英語では napron と言った。a napron が耳で an apron と区切り直されて apron になったとされる。umpire(審判)も同じ道をたどった語で、a と an の境目は意外とあいまいだった。
Q2a と an、古いのはどっち?
an の方が古い。どちらも one と同じ語から生まれ、子音の前で n が落ちて a になった。an apple の n は後から足したのではなく、もとからあった音が母音の前に残ったもの。
Q3news は north・east・west・south の頭文字?
これは有名な俗説で、事実ではない。news は形容詞 new から生まれた「新しいことがら」という意味の語。昔は複数扱いもされたが、今は単数扱いで The news is ~ と言う。
Q4I like dog. と言うとどう聞こえる?
冠詞も -s もない dog は「切っても同じ物質」として扱われ、犬の肉が好きと受け取られかねない。好きな動物は I like dogs. と複数形で言う。chicken や fish が無冠詞だと「肉」になるのと同じしくみ。
Q5the を強く「ズィー」と読むと意味が変わる?
the を強く読むと「まさにそれ・本物の・最高の」という意味が加わる。This is THE place for ramen. なら「ラーメンならここで決まり」。母音の前で読み方が変わるだけでなく、強調でも響きが変わる。
01名詞は「数えられる」か「数えられない」か 基礎
英語の名詞は、使うたびに数えられる名詞(可算名詞)か、数えられない名詞(不可算名詞)かを決める必要があります。日本語なら「りんごを食べた」「水を飲んだ」で済みますが、英語では I ate an apple. / I drank water. と、名詞の種類によって a がついたり、つかなかったりします。
決め手は「形・区切り」があるか
可算名詞は、1個1個にはっきりした形や区切りがあるもの(apple / chair / dog / idea)。不可算名詞は、形が決まっておらず、どこで区切っても同じもの(water / bread / sugar / love / information)。「数えられるか」は、物の性質というより英語がその物を“粒”として見るか“かたまり”として見るかの問題です。
頭の中でその物を半分に切ってみる。パンを半分に切っても「パン」→ bread は不可算。椅子を半分に切ったら、もう「椅子」ではない → chair は可算。水を半分に分けても「水」→ water は不可算。※あくまで目安。furniture のような「まとめ役」の名詞(次のレッスン)や、a cake / cake のように両方ある名詞もある。
なぜ効く? 不可算名詞は「どこで区切っても同じもの」なので、分けても名前が変わらない。可算名詞は形そのものが本体なので、壊すと別物になる。
| 種類 | 例 | 数え方 |
|---|---|---|
| 普通名詞(可算) | book / dog / student / idea | a book / two books |
| 集合名詞(可算が基本) | family / team / class | a family / two families |
| 物質名詞(不可算) | water / bread / paper / gold | a glass of water など単位を借りる |
| 抽象名詞(不可算) | love / peace / information / advice | a piece of advice など |
| 固有名詞 | Tokyo / Ken / Japan | 原則 a はつかず、大文字で始める |
普通名詞=1個2個と数えられる物の名前、集合名詞=人や物の集まりを1語で言う名詞、物質名詞=水・パン・紙など素材の名前、抽象名詞=愛・情報など目に見えないものの名前、固有名詞=人名・地名など特定の1つにつけた名前
a / an がつく。複数形(-s)にできる。many / few で数を言う。
I ate an apple. / I ate two apples.
a / an がつかない。複数形にしない。much / little で量を言う。
I drank some water. / I drank a glass of water.
日本人の英作文で一番多いミスがこれ。✕ I have dog. は英語話者には「犬(という素材)を持っている」のような奇妙な響きになります。可算名詞の単数には、a / the / my / this などが必ずつく(go to school / by bus のような決まった無冠詞の言い方は例外)。I have a dog. / I like dogs. / My dog is cute.
- I have a dog and two cats.
犬を1匹とネコを2匹飼っている。 - I like dogs.
私は犬が好きだ。(「犬というもの全般」は無冠詞の複数形) - I drink water every morning.
毎朝、水を飲む。 - Can I have a glass of water?
水を1杯もらえますか?
生徒money って数えられるじゃん。100円、200円って。
先生数えてるのは「円」や「コイン」の方。money は「お金というもの」で、形が決まってないから不可算。
生徒じゃあ coin は?
先生1枚、2枚って形があるから可算。a coin / two coins。dollar も yen も単位だから数えられる。
生徒中身は数えない、入れ物や単位は数える…なんか見えてきた。
数えないのは「中身」、数えるのは「単位」
money(お金)は不可算、coin / dollar / bill(紙幣)は可算。bread(パン)は不可算、roll(ロールパン)は可算。同じ物の話でも、中身・素材を言う語は不可算、単位・個体を言う語は可算になりやすい。この感覚は次のレッスンの furniture や information で大活躍します。
確認問題 There ( ) too much sugar in this coffee.
sugar は不可算名詞なので単数扱い。There is too much sugar. are / were は複数扱いなので不可、be は形として不可。
日本語は名詞そのものを数えず、「1匹」「2本」「3枚」のように助数詞をつけて数えます。これは英語の a piece of paper、two cups of coffee とよく似た仕組み。ある意味で、日本語はすべての名詞を不可算名詞のように扱う言語と見ることもできます。だから日本語話者にとって、英語の「名詞に直接 -s をつける」感覚は新鮮で、難しいのです。
02冠詞の本質 ― a は「どれか1つ」、the は「あなたもわかるアレ」 基礎
冠詞は名詞にかぶせる「冠(かんむり)」。選択肢は a / an、the、何もつけない(無冠詞) の3つです。訳には出てこないのに、英語話者はこれで大量の情報をやりとりしています。
| 冠詞 | 本質 | 例 |
|---|---|---|
| a / an | ほかにもある中の1つ。聞き手はどれか特定できない(初登場) | I bought a T-shirt.(あるTシャツを1枚) |
| the | 聞き手も「どれのことか」わかる | The T-shirt is too big.(そのTシャツ) |
| 無冠詞 | 概念・機能・中身として見ている(形のある1個ではない) | I like music. / go to school |
the の条件は「2回目」ではなく「聞き手がわかる」
「2回目に出てきたら the」は結果にすぎません。本当の条件は、聞き手がその名詞を1つに特定できるか。Could you close the door?(この部屋のドア)、the sun(1つしかない)、the station(地元の人ならどの駅かわかる)は、初登場でも the です。
- I bought a T-shirt yesterday. The T-shirt is a little too big.
昨日Tシャツを買った。そのTシャツは少し大きすぎる。 - Could you open the window?
窓を開けてもらえる?(その場でどの窓かわかるので初登場でも the) - The sun rises in the east.
太陽は東から昇る。 - Is there a convenience store near here?
この近くにコンビニはありますか?(どれでもいいので a)
どれでもいいから、銀行が1つあるか。聞き手はどの銀行かまだわからない。
Is there a bank near here?
話し手も聞き手も知っているあの銀行(さっき話に出た銀行/この町の銀行)はどこか。
Excuse me, where is the bank?
a=「ある1つの〜(どれとは言わない)」、the=「ほら、あれだよ(あなたも知ってる)」。迷ったら、名詞の前にこの2つのセリフを当ててみて、自然な方を選ぶ。
生徒a と the、毎回迷うんですけど…
先生聞き手の頭の中を想像して。「ああ、あれね」ってなるなら the。
生徒じゃあ初めて話す物は…
先生相手はまだどれかわからないから a。でも the sun や the door みたいに、最初からわかる物は初登場でも the。
生徒自分じゃなくて、相手がわかるかどうかなんだ。
| 語 | 最初の音 | 冠詞 |
|---|---|---|
| hour / honest | h を発音しない → 母音(アウ/オ) | an hour / an honest man |
| university / European | /ju/(ユ)→ 子音 | a university / a European country |
| one-way | /w/(ワ)→ 子音 | a one-way ticket |
| MBA / FBI | /em/ /ef/(エ)→ 母音 | an MBA / an FBI agent |
| 8-year-old | /ei/(エイ)→ 母音 | an 8-year-old boy |
| UFO | /ju/(ユ)→ 子音 | a UFO |
a / an はつづりではなく、次の語の最初の「音」で決まる
次の語を声に出して、最初の音が母音(ア・イ・ウ・エ・オ系)なら an、子音なら a。university は「ユ」で始まるので a、hour は「ア」で始まるので an。
なぜ効く? an は母音の連続(a apple のような言いにくさ)を避けるための形。だから基準は文字ではなく発音。
✕ an university → ○ a university、✕ a hour → ○ an hour、✕ a MBA → ○ an MBA。u で始まっても「ユ」なら a、h で始まっても発音しなければ an。
確認問題 Look at ( ) sky! It's full of stars.
空は1つしかなく、聞き手もどれのことかわかるので the。the sun / the moon / the earth も同じ理屈。
03日本人が数えたくなる不可算名詞 ― furniture / information / advice / news 標準
入試で最もよく狙われるのがここです。日本語の感覚では数えられそうなのに、英語では不可算。a もつかず、複数形にもならず、many も使えません。
| 不可算名詞 | 意味 | 1つ・1個と言いたいとき |
|---|---|---|
| furniture | 家具 | a piece of furniture / a chair |
| baggage / luggage | 手荷物 | a piece of baggage / a bag |
| equipment | 装備・機材 | a piece of equipment / a tool |
| machinery | 機械類 | a machine |
| information | 情報 | a piece of information |
| advice | 助言 | a piece of advice / a suggestion |
| news | 知らせ・ニュース | a piece of news / a news story |
| homework | 宿題 | an assignment |
| evidence | 証拠 | a piece of evidence |
| progress | 進歩 | ― |
| damage | 損害・被害 | ―(damages は「損害賠償金」) |
| scenery | (ある地域全体の)景色 | a view / a scene |
| poetry | 詩(ジャンル) | a poem |
| fun | 楽しみ | ―(✕ a fun) |
| traffic | 交通(量) | ― |
| weather | 天気 | ―(✕ a nice weather) |
| work | 仕事 | a job / a task(works は「作品」) |
なぜ数えられない? ― 「まとめ役」の名詞だから
furniture は、椅子・机・ベッドなどをひっくるめた呼び名(カテゴリー名)です。「果物類」「文房具類」の「〜類」に近い。だから「家具1つ」と言いたい時は、中身の a chair を使うか、a piece of furniture で“1点”を切り出します。baggage、equipment、machinery、poetry、scenery も同じ「まとめ役」。information、advice、news は、形のない“中身”そのものです。
1編の詩という個体。数えられる。
She wrote a poem about her dog.
詩というジャンル全体。まとめ役なので数えない。
I like reading poetry.
引っ越しトラックの荷台を思い浮かべる。furniture(家具)、baggage / luggage(荷物)、equipment(機材)、machinery(機械類)は、1個ずつではなく「荷台まるごと1台分」で扱う=不可算。1点だけ言うなら a piece of ~ で荷台から1つ下ろす。
「愛は新しい家(ニューホーム)では数えないもの」と覚える。A=advice、I=information、ニュー=news、ホーム=homework。どれも日本語では「1つの助言」「2つの情報」と言えるのに、英語では不可算の四天王。
evidence(証拠)・damage(損害)・progress(進歩)、fun(楽しみ)・traffic(交通)・weather(天気)。魔法の呪文のように6語を一息で唱える。どれも a をつけた選択肢、-s をつけた選択肢が罠として出る。
scenery(景色)、poetry(詩)、machinery(機械類)、jewelry(宝石類)、stationery(文房具)、pottery(陶器)。語尾 -ry には「〜類をひとまとめにしたもの」を作る働きがあり、この形の名詞は不可算になりやすい。個体を言うなら a scene / a poem / a machine / a jewel。ただし story / country / library / factory のように、「〜リー」で終わっても普通の可算名詞は多い。このフックは「〜類」の意味を持つ語にだけ使う。
The news was shocking.(✕ were)。見た目は複数形でも、単数扱いの不可算名詞です。✕ a news → ○ a piece of news / some news。
「仕事」の work は不可算(I have a lot of work.)。1つの職・1件の仕事は a job(可算)。work が可算になると「作品」(the works of Soseki:漱石の作品群)の意味になります。
- We bought some new furniture for the living room.
リビング用に新しい家具を買った。 - My coach gave me a piece of advice.
コーチがアドバイスを1つくれた。 - The news was a big surprise to everyone.
その知らせはみんなにとって大きな驚きだった。 - We had a lot of fun at the festival.
お祭りはすごく楽しかった。 - The traffic is really heavy today.
今日は道がすごく混んでいる。(交通量は heavy / light で表す)
空所の近くに furniture / information / advice などがあったら、a / an がついた選択肢、-s がついた選択肢、many / few / a number of を含む選択肢を即座に消去。残った選択肢から意味で選べば速い。
なぜ効く? 不可算名詞は「1つ」「複数」という区別そのものを持たないので、数を示す形はすべて文法的にアウト。意味を考える前に形だけで消去できる。
確認問題 How much ( ) do you have?
How much は不可算名詞の量をたずねる形。luggage は不可算名詞なので -s はつかない。bags / suitcase は可算名詞なので How many bags / How many suitcases になる。
確認問題 The typhoon did a lot of ( ) to the rice fields.
damage(損害・被害)は不可算名詞。do damage to ~=〜に損害を与える。damages は「損害賠償金」という別の意味になる。
04不可算名詞の数え方と、量の表し方 標準
不可算名詞を「1つ、2つ」と言いたい時は、入れ物や形の単位を借ります。日本語の「1杯」「1枚」「1切れ」とほぼ同じ発想です。
| 単位 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| a piece of | 1つ・1点(万能) | a piece of paper / furniture / advice / information / cake |
| a cup of | (温かい飲み物)1杯 | a cup of coffee / tea |
| a glass of | (冷たい飲み物)1杯 | a glass of water / milk |
| a bottle of | 1本 | a bottle of juice |
| a sheet of | (薄い物)1枚 | a sheet of paper |
| a slice of | (薄く切った)1切れ | a slice of bread / pizza / cheese |
| a loaf of | (焼いたパンのかたまり)1斤・1本 | a loaf of bread |
| a bar of | (棒状の物)1本・1個 | a bar of chocolate / soap |
| an item of | 1品・1件 | an item of clothing / news |
| a spoonful of | スプーン1杯 | a spoonful of sugar |
複数にするのは「単位」の方
two cups of coffee、three pieces of furniture、two loaves of bread(loaf の複数形は loaves)。中身の名詞は不可算のままなので、✕ two cup of coffees のように中身に -s をつけてはいけません。
| 可算名詞に使う | 不可算名詞に使う | 両方に使える |
|---|---|---|
| many(多くの) | much(多くの) | a lot of / lots of |
| few / a few | little / a little | plenty of |
| a number of | an amount of / a great deal of | some / any / no / most |
| several | ― | enough |
「多くの〜」。主役は後ろの名詞なので複数扱い。
A number of students are absent today.
「〜の数」。主役は number なので単数扱い。
The number of students is decreasing.
The number of studentsS is decreasingV every yearM.
生徒の数は年々減っている。a がつくと「少しはある」とプラスの感じ。
I have a few friends in Osaka.
a がないと「ほとんどない」とマイナスの感じ。
I have few friends in Osaka.
a few / a little=少しある(プラス)、few / little=ほとんどない(マイナス)。空所の後ろの文が「だから大丈夫」系なら a あり、「だから困る」系なら a なし。
なぜ効く? a は「1つの〜が存在する」ことを示す語。a がつくと“ある”ことに焦点が当たり、ないと“足りない”ことに焦点が当たる。
much は疑問文・否定文(How much…? / I don't have much time.)や、too much / so much / as much の形でよく使います。ふつうの肯定文で ✕ I have much homework. と言うと不自然に響くことが多く、I have a lot of homework. が自然。
動く図解Yes/No で進む判定チャートアプリで見る大きさを large / small で言う名詞
population(人口)、audience(観客)、amount(量)、number(数)、income(収入)、salary(給料)は、many / much ではなく large / small で大小を表します。✕ many population → ○ a large population。また price(価格)は high / low、traffic(交通量)は heavy / light。※income / salary は high / low もふつうに使う。
- Can I have two slices of pizza?
ピザを2切れもらえる? - A great deal of money was spent on the project.
その計画には多額のお金が使われた。 - There's little milk left. Let's buy some.
牛乳がほとんど残ってない。買おう。 - Tokyo has a large population.
東京は人口が多い。
確認問題 Hurry up! We have very ( ) time.
time(時間)は不可算名詞なので little。「急いで!」とあるのでマイナスの「ほとんどない」。few / a few / many は可算名詞用。
確認問題 Our city has a very large ( ).
population(人口)は large / small で大小を表す。a large number なら of ~ が必要。a large people / a large citizens は形が合わない。
05the の用法と「総称」の3つの言い方 応用
the の中心は「聞き手もどれかわかる」。この1つの原理から、入試で狙われる決まった使い方がいくつも生まれます。丸暗記の前に「なぜ特定できるのか」を1行で説明できるようにしましょう。
| 用法 | 例 | なぜ the? |
|---|---|---|
| 唯一のもの | the sun / the moon / the earth / the sky / the world | 1つしかないので誰でも特定できる |
| 楽器を演奏する | play the piano / play the guitar | 「ピアノという楽器」を1つの種類として特定(米の口語では無冠詞もある) |
| the + 形容詞 | the rich / the young / the elderly / the injured | 「〜な人々」という特定のグループ(複数扱い)。※the unknown(未知のもの)のように単数・抽象の意味になるものもある |
| 最上級・序数(first / second など順番を表す語)・only・same | the best / the first / the only / the same | 1つに決まる |
| the + 比較級 | the taller of the two / The more, the better. | 2つのうち1つに決まる/比例関係 |
| by the + 単位 | by the hour / by the dozen / by the kilo | 「〜という単位で」 |
| 身体の部分 | catch him by the arm / pat her on the shoulder | 人をすでに言ったので、どの部位か特定できる |
| 海・川・山脈・複数形の国名 | the Pacific / the Nile / the Alps / the United States | 慣用として the をつける |
The police officerS caughtV the thiefO by the armM.
警官はどろぼうの腕をつかんだ。catch him by the arm の the のナゾ
英語はまず「誰を」つかんだか(him)を目的語で言い切り、次に「どこを」を by the arm で補足します。arm はすでに登場した him の腕に決まっているので the。所有格にして by his arm とはふつう言いません(入試では the が正解)。「人に対する行為」が主役で、部位はおまけ、という英語らしい発想。
| 動作 | 前置詞 | 例 |
|---|---|---|
| つかむ(catch / take / hold / pull) | by | catch him by the arm / take her by the hand |
| 表面をたたく・触れる(pat / tap / hit / kiss) | on | pat me on the shoulder / kiss her on the cheek |
| 目・顔・腹など(look / stare / hit / punch) | in | look him in the eye / hit him in the stomach |
つかむなら by、表面なら on、目や柔らかい所なら in
空所の選択肢に his / her / the が並んだら、身体部位の前は the で即決。※ただし She raised her hand. / I washed my face. のように部位そのものが目的語なら所有格。the になるのは「動詞+人+前置詞+部位」の型のとき。前置詞は「つかむ→by、表面→on、目や腹→in」。
なぜ効く? 人はすでに目的語で出ているので、部位は聞き手にとって特定済み。所有格を重ねると情報が二重になる。
もう1つの大事な用法が総称、つまり「〜というもの全般」を言う表現です。「犬は忠実な動物だ」を英語で言う方法は3つあります。
| 形 | 感じ | 例 |
|---|---|---|
| 無冠詞の複数形 | 最もふつう。会話でも作文でも万能 | Dogs are loyal animals. |
| a + 単数 | 「どの1匹をとっても」=定義・性質 | A dog is a loyal animal. |
| the + 単数 | 種全体を代表させる。硬く学術的 | The dog is a loyal animal. |
「絶滅しかけている」「世界中に分布している」「〜が発明した」は、1匹・1個には当てはまりません。a の総称は「どの1匹をとっても」なので ✕ A tiger is in danger of extinction.(1頭のトラが絶滅?)。○ Tigers are / The tiger is in danger of extinction. 発明品も ○ The telephone was invented by Bell.
- The rich are not always happy.
金持ちが幸せだとは限らない。(the rich=rich people(複数扱い)) - She plays the violin in the school orchestra.
彼女は学校のオーケストラでバイオリンを弾いている。 - I'm paid by the hour at my part-time job.
バイトは時給制だ。 - Grandma patted me on the head.
おばあちゃんが私の頭をなでてくれた。
確認問題 My grandmother patted me ( ) the head.
pat(軽くたたく)は表面に触れる動作なので on the head。catch / take なら by、look なら in the eye。
確認問題 Workers at this shop are paid ( ) the hour.
by the + 単位=〜単位で。by the hour=時間単位で(時給で)。by the dozen(ダース単位で)も同じ型。
06無冠詞の世界 ― go to school / by bus / elect him chairman 応用
冠詞をつけないのは、手抜きではありません。形のある1個ではなく、「機能・目的・概念」として見ているというメッセージです。「学校という建物」ではなく「勉強という目的」、「1台のバス」ではなく「バスという手段」。
学校の本来の目的(勉強)のために行く=通学する。
My brother goes to school by bike.
建物としての学校に別の用事で行く(保護者会・見学など)。
My mother went to the school to see my teacher.
| 分類 | 例 | ポイント |
|---|---|---|
| 建物・場所の本来の目的 | go to school / go to bed / go to church / go to college / be in prison | 「勉強しに」「寝に」など目的で使う時 |
| 交通・通信の手段 | by bus / by train / by email / by phone | 手段という機能 |
| 時間帯・食事 | at night / at noon / have breakfast / have lunch | 形容詞がつくと a big breakfast |
| スポーツ・科目・ゲーム | play tennis / study math / play chess | 活動の名前 |
| 役職(補語・as の後) | elect him chairman / as captain / become president | 1人しかいない役職の「役割」 |
| 対句 | day and night / hand in hand / side by side / face to face / step by step / from door to door | 2つでペアの慣用句 |
| 呼びかけ・家族 | Mother is out. / Waiter, the bill, please. | 固有名詞のように使う |
TheyS electedV KenO captain of the teamC.
彼らはケンをチームのキャプテンに選んだ。役職が無冠詞になる理由
They elected Ken captain. の captain は「キャプテンという1人しかいない役割」を表す補語(ここでは目的語 Ken が「何なのか」を説明する語)です。人そのものではなく役割(機能)を言っているので冠詞がつきません。as president(大統領として)、become chairman(議長になる)も同じ。ただし become a member のように1人とは限らない立場なら a が必要です。
食事に形容詞がつくと a が復活
have breakfast は無冠詞ですが、have a big breakfast(たっぷりの朝食)、a light lunch(軽い昼食)のように「どんな食事か」を形容詞で説明すると、“1回分の食事”という形を持ち、a がつきます。
go to school=勉強しに行く、go to bed=寝に行く、go to church=礼拝しに行く、be in hospital=治療のため入院中。目的を訳に入れて自然なら無冠詞、建物に用事があるだけなら the。
なぜ効く? 無冠詞の名詞は「その場所の機能」を表す。機能=そこで本来やること、なので「〜しに」の訳とぴったり重なる。
「入院している」は、イギリス英語では be in hospital(無冠詞)、アメリカ英語では be in the hospital がふつう。同じように「大学に通う」は、イギリス英語では go to university、アメリカ英語では go to college がふつう。どちらも正しいので、英作文ではどちらかに統一すれば大丈夫です。
- I went to bed at eleven last night.
昨夜は11時に寝た。 - They walked hand in hand along the beach.
2人は手をつないで浜辺を歩いた。 - I want to talk with you face to face.
あなたと直接会って話したい。 - She was chosen as leader of the project.
彼女はプロジェクトのリーダーに選ばれた。
生徒hand in hand の hand、複数でも a でもないのが気持ち悪い…
先生対句は「手と手」「顔と顔」みたいに、2つの名詞をペアにして様子を言ってるだけ。1個の手を指してない。
生徒だから冠詞がいらないのか。
先生そう。day and night(昼も夜も)も、特定の昼や夜じゃなく「昼夜を問わず」っていう概念。
確認問題 Emma's father went to ( ) to talk with her teacher.
父親は勉強しに行くのではなく、先生と話すという別の用事で「学校の建物」に行ったので the school。無冠詞の go to school は「通学する」。
確認問題 The two old friends walked along the beach ( ) in hand.
hand in hand(手をつないで)は対句なので無冠詞・単数。side by side / face to face / step by step も同じ型。
07集合名詞 ― family 型・police 型・furniture 型 応用
人や物の集まりを表す名詞を集合名詞と呼びます。ややこしく見えますが、タイプは3つだけ。単数扱いか複数扱いか、a や -s がつくかの違いを表でつかみましょう。
| タイプ | 例 | 扱い |
|---|---|---|
| family 型 | family / class / team / audience / committee / staff / crew | 集まり全体は単数(a family / two families)。構成員1人1人を意識すると複数扱いも(主にイギリス英語) |
| police 型 | police / cattle / people(人々) | 常に複数扱い。a も -s もつかない |
| furniture 型 | furniture / baggage / machinery / poetry | 不可算。単数扱いで、a も -s もつかない |
家族を1つのまとまりとして見る。大きさ・数を言う時。
My family is large. / There are 40 families in this building.
家族のメンバー1人1人を意識する。主にイギリス英語。
My family are all early risers.
アメリカ英語は単数扱いが基本
family / team / committee を構成員の意味で複数扱いにするのは主にイギリス英語。アメリカ英語では単数扱いがふつうで、構成員を言いたい時は Everyone in my family is ~ / The members of the committee are ~ と言い換えることが多い。入試では「集合として1つなら単数」「可算名詞なので two families と数えられる」ことが問われます。
- There are 40 students in my class.
私のクラスには40人の生徒がいる。 - The audience was very large.
観客はとても多かった。(大きさ=集団として1つ→単数。✕ many audience) - The police are looking for the missing boy.
警察は行方不明の少年を捜している。 - Cattle are grazing in the field.
牛が牧草地で草を食べている。
✕ a police(警官1人は a police officer)、✕ polices、✕ The police is。cattle も ✕ a cattle / ✕ cattles。1頭なら a cow。どちらも「集団として常に複数」の名詞です。
| 形 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| people | 人々(複数扱い) | Many people were at the station. |
| a people | 1つの民族・国民 | The Japanese are an island people.(日本人は島国の民だ) |
| peoples | 複数の民族 | the peoples of Asia(アジアの諸民族) |
people は「人々」なら a も -s もつかないが、「民族」なら可算名詞
police(警察)・cattle(牛)・people(人々)は、いつも団体で行動する=常に複数扱い。「ポリキャトピーは団体さん」と唱えて、is ではなく are を選ぶ。
確認問題 The audience ( ) very large at last night's concert.
観客の「大きさ(人数の多さ)」は集団を1つのまとまりとして見ているので単数扱いの was。構成員の反応(The audience were moved to tears.)なら複数扱いもありうる。
確認問題 Many ( ) are raised on this farm.
cattle は police 型で常に複数扱い、-s はつかない。Many cattle are ~。1頭なら a cow。
08複数形で意味が変わる名詞と「相互複数」 応用
名詞の中には、-s をつけると別の意味に変身するものがあります。さらに、握手や乗り換えのように「2つ以上ないと成り立たない」動作では、名詞をいつも複数形にします。どちらも入試の頻出ポイントです。
| 単数形 | 複数形の特別な意味 | 例 |
|---|---|---|
| arm(腕) | arms(武器) | carry arms(武器を持つ) |
| manner(方法) | manners(行儀・作法) | table manners |
| custom(習慣) | customs(税関・関税) | go through customs |
| good(善) | goods(商品) | sell goods online |
| pain(痛み) | pains(苦労・骨折り) | take pains(苦労する) |
| spirit(精神) | spirits(気分) | in high spirits(上機嫌で) |
| glass(ガラス) | glasses(めがね) | wear glasses |
| letter(文字・手紙) | letters(文学・学問) | a man of letters(文学者) |
| air(空気) | airs(気取り) | put on airs(気取る) |
| look(見ること) | looks(容姿) | good looks |
| term(期間・用語) | terms(間柄・条件) | be on good terms with ~ |
| means(手段) | means(単複同形) | a means of transportation |
arm(腕)が arms で「武器」、letter(文字)が letters で「文学」、pain(痛み)が pains で「苦労」、good(善)が goods で「商品」、air(空気)が airs で「気取り」。「〇〇を増やせば△△に変身」と、単数→複数の変身をストーリーで覚える。
means は1つでも means
means(手段)は単数と複数が同じ形。a means of communication(1つの通信手段)、all possible means(あらゆる手段)。by means of ~(〜によって)、by all means(ぜひどうぞ)、by no means(決して〜ない)も頻出。
- She has good manners.
彼女は行儀がいい。 - It took an hour to get through customs.
税関を通るのに1時間かかった。 - Ken took great pains to finish the model.
ケンは苦労してその模型を完成させた。 - The team was in high spirits after the win.
勝利の後、チームは上機嫌だった。
次は相互複数。「握手する」には自分の手と相手の手の2つが必要。「乗り換える」には今の電車と次の電車の2本が必要。だから名詞はいつも複数形になります。
| 表現 | 意味 |
|---|---|
| shake hands with ~ | 〜と握手する |
| make friends with ~ | 〜と友だちになる |
| change trains | 電車を乗り換える |
| take turns (doing) | 交代で〜する |
| be on good terms with ~ | 〜と仲がよい |
| exchange seats with ~ | 〜と席を交換する |
握手(手と手)、友だち(自分と相手)、乗り換え(電車と電車)、交代(順番と順番)。相手側にも同じ名詞がある動作は複数形。✕ shake hand / ✕ make friend / ✕ change train は即アウト。
なぜ効く? 相互の動作は、名詞が指す物が最低2つ存在して初めて成り立つ。英語はその数をきちんと形に表す。
IS madeV friendsO with EmmaM at summer campM.
サマーキャンプでエマと友だちになった。エマは1人でも make friends with Emma。friends は「エマ」の数ではなく、「私とエマ」という友だち関係の2人を表しています。
確認問題 I have to change ( ) at the next station.
乗り換えは今の電車と次の電車の2本が関わるので相互複数の change trains。
確認問題 You should learn good table ( ) before you go abroad.
manners(複数形)で「行儀・作法」。manner(単数)は「方法・態度」。table manners=食事の作法。
09普通名詞化 ― a Picasso / a coffee / a kindness 応用
a がつく=「形のある1個・1回・1人として見ている」という合図でした。だから、本来 a がつかない固有名詞・物質名詞・抽象名詞も、「1つの作品」「1杯」「1回の行為」として見た瞬間に a がつきます。これを普通名詞化(book や dog のような、数えられるふつうの名詞と同じ扱いになること)と呼びます。
| 固有名詞 | a / the がつくと | 例 |
|---|---|---|
| Picasso | a Picasso=ピカソの作品1点 | The museum bought a Picasso. |
| Mr. Smith | a Mr. Smith=スミスさんという(知らない)人 | A Mr. Smith called you. |
| Edison | an Edison=エジソンのような人(大発明家) | He wants to be an Edison. |
| Smith | the Smiths=スミス家の人々・スミス夫妻 | The Smiths live next door. |
| Toyota | a Toyota=トヨタの車1台 | My uncle drives a Toyota. |
| 物質名詞(不可算) | a がつくと(可算) |
|---|---|
| glass(ガラス) | a glass(コップ1個) |
| paper(紙) | a paper(新聞・論文・答案) |
| iron(鉄) | an iron(アイロン) |
| coffee(コーヒー) | a coffee(コーヒー1杯) |
| fire(火) | a fire(火事・たき火) |
| chicken(鶏肉) | a chicken(ニワトリ1羽) |
| 抽象名詞(不可算) | a がつくと(可算) |
|---|---|
| kindness(親切) | a kindness(親切な行為) |
| beauty(美) | a beauty(美人・見事なもの) |
| success(成功) | a success(成功した人・事) |
| failure(失敗) | a failure(失敗した人・事) |
| experience(経験) | an experience(1回の体験) |
| surprise(驚き) | a surprise(驚くような出来事) |
紙という素材が必要。不可算。
I need some paper to write on.
新聞・論文1つを読んだ。可算。
I read a paper about climate change.
a の有無で「中身」と「1個」が切り替わる
同じ単語でも、中身・性質として見れば不可算、区切られた1個・1回として見れば可算。The party was a great success.(パーティーは大成功だった=成功した1つの出来事)と、Hard work leads to success.(努力は成功につながる=成功という概念)。英語話者は a をつけるかどうかで、見方を切り替えています。
- A Mr. Tanaka came to see you while you were out.
お留守の間に田中さんという方が訪ねてきました。 - Two coffees, please.
コーヒーを2つください。(カフェの注文では「1杯」が区切りになるので可算) - The school festival was a big success.
文化祭は大成功だった。 - It was a great experience for me.
それは私にとってすばらしい体験だった。
生徒Two coffees って、コーヒーは数えられないんじゃないの?
先生カフェで注文する時は「カップ1杯」という区切りが目に見えてるから、口語では数えちゃう。
生徒じゃあ何でも数えていいの?
先生そこが落とし穴。advice や information や furniture は、どんな場面でも a がつかない。変身できる名詞と、できない名詞がある。
advice / information / furniture / news / homework / baggage は、標準的な英語ではどんな文脈でも a がつかず、-s もつきません(入試では例外なし)。✕ an advice → ○ a piece of advice。普通名詞化できるのは「1杯」「1作品」「1回の出来事」などの区切りがはっきり見える名詞だけです。
glass(素材)→ a glass(コップ)、paper(紙)→ a paper(新聞)、chicken(鶏肉)→ a chicken(ニワトリ)。冠詞 a は変身ヘルメット。かぶると形のある1個、脱ぐと中身・素材に戻る。
確認問題 A Mr. Brown came to see you while you were out. の A Mr. Brown の意味として最も適切なものを選べ。
a+固有名詞(人名)で「〜という人」。話し手はその人をよく知らない。an Edison(エジソンのような人)は有名人の名前の場合、the Browns はブラウン家の人々。
10名詞の所有格 ― 's と of、today's paper、a friend of mine 応用
「〜の」を表す方法は2つ。's(アポストロフィ・エス)と of です。基本は「人・動物は 's、無生物は of」。ただし無生物でも 's を使う決まった場面があり、そこが入試の狙い目です。
持ち主が人・動物。
Ken's bag / the cat's tail
持ち主が物。
the leg of the table / the name of the song
| 無生物でも 's | 例 | 意味 |
|---|---|---|
| 時間 | today's paper / yesterday's game / a day's work / ten minutes' walk | 今日の新聞/昨日の試合/1日分の仕事/徒歩10分 |
| 距離 | a stone's throw from the station | 駅から目と鼻の先 |
| 金額・価値 | a dollar's worth of candy | 1ドル分のお菓子 |
| 国・都市・組織 | Japan's population / the company's profits | 日本の人口/会社の利益 |
| 天体・自然 | the earth's surface / the sun's rays | 地球の表面/太陽の光 |
| 慣用句 | for heaven's sake / for goodness' sake / at one's wits' end | お願いだから/途方に暮れて |
時間・距離・金額は「量」、国や地球は「人のように」扱う
-s で終わる複数形には ' だけをつけます。the students' bags(生徒たちのカバン)、ten minutes' walk、a girls' school(女子校)。-s で終わらない複数形は 's:children's books、women's clothes。
独立所有格:'s の後ろの名詞が消える
店・家・病院など、言わなくてもわかる名詞は省略されます。I stayed at my uncle's.(おじの家に泊まった)、go to the dentist's(歯医者に行く)。This bag is Emma's.(このカバンはエマのものだ)も同じ仲間です。
最後に最難関の二重所有格(a friend of mine のように、名詞の後ろに「of + mine などの“〜のもの”を表す語」を置く形)。「私の友だちの1人」を ✕ a my friend と言えないのはなぜでしょう。
動く図解時間軸・変形・イメージ図がアニメーションで動きますアプリで見るa my friend がダメな理由 ― 名詞の前の指定席は1つ
名詞の前には「どの〜か」を決める指定席(限定詞)が1つだけあります。a / the / this / that / some / no / any も、my / your / Ken's も、みんなこの1つの席を取り合う(all / both / half だけは例外的にその前に置ける:all the students / both my parents)。だから a my friend、this Ken's camera はダブルブッキングです。両方言いたい時は、所有格を後ろに回して a friend of mine、this camera of Ken's。
| ✕ ダブルブッキング | ○ 二重所有格 |
|---|---|
| a my friend | a friend of mine |
| this Tom's camera | this camera of Tom's |
| some your ideas | some ideas of yours |
| that his new car | that new car of his |
何人かいる友だちのうちの1人(どの友だちかは特定しない)。
A friend of mine lives in Canada.
文脈で特定の友だち。「私の友だち(の〇〇)」。
My friend Yuki lives in Canada.
Tom and Mary's と Tom's and Mary's
Tom and Mary's mother は「トムとメアリーの(共通の)母」=2人はきょうだい。Tom's and Mary's mothers は「トムの母とメアリーの母」=別々の2人。最後の名前にだけ 's をつけると「共有」、それぞれにつけると「別々」です。
名詞の前の指定席は1つだけ。a・this・some と my・Ken's は同じ席に座れない。困ったら所有格を of の後ろに引っ越しさせて、mine / yours / Ken's の形にする。
確認問題 Yuki has a lot of friends, and Ken is ( ).
a と her は同じ指定席を奪い合うので並べられない。所有格を後ろに回した二重所有格 a friend of hers。of の後ろは所有代名詞(hers)。
11冠詞の位置 ― such a / so ~ a / too ~ a / all the / half an hour 難関
冠詞は普通「a + 形容詞 + 名詞」の順(a nice day)。ところが一部の語は、a の前に割り込んだり、形容詞を a の前に引っこ抜いたりします。この語順は並べ替え問題の超定番です。
| 型 | 語順 | 例 |
|---|---|---|
| such / what / quite / many / half 型 | 語 + a + 形容詞 + 名詞 | such a nice day / What a nice day! / quite a long time / many a student / half an hour |
| so / too / as / how 型 | 語 + 形容詞 + a + 名詞 | so nice a day / too big a bag / as good a player as ~ / how big a house |
| all / both / double / twice 型 | 語 + the + 名詞 | all the students / both the boys / double the price / twice the size |
なぜ so / too は形容詞を引っこ抜く?
so / too / as / how は副詞で、修飾できるのは形容詞や副詞だけ。「a difficult question」という名詞のカタマリ全体にはかかれません。そこで形容詞だけを a の前に引っぱり出し、自分のすぐ後ろにくっつけるのです。一方 such / what は名詞のカタマリ全体にかかれるので、a の前にそのまま置けばOK。quite は副詞ですが、例外的に such と同じ「quite + a + 形容詞 + 名詞」の語順をとれます(quite a long time)。
赤ちゃんがそっと明日も這う。so(そ)・too(っと)・as(あす)・how(はう)の4語は、形容詞を a の前に引っこ抜く。so nice a day / too big a bag / as good a player / how big a house。
such + a + 形容詞 + 名詞。会話でも作文でもふつう。
It was such a nice day that we went hiking.
so + 形容詞 + a + 名詞。意味は同じで、やや硬い書き言葉。
It was so nice a day that we went hiking.
such の後ろには (a +) 形容詞 + 名詞、so の後ろには形容詞(+ a + 名詞)。だから不可算名詞や複数名詞が来たら such しか使えない:such nice weather(✕ so nice weather)、such kind people(✕ so kind people)。ただし so many people / so much water の many / much は数量の語なので別扱いで、こちらは正しい。
なぜ効く? so 型の語順(so + 形容詞 + a + 名詞)は a がないと作れない。a がつかない不可算・複数名詞では so の出番がなく、such だけが残る。
✕ a such nice day → ○ such a nice day、✕ so a nice day → ○ so nice a day、✕ a too big bag → ○ too big a bag、✕ the all students → ○ all the students。「30分」は half an hour が基本(アメリカ英語では a half hour も使われる)。
ItS wasV too difficult a questionC for meM.
それは私には難しすぎる問題だった。- It was such a hot day that we stayed inside.
とても暑い日だったので、私たちは家の中にいた。 - This is too heavy a bag for a child to carry.
これは子どもが運ぶには重すぎるカバンだ。 - Ken is as good a player as his brother.
ケンはお兄さんと同じくらいうまい選手だ。 - All the students passed the test.
生徒全員がテストに合格した。 - This bag is twice the price of that one.
このカバンはあのカバンの2倍の値段だ。
many a + 単数名詞は「何人もの〜」
Many a student has dreamed of studying abroad.(多くの学生が留学を夢見てきた)。many a の後ろは単数名詞、動詞も単数扱い。「1人、また1人…」と個々を積み重ねるイメージの文語的な表現で、many students より重々しく響きます。
確認問題 It was ( ) interesting a story that I read it twice.
形容詞 interesting が a の前にあるので so(so + 形容詞 + a + 名詞)。such なら such an interesting story の語順になる。quite なら quite an interesting story。
確認問題 ( ) students in my class passed the test.
all は the の前に置く:all the students。every / each は単数名詞と組むので students とは合わない(each of なら each of the students)。
12超上級:単数・複数・冠詞は「世界の見え方」の表明 超難関
最後は、ネイティブの頭の中をのぞきます。英語話者は名詞を言うたびに「形のある1個か、中身か、特定か」を選んでいます。つまり冠詞や -s は文法の飾りではなく、世界をどう見ているかの表明なのです。
鶏肉(中身)を食べた。ごく普通の夕食。
I ate chicken for dinner.
ニワトリを1羽まるごと食べた! 大食い番組レベル。
I ate a whole chicken!
形のある物も「すりつぶせば」不可算
言語学には、形のある物でもすりつぶして中身として見れば不可算になるという考え方があります。There's egg on your shirt.(シャツに卵がついてるよ:卵の中身)は、an egg(殻つきの1個)とは別物。逆に液体でも「1杯」「1種類」と区切れば可算になります:a coffee(1杯)、French wines(フランスのいろいろな種類のワイン)。
| 語 | 不可算(中身・全体) | 可算(1個・1回) |
|---|---|---|
| experience | 経験(の蓄積):He has a lot of experience. | 1回の体験:It was a great experience. |
| time | 時間:I have no time. | 回・時代:three times / have a good time |
| room | 空間・余地:There's no room for a piano. | 部屋:a room with a view |
| hair | 髪全体:She has long hair. | 1本の毛:There's a hair in my soup! |
| work | 仕事:I have a lot of work. | 作品:a work of art |
| business | 商売・用事:Mind your own business. | 会社・店:She runs a small business. |
不可算でも「a + 形容詞」がつくことがある
knowledge、education、understanding などは不可算ですが、a good knowledge of French(フランス語のかなりの知識)、a good education(しっかりした教育)、a deep understanding のように形容詞で「ある種の〜」と限定すると a がつくことがあります。ところが advice / information / furniture / news / weather は、どんな形容詞をつけても ✕ a good advice / ✕ a nice weather。「a がつくことがある不可算」と「まずつかない不可算」がある、というのが最上級の知識です。
| a + 形容詞 がつくことがある | どんな時も a がつかない |
|---|---|
| a good knowledge of ~ | ✕ a good advice |
| a good education | ✕ a useful information |
| a deep understanding | ✕ a nice weather |
| a long silence | ✕ a new furniture |
迷ったら、右の列(入試の定番の不可算名詞)には a をつけない(入試では例外なし)
I like dogs.(犬という種類が好き)が正解。I like dog. は「犬の肉が好き」のような響きになり、I like a dog. は「ある1匹の犬が好き」で意味がぼやける。種類全体への好み・感想は、可算名詞なら無冠詞の複数形。
なぜ効く? 無冠詞の複数形は「その種類のメンバー全体」をまとめて指せる形。単数の裸は「中身・素材」、a は「ある1つ」に読まれてしまう。
日本語は「犬が好き」「犬を飼っている」「犬肉」を、名詞の形を変えずに文脈で区別します。英語は、その区別を毎回、名詞の形(a / -s / the / 無冠詞)で言い切る言語。英作文で冠詞を間違えると意味が変わってしまうのは、そのためです。
生徒There's a hair in my soup. って、髪って数えないんじゃなかった?
先生頭に生えてる「髪全体」は hair で不可算。でもスープに浮いてる1本は、はっきり形のある1個でしょ。
生徒物じゃなくて、見方で決まるんだ…
先生それがこの単元の結論。英語話者は名詞を見るたびに「粒か、かたまりか」を選んでる。
生徒a 1文字に世界観が入ってるって、ちょっとかっこいい。
確認問題 Waiter, there's a ( ) in my soup!
スープの中の1本の髪の毛は形のある1個なので可算の a hair。頭髪全体(She has long hair.)は不可算。
確認問題 She has ( ) knowledge of Korean history.
knowledge は不可算名詞だが、a good knowledge of ~(〜のかなりの知識)のように形容詞がつくと a がつく。many は可算名詞用、a lot なら of が必要。
瞬間英作文チャレンジ
日本語を見て、3秒で英語にして声に出す。カードをタップすると答えが出ます。
超絶テク
その物を頭の中で半分に切る。切っても同じ名前で呼べるなら不可算(bread / water / paper)、呼べなくなるなら可算(chair / apple / dog)。
なぜ効く? 不可算名詞は「どこで区切っても同じもの」、可算名詞は「形そのものが本体」。この性質の違いを、切るという動作で一瞬で確かめられる。
cake は? 丸ごと1個なら a cake(可算)、切り分けた中身なら some cake(不可算)
furniture / information / advice / news / homework / baggage などが空所の近くにあったら、a / an つき、-s つき、many / few / a number of つきの選択肢を先に消す。
なぜ効く? 不可算名詞は「1つ・複数」という区別を持たないので、数を示す形はすべて文法的にアウト。意味を読む前に形だけで選択肢が絞れる。
She gave me ( some advice / an advice / advices / many advice ) → some advice
a number of + 複数名詞=「多くの〜」で主役は後ろの名詞(複数扱い)。the number of + 複数名詞=「〜の数」で主役は number(単数扱い)。冠詞 a / the を見た瞬間に動詞の形が決まる。
なぜ効く? a number of は many と同じ「数量の修飾語」に変身しているが、the number of は「数」という名詞そのものが主語。
The number of cars ( is ) increasing.
つづりではなく発音の最初が母音なら an。hour / honest は an、university / European / one-way は a、MBA / FBI / 8 は an。
なぜ効く? an は母音の連続を避けるための形なので、基準は文字ではなく音。
an honest boy / a useful tool / an X-ray
catch / take / hold は by the ~、pat / tap / kiss / hit は on the ~(表面)、look / stare は in the ~(目・顔)。部位の前は所有格ではなく the(この型のとき。raise my hand のように部位が目的語なら所有格)。
なぜ効く? 英語はまず人を目的語で言い切り、部位はあとから補足する。人がすでに出ているので部位は特定済み=the。
She took me by the hand. / He looked me in the eye.
go to school(勉強しに)、go to bed(寝に)、go to church(礼拝しに)。目的を訳に入れて自然なら無冠詞、建物そのものに用事があるだけなら the。
なぜ効く? 無冠詞の名詞は、その場所の「機能」を表す。機能=そこで本来やること、なので「〜しに」と一致する。
My father went to the school to see the principal.
such (a) + 形容詞 + 名詞 / so + 形容詞 (+ a + 名詞)。後ろが不可算名詞・複数名詞なら such 一択(such nice weather / such kind people)。
なぜ効く? so 型の語順は a がないと作れない。a がつかない名詞には such しか使えない。
It was ( such ) fine weather that we went out.
shake hands / make friends / change trains / take turns / exchange seats。相手側にも同じ名詞がある動作は、必ず複数形。
なぜ効く? 相互の動作は名詞が最低2つないと成り立たない。英語はその数を形に表す。
Let's take ( turns ) driving.
a / the / this / that / some / no と my / Ken's は同じ席を取り合う。両方言いたいなら a friend of mine / this camera of Ken's の二重所有格。
なぜ効く? 限定詞(名詞の前で「どの〜か」を決める語)は1つの名詞に1つしか置けない、という英語の構造のルール(all / both / half は例外的にその前に置ける:all the students)。
✕ this my bag → ○ this bag of mine
the rich / the poor / the young / the elderly / the injured は「〜な人々」。動詞は are / were。
なぜ効く? the + 形容詞の後ろに people が省略されていると考えればよい。
The injured ( were ) taken to the hospital.
population / audience / amount / number / income / salary は many・much ではなく large・small。price は high・low、traffic は heavy・light(income / salary は high・low も可)。
なぜ効く? これらの名詞は「数そのもの」「量そのもの」を表すので、数量形容詞ではなく大小の形容詞で修飾する。
✕ many population → ○ a large population
so nice a day / too big a bag / as good a player / how big a house。語順問題で so / too が見えたら、形容詞を a の前に出す。
なぜ効く? 副詞は名詞のカタマリ全体を修飾できないので、形容詞だけを引っこ抜いて自分の直後に置く。
This is ( too difficult a question ) for me.
語呂・暗記フック
「愛は新しい家(ニューホーム)では数えないもの」。日本語では「1つの助言」「2つの情報」と言えるのに、英語では不可算の四天王。a も -s も many もつけない。
引っ越しトラックの荷台は「1台分まるごと」で扱う=不可算。1点だけ言いたい時は a piece of ~ で荷台から1つ下ろす。
証拠・損害・進歩、楽しみ・交通・天気。6語を呪文のように一息で唱える。a をつけた選択肢、-s をつけた選択肢が罠。damages は「損害賠償金」。
-ry は「〜類をひとまとめにしたもの」を作る語尾。この形の名詞は不可算になりやすい。個体を言うなら a scene / a poem / a machine。ただし story / country / library / factory のように、「〜リー」で終わっても普通の可算名詞は多い。このフックは「〜類」の意味を持つ語にだけ使う。
arm→arms(武器)、letter→letters(文学)、pain→pains(苦労)、good→goods(商品)、air→airs(気取り)、manner→manners(行儀)。「〇〇を増やせば△△に変身」のストーリーで。
いつも団体で動く=常に複数扱い。is ではなく are。a も -s もつかない(1人の警官は a police officer、1頭の牛は a cow)。
赤ちゃんがそっと明日も這う。so(そ)・too(っと)・as(あす)・how(はう)の後ろは「形容詞 → a → 名詞」:so nice a day / too big a bag / as good a player / how big a house。
名詞の前の指定席は1つだけ。a・this・some と my・Ken's は同じ席に座れないので、所有格を of の後ろへ引っ越しさせる。
a=「ある1つの〜(どれとは言わない)」、the=「ほら、あれだよ(あなたも知ってる)」。名詞の前にこの2つのセリフを当てて、自然な方を選ぶ。
ひっかけ図鑑
advice は不可算。「1つの助言」なら a piece of advice。information / news / homework も同じ。
✕ ✕ He gave me an advice.
○ ○ He gave me a piece of advice. / He gave me some advice.
furniture は不可算なので単数扱い。there is / was と組み、many ではなく much / a lot of。
✕ ✕ There are many furnitures in the room.
○ ○ There is a lot of furniture in the room.
police は常に複数扱い。1人の警官は a police officer。
✕ ✕ The police is looking for him.
○ ○ The police are looking for him.
a と my は同じ指定席を取り合う。二重所有格にする。
✕ ✕ Yuki is a my friend.
○ ○ Yuki is a friend of mine.
weather は不可算で a がつかないので、so + 形容詞 + a + 名詞の型が作れない。such を使う。
✕ ✕ It was so nice weather that we went out.
○ ○ It was such nice weather that we went out.
身体の部分は、人を目的語で言ったあと the で特定する。所有格にはふつうしない(入試では the)。
✕ ✕ She caught him by his arm.
○ ○ She caught him by the arm.
友だち関係は2人以上で成り立つので相互複数。相手が1人でも friends。
✕ ✕ I made friend with Ken.
○ ○ I made friends with Ken.
the number of の主役は number(単数)。後ろの複数名詞につられて are にしない。
✕ ✕ The number of tourists are increasing.
○ ○ The number of tourists is increasing.
a / an はつづりではなく最初の音で決まる。university は「ユ」で子音、hour は h を発音しないので母音。
✕ ✕ She goes to an university. / ✕ I waited for a hour.
○ ○ She goes to a university. / ○ I waited for an hour.
audience / population は集団の大きさを large / small で表す。
✕ ✕ There was many audience at the concert.
○ ○ There was a large audience at the concert.
生徒のギモン
日本語では「1つの情報」って言うのに、なぜ information は数えられないんですか?
英語は information を、形のある「粒」ではなく、流れこんでくる「中身(かたまり)」として見ているからです。水をコップで区切るように、情報も a piece of information で区切れば1つ、2つと言えます。ただし、これは英語という言語の約束事でもあります。たとえばフランス語では「情報」にあたる語を複数形にできるので、「理屈で必ずこうなる」というより、「英語ではこう見る」と割り切るのが近道です。
a と the で迷ったとき、結局どう考えればいいですか?
「聞き手が、どれのことか1つに特定できるか」だけを考えてください。特定できるなら the、できないなら a(複数・不可算なら無冠詞か some)。「前に出てきたか」「自分が知っているか」ではなく、相手の頭の中が基準です。the sun、the door(この部屋のドア)、the station(地元の駅)は、初登場でも the になります。
news は s がついているのに、なぜ単数扱いなんですか?
news はもともと、new(新しい)を名詞として使った「新しいこと」の複数形で、「新しいことども」という意味でした。昔は複数扱いされることもありましたが、やがて「知らせ」という1つのまとまりとして単数扱いが定着しました。見た目の -s は歴史の名残で、今は The news is ~。数えたい時は a piece of news です。
イギリス英語とアメリカ英語で集合名詞の扱いが違うって本当?
本当です。family / team / committee / staff などを、イギリス英語では構成員を意識して複数扱いにすることがよくあります(The team are playing well.)。アメリカ英語では単数扱いがふつうです(The team is playing well.)。どちらも正しい英語なので、入試では「集団の大きさ・全体なら単数」「police / cattle は常に複数」という、米英で共通する部分が問われます。
go to school はなぜ無冠詞なんですか? 学校は数えられるのに。
学校(建物)は数えられますが、go to school の school は「建物」ではなく「勉強するという学校の機能」を指しているからです。形のある1個を見ていないので冠詞がつきません。同じ理屈で go to bed(寝る)、go to church(礼拝に行く)。建物そのものに用事がある時は go to the school になります。
the Japanese と Japanese はどう違いますか?
the Japanese は「日本人(国民全体)」で複数扱い(The Japanese are ~)。無冠詞の Japanese は「日本語」(I speak Japanese.)。形容詞として「日本の」の意味にもなります。1人の日本人は a Japanese person と言うのが自然です。the + 国民を表す語=その国民全体、という型は the British、the French なども同じ。
half an hour と a half hour はどちらが正しいですか?
どちらも使われます。half an hour はイギリス・アメリカ共通、a half hour は主にアメリカ英語です。入試の語順問題では half が a の前に来る half an hour が基本。half は all や both と同じく、冠詞の前に出る語だと覚えておきましょう。
超絶おもしろコラム
英語話者は「数えること」から逃げられない「犬を飼っている」を英語にすると、犬が何匹かを必ず言わされる。
日本語で「犬を飼っています」と言えば、それで会話は成立します。1匹なのか3匹なのか、聞き手は気にしませんし、話し手も言う義務はありません。ところが英語では、I have a dog. か I have dogs. か、どちらかを選ばないと文が作れません。英語は、名詞を口にするたびに「1つか、2つ以上か、そもそも数えられない物か」を決めることを話し手に強制する言語なのです。
日本語はというと、名詞そのものは数を持たず、数えたい時だけ「1匹」「2本」「3枚」のような助数詞を足します。この仕組みは、英語の不可算名詞に a piece of や a cup of をつけて数えるのとそっくりです。そのため言語学では、日本語や中国語のような「助数詞言語」は、名詞をある意味ですべて不可算名詞のように扱っている、という見方がされることがあります。
この違いは、物の見え方にまで影響するのではないか、という研究もあります。よく知られているのが、認知科学者の今井むつみとデドレ・ゲントナーによる日英比較の実験です。見たことのない物体や、粘土のような素材でできたかたまりに新しい名前をつけて見せ、「どれが同じ名前か」を選ばせました。道具のような複雑な形の物では、英語話者も日本語話者もそろって形で選びました。ところが、単純な形の物体になると差が出て、英語話者は形が同じものを選んだのに対し、日本語話者は形にこだわらず、年齢が上がると素材が同じものを選ぶ傾向が見られました。粘土のような素材のかたまりでは、どちらも素材で選びやすいものの、その傾向は日本語話者の方が強かったと報告されています。英語話者は「粒(個体)」として、日本語話者は「中身(素材)」として物を見がち、という解釈です。
もちろん、言語が考え方を完全に決めてしまうわけではありません。日本語話者も必要なら「1個」「たくさん」と言えますし、英語話者も「粘土」を素材として認識できます。ただ、ふだん意識を向けている所が少し違う、というのはありそうです。
この視点を持つと、英語の冠詞や複数形のミスの見え方が変わります。日本語話者が a や -s を落としてしまうのは、注意力の問題というより、母語が気にしない所を気にしなければならないから。だからこそ、「名詞を言う前に、粒か、かたまりかを1秒考える」という習慣を意識的に作る価値があるのです。I have dog. と書きそうになったら、「その犬、何匹?」と自分にツッコんでください。
the は that から、a は one から生まれた冠詞の正体は、「あの」と「1つの」だった。
英語の冠詞 a と the。どちらも訳しにくい、つかみどころのない語に見えますが、生まれをたどると正体がはっきりします。
まず the。古い英語には、現在の that にあたる「あの・その」という指し示す語(指示詞)がありました。それが弱く軽く発音されるうちに、「聞き手も知っている、あの」という意味だけが残って the になった、と説明されます。the が「聞き手もどれかわかる」ものにつく理由は、ここにあります。もともとが「あの」なのです。the book は、力を抜いた that book だと思えば、使い方がぐっと見えやすくなります。
次に a / an。こちらは数字の one(古い英語で「1つの」を表す語)から来ています。もとの形は an に近く、子音の前では n が落ちて a になりました。だから母音の前では今も an が残っているわけです。a が「ほかにもある中の1つ」を表すのは、もともと「1つの」だったから。a book は、力を抜いた one book なのです。
この由来を知ると、入試で問われる細かいルールにも筋が通ります。a が不可算名詞につかないのは、「1つの」と数えられないものに「1つの」をつけるのが変だから。a がつくと可算名詞に変身する(a coffee=1杯、a Picasso=1点)のは、「1つの」がつくことで区切りが生まれるから。the が唯一のもの(the sun)や、場面で決まるもの(the door)につくのは、「あの」と指させるから。
実は、冠詞を持たない言語は世界にたくさんあります。日本語や中国語、ロシア語などには、英語の a / the にあたる語がありません。英語もずっと昔は、今ほど冠詞を使っていなかったと考えられています。「あの」と「1つの」が少しずつ文法の部品になっていった結果が、今の冠詞なのです。
冠詞に迷ったら、心の中で the を「あの」、a を「1つの」に戻してみてください。「あの太陽」は自然、「1つの太陽」は変。「1つのアドバイス」は日本語では言えても、英語では advice に「1つの」をつけられないので a piece of の出番。冠詞の歴史は、そのまま冠詞の使い方の説明書になっています。
furniture は英語だから数えられない「家具を数えない」のは、世界共通のルールではない。
furniture(家具)、information(情報)、advice(助言)。入試で「数えられない名詞」として必ず出る面々です。「まとめ役の名詞だから」「形のない中身だから」という説明は覚える助けになりますが、実はもう1つ、知っておくと気が楽になる事実があります。それは、数えられるかどうかは、言語によって違うということです。
たとえばフランス語。家具にあたる meuble は、un meuble(家具1点)、des meubles(家具類)と、ふつうに数えられます。「情報」にあたる information も、フランス語では複数形 informations がよく使われ、ニュースの「報道」の意味にもなります。ドイツ語でも家具を1点、2点と言う語があります。つまり「家具は数えられない」は物の性質で決まったことではなく、英語という言語が選んだ見方なのです。
では英語の furniture は、なぜこうなったのでしょうか。この語はフランス語の fourniture(供給・備品)から来たと言われ、もともとは「備えつけること・備えつけた物一式」のような、まとまった意味で使われていました。「一式」を表す語なので、1つ1つを数える発想がなかったわけです。equipment(装備)も「装備すること・装備一式」、baggage も「荷物一式」。語の成り立ちが「〜一式」なので、不可算になったと考えると納得がいきます。
逆に言えば、「理屈で考えて数えられそうか」で判断すると、必ずどこかで裏切られます。英語話者にとっても、information を数えないのは理屈というより「そういうものだから」。英語学習者向けの辞書が、名詞1つ1つに[C](可算)[U](不可算)の印をつけているのは、そのためです。
だから入試の不可算名詞は、この単元の語呂(アイ・ニュー・ホーム、トラック1台分、エビ・ダメ・プロ…)でリストとして覚えてしまうのが最短ルートです。そのうえで、「中身として見るか、1個として見るか」という感覚をつかんでおけば、a coffee や a paper のような普通名詞化にも対応できます。暗記と感覚、両方そろってはじめて冠詞は怖くなくなります。
最終まとめ(暗記カード)
- 可算=形・区切りがある(カットテストで名前が変わる)、不可算=どこで区切っても同じ
- 可算名詞の単数は裸で使わない:a dog / the dog / my dog / dogs(go to school 型の慣用は別)
- a=ほかにもある中の1つ、the=聞き手もどれかわかる、無冠詞=概念・機能
- a / an は最初の「音」で決める:an hour / a university / an MBA
- 不可算の定番:furniture / baggage / equipment / information / advice / news / homework / evidence / progress / damage / fun / traffic / weather / work
- 数えるなら単位を借りる:a piece of advice / two cups of coffee / a loaf of bread
- a number of+複数=複数扱い、the number of=単数扱い。few / little は「ほとんどない」
- population / audience は large / small で大小を言う
- 総称は Dogs are ~ が基本。種全体の話(絶滅・発明)に a は使えない
- the の用法:唯一物 / 楽器 / the+形容詞=人々 / by the hour / catch him by the arm
- 無冠詞:go to school / by bus / have breakfast / elect him captain / hand in hand
- police・cattle は常に複数、family は集団なら単数、furniture は不可算
- 複数で変身:arms / manners / customs / goods / pains / glasses。相互複数:shake hands / change trains
- 普通名詞化:a Picasso / a Mr. Smith / a coffee / a kindness。所有格:today's paper / a friend of mine
- 冠詞の位置:such a nice day / so nice a day / too big a bag / all the students / half an hour
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