語彙学習方略の指導 ― 生徒が自分で単語を覚え、推測し、調べられるようにする
授業で教えられる単語には限りがあります。だから「単語の覚え方・推測のしかた・辞書の使い方」そのものを教える価値があります。ただし「10回書いて覚える」「わからない語は文脈から推測」には落とし穴も。研究が示す、効く方略と効きにくい方略の見分け方と、その教え方です。
エビデンスの強さ:方略指導の効果は複数のメタ分析で小〜大の範囲で示されている。ただし方略の種類・学習環境・指導期間で効果は大きく変わり、方略の使用と語彙力の相関は小さい。紹介する日本の研究にも大学生を対象にしたものが多く、中高生への当てはめには注意が必要。

- 単語そのものより「単語の学び方」を教える。 授業で扱える語には限りがあるので、自分で語彙を増やす手立てを持たせます。
- 方略の指導には効果がある。でも「やった感」には要注意。 書いて覚えても、書かない条件と成績は変わらず、覚えた感じだけが強くなったという日本の実験もあります。
- 推測は「確かめる」とセット。 文脈からの推測は成功率が低く、自己評価も当てになりません。
語彙学習方略ってなに?
ひとことで言うと、語彙学習方略とは、先生がいなくても生徒が自分で単語の意味を調べ、覚え、使えるようになるための「単語の学び方」のことです。
語彙学習方略(vocabulary learning strategies)とは、生徒が自分で語の意味を見つけ、覚え、使えるようにし、その学習を計画・調整するための手立てのことです。単語カード、語の部品(接頭辞・接尾辞)からの推測、辞書の引き方、「1週間に何語」と決めて記録をつけることなどがふくまれます。
なぜ方略を教える必要があるのか。それは、授業で教えられる語には限りがあるからです。英語を辞書なしで読むのに必要な語彙と、学習指導要領が中学・高校で扱う語数の間には大きな差があります(くわしくは 語彙指導の全体像)。その差を埋められるのは、生徒自身の学び方です。つまり実際には、テスト範囲の単語を教えるだけでなく、単語カードの使い方や、知らない語の意味の確かめ方そのものを、授業で練習させることです。
「魚を与えれば1日食べられる。釣り方を教えれば一生食べられる」ということわざがあります。単語テストの範囲を教えるのは魚を与えること、語彙学習方略を教えるのは釣り方を教えることです。ただし、釣り方にも上手・下手があります。「たくさん竿を振っているのに、まったく釣れない釣り方」もある。方略指導で大事なのは、効く釣り方を見せ、自分の釣り方を点検させることです。
似たものとのちがい:「やった感」の方略と、効く方略
| やった感が強い方略 | 研究で効きやすい方略 | |
|---|---|---|
| 覚える | ノートに何度も書く・目で見てくり返す | 答えを見ずに思い出す、間をあけて復習する |
| 意味を見つける | 文脈から推測して、それで終わり | 推測したあと、辞書や注釈で確かめる |
| 辞書を引く | 手当たりしだいにたくさんの定義を見る | 課題に必要な語にしぼって、定義をしっかり読む |
書いて覚えた方が「覚えた感じ」は強いのに、テストの成績は変わらなかったという日本の実験もあります 1。
やり方を3ステップで
- 今の方法を比べてみる:同じくらいの難しさの単語を2組用意し、片方を「書いて覚える」、もう片方を「カードで思い出す」で同じ時間ずつ覚え、翌週テストして比べる(クラスの半分は組を入れかえる)。
- 見せて、使わせる:先生が方略を声に出しながらやってみせ、毎時間はじめの数分と家庭学習で、数週間くり返し使わせる。
- ふり返らせる:「この方法は自分に合っていたか」「次は何を変えるか」を書かせる。
この記事では、方略を4つのグループに分けて考えます(研究上の分類はいくつもありますが、ここでは教室で使いやすい形に整理しています)。
| グループ | 中身 | 例 |
|---|---|---|
| ① 意味を見つける | 知らない語に出会ったときに意味を突き止める | 文脈から推測する、語の部品を見る、辞書を引く、人に聞く |
| ② 覚える | 意味と形を結びつけて記憶に残す | 単語カードで思い出す、間隔をあけて復習する、イメージや語呂で結びつける |
| ③ 使う | 覚えた語を実際に使って深める | 例文を作る、話す・書く活動で使う、多読で再会する |
| ④ 学習を管理する | 計画し、記録し、ふり返る | 目標語数を決める、覚えにくい語を記録する、方法を見直す |
研究ではどうなってる?
方略は「教えれば変わる」
- 第二言語の学習方略の指導61研究(95サンプル)のメタ分析では、全体の効果は d = 0.49(小〜中)。方略の種類と数、学習環境(第二言語か外国語か)、指導期間によって効果が変わりました 2。
- その後の方略指導のメタ分析では、言語の成績への効果が 0.78、自己調整学習への効果が 0.87 と大きく、学校段階、文字体系の違い、誰が指導するかなどで効果が変わりました 3。
- 日本の2つの大学の女子学生146人を対象に、10週間、語彙学習方略を明示的に教えた研究では、指導を受けた群が語彙テストで指導なしの群を上回り、使う方略の種類と頻度も変わりました。ただし、方略によって変化の大きさは違い、指導への反応も学習者のタイプによって異なりました 4。
ただし「方略をたくさん使えば語彙が増える」わけではない
「書いて覚える」は、覚えた気になるだけ?
日本の学習者68人が、新しい英単語を「書いて覚える」条件と「書かずに覚える」条件で学んだ実験では、テストの成績に差はありませんでした。ところが、書いて覚えた条件の方が、取り組んだという感覚が強く、「つづりを覚えられた」という見込みも高くなっていました。著者は、この方略は学習成果を上げずに、取り組んでいる感覚だけを高め、学習者に成果を過大評価させると結論づけています 1。
「ノートに10回ずつ書いてきなさい」という宿題は、日本の中学・高校では今でも定番です。でも研究は、書くこと自体より、思い出そうとすることや間隔をあけてくり返すことの方が記憶に効くことを示しています(くわしくは 単語を定着させる覚え方)。意図的に覚える活動でも、方法によって覚えられる語の割合は大きく違います 7。
文脈からの推測は「万能」ではない
- 中級の学習者21人に、文章中の知らない語の意味を推測させ、考えを声に出させた研究では、推測の成功率は低く、成功は使った方略の数より質と関係していました 8。
- 聞いて知らない語の意味を推測する場合、成功率は母語話者で 59.6%、学習者で 35.6% でした。学習者は、そもそも知らない語が出てきたことに気づくこと自体が難しかったと報告されています 9。
- 学習者110人に、文章中の知らない語の意味がどれくらいわかったかを自己評価させた研究では、その自己評価は当てにならないものでした 10。
- 母語の小学生を対象にした語彙指導39研究のメタ分析では、意味を推測する方略の指導は、その方略を使う課題の成績は伸ばしたものの、語彙全体の広さを有意に伸ばすことはありませんでした 11。
- 日本人学習者5人を4週間追った研究では、読解力の最も低い学習者が、推測の成功率・使う方略の数と種類を伸ばし続け、学習者全体として、語の周りだけを見る方略から文章全体を見る方略へと移っていきました 12。
つまり、推測は「知らない語に出会っても読み続けるための方略」としては大切ですが、推測しただけで語を正しく覚えられるとは限りません。読む・聞くなどのインプットから「ついでに」覚えられる語は、直後のテストで1〜2割ほどというメタ分析もあります 13。推測のあとに確かめるステップを組みこむことが欠かせません。
辞書と注釈:調べ方にもコツがある
キーワード法:語呂合わせは侮れない
明日の授業でこうする
- 今の方法を書き出させる(5分):「単語をどうやって覚えている?」をアンケートします。「書いて覚える」「眺める」という答えが多いかもしれません。
- 体験で比べる(10分):同じくらいの難しさの単語を10語ずつ2組用意し、A組は「書いて覚える」、B組は「カードで思い出す」で同じ時間ずつ覚え、翌週テストして比べます(クラスの半分は A・B を入れかえると、語の難しさの差が出にくくなります)。結果は人によって違ってかまいません。「覚えた感じ」と実際の点数がずれることがある(書く条件と書かない条件を比べた実験 1)を、自分のデータで確かめる活動です。
- やり方を見せる(5分):先生が実際に方略を使ってみせます(考えを声に出す「思考発話」で)。
- 使わせる(数週間):毎時間はじめの数分と家庭学習で、くり返し使わせます。方略指導の効果は指導期間によって変わることが示されているので 2、1回の説明で終わらせません。
- ふり返らせる(5分):「この方法は自分に合っていたか」「次は何を変えるか」を書かせます。計画やふり返りなどのメタ認知的な方略は、語彙の成績と結びついていました 6。
方略1:推測→確かめるの「5つの手がかり」
知らない語に出会ったら、次の順番で手がかりを探させます。
| 順番 | 手がかり | 問い |
|---|---|---|
| ① | 品詞 | 名詞? 動詞? 形容詞? |
| ② | 語の部品 | un-, re-, -ful, -less, -tion などがある? |
| ③ | すぐ前後の語 | 主語・目的語は何? どんな語と一緒に使われている? |
| ④ | 文章全体 | 話の流れから、プラスの意味? マイナスの意味? |
| ⑤ | 確かめる | 辞書・注釈・先生で確認し、予想と比べる |
最後の⑤が必須です。推測がうまく見えても、学習者自身の「わかった」は当てにならないからです 10。推測の練習には、知らない語が少ない、やさしめの文章を使います(多読の本はちょうどよい練習台です)。
方略2:語の部品(接頭辞・接尾辞)
| 部品 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| un- / in- / im- | 〜でない | unhappy, invisible, impossible |
| re- | 再び | rewrite, return, recycle |
| pre- | 前に | preview, prepare |
| -ful | 〜でいっぱいの | careful, useful, colorful |
| -less | 〜のない | careless, useless, homeless |
| -able | 〜できる | readable, washable |
| -er / -or | 〜する人 | teacher, visitor, actor |
| -tion | 〜すること(名詞) | education, invitation |
部品で意味を推測したら、やはり文脈と辞書で確かめます。部品からの推測が外れる語(たとえば dis- のつく語でも、もとの語の反対の意味とはいえない語)も少なくないからです。
方略3:辞書は「必要な語」にしぼって引く
日本の学習者は、課題に関係のない語や文脈からわかる語まで辞書に頼りがちで、手当たりしだいに引くことは読解の課題にマイナスでした 14。そこで、次のルールを示します。
- まず最後まで読む(または段落の最後まで)。
- 「わからないと話がわからない語」にだけ印をつける。
- 印をつけた語だけ、推測してから辞書で確かめる。
- 辞書では、品詞と例文まで見る。最初の訳語だけで決めない。
教材を作る側としては、本文に日本語の注釈をつけることも有効です。注釈つきで読むと、注釈なしより多くの語が残りました 15。
方略4:キーワード法(語呂合わせ)
覚えにくい語には、音の似た日本語を手がかりにイメージを作る方法も使えます。
| 英語 | 音の似た日本語 | イメージ |
|---|---|---|
| bury(埋める) | ベリー | イチゴ(ベリー)を土に埋める |
| ankle(足首) | あんこ | 足首にあんこがべったり |
語呂とイメージは、生徒に自分で作らせると盛り上がります。キーワード法は、初級の学習者で記憶に残りやすい結果が出ています 16。ただし、すべての語に使うのは非効率です。どうしても覚えられない数語だけに使い、覚えたら例文で使って、語呂から卒業させます。
方略5:学習を管理する「単語学習ログ」
毎週、①今週の目標語数、②使った方法、③テストの結果、④次に変えること、を1行ずつ書かせます。語彙の学習を自分で調整する力(自己調整)は、方略の「使用頻度」とは別の力として測る試みもあります 18。家庭学習の続け方は 家庭学習と自律学習者の育て方 も参照してください。
小学校(5・6年):絵本の読み聞かせで、知らない語が出てきたら「絵を見て、何だと思う?」と推測させ、最後に答えを確かめます。推測と確かめのセットを、遊びとして体験させる段階です。
中学1〜2年:教科書の新出語で語の部品探し(un-, -ful など)。単語テストの勉強法として「書いて覚える」と「カードで思い出す」を1回ずつ比べる体験をさせます。
中学3年:初見の短い文章で「5つの手がかり」を使った推測練習。推測した意味を書き、辞書で確かめて、当たり・外れを記録します。外れた理由を話し合うのが大切です。
高校:単語帳を使う学校では、「1日目に意味を思い出すテスト→3日後に再テスト→1週間後に再テスト」の自己管理表を配ります。長文読解では、辞書を引く語を3語までに制限し、注釈の使い方と辞書の引き方を指導します。入試の長文で知らない語が出たときの「読み続ける方略」としての推測も、ここで練習します。
評価のポイント
方略そのものを点数にするのは難しいので、方略を使った記録(ログ)とふり返りの記述を見ます。観点別評価の「主体的に学習に取り組む態度」は、粘り強い取組の中で自らの学習を調整しようとしているかを含めて評価する観点なので 19、単語学習ログはその材料になります。語彙テストの点数とは分けて評価します。
- 「10回書いてきなさい」を続ける:書かない条件と成績が変わらず、覚えた気持ちだけが強くなったという実験があります 1。書くだけで十分とは限りません。
- 「わからない語は文脈から推測しなさい」とだけ言う:推測の成功率は低く 8、自己評価も当てになりません 10。確かめる手順までセットで。
- 知らない語だらけの文章で推測させる:手がかりが少なすぎて推測になりません。やさしめの文章で練習します。
- 辞書を全部引かせる:手当たりしだいに引くことは、読解の課題にマイナスでした 14。
- 方略を1回説明して終わり:方略指導の効果は指導期間によって変わります 2。数週間くり返し使わせます。
- 全員に同じ方略を強制する:指導への反応は学習者のタイプで違いました 4。いくつかの方略を試させ、自分に合うものを選ばせます。
❓ よくある質問
Q. 語彙学習方略とは何ですか?
生徒が自分で語の意味を見つけ、覚え、使えるようにし、その学習を計画・調整するための手立てです。単語カード、語の部品からの推測、辞書の引き方、目標語数を決めて記録をつけることなどがふくまれます。授業で教えられる語には限りがあるため、自分で語彙を増やす手立てを持たせます。
Q. 語彙学習方略は、教えると効果がありますか?
あると考えられます。学習方略の指導のメタ分析では効果は d = 0.49(小〜中)で 2、日本の大学生に10週間、語彙学習方略を明示的に教えた研究でも、指導を受けた群が語彙テストで上回りました 4。1回の説明で終わらせず、数週間くり返し使わせます。
Q. 単語を「10回書いて覚える」のは効果がありますか?
日本の学習者68人の実験では、書いて覚えても書かずに覚えてもテストの成績に差はなく、書いた方は「覚えた感じ」だけが強くなりました 1。書くこと自体より、思い出そうとすることや、間隔をあけたくり返しを重視します。
Q. 知らない単語は、文脈から推測させればいいですか?
推測だけでは不十分です。文脈からの推測の成功率は低く 8、学習者の「わかった」という自己評価も当てになりませんでした 10。品詞・語の部品・前後の語・文章全体の手がかりで推測したら、辞書や注釈で必ず確かめます。
Q. 辞書は、どう引かせればいいですか?
必要な語にしぼります。日本の学習者の視線を計測した研究では、課題に関係のない語にも辞書に頼り、手当たりしだいに多くの定義を見ることは課題の成績にマイナスでした 14。まず段落の最後まで読み、話がわからなくなる語だけ推測してから辞書で確かめ、例文まで見ます。
🎓 もう一歩深く(大学院レベル)
🎓院生モード方略研究の「測り方」の問題
語彙学習方略の研究は、長く「どの方略をどれくらいの頻度で使うか」を質問紙で尋ね、成績との相関を見るデザインが中心でした。方略の使用と語彙知識の相関を統合したメタ分析で、全体の相関が r = 0.24 と小さく、方略の種類や語彙知識の測り方によって相関が大きく変わったことは 5、「たくさん使えばよい」という単純な見方では説明できないことを示しています。同様に、文脈からの推測でも、成功は方略の数より質と関係していました 8。
この問題に対し、方略の「使用頻度」ではなく、学習を自分で調整する「自己調整の力」を測る尺度が提案されています 18。方略指導のメタ分析でも、言語の成績に加えて自己調整学習そのものへの効果が大きかったことが報告されています 3。教室への示唆は、特定の方略のリストを教えこむより、自分の学習を計画し、点検し、直すことをくり返せるようにすることです。計画やふり返りにかかわる方略が成績を予測していたという古典的な結果とも 6、この方向は一致します。
なお、方略指導の効果のメタ分析は、方略の種類や数、学習環境、指導期間といったモデレーターで効果が大きく変わることを示しています 2。「方略指導は効く」と一言でまとめるより、「どの方略を、どの学習者に、どれくらいの期間」という条件つきで読むべき結果です。
🎓院生モード推測は「学ぶ方略」か「読み続ける方略」か
文脈からの推測は、語彙指導で長く推奨されてきました。しかし、推測の成功率は読む場面でも 8 聞く場面でも 9 高くなく、学習者の「わかった」という自己評価も信頼できません 10。母語の小学生のメタ分析でも、推測方略の指導は近い転移(推測課題そのもの)には効果があっても、語彙の広さには有意な効果が見られませんでした 11。インプットからの偶発的な語彙学習の割合が直後で1〜2割程度にとどまるというメタ分析の結果も 13、推測だけに頼る語彙学習の限界を示しています。
ここから導かれるのは、推測を「読み・聞きを続けるための方略」と「語を覚えるための方略」に分けて考えることです。前者としては、知らない語で止まらずに意味の大枠をつかむ力として価値があります。日本人学習者の追跡研究で、読解力の低い学習者ほど推測の成功率と方略の幅を伸ばしたことは 12、練習によって伸びる力であることを示唆します(ただし対象は5人です)。後者としては、推測の後の確認、注釈による意味の提示 15、意図的な想起と間隔をあけた復習 7 と組み合わせる必要があります。語彙学習の理論と研究の全体像は 語彙研究者の Paul Nation 氏の定番書が詳しく扱っています 20。
🎓院生モード「やった感」と学習の錯覚
書いて覚える方略が、成績を上げないまま取り組みの感覚と自己評価を高めたという日本の研究は 1、学習者の「覚えた」という判断が当てにならないという一連の記憶研究とつながります(単語を定着させる覚え方)。目で見てくり返す丸暗記が成績のマイナスの予測因子だったという研究 6 も含め、努力の量や作業の見た目と、実際の学習効果は一致しないことが、方略指導の出発点になります。
だからこそ、方略指導の第一歩は「正しい方法を教える」ことより、「自分の方法を試して確かめる」体験をさせることです。上の5ステップの②(自分で比べる)は、そのためのしかけです。生徒が自分のデータで「書いても変わらなかった」と気づけば、方略を変える動機は先生の説明よりずっと強くなります。
🎁 玉手箱で使えるツール
原田英語の「英語の先生の玉手箱」の無料ツール。登録なしで授業にそのまま使えます。
📑 出典(20件)
本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。
- Kakihana, S. (2024). Does the word-writing strategy in vocabulary learning increase learning outcomes or mislead learners into overestimation?. International Journal of Applied Linguistics, 34(3), 936-951. doi:10.1111/ijal.12544 ✔ DOI照合済日本の学習者68人。単語を書いて覚えても、書かない条件と成績は変わらなかったが、取り組んだ感覚と「覚えた」という見込みは高くなった
- Plonsky, L. (2011). The effectiveness of second language strategy instruction: A meta-analysis. Language Learning, 61(4), 993-1038. doi:10.1111/j.1467-9922.2011.00663.x ✔ DOI照合済学習方略の指導の効果をまとめたメタ分析(61研究)
- Ardasheva, Y., Wang, Z., Adesope, O. O., & Valentine, J. C. (2017). Exploring effectiveness and moderators of language learning strategy instruction on second language and self-regulated learning outcomes. Review of Educational Research, 87(3), 544-582. doi:10.3102/0034654316689135 ✔ DOI照合済方略指導のメタ分析。言語の成績に0.78、自己調整学習に0.87と大きな効果。学校段階や指導者などで効果が変わる
- Mizumoto, A., & Takeuchi, O. (2009). Examining the effectiveness of explicit instruction of vocabulary learning strategies with Japanese EFL university students. Language Teaching Research, 13(4), 425-449. doi:10.1177/1362168809341511 ✔ DOI照合済日本の大学生146人で、語彙学習ストラテジーを明示的に教えた群が語彙テストで上回り、ストラテジーの使い方も変わった
- Ueno, S., & Takeuchi, O. (2025). Relationship between second language vocabulary knowledge and vocabulary learning strategy use: A meta-analysis of correlational studies. International Review of Applied Linguistics in Language Teaching, 63(2), 1115-1137. doi:10.1515/iral-2023-0100 ✔ DOI照合済語彙知識と語彙学習方略の使用の相関研究25本のメタ分析。全体の相関は r = 0.24 と小さく、方略の種類などで差がある
- Gu, Y., & Johnson, R. K. (1996). Vocabulary learning strategies and language learning outcomes. Language Learning, 46(4), 643-679. doi:10.1111/j.1467-1770.1996.tb01355.x ✔ DOI照合済中国の大学生の語彙学習方略と成績の関係。メタ認知的方略が語彙テストのプラスの予測因子、「目で見てくり返す」丸暗記が最も強いマイナスの予測因子
- Webb, S., Yanagisawa, A., & Uchihara, T. (2020). How effective are intentional vocabulary-learning activities? A meta-analysis. The Modern Language Journal, 104(4), 715-738. doi:10.1111/modl.12671 ✔ DOI照合済単語カード・単語リスト・書く・穴埋めなど「覚えるための活動」の習得率をまとめたメタ分析(22研究)
- Nassaji, H. (2003). L2 vocabulary learning from context: Strategies, knowledge sources, and their relationship with success in L2 lexical inferencing. TESOL Quarterly, 37(4), 645-670. doi:10.2307/3588216 ✔ DOI照合済中級の学習者21人の思考発話。文脈から語の意味を推測する成功率は低く、成功は方略の数より質と関係していた
- van Zeeland, H. (2014). Lexical inferencing in first and second language listening. The Modern Language Journal, 98(4), 1006-1021. doi:10.1111/modl.12152 ✔ DOI照合済聞いて知らない語の意味を推測する成功率は、母語話者59.6%、学習者35.6%。学習者は知らない語に気づくこと自体が難しかった
- Kaivanpanah, S., & Alavi, M. (2008). Deriving unknown word meaning from context. RELC Journal, 39(1), 77-95. doi:10.1177/0033688208091141 ✔ DOI照合済学習者110人。知らない語を「わかった」と自己評価しても、その評価は当てにならなかった
- Cervetti, G. N., Fitzgerald, M. S., Hiebert, E. H., & Hebert, M. (2023). Meta-analysis examining the impact of vocabulary instruction on vocabulary knowledge and skill. Reading Psychology, 44(6), 672-709. doi:10.1080/02702711.2023.2179146 ✔ DOI照合済小学生(母語)の語彙指導39研究のメタ分析。意味を推測する方略の指導は「その方略の課題」は伸ばすが、語彙全体の広さは有意に伸ばさなかった
- Hamada, M. (2009). Development of L2 word-meaning inference while reading. System, 37(3), 447-460. doi:10.1016/j.system.2009.03.003 ✔ DOI照合済日本人学習者5人を4週間追跡。読解力の最も低い学習者は推測の成功率と方略の幅が伸び続け、全体に局所的な方略から全体的な方略へ移った
- Webb, S., Uchihara, T., & Yanagisawa, A. (2023). How effective is second language incidental vocabulary learning? A meta-analysis. Language Teaching, 56(2), 161-180. doi:10.1017/S0261444822000507 ✔ DOI照合済読む・聞くなど意味中心のインプットから「ついでに」覚える語の割合をまとめたメタ分析(24研究)
- Prichard, C., & Atkins, A. (2021). Evaluating the vocabulary coping strategies of L2 readers: An eye tracking study. TESOL Quarterly, 55(2), 593-620. doi:10.1002/tesq.3005 ✔ DOI照合済日本の英語学習者の視線計測。課題に関係ない語や文脈からすぐわかる語でも辞書に頼り、辞書を手当たりしだいに見ることは課題の成績にマイナスだった
- Yanagisawa, A., Webb, S., & Uchihara, T. (2020). How do different forms of glossing contribute to L2 vocabulary learning from reading? A meta-regression analysis. Studies in Second Language Acquisition, 42(2), 411-438. doi:10.1017/S0272263119000688 ✔ DOI照合済注釈(グロス)つきの読解と語彙学習のメタ分析(42研究・3,802人)。注釈ありは直後45.3%・遅延33.4%、なしは26.6%・19.8%。母語の注釈の方が効果的
- Sagarra, N., & Alba, M. (2006). The key is in the keyword: L2 vocabulary learning methods with beginning learners of Spanish. The Modern Language Journal, 90(2), 228-243. doi:10.1111/j.1540-4781.2006.00394.x ✔ DOI照合済初級学習者778人。キーワード法が最もよく残り、丸暗記は意味マップより効果的だった
- Stahl, S. A., & Fairbanks, M. M. (1986). The effects of vocabulary instruction: A model-based meta-analysis. Review of Educational Research, 56(1), 72-110. doi:10.3102/00346543056001072 ✔ DOI照合済母語の子どもの語彙指導のメタ分析。定義と文脈の両方を示し、深い処理と複数回の出会いを含む指導が効果的。キーワード法も意味の想起に安定した効果
- Tseng, W.-T., Dörnyei, Z., & Schmitt, N. (2006). A new approach to assessing strategic learning: The case of self-regulation in vocabulary acquisition. Applied Linguistics, 27(1), 78-102. doi:10.1093/applin/ami046 ✔ DOI照合済方略の「使用頻度」を数える従来の尺度に代えて、語彙学習の「自己調整の力」を測る尺度を提案した研究
- 文部科学省 (2019). 小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知) 公式ページ ✔ リンク確認済観点別学習状況の評価を「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理した文科省の通知(2019年)
- Nation, I. S. P. (2013). Learning Vocabulary in Another Language. Cambridge University Press doi:10.1017/CBO9781139858656 ✔ DOI照合済第二言語の語彙学習・語彙指導の研究を体系的にまとめた定番書(第2版)
最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら








