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What's this? シルエットクイズ ― 影だけ見せて「なんだろう?」で英語を聞かせる

黒い影だけを見せて「What's this?」。子どもは答えを知りたくて、先生の英語のヒントを必死に聞きます。言わせる前に「聞いてわかる」をたっぷり作る、小学校の定番クイズです。

⏱ 時間
10-15分
🧰 準備
少し
👥 形態
全体→ペア
🎯 技能
小学校・リスニング・語彙・ゲーム
📶 CEFR
Pre-A1-A1
🛡️
このページのウラ取り 出典 4 件 ― 原田英語.comが集めて読んだ論文・専門書・公的資料。DOI・ISBN・公式ページは書誌データベースとも照合済み 原田英語.comと校閲担当が、主張と出典を1つずつ照合・AI(Codex)による独立チェック済み(2026-10-18) ウラ取りの仕組み →
What's this? シルエットクイズ ― 影だけ見せて「なんだろう?」で英語を聞かせるのイメージ
💡ねらい
  • 影とヒントを手がかりに、英語を「聞いてわかる」経験をたっぷり積む。
  • What's this? / It's a ... . のやり取りを、答えたくなる場面で何度も使う。
  • 最後は子どもが出題者になり、ヒントを選んで伝える側も体験する。

シルエットクイズってなに?

ひとことで言うと、絵の「影(黒い形)」だけを見せて、先生が英語のヒントを1つずつ足し、子どもが "It's a/an ... ." で答えを当てるクイズです。

影だけでは答えがわからないので、子どもは「次のヒントは何かな」と先生の英語に耳をすませます。言わせることよりも、聞いてわかる経験をたくさんつくるのが中心です。最後は子どもが出題者になり、ヒントを選んで出す側も体験します。

🎈たとえるなら

テレビのクイズ番組で、パネルの一部しか見えない写真を当てるようなものです。見えている部分だけでは決めきれないから、司会者のヒントを必死に聞く。ここでは司会者のヒントが英語なので、「当てたい」という気持ちがそのまま「英語を聞きたい」気持ちになります。ヒントは、あいまいなもの(色)から決め手(a long nose)へ、の順に出すのがコツです。

似た活動とのちがい

シルエットクイズ ミッシング・ゲーム 20 Questions
子どもがすること 影とヒントを聞いて当てる なくなったカードを当てる 自分で質問を作って当てる
英語の役わり 先生のヒントを聞いて理解する 語を思い出して言う Yes/No 疑問文を作る
向いている段階 小学校3・4年〜(聞くことが中心) 小学校(語の定着) 中学〜(疑問文の練習)

やり方を3ステップで

  1. 見せる:答えになる語を絵カードで先に確認してから、影を1枚出して "What's this?" と聞く。
  2. ヒントを足す:It's red. → It's round. → It's a fruit. と1つずつ足し、わかった子が It's an apple. と答える。
  3. 出題者になる:子どもが影を描き、ヒントを3つ選んで、ペアでクイズを出し合う。

授業の流れ(分ごと)

時間 先生 子ども
0:00〜2:00 果物などの絵カードで語の確認(聞いてリピート) 聞いて、まねして言う
2:00〜7:00 シルエットを1枚ずつ出し、英語のヒントを1つずつ足す わかったら手を挙げ It's a/an ... と答える
7:00〜9:00 正解の絵を見せ、全員で What's this? / It's a/an ... 声をそろえて言う
9:00〜13:00 ワークシートで自分のクイズを作る 影を描き、ヒントを3つ選ぶ
13:00〜15:00 ペアやとなりの班とクイズを出し合う 出題・回答を交代
What's this? シルエットクイズ ― 影だけ見せて「なんだろう?」で英語を聞かせるの教室の配置と動き方
🗺️ 教室の配置と動き方(イメージ)
👣手順
  1. 準備:絵カードを黒く塗りつぶした「影カード」を6〜8枚作る(画像の背景を消して形を黒く塗る、または輪郭に沿って黒く塗りつぶせば数分)。電子黒板なら、絵の輪郭に合わせた黒い図形を重ねる。
  2. 語の確認:答えになる語(apple, banana, cat など)を絵カードで先に聞かせておく。知らない語は当てられないので、ここは省かない。
  3. 1枚目は先生がやって見せる:影を出して "What's this?" と聞き、"Hint 1. It's red." のようにヒントを1つずつ足す。ヒントは「色→大きさ・形→仲間(fruit / animal)」の順に、だんだん答えに近づける。
  4. 答え方のルール:わかったら挙手。答えは It's a/an ... の形で。正解でも不正解でも "Good guess!" と受け止める。
  5. 全体で確認:正解の絵を見せ、全員で "What's this?" "It's an apple." を2回。
  6. 出題者になる:お題は、手順2で確認した絵カードから1つ選ぶ(知らない語のお題は、相手も自分も当てられないため)。ワークシートに影を描き、語群からヒントに使う語を3つ選ぶ。3・4年生には書かせず、語群の語に丸をつけるだけでよい(外国語活動では書く技能の習得は目的にせず、文字は音声でのやり取りを助ける範囲で扱うため)。語群の語には色見本や形・動物・果物の絵を添え、先生が1語ずつ発音しながら指さしてから選ばせる。
  7. 出し合う:ペアで出題→交代。早く終わったペアは、となりのペアとも出し合う。最後に2〜3人に前で出題してもらう。
🗣️先生の英語(そのまま使える)
TLook at this. What's this?
SEhh? Kuma?
TGood guess! Here is a hint. It's big.
THint 2. It's gray. Hint 3. It has a long nose.
SElephant!
TCan you say, "It's an elephant"?
SIt's an elephant!
TThat's right! Let's check. Ta-da!
TEveryone, "What's this?" ... "It's an elephant."
TNow it's your turn. Draw a silhouette. Choose three hints.
TAsk your friend, "What's this?"
SHint, please!
🏫そのまま使える素材

お題とヒント(3つで当たるように並べています)

  1. apple ― It's red. It's round. It's a fruit.
  2. banana ― It's yellow. It's long. Monkeys like it.
  3. elephant ― It's big. It's gray. It has a long nose.
  4. rabbit ― It's white. It has long ears. It likes carrots.
  5. umbrella ― It's long. It opens and closes. We use it on rainy days.
  6. pencil ― It's long and thin. We use it at school. We write with it.
  7. cat ― It's small. It has whiskers. It says "meow."
  8. tomato ― It's red. It's round. It's a vegetable.
  9. soccer ball ― It's round. It's black and white. We kick it.
  10. octopus ― It lives in the sea. It has a soft body. It has eight arms.
  11. star ― It's yellow. It's in the sky. We see it at night.
  12. ice cream ― It's cold. It's sweet. We eat it in summer.

むずかしさの調整

  • やさしい:影の形がはっきりしたもの(バナナ・星)。ヒントは色だけでも当たる。
  • ふつう:形が似ているもの(りんご・トマト・ボール)を並べ、ヒントで区別させる。
  • むずかしい:影を一部だけ見せる(ゾウの鼻だけ)/ヒントを英語の文で2つ以上聞かないと決まらないものにする。
🔁アレンジ
  • 小学校3・4年:答えは単語だけでもOK。先生が It's a/an ... の文にして言い直して聞かせる(言わせることを急がない)。
  • 小学校5・6年:ヒントに can / have / live を使う(It can fly. It lives in the sea.)。答えを文字カードから選ばせると「読むこと」にもつながる。
  • 中学:三人称単数の練習に。It has ... / It eats ... で説明させ、最後は自分で4文のヒントを書く。
  • 大人数クラス:班対抗。班で相談して1つだけ答えを出す。答えはヒントを全部聞いてから全班いっせいにボードで見せ、正解で1点、聞こえたヒントを1つ英語で言えたらもう1点(早さは点にしない)。
  • 苦手な子が多いクラス:選択肢の絵を3枚黒板に貼っておき、「この中のどれ?」にする。聞くことに集中できる。
  • タブレット:写真アプリで影を作る。玉手箱の絵当てクイズ(タイルめくり)を組み合わせると、影→一部→全体の3段階になる。
📊評価のポイント

外国語活動では評定はつけません。指導要録には、設定した評価の観点を踏まえて、児童の学習状況で顕著な事項などを文章で端的に書きます。下の3観点と表は、授業の中で子どもの様子を観察して記録し、次の指導に生かすためのメモの例です(公式の記録の形式ではありません)。

  • 知識・技能:ヒント(色・大きさ・仲間の語)を聞いて、何のことかわかっている。What's this? / It's a/an ... . を用いて、尋ねたり答えたりすることに慣れ親しんでいる(外国語活動では、定着まで求めない)。
  • 思考・判断・表現:自分のクイズで、相手が当てられるようにヒントの順番や選び方を工夫している。
  • 主体的に学習に取り組む態度:わからないときに Hint, please! と頼んだり、相手の答えに反応したりして、やり取りを続けようとしている。
観察メモ 目安
◎ ヒントを聞いて当て、単語や身振りもまじえながら答え、自分でもヒントを工夫して出題できる
○ ヒントを聞いて当てられる(答えは単語でも可)
△ 絵を見ないとわからない/友だちの答えをまねしている(次は選択肢つきで)
⚠️よくあるつまずきと対処
  • すぐに日本語で叫ぶ子が出る → 日本語の答えも「Good guess!」で受け止め、先生が英語で言い直してから全員でリピート。日本語禁止にしない方が盛り上がりは続きます。
  • 1つ目のヒントで当たってしまう → ヒントの順番を「あいまい→決め手」に並べ替える。最初は色だけ、決め手(a long nose)は最後。
  • 影が下手で、ペアのクイズが当たらない → 「ヒントで当てられればOK」と伝える。絵より英語のヒントが主役です。
  • 同じ子ばかり答える → 列ごと・班ごとに答える順番を決める。ペアで相談してから一斉に指で示す方式にしてもよい。
  • ヒントの英語がむずかしすぎる → It's + 色・形・大きさ と、仲間の語(fruit / animal)だけに絞ると、果物や動物などの身近なお題なら出題できます。物まで広げるときは It has ... / It can ... / It lives in ... / We use it ... の型も用意します。
🔬なぜ効く?

学習指導要領の外国語活動(3・4年)では、聞くことの言語活動の例として「身近な人や身の回りの物に関する簡単な語句や基本的な表現を聞いて、それらを表すイラストや写真などと結び付ける活動」が挙げられています。話すこと[やり取り]でも、サポートを受けながら身の回りの物について質問したり答えたりすることが目標です 1。シルエットクイズは、この2つを「当てたい」という気持ちでつないだ活動です。

研究の手がかりもあります。英語を学び始めたばかりの6歳の子ども15人に、聞いて動く(listen-and-do)タスクを5週間くり返した研究では、話すことを求めなかったのに、子どもたちは自分から積極的にやり取りに加わり、語彙は「聞いてわかる」だけでなく「言える」力まで伸び、比較のグループを上回りました 2。日本の6〜8歳を対象に、聞いて動くインプット型と言わせる産出型の指導を比べた研究でも、効果は同じくらいで、インプット型の方がやり取りが豊かでした 3。これらは発話を求めずに聞いた内容に動作などで応じる課題の研究で、挙手して英語で答えたり出題したりするシルエットクイズ自体を調べた研究ではありませんが、理解中心の活動を組み立てる手がかりになります。

「たくさん言わせないと言えるようにならない」と思いがちですが、初心者の段階では、答えを知りたくて必死に聞く時間そのものが、言える語の土台になります。英語をほとんど知らない子どもでも、このような「聞いて動く・答える」タスクならタスク中心の指導ができる、という整理もあります 4。ただし上の研究はどれも少人数なので、「聞くだけで十分」と言い切れるわけではありません。最後に子どもが出題する段階を入れているのはそのためです。

❓ よくある質問

Q. シルエットクイズは、どう進めますか?

答えになる語を絵カードで先に確認してから、影を1枚ずつ出し、"What's this? Hint 1. It's red." のように英語のヒントを1つずつ足します。わかったら挙手して It's a/an ... . で答えます。最後は子どもが自分のクイズを作って、ペアで出し合います。

Q. 影カードは、どう作ればいいですか?

絵カードを黒く塗りつぶすか、画像の背景を消して形を黒く塗る、または輪郭に沿って黒く塗りつぶせば、数分で作れます。電子黒板なら、絵の輪郭に合わせた黒い図形を重ねます。6〜8枚用意しておきます。

Q. ヒントは、どんな順番で出せばいいですか?

「色→大きさ・形→仲間(fruit / animal)」の順に、あいまいなものから決め手へと並べます。1つ目のヒントで当たってしまうときは、決め手(a long nose など)を最後に回します。It's+色・形・大きさと仲間の語だけで、果物や動物などの身近なお題なら出題できます(物まで広げるときは It has ... / We use it ... なども用意します)。

Q. すぐに日本語で答えを叫ぶ子がいます。

日本語の答えも "Good guess!" で受け止め、先生が英語で言い直してから全員でリピートします。日本語禁止にしない方が、盛り上がりは続きます。同じ子ばかり答えるときは、列や班ごとに答える順番を決めます。

Q. 聞いて当てるだけで、英語が言えるようになりますか?

英語を学び始めた6歳の子ども15人に、発話を求めずに聞いて動く(listen-and-do)タスクを5週間くり返した研究では、話すことを求めなかったのに、「言える」語彙まで伸びました 2。ただ少人数の研究なので、最後に子どもが出題する段階も入れています。

🎁 玉手箱で使えるツール

原田英語の「英語の先生の玉手箱」の無料ツール。登録なしで授業にそのまま使えます。

📑 出典(4件)

本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。

  1. 文部科学省 (2017). 小学校学習指導要領(平成29年告示) 公式ページ ✔ リンク確認済小学校の学習指導要領。外国語活動(3・4年)と外国語科(5・6年)の目標・内容を示している
  2. Shintani, N. (2012). Input-based tasks and the acquisition of vocabulary and grammar: A process-product study. Language Teaching Research, 16(2), 253-279. doi:10.1177/1362168811431378 ✔ DOI照合済6歳の初学者15人。聞いて動く(listen-and-do)タスクで、言わせなくても語彙と複数形 -s の理解が伸び、自然なやり取りも生まれた
  3. Shintani, N. (2011). A comparative study of the effects of input-based and production-based instruction on vocabulary acquisition by young EFL learners. Language Teaching Research, 15(2), 137-158. doi:10.1177/1362168810388692 ✔ DOI照合済日本の6〜8歳36人。聞いて動くインプット型と言わせる産出型の語彙指導を比べ、どちらも効果。インプット型の方がやり取りが豊か
  4. Ellis, R. (2020). Task-based language teaching for beginner-level young learners. Language Teaching for Young Learners, 2(1), 4-27. doi:10.1075/ltyl.19005.ell ✔ DOI照合済初心者の子どもには「聞いて動く」インプット型タスクでTBLTができると論じた論文

最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら