bring は「持ってくる」、up は「上へ」。まだ低いところにいるものを、手をかけて上へ運ぶ。
背丈を思ってください。生まれたばかりの子は、大人の腰にも届かない。それを何年もかけて、目線の高さまで運び上げる。その長い労力が bring up の中に入っています。
raise も「育てる」ですが、こちらは持ち上げる動作そのもの。bring up には運び手が一緒に歩いている感じが残ります。だから「誰に育てられたか」を語る文で、英語はこの語を選びます。
そして話題も同じです。テーブルの下に沈んでいた話を、みんなの見えるところまで運び上げる。それが「(話題を)持ち出す」です。
進路のこと。本当は話したいのに、夕飯の席でずっと言い出せずにいる。話題は、テーブルの下に沈んだままです。
意を決して口に出す。沈んでいた話が、全員の見えるところまで上がってくる。これが bring it up です。
Don't bring that up. と言われたら、それは「その話を、また上に出さないで」。英語では、話題は物のように上げ下げされます。この感覚が分かると、会話文の問題で人の気持ちが読めるようになります。
なぜこの意味になるのか
bring は「(自分のところへ)連れてくる」、up は「上へ」。子どもを一人前の大きさへ「連れ上げていく」。それが bring up の絵です。②の「話題を持ち出す」も同じ発想。会話の水面下にあった話を、みんなに見えるところまで up、つまり浮き上がらせる、というイメージです。育てるも話題も、「下から上へ運ぶ」動作なのです。
使うときの注意・使い分け
- ①は「手をかけて育てる」で、対象は人。動物や作物なら raise。②は会議や会話で「話に出す」で、raise a question も同じ意味ですが、bring up のほうがくだけた口語です。入試長文では②の意味で出て、①しか知らない受験生を振り落としにきます。
例文で確かめる
She was brought up by her grandparents in a small village.
彼女は小さな村で祖父母に育てられた。
Please don't bring up that subject in front of the kids.
子どもたちの前でその話題を持ち出さないでください。
発音・リズム
bring UP と up にはっきり強勢。「ブリンガップ」と2語をつなげて一息で。会話では bring ' em up(彼らを育てる)のように them の音が短くなることも。
入試での出方と、外し方
- こう問われる
- ①下線部 bring up の意味を、育てる/持ち出す のどちらかで選ばせる形。②言い換えで raise を選ばせる形。③受け身 be brought up in ~(〜で育つ)の形。
- ここで外す
- 目的語が人なら『育てる』、話題なら『持ち出す』という切り分けを持っていないと、長文で He brought up the subject again. を「その話題を育てた」と読んでしまいます。受け身 I was brought up in Osaka. を「連れてこられた」と読む誤答も定番です。
- 決め手
- 目的語が人なら育てる。目的語が話・問題・名前なら持ち出す。この一点だけで両方さばけます。
I was brought up in a small fishing town.
- 誤答
- 私は小さな漁村に連れてこられた
- 正答
- 私は小さな漁村で育った
読み方が変わる
Before
bring up は「育てる」で覚えていた。会話文で『話題を持ち出す』の意味で出てくると、知らない熟語だと思って飛ばしていた。
After
「低いところから上へ運ぶ」という1つの動きで両方つながる。子どもも話題も、上げるものは同じ。飛ばしていた文が、根拠をもって読める文に変わる。
こぼれ話
受動態(「〜される」の形) be brought up が使えるのは「育てられた」の意味だけで、「話題に出された」の意味では the topic was brought up と主語に注意。ちなみに well brought-up はハイフンでつなぐと形容詞になり「育ちのいい」。 a well brought-up girl と言えるだけで、少しだけ英語が大人びます。
似た表現・反対の表現
- 似た意味
- raiserearmention
bring up を教室で使う(5分)
ねらい: 1つの句動詞が、目的語によって意味を変えることを体験させる。
- 板書は2つの目的語だけ。「bring up + a child / a problem」
- 「同じ bring up。どう訳す?」と投げ、ペアで30秒。目的語が違うだけで訳が変わることに、自分で気づかせる。
- 共通点を1行にまとめさせる。『下から上へ運ぶ』が出れば成功。教師が先に言わない。
- 最後に I was brought up in ___ . の空所を埋めて全員に1回言わせる。自分の話になった瞬間、この語は残ります。
出口チケット: bring up の意味を決めるのは何か。日本語で1行書きなさい。
AIに貼ると、この表現があなたの生活の中の文になって返ってきます。
あなたは大学入試の英語講師です。イディオム「bring up」の2つの用法(人を育てる/話題を持ち出す)を、私が目的語から判断できるようにしてください。条件:①両方が出てくる会話文(英語100語程度・日本語訳つき)を作る ②どちらの用法かを問う設問を4問、各問の解説で必ず目的語に触れる ③受け身 be brought up の形を1回入れる ④最後に、bring up と raise と grow up の違いを表で整理してください。