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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
IDIOMS 第2回 標準 読了 6分

「育てる」に体温が宿る bring up — 今日のイディオム5つ

入試に出るイディオム 第2回

bring up は「育てる」だけでは足りません。raise が中立的に「上向きに伸ばす」のに対し、bring up は「そばに置き、日々かかわって上に運ぶ」——手ざわりのある育児の言葉です。ほか turn down / make up / run out of / carry out を、語源・記憶フック・音の連結まで音声つきで。

監修:原田高志(原田英語.com)

今日の5つも、また基本動詞の句動詞です。「基本動詞は簡単だから後回し」と考えて、じつは受験生を最後まで苦しめる敵——それがこの層です。今日も一つひとつ、「なぜその意味になるのか」から入ります。理屈が見えれば、あとは思い出すだけになります。

音で学ぶ

ネイティブ音声で、聞く・くり返す・訳を確かめる。全部この場でできます。

速さ・和訳・練習の設定

読む速さ

聞き取れないときは 0.75x へ。音はそのまま、速さだけ変わります

和訳

ふだんは英文だけ。1文ずつ確かめたいときは、その文の「和訳」を押すと、そこだけ開きます

シャドーイング

オンにして文を押すと、同じ1文を3回くり返します。あいだの無音で、自分の口を動かしてください

bring up

ブリング・アップ

①(子どもを)育てる ②(話題を)持ち出す

なぜこの意味になる? bring は「(自分のところへ)連れてくる」、up は「上へ」。子どもを一人前の大きさへ「連れ上げていく」——それが bring up の絵です。②の「話題を持ち出す」も同じ発想。会話の水面下にあった話を、みんなに見えるところまで up、つまり浮き上がらせる、というイメージです。育てるも話題も、「下から上へ運ぶ」動作なのです。

bring(連れてくる)+ up(上へ)= 子どもを大人の高さまで運ぶ/話を水面まで浮かべる。

こう使う

She was brought up by her grandparents in a small village.

彼女は小さな村で祖父母に育てられた。

Please don't bring up that subject in front of the kids.

子どもたちの前でその話題を持ち出さないでください。

発音:bring UP と up にはっきり強勢。「ブリンガップ」と2語をつなげて一息で。会話では bring ' em up(彼らを育てる)のように them の音が短くなることも。

こぼれ話 — 受動態 be brought up が使えるのは「育てられた」の意味だけで、「話題に出された」の意味では the topic was brought up と主語に注意。ちなみに well brought-up はハイフンでつなぐと形容詞になり「育ちのいい」—— a well brought-up girl と言えるだけで、少しだけ英語が大人びます

bring up をもっと深く

turn down

ターン・ダウン

①(申し出・依頼を)断る ②(音量・温度を)下げる

なぜこの意味になる? turn は「回す・向きを変える」、down は「下へ」。①はどこから来たか——一説にはトランプ遊びに由来し、配られたカードを気に入らず裏返して伏せる(turn down)動作から「拒む」の意味になったと言われます。差し出されたものを、そっと下向きに返す——断り方の絵として妙に納得のいく由来です。②はもちろん、昔のダイヤル式ラジオでつまみを下方向に回した動作そのもの。

turn down = 差し出されたカードを裏返して伏せる。強く突き返すのではなく、そっと下向きに置く「上品な no」。

こう使う

She turned down the job offer after much thought.

彼女はよく考えた末、その仕事の申し出を断った。

Can you turn down the music? I'm on the phone.

音楽の音量を下げてくれる?電話中なんだ。

発音:turn DOWN と down に強勢。「ターンダウン」よりも「ターンダーウン」と down を少し引きずるほうが自然です。turn it down のように目的語が代名詞のときは、必ず turn と down のあいだに入れます。

こぼれ話 — ホテル業界の turndown service(ターンダウン・サービス)は、夕方に部屋を整えベッドカバーをめくって(turn down)寝る準備をしておくサービスのこと。「断る」ではなく②の方の意味です。「断りサービス」だと思ってしまう人が意外と多い、外資系ホテルの英語小話です。

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make up

メイク・アップ

①化粧する ②でっち上げる ③埋め合わせる ④仲直りする ⑤構成する

なぜこの意味になる? make は「作る」、up は「完成の方へ・すっかり」。up は「上へ」だけでなく「〜し切る」の完成のマーカーでもあります(eat up=食べ切る、fill up=満たし切る)。だから make up は「作り切って一つの形にする」。顔を仕上げるのが化粧、話を仕上げるのがでっち上げ、欠損を仕上げるのが埋め合わせ——芯は動いていないのです。

make up =「無い状態から作り上げる」。顔・話・埋め合わせ・仲直り・構成——全部この一言で。

こう使う

I'll make up for the time I missed by working this weekend.

休んだ時間は今週末働いて埋め合わせます。

Women make up nearly half of the workforce in this company.

この会社の従業員のほぼ半分は女性が占めている。

発音:make UP と up に強勢。ただし名詞の makeup(化粧・構成)は前寄りに MAKE-up。==動詞は後ろ・名詞は前==という英語のアクセント規則の代表例です。

こぼれ話 — make-up class は「補講」——授業を1回休んだぶんを「作り足す」授業。海外の大学のシラバスに頻出する語なので、留学準備で覚えておくと得。ちなみに「メイクアップした顔」の意味で makeup を数えられる名詞のように a makeup とは言えません。無冠詞・不可算です。

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run out of

ラン・アウト・オブ

〜を使い果たす、〜が切れる

なぜこの意味になる? run はもともと「勢いよく進む」、out of は「〜の中から外へ」。「(供給が)中身から外へ走り出て、袋が空になる」——それが run out of の絵です。時間・お金・ガソリン・アイデア……入れ物の中身が「走り去っていく」感覚が主語の run に残っています。時間に追われる感覚を、英語は「時間が走って外に出ていく」と表現するわけです。

run(走る)+ out(外へ)+ of(〜から)= 中身が走って外へ逃げていく。気づいたら空。

こう使う

We're running out of milk. Can you buy some on your way home?

牛乳が切れかけている。帰りに買ってきてくれる?

Time is running out — we need to make a decision now.

時間がなくなってきている——今決めないと。

発音:3語をひとかたまりで RUN-out-of。run に強勢、out of は「アウタヴ」と弱く速く。会話では I'm running out of time.(時間がなくなってきた)と進行形で使うことがとても多く、リスニングでの頻出フレーズです。

こぼれ話 — 受動態の be run out of には「(人が)追い出される」というまったく別の意味があるので注意。He was run out of town.(彼は町から追い出された)。同じ形なのに主語が変わると意味が別物——この二重生活は英語のあちこちに潜んでいて、辞書を引く癖の大切さを教えてくれる句動詞のひとつです。

run out of をもっと深く

carry out

キャリー・アウト

(計画・命令・実験などを)実行する、遂行する

なぜこの意味になる? carry は「運ぶ」、out は「外へ・完了まで」。設計図や指示書のなかにあったものを、現実世界へ「運び出す」——carry out のイメージはそれに尽きます。out には「外へ」の空間的な意味と「〜し切る(完遂)」の意味の両方があり、carry out はそのどちらも同時に効いています。「運び出して、やり切る」の二重の out です。

carry(運ぶ)+ out(外へ・最後まで)= 紙のうえのプランを現場まで運び、最後までやり切る。

こう使う

The team carried out a series of experiments over three months.

チームは3か月にわたって一連の実験を行った。

It is our duty to carry out the plan as agreed.

合意された通りにその計画を遂行するのが私たちの務めだ。

発音:carry OUT と out に強勢。「キャリアウト」と2語をつなげて。アメリカの飲食店で見る carry-out はハイフンでつなぐと名詞で「持ち帰り(=takeout)」の意味に。==同じ2語で「実行する」と「持ち帰り」——文脈次第==という句動詞の性格がよく出ています。

こぼれ話 — carry out an experiment(実験を行う)、carry out a survey(調査を実施する)、carry out one's duty(職務を果たす)と、名詞と組み合わせるコロケーションが決まっているのが特徴。論文やビジネスメールでは do より carry out を選ぶだけで、一段フォーマルに聞こえます。TOEIC・英作文でも重宝する一語です。

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よくある質問

bring up と raise はどう違いますか?

raise は「上に伸ばす・上げる」の一般語で、子育てにも家畜の飼育にも野菜の栽培にも使えます。bring up は人(とくに子ども)に限定され、「そばに置いて手をかけて育てる」という日常のかかわりが強く出ます。同じ「育てる」でも、raise は年輪、bring up は毎日のご飯——そんな距離感の違いです。

make up は意味が多すぎて覚えられません。どう整理すればいいですか?

「無い状態から作り上げる」がすべての中心です。①化粧をする=顔を作る、②話をでっち上げる=話を作る、③埋め合わせる=欠けた分を作る、④仲直りする=壊れた関係を作り直す、⑤構成する=全体を作っている。「make(作る)+ up(完成の方へ)」で全部つながっていると押さえれば、意味の枝分かれが暗記から理解に変わります。