太陽の最期は「巨大な結晶」? 白色矮星が固まっていく証拠を衛星ガイアが見つけた

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太陽はいつか、中心から固まって結晶のようになると考えられている
太陽は白色矮星になったあと冷え、炭素と酸素が中心から結晶化すると考えられている。
- 対象
- 近くの白色矮星
- 規模
- 約1万5000個
- 研究の種類
- 衛星ガイアの観測データ解析
- 確かさ
- ★★★★☆
太陽のような星は最後に白色矮星になり、冷えるとともに中心から「結晶」に固まっていく。2019年、衛星ガイアのデータで、その証拠が、約1万5000個の白色矮星のデータから見つかった。
ひとことで言うと太陽はさいごに小さな星になり、ゆっくり冷えてかたまっていくよ。
太陽は、あと約50億年ほどで燃料を使い果たすと考えられています。そのあと太陽は大きくふくらみ、外側のガスを宇宙へ放り出して、最後には地球くらいの大きさの小さな星だけが残ります。
これが白色矮星(はくしょくわいせい)。そしてこの白色矮星は、長い時間をかけて冷えていくうちに、中心から結晶のように固まっていくと考えられています。
太陽の最期の姿は、宇宙に浮かぶ巨大な結晶玉かもしれないのです。
01白色矮星は「燃えかす」でも、とんでもない
白色矮星は、星の中心に残った燃えかすです。もう核融合はしていません。それでも、生まれた直後はとても熱く、白く光っています。
ポイントはそのぎゅうぎゅう具合。太陽くらいの重さが、地球くらいの大きさに押しこめられているので、角砂糖1個ぶんでトン単位の重さになるほどの超高密度です。
太陽の白色矮星の中心は、おもに炭素と酸素でできていると考えられています。燃料が尽きた白色矮星は、あとはひたすら冷めていくだけです。
02冷めると「凍る」——60年前の予言
1960年代、理論家たちは「白色矮星が十分に冷えると、中の炭素や酸素が規則正しく並んで固まる(結晶化する)はずだ」と予言しました。
水が凍るときに熱を出す(潜熱)のと同じように、結晶化するときにも熱が出ます。そのぶん、白色矮星は冷めるのが一時的に遅くなるはずです。

03ガイアが見つけた「渋滞」
この予言を、たくさんの星で確かめたのが、ヨーロッパの位置天文衛星ガイアです。ガイアは、星までの距離をとても正確に測ることができます。
研究チームによると、私たちの太陽も、約100億年後には結晶化した白色矮星になると考えられています。
04どんでん返し:「ダイヤモンドの星」は言いすぎだった?
白色矮星の結晶化は、以前から別の方法でも探されてきました。
2004年、アメリカのメトカーフらは、星の明るさの細かいゆらぎ(星の「振動」)から、ケンタウルス座の白色矮星BPM 37093の中身を調べ、「重さの約9割が結晶化している」と報告しました。炭素の結晶、つまり「宇宙のダイヤモンド」としてニュースになった星です。
ところが翌2005年、カナダのブラサールとフォンテーヌが同じ星を独自のモデルで分析し直し、結晶化しているのは9割よりかなり少なく、おそらく3〜8割程度で、しかも中心の組成がわからないため正確には決められない、と反論しました。振動から内部を探る方法は、仮定によって答えが変わりやすいのです。
さらに2019年には、重い白色矮星の一部が、結晶化だけでは説明できないほど長く冷え残っていることも見つかりました(チェンら)。結晶化の途中で、重い成分が中心へ沈んでいくことで熱が出ているのではないか、などと考えられています。
05まとめ
- 太陽は最後に、地球ほどの大きさの白色矮星になる
- 白色矮星は冷えるにつれて中心から結晶化し、その熱で冷え方が遅くなる
- 衛星ガイアが、約1万5000個の白色矮星の「渋滞」としてその証拠をとらえた
太陽の物語の最終章は、爆発ではなく、静かな「凍結」。何十億年も先の話ですが、宇宙のどこかでは、いまも星がゆっくり結晶になっているのです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn about five billion years, the Sun is expected to use up its fuel, swell up and throw off its outer gas.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
In about five billion years, our Sun will run out of fuel. Later, only a small, very heavy star about the size of Earth will be left. This is called a white dwarf.
A white dwarf slowly cools down. As it cools, its center turns into crystal, a little like water turning into ice. In 2019, the Gaia satellite found evidence of this by studying about 15,000 nearby white dwarfs.
70 words ・ CEFR A2
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約50億年後、私たちの太陽は燃料を使い果たします。その後、地球くらいの大きさの、小さくてとても重い星だけが残ります。これは白色矮星と呼ばれます。
白色矮星はゆっくりと冷えていきます。冷えるにつれて、水が氷になるのに少し似て、その中心が結晶になっていきます。2019年、衛星ガイアのデータで近くにある約1万5000個の白色矮星を調べ、この証拠を見つけました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
太陽が燃料を使い果たして白色矮星になり、結晶化していくという「太陽の最期」の話なので C。
Q2. How big is a white dwarf?
a small, very heavy star about the size of Earth とあるので A。
Q3. In this passage, "run out of" means ...
run out of fuel は「燃料を使い果たす」。何も残っていない状態になるので D。
In about five billion years, the Sun is expected to use up its fuel, swell up and throw off its outer gas. What remains will be a white dwarf, a dead star about the size of Earth but extremely dense. White dwarfs no longer produce energy, so they simply cool down over time.
In the 1960s, scientists predicted that as a white dwarf cools, the carbon and oxygen inside it should freeze into a crystal. Freezing releases heat, so cooling should slow down for a while. In 2019, a team in the UK used data from the Gaia satellite to study about 15,000 nearby white dwarfs. They found many stars "stuck" at a certain brightness and color, just as the theory predicted.
122 words ・ CEFR B1
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約50億年後、太陽は燃料を使い果たし、ふくらんで外側のガスを放り出すと予想されています。あとに残るのは白色矮星です。地球くらいの大きさなのに、とてつもなく密度の高い、死んだ星です。
白色矮星はもうエネルギーを生み出さないので、時間とともにただ冷えていきます。1960年代、科学者たちは、白色矮星が冷えるにつれて中の炭素と酸素が凍って結晶になるはずだと予言しました。凍るときには熱が出るので、冷え方はしばらく遅くなるはずです。2019年、イギリスのチームは衛星ガイアのデータを使い、近くにある約1万5000個の白色矮星を調べました。すると、理論の予言どおり、多くの星がある明るさと色のところで「足止め」されていることが分かりました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
白色矮星が冷えて結晶化するという予言と、それをガイアで確かめた話なので B。
Q2. Why should a white dwarf's cooling slow down for a while?
Freezing releases heat, so cooling should slow down for a while. とあるので D。
Q3. Why does the writer put "stuck" in quotation marks?
結晶化の熱で冷え方が遅くなり、同じ明るさ・色に長くとどまっている様子を比喩的に「足止め」と表しているので A。
Roughly five billion years from now, the Sun is expected to exhaust its fuel, expand and shed its outer layers, leaving behind a white dwarf: an Earth-sized remnant so dense that a sugar-cube-sized piece would weigh tons. With no nuclear fusion, a white dwarf simply radiates away its stored heat. Theorists predicted in the 1960s that its carbon-oxygen core should eventually crystallize, releasing latent heat that temporarily slows the cooling. In 2019, a team at the University of Warwick tested this using precise distances from the Gaia satellite.
Among about 15,000 white dwarfs within roughly 300 light-years, they found a pile-up at a particular combination of brightness and color, which fits the prediction that crystallization delays cooling, possibly making some stars appear up to two billion years younger. Earlier attempts were less conclusive. A 2004 study of the star BPM 37093, based on its pulsations, claimed it was about 90 percent crystallized, earning it the nickname "diamond star," but a 2005 reanalysis argued the fraction was probably much lower and could not be pinned down. Some massive white dwarfs also cool more slowly than crystallization alone can explain.
188 words ・ CEFR B2
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今からおよそ50億年後、太陽は燃料を使い果たし、ふくらんで外層を脱ぎ捨て、白色矮星をあとに残すと予想されています。白色矮星は地球ほどの大きさの残骸で、角砂糖ほどのかけらでも何トンにもなるほど高密度です。核融合を行わない白色矮星は、たくわえた熱をただ放射して失っていきます。1960年代、理論家たちは、その炭素と酸素の核がやがて結晶化し、潜熱を放出して冷却を一時的に遅らせるはずだと予言しました。2019年、ウォーリック大学のチームは、衛星ガイアによる精密な距離のデータを使ってこれを検証しました。
約300光年以内にある約1万5000個の白色矮星のうち、特定の明るさと色の組み合わせのところに星の「たまり」が見つかりました。これは、結晶化が冷却を遅らせ、一部の星を最大20億年ほど若く見せているかもしれないという予言とよく合います。それ以前の試みは、それほど決定的ではありませんでした。2004年の研究は、BPM 37093という星の振動をもとに、その約9割が結晶化していると主張し、この星は「ダイヤモンドの星」というあだ名で呼ばれましたが、2005年の再解析は、その割合はおそらくずっと低く、正確には決められないと反論しました。さらに、重い白色矮星の中には、結晶化だけでは説明できないほどゆっくり冷えているものもあるのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main idea of the passage?
ガイアのデータが結晶化の予言と合うと述べつつ、BPM 37093 の論争や説明しきれない冷却にも触れているので C。
Q2. What did the Warwick team find in the Gaia data?
they found a pile-up at a particular combination of brightness and color とあるので B。
Q3. Why does the author mention the 2005 reanalysis of BPM 37093?
Earlier attempts were less conclusive の具体例で、振動からの推定(約9割)が再解析で否定され could not be pinned down とされたので D。
重要単語
- white dwarfB2名詞(句)白色矮星The Sun will become a white dwarf.
dwarf は「小人・小型のもの」。複数形は dwarfs(dwarves も見かける)。red giant(赤色巨星)と対で覚える。 - crystallizeC1動詞結晶化するThe core of a white dwarf crystallizes as it cools.
crystal+-ize。比喩で「(考えが)具体化する」の意味もある。My ideas crystallized.。 - pile-upC1名詞積み重なり、たまりScientists found a pile-up of white dwarfs.
pile up(積み重なる)の名詞形。日常では「玉突き事故」の意味でも使う。 - latent heatC1名詞(句)潜熱Crystallization releases latent heat.
latent は「潜在的な、隠れた」。状態が変わるときに出入りする、温度計には表れない熱。 - luminosityC1名詞光度(星が出す光の量)Gaia measured the luminosity of many stars.
lumin-(光)が語源。luminous(光る)、illuminate(照らす)と同じ仲間。 - remnantC1名詞残骸、なごりA white dwarf is the remnant of a star.
remain(残る)と同語源。supernova remnant「超新星残骸」は天文学の定番表現。 - denseB2形容詞密度の高い、濃いA white dwarf is extremely dense.
名詞は density(密度)。dense fog「濃い霧」、densely populated「人口が密集した」。
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- Stars(NASA Science)science.nasa.gov
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太陽は最後、地球くらいの大きさの「白色矮星」になり、冷えるにつれて中心から結晶のように固まっていくらしい。2019年、衛星ガイアのデータで、固まりつつある星の証拠が見つかった。太陽の最期は宇宙の結晶玉。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- Tremblay et al. (2019) Core crystallization and pile-up in the cooling sequence of evolving white dwarfs, Naturedoi.org
- Cheng, Cummings & Ménard (2019) A Cooling Anomaly of High-mass White Dwarfs, The Astrophysical Journaldoi.org
- Metcalfe et al. (2004) Testing White Dwarf Crystallization Theory with Asteroseismology of the Massive Pulsating DA Star BPM 37093, The Astrophysical Journaldoi.org
- Brassard & Fontaine (2005) Asteroseismology of the Crystallized ZZ Ceti Star BPM 37093: A Different View, The Astrophysical Journaldoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。












