宇宙から見た「夜の地球」で、国の豊かさも停電も星空の消失もバレていた

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世界の人口の半分以上は、光害のある空の下で暮らしている
2016年に夜空の明るさの世界地図を作った研究では、80%を超える人が光害のある空の下にいると推定された。
- 対象
- 地球全体の夜間光
- 規模
- 衛星データ数年分+市民の観測5万件規模
- 研究の種類
- 衛星観測・市民科学
- 確かさ
- ★★★★☆
宇宙から撮った夜の地球の明かりは、人口や経済、災害後の停電まで映し出す。人工の光は年々広がり、地上から見える星の数は減り続けている。
ひとことで言うと宇宙から見る夜の光で、人のくらしが丸見えになる!
国際宇宙ステーション(ISS)から見下ろす夜の地球は、まるで光のネックレスです。海岸線にそって街の灯りがつながり、高速道路が光の線になって見えます。
でも、この夜景はただキレイなだけではありません。研究者にとっては、人間の活動を映す巨大なデータなのです。
01夜の光は「人がいる場所」の地図
宇宙飛行士は、ISSの窓からたくさんの地球写真を撮っています。NASAはこれを公開しており、誰でも見られます。
さらにNASAなどの気象衛星には、夜の弱い光を測るセンサーがあり、NASAはそのデータから地球全体の夜の明かりを地図にした「ブラックマーブル」という画像を作っています。
光が多い場所=人が多く、電気をたくさん使う場所。だから夜の光は、人口や経済の広がりを推定する手がかりになります。国境の片側だけが真っ暗、という写真が話題になったこともあります。

02停電も、復旧のスピードも見える
夜の光は災害の調査にも使われます。大きなハリケーンや地震のあと、衛星で夜の光を比べると、どの地域で停電が起き、どれくらいで電気が戻ったかが分かります。
NASAのロマン(Román)さんらは2018年、ブラックマーブルのデータの作り方をまとめ、月明かりや雲の影響を取り除いて、こうした変化を追えるようにしたと報告しています。
03人工の光は、毎年広がっている
注目は、衛星では見逃されている光があること。最近増えた白いLEDには青い光が多く含まれますが、この衛星センサーは青い光をほとんど測れません。これが、市民の観測の方が明るさの増え方を大きく示した理由の一つと考えられています。
04世界の8割以上が「光害の空」の下に
イタリアの研究チームのファルキ(Falchi)さんらは2016年、世界の夜空の明るさ地図を作りました。それによると、世界の人口の80%以上が光害のある空の下で暮らし、人類の3分の1以上は天の川を見られないと推定されています。
05写真の色で「街灯の種類」まで分かる
ISSから撮った夜景写真では、街の光の色の違いもよく見えます。昔ながらのオレンジ色のナトリウムランプの街と、白っぽいLEDの街とでは、宇宙からの見え方がまったく違うのです。
宇宙飛行士の写真は色の情報が豊かなので、街灯がLEDに切り替わっていく様子を調べる研究にも使われています。世界中の市民がISSの夜景写真を分類する、市民科学のプロジェクトも行われてきました。
06光害は人だけの問題ではない
夜の明るさは、星空だけでなく、渡り鳥やウミガメの赤ちゃん、昆虫など、夜に活動する生き物にも影響すると指摘されています。必要な場所を、必要な明るさで、必要な時間だけ照らす。そんな工夫が世界で広がっています。
07まとめ
宇宙から見た夜の地球は、人間の暮らしの記録帳でした。そこには、豊かさも、災害も、そして消えていく星空も写っています。
今夜、空を見上げて星をいくつ数えられるか。それも立派な地球観測です。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerEarth at night, seen from the International Space Station, looks like a necklace of lights.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
From space, Earth at night looks like a necklace of lights. These lights are not just beautiful. They show where people live and use a lot of electricity. After a big storm or earthquake, scientists can see which areas lost power.
But there is a problem. Artificial light is spreading every year, and it is getting harder to see stars. More than 80 percent of people live under bright night skies.
71 words ・ CEFR A2
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宇宙から見ると、夜の地球は光のネックレスのように見えます。これらの光はただ美しいだけではありません。人がどこに住み、電気をたくさん使っているかを示しています。大きな嵐や地震のあと、科学者たちはどの地域で停電が起きたかを見ることができます。
しかし、問題があります。人工の光は毎年広がっていて、星を見ることがだんだん難しくなっています。80%を超える人々が、明るい夜空の下で暮らしているのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
宇宙から見た夜の光が何を示すかが主題なので B。
Q2. What can scientists learn after a big storm?
scientists can see which areas lost power とあるので B。
Q3. In the passage, "artificial" light means light that is ...
artificial は「人工の」。星や月の自然の光ではなく、人が作った光なので A。
Earth at night, seen from the International Space Station, looks like a necklace of lights. For researchers, however, these images are also huge sets of data. Because bright areas are places where many people live and use electricity, night lights can be used to estimate population and economic activity. They also show which areas lost power after disasters and how quickly electricity returned.
Studies show that artificial light is spreading. One study found that the lit area of Earth grew by about 2.2 percent a year from 2012 to 2016. Another estimated that more than 80 percent of the world's people live under light-polluted skies, and over one third cannot see the Milky Way.
114 words ・ CEFR B1
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国際宇宙ステーションから見た夜の地球は、光のネックレスのように見えます。しかし研究者にとって、これらの画像は巨大なデータの集まりでもあります。明るい地域は多くの人が住み、電気を使う場所なので、夜の光は人口や経済活動を推定するために使えます。また、災害の後にどの地域で停電が起き、どれくらい早く電気が戻ったかも示します。
研究によると、人工の光は広がっています。ある研究では、2012年から2016年にかけて、地球の照らされている面積が1年に約2.2%ずつ増えたことがわかりました。別の研究では、世界の人々の80%以上が光害のある空の下で暮らし、3分の1以上が天の川を見られないと推定されました。
4択リーディングクイズ
Q1. Why can night lights be used to estimate population?
bright areas are places where many people live and use electricity とあるので A。
Q2. How much did the lit area of Earth grow each year from 2012 to 2016?
the lit area of Earth grew by about 2.2 percent a year from 2012 to 2016 とあるので C。
Q3. What can we infer from the passage?
80%以上が光害の空の下、3分の1以上が天の川を見られない、という数字から、本当に暗い空を見る人は少ないと推論できるので D。
Seen from the International Space Station, Earth at night looks like a necklace of light, with cities tracing coastlines and highways forming glowing threads. For researchers, these images are a vast record of human activity. Weather satellites carry sensors that detect faint light at night, and NASA uses them to build global maps called the Black Marble. Brightness shows where people live and use electricity, so night lights serve as a proxy for population and economic activity.
Comparing images taken before and after a hurricane or earthquake shows where the power failed and how quickly it came back. The same data reveal a worrying trend. A 2017 study found that the artificially lit outdoor area of the planet grew by about 2.2 percent a year between 2012 and 2016. That is probably an underestimate, because the sensors barely detect the blue light given off by modern white LEDs.
A 2023 study used star counts reported by ordinary people around the world from 2011 to 2022 and estimated that sky brightness was increasing by nearly 10 percent a year. Artificial light also disturbs nocturnal animals. According to a 2016 atlas, more than 80 percent of humanity lives under light-polluted skies.
199 words ・ CEFR B2
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国際宇宙ステーションから見ると、夜の地球は光のネックレスのようで、都市が海岸線をなぞり、高速道路が光る糸を形づくっています。研究者にとって、これらの画像は人間の活動の膨大な記録です。気象衛星は夜のかすかな光を検出するセンサーを積んでおり、NASAはそれを使って「ブラックマーブル」と呼ばれる全球の地図を作っています。明るさは人が住み電気を使う場所を示すので、夜の光は人口や経済活動の代わりの指標として役立ちます。
ハリケーンや地震の前後の画像を比べれば、どこで停電が起き、どれくらい早く電気が戻ったかがわかります。同じデータは、気がかりな傾向も示しています。2017年の研究では、2012年から2016年の間に、地球の人工的に照らされた屋外の面積が年に約2.2%ずつ増えたことがわかりました。これはおそらく過小評価です。センサーは、現代の白色LEDが出す青い光をほとんど検出できないからです。
2023年の研究は、2011年から2022年に世界中の一般の人々が報告した星の数を使い、空の明るさが年に10%近く増えていると推定しました。人工の光は夜行性の動物にも害を与えます。2016年の地図によると、人類の80%以上が光害のある空の下で暮らしています。
4択リーディングクイズ
Q1. In the passage, "proxy" is closest in meaning to ...
夜の光が人口や経済活動の「代わりの指標」として使われる文脈なので、proxy は「代理(指標)」。A。
Q2. Why do satellites underestimate the growth of light pollution?
the sensors barely detect the blue light given off by modern white LEDs とあるので C。
Q3. What does the 2023 citizen-science study suggest compared with satellite data?
衛星データでは年約2.2%だが、市民の星の数の報告を使った研究では年10%近い増加と推定され、衛星の数値については That is probably an underestimate とあるので D。
重要単語
- light pollutionB2名詞(句)光害Light pollution hides the stars from city people.
air pollution(大気汚染)、noise pollution(騒音)と同じ型。light-polluted skies のように形容詞化もできる。 - satelliteB1名詞人工衛星A satellite took this image of Earth at night.
「天然の衛星(月など)」も satellite。satellite city は「衛星都市」。 - power outageB2名詞(句)停電The night image showed a huge power outage after the storm.
blackout とも言う。outage は out+-age で「停止」。 - radianceC1名詞放射輝度、明るさThe radiance of city lights increased every year.
形容詞 radiant(光り輝く、晴れやかな)。a radiant smile のようにも使う。 - citizen scienceC1名詞(句)市民科学Citizen science helps researchers count the stars.
一般の人が観測やデータ集めで研究に参加すること。近年の入試長文で人気のテーマ。 - proxyC1名詞代理、代わりの指標Night lights are a proxy for economic activity.
by proxy「代理で」。統計・経済の長文で「直接測れないものの代わりの指標」として頻出。 - nocturnalC1形容詞夜行性のBright lights can confuse nocturnal animals.
ラテン語 nox(夜)から。反対語は diurnal(昼行性の)。
動画でもっと知る
動画は各チャンネルの公式埋め込みで表示しています(YouTube)。
公式・一次情報をチェック
- Night Lights 2012 – The Black Marble(NASA Earth Observatory)science.nasa.gov
- Black Marble project(NASA Earthdata)earthdata.nasa.gov
- Gateway to Astronaut Photography of Earth(NASA JSC)eol.jsc.nasa.gov
このネタ、誰かに教えたくなった?
宇宙から撮った「夜の地球」の写真、ただキレイなだけじゃなかった。都市の広がり、災害後の停電、さらに地上の観測と合わせると、星空が年々見えなくなっていることまで分かるらしい。世界の人の8割以上が「光害」の空の下で暮らしているとか。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- Kyba et al. (2017) Artificially lit surface of Earth at night increasing in radiance and extent, Science Advancesdoi.org
- Falchi et al. (2016) The new world atlas of artificial night sky brightness, Science Advancesdoi.org
- Kyba et al. (2023) Citizen scientists report global rapid reductions in the visibility of stars from 2011 to 2022, Sciencedoi.org
- Román et al. (2018) NASA's Black Marble nighttime lights product suite, Remote Sensing of Environmentdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。











