宇宙・NASAホント

宇宙から見た「夜の地球」で、国の豊かさも停電も星空の消失もバレていた

宇宙から見た「夜の地球」で、国の豊かさも停電も星空の消失もバレていた

読む前に予想してみよう!

世界の人口の半分以上は、光害のある空の下で暮らしている

研究カード(どんな研究?)
対象
地球全体の夜間光
規模
衛星データ数年分+市民の観測5万件規模
研究の種類
衛星観測・市民科学
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

宇宙から撮った夜の地球の明かりは、人口や経済、災害後の停電まで映し出す。人工の光は年々広がり、地上から見える星の数は減り続けている。

ひとことで言うと宇宙から見る夜の光で、人のくらしが丸見えになる!

もくじ
  1. 夜の光は「人がいる場所」の地図
  2. 停電も、復旧のスピードも見える
  3. 人工の光は、毎年広がっている
  4. 世界の8割以上が「光害の空」の下に
  5. 写真の色で「街灯の種類」まで分かる
  6. 光害は人だけの問題ではない
  7. まとめ

国際宇宙ステーション(ISS)から見下ろす夜の地球は、まるで光のネックレスです。海岸線にそって街の灯りがつながり、高速道路が光の線になって見えます。

でも、この夜景はただキレイなだけではありません。研究者にとっては、人間の活動を映す巨大なデータなのです。

01夜の光は「人がいる場所」の地図

宇宙飛行士は、ISSの窓からたくさんの地球写真を撮っています。NASAはこれを公開しており、誰でも見られます。

さらにNASAなどの気象衛星には、夜の弱い光を測るセンサーがあり、NASAはそのデータから地球全体の夜の明かりを地図にした「ブラックマーブル」という画像を作っています。

光が多い場所=人が多く、電気をたくさん使う場所。だから夜の光は、人口や経済の広がりを推定する手がかりになります。国境の片側だけが真っ暗、という写真が話題になったこともあります。

夜の光は、人の暮らしと停電の両方を映し出す
夜の光は、人の暮らしと停電の両方を映し出す

02停電も、復旧のスピードも見える

夜の光は災害の調査にも使われます。大きなハリケーンや地震のあと、衛星で夜の光を比べると、どの地域で停電が起き、どれくらいで電気が戻ったかが分かります。

NASAのロマン(Román)さんらは2018年、ブラックマーブルのデータの作り方をまとめ、月明かりや雲の影響を取り除いて、こうした変化を追えるようにしたと報告しています。

03人工の光は、毎年広がっている

注目は、衛星では見逃されている光があること。最近増えた白いLEDには青い光が多く含まれますが、この衛星センサーは青い光をほとんど測れません。これが、市民の観測の方が明るさの増え方を大きく示した理由の一つと考えられています。

04世界の8割以上が「光害の空」の下に

イタリアの研究チームのファルキ(Falchi)さんらは2016年、世界の夜空の明るさ地図を作りました。それによると、世界の人口の80%以上が光害のある空の下で暮らし、人類の3分の1以上は天の川を見られないと推定されています。

05写真の色で「街灯の種類」まで分かる

ISSから撮った夜景写真では、街の光の色の違いもよく見えます。昔ながらのオレンジ色のナトリウムランプの街と、白っぽいLEDの街とでは、宇宙からの見え方がまったく違うのです。

宇宙飛行士の写真は色の情報が豊かなので、街灯がLEDに切り替わっていく様子を調べる研究にも使われています。世界中の市民がISSの夜景写真を分類する、市民科学のプロジェクトも行われてきました。

06光害は人だけの問題ではない

夜の明るさは、星空だけでなく、渡り鳥やウミガメの赤ちゃん、昆虫など、夜に活動する生き物にも影響すると指摘されています。必要な場所を、必要な明るさで、必要な時間だけ照らす。そんな工夫が世界で広がっています。

07まとめ

宇宙から見た夜の地球は、人間の暮らしの記録帳でした。そこには、豊かさも、災害も、そして消えていく星空も写っています。

今夜、空を見上げて星をいくつ数えられるか。それも立派な地球観測です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerEarth at night, seen from the International Space Station, looks like a necklace of lights. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Earth at night, seen from the International Space Station, looks like a necklace of lights. For researchers, however, these images are also huge sets of data. Because bright areas are places where many people live and use electricity, night lights can be used to estimate population and economic activity. They also show which areas lost power after disasters and how quickly electricity returned.

Studies show that artificial light is spreading. One study found that the lit area of Earth grew by about 2.2 percent a year from 2012 to 2016. Another estimated that more than 80 percent of the world's people live under light-polluted skies, and over one third cannot see the Milky Way.

114 words ・ CEFR B1

和訳を見る

国際宇宙ステーションから見た夜の地球は、光のネックレスのように見えます。しかし研究者にとって、これらの画像は巨大なデータの集まりでもあります。明るい地域は多くの人が住み、電気を使う場所なので、夜の光は人口や経済活動を推定するために使えます。また、災害の後にどの地域で停電が起き、どれくらい早く電気が戻ったかも示します。

研究によると、人工の光は広がっています。ある研究では、2012年から2016年にかけて、地球の照らされている面積が1年に約2.2%ずつ増えたことがわかりました。別の研究では、世界の人々の80%以上が光害のある空の下で暮らし、3分の1以上が天の川を見られないと推定されました。

4択リーディングクイズ

Q1. Why can night lights be used to estimate population?

Q2. How much did the lit area of Earth grow each year from 2012 to 2016?

Q3. What can we infer from the passage?

重要単語

  • light pollutionB2
    名詞(句)光害Light pollution hides the stars from city people. air pollution(大気汚染)、noise pollution(騒音)と同じ型。light-polluted skies のように形容詞化もできる。
  • satelliteB1
    名詞人工衛星A satellite took this image of Earth at night. 「天然の衛星(月など)」も satellite。satellite city は「衛星都市」。
  • power outageB2
    名詞(句)停電The night image showed a huge power outage after the storm. blackout とも言う。outage は out+-age で「停止」。
  • radianceC1
    名詞放射輝度、明るさThe radiance of city lights increased every year. 形容詞 radiant(光り輝く、晴れやかな)。a radiant smile のようにも使う。
  • citizen scienceC1
    名詞(句)市民科学Citizen science helps researchers count the stars. 一般の人が観測やデータ集めで研究に参加すること。近年の入試長文で人気のテーマ。
  • proxyC1
    名詞代理、代わりの指標Night lights are a proxy for economic activity. by proxy「代理で」。統計・経済の長文で「直接測れないものの代わりの指標」として頻出。
  • nocturnalC1
    形容詞夜行性のBright lights can confuse nocturnal animals. ラテン語 nox(夜)から。反対語は diurnal(昼行性の)。

動画でもっと知る

宇宙から撮った「夜の地球」の写真、ただキレイなだけじゃなかった。都市の広がり、災害後の停電、さらに地上の観測と合わせると、星空が年々見えなくなっていることまで分かるらしい。世界の人の8割以上が「光害」の空の下で暮らしているとか。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Kyba et al. (2017) Artificially lit surface of Earth at night increasing in radiance and extent, Science Advancesdoi.org
  2. Falchi et al. (2016) The new world atlas of artificial night sky brightness, Science Advancesdoi.org
  3. Kyba et al. (2023) Citizen scientists report global rapid reductions in the visibility of stars from 2011 to 2022, Sciencedoi.org
  4. Román et al. (2018) NASA's Black Marble nighttime lights product suite, Remote Sensing of Environmentdoi.org