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彗星の尾は「後ろ」じゃなかった。いつも太陽の反対側を向く、2本の尾の秘密

彗星の尾は「後ろ」じゃなかった。いつも太陽の反対側を向く、2本の尾の秘密

読む前に予想してみよう!

彗星の尾は、いつも進んでいる方向の後ろに伸びる

研究カード(どんな研究?)
対象
太陽系の彗星
規模
多数の彗星の観測・探査機
研究の種類
観測研究
確かさ
★★★★★
3秒でわかる

彗星の尾は進む方向の後ろではなく、いつも太陽の反対側を向く。尾は2本あり、ガスの尾は太陽風に、ちりの尾は太陽の光の圧力に押されてできる。

ひとことで言うと彗星のしっぽは、太陽から吹く風でいつも反対側にたなびく!

もくじ
  1. 彗星は「汚れた雪だるま」
  2. 尾は2本ある
  3. 「太陽風」の発見にもつながった
  4. 尾が3本に見えることも
  5. 彗星はどこから来るの?
  6. まとめ

ほうきのような長い尾をなびかせて夜空に現れる彗星。絵本などでは、尾は進む方向の後ろに描かれることが多いですよね。

ところが、本物の彗星は違います。尾はいつも太陽の反対側を向いているのです。だから、太陽から遠ざかっていくときの彗星は、尾を前にして進むこともあります。

01彗星は「汚れた雪だるま」

彗星の本体(核)は、氷とちりが混ざったかたまりです。大きさは数百m〜数十kmほど。よく「汚れた雪だるま」にたとえられます。

太陽から遠いところでは、ただの冷たいかたまり。でも太陽に近づくと、熱で氷が昇華(固体から直接ガスになること)し、ガスとちりが噴き出して、核の周りにぼんやりしたコマができます。そこから尾が伸びていくのです。

02尾は2本ある

どこにいても、尾は太陽の反対側を向く
どこにいても、尾は太陽の反対側を向く

03「太陽風」の発見にもつながった

イオンの尾が、なぜあれほど速く、まっすぐ太陽の反対へ押し流されるのか。これは昔から天文学者の謎でした。光の圧力だけでは、説明がつかなかったのです。

1950年代、ドイツの天文学者ビアマンは、太陽から粒子の流れが絶えず吹き出しているのではないかと考えました。これがのちの太陽風の発見へとつながりました。彗星の尾は、目に見える太陽風の吹き流しだったのです。

04尾が3本に見えることも

2023年に話題になったZTF彗星(C/2022 E3)では、尾が3本あるように見えました。ESAによると、本物の尾はガスとちりの2本だけ。3本目は、地球から見る角度のせいで、ちりの帯が太陽の側へ伸びているように見える「目の錯覚」です。こうした見え方は「アンチテイル」と呼ばれます。

05彗星はどこから来るの?

彗星のふるさとは、太陽系の外側の、とても寒い場所だと考えられています。

  • 周期の短い彗星:海王星の外側に広がるエッジワース・カイパーベルトなどから来ると考えられています。
  • 周期の長い彗星:太陽系をはるか遠くから球の殻のように取り巻くオールトの雲から来ると考えられています。

有名なハレー彗星は、約76年ごとに太陽に近づきます。前回は1986年、次は2061年の予定です。

彗星は、太陽系ができたころの氷やちりを今も残していると考えられています。ESAの探査機ロゼッタは2014〜2016年に、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星を間近で調べ、その素顔を明らかにしました。

彗星が通ったあとに残したちりの帯を、やがて地球が横切ると流星群になります。夜空の流れ星と彗星は、実は親子のような関係なのです。

06まとめ

彗星の尾は、進む方向の後ろではなく、太陽から吹く風と光に押されて、いつも反対側にたなびくものでした。

次に明るい彗星が見えたら、尾の向きをチェック。そこには、目に見えない太陽風が描いた吹き流しがあります。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerA comet's tail does not simply trail behind it. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

A comet's tail does not simply trail behind it. In fact, it always points away from the Sun. When a comet is moving away from the Sun, it may even travel tail first. The main body of a comet, called the nucleus, is a mix of ice and dust, often described as a dirty snowball.

As it nears the Sun, the ice turns directly into gas, and gas and dust stream out. Comets usually have two tails. The ion tail is made of electrically charged gas and is pushed straight away from the Sun by the solar wind. The dust tail is pushed by the pressure of sunlight itself, and because the dust is heavier, this tail gently curves.

119 words ・ CEFR B1

和訳を見る

彗星の尾は、ただ後ろに引きずられているわけではありません。実際には、いつも太陽の反対側を向いています。彗星が太陽から遠ざかっているときは、尾を先にして進むことさえあります。核と呼ばれる彗星の本体は氷とちりがまざったもので、よく「よごれた雪玉」とたとえられます。

太陽に近づくと、氷が直接ガスに変わり、ガスとちりが噴き出します。彗星にはふつう2本の尾があります。イオンの尾は電気を帯びたガスでできていて、太陽風によって太陽の反対側へまっすぐ押されます。ちりの尾は太陽の光そのものの圧力で押され、ちりは重いので、この尾はゆるやかに曲がります。

4択リーディングクイズ

Q1. What can happen when a comet moves away from the Sun?

Q2. What pushes the ion tail?

Q3. Why does the dust tail curve?

重要単語

  • cometB2
    名詞彗星A comet grows a tail when it nears the Sun. ギリシャ語で「長い髪の(星)」が語源。尾を髪にたとえた。asteroid(小惑星)と区別。
  • solar windC1
    名詞(句)太陽風The solar wind pushes the ion tail away from the Sun. solar は「太陽の」(solar panel, solar system)。lunar(月の)とセットで覚える。
  • nucleusC1
    名詞核(彗星の本体)The nucleus of a comet is made of ice and dust. 複数形は nuclei。細胞核・原子核にも使う。形容詞 nuclear。
  • radiation pressureC1
    名詞(句)放射圧(光が物を押す力)Radiation pressure pushes the dust tail. 光にもわずかに「押す力」があることを表す物理用語。radiation は放射。
  • orbitB2
    名詞・動詞軌道/周回するThe comet follows a long, stretched orbit. in orbit「軌道上で」。The Moon orbits the Earth. のように動詞でも使う。
  • exertC1
    動詞(力・影響を)及ぼすSunlight exerts pressure on dust grains. exert pressure / influence on ~「~に圧力・影響を及ぼす」の形で入試頻出。
  • trailB2
    動詞・名詞後ろに引きずる、たなびく/跡A comet's tail does not always trail behind it. 名詞では「小道、跡」(hiking trail)。動詞では「後を追う、遅れをとる」の意味もある。

動画でもっと知る

彗星の尾は「進む方向の後ろ」に伸びると思ってた。でも実は、いつも太陽の反対側を向くらしい。太陽から遠ざかるときは、尾を前にして進むことも。しかも尾は2本あって、青いガスの尾とクリーム色のちりの尾。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. NASA Space Place: What Is a Comet?spaceplace.nasa.gov
  2. NASA: New Insights on Comet Tails Are Blowing in the Solar Windnasa.gov
  3. ESA: Comet ZTF and its apparent three tailsesa.int
  4. NASA Science: APOD 2005 May 22, The Dust and Ion Tails of Comet Hale-Boppscience.nasa.gov
  5. Price et al. (2019) Fine-scale structure in cometary dust tails I: Analysis of striae in Comet C/2006 P1 (McNaught) through temporal mapping, Icarusdoi.org