地球・歴史・物理

メントスコーラの原理は「化学反応」じゃなかった。1粒に数万〜数十万個ある“泡の種”の物理

メントスコーラの原理は「化学反応」じゃなかった。1粒に数万〜数十万個ある“泡の種”の物理

読む前に予想してみよう!

メントスコーラは、メントスとコーラの成分が化学反応してガスが発生する現象だ

研究カード(どんな研究?)
対象
メントスと炭酸飲料
規模
実験室・野外での複数の測定実験
研究の種類
実験研究
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

メントスコーラが噴き出すのは、メントス表面の微細なデコボコが炭酸の泡の「種」になり、一気に泡が生まれるから。化学反応ではなく物理現象。

ひとことで言うとメントスの表面の小さなデコボコから、泡がいっせいに生まれる!

もくじ
  1. メントスコーラの原理①:コーラは「泡になりたくてたまらない液体」
  2. メントスコーラの原理②:1粒に数万〜数十万個の「泡の種」
  3. なぜ「ダイエットコーラ」がよく噴き出す?
  4. どんでん返し:山の上ほどよく噴き出す
  5. まとめ

コーラにメントスを入れると、泡が噴水のように吹き上がる「メントスコーラ」。その原理を一言でいうと、メントスの表面にある目に見えない小さなデコボコが「泡の種」になり、コーラに溶けていた二酸化炭素が一気に泡になるからです。

ポイントは、これが化学反応ではなく物理現象だということ。メントスとコーラの成分が反応して新しいガスを作っているわけではありません。ガスはもともとコーラの中に、ぎゅうぎゅうに押し込まれていたのです。

しかも研究者たちは、この「おふざけ実験」を本気で測定し、メントス1粒に泡の種がいくつあるかまで見積もっていました。

01メントスコーラの原理①:コーラは「泡になりたくてたまらない液体」

炭酸飲料は、高い圧力をかけて二酸化炭素を溶かし込んだ液体です。フタを開けると圧力が下がり、液体は「本来溶けていられる量」より多くのガスを抱えた状態になります。これを過飽和といいます。

ガスは早く外に出たいのですが、何もない液体の中で泡を新しく作るのは意外と大変。泡が生まれるには、最初の小さな足場が必要なのです。この足場を核形成サイトと呼びます。グラスに注いだ炭酸の泡が、いつも同じ場所から列になって出てくるのは、そこに小さな傷やホコリがあるからです。

02メントスコーラの原理②:1粒に数万〜数十万個の「泡の種」

メントスの表面は、つるつるに見えて実はザラザラ。顕微鏡で見ると細かい穴やくぼみがたくさんあります。

メントスはコーラの中にスッと沈みながら、全身の「泡の種」から一斉に泡を発生させます。泡が泡を呼び、細いペットボトルの口から一気に押し出される――これが噴水の正体です。

メントス表面の小さなくぼみ一つひとつが、泡の生まれる「足場」になる
メントス表面の小さなくぼみ一つひとつが、泡の生まれる「足場」になる

03なぜ「ダイエットコーラ」がよく噴き出す?

よく「ダイエットコーラが一番」と言われます。これにも理由があります。

ダイエット系の飲料に入っている人工甘味料(アスパルテーム)や保存料(安息香酸ナトリウム・カリウム)は、液体の表面張力を下げ、泡ができやすくなると考えられてきました。

ただし2017年の研究では、ショ糖やブドウ糖、クエン酸、香料成分なども噴水を高くすることがわかりました。研究チームは、これらの成分が泡同士がくっついて大きくなるのを邪魔することで、細かい泡がたくさんできて泡の勢いが増すのではないか、と考えています。「表面張力だけ」の単純な話ではなかったのです。

04どんでん返し:山の上ほどよく噴き出す

2020年の研究では、標高の違う場所で実験したところ、気圧が低い高地ほど、出てくる泡の量が多くなることが確かめられました。気圧が低いと泡がふくらみやすいからです。

教室の遊びに見えて、気体の法則・表面科学・泡の物理がぎっしり詰まっている。だからこそ、大学の化学や物理の授業の教材にも使われているのです。

05まとめ

メントスコーラの原理は、「泡になりたいガス」と「泡の足場だらけのメントス」の出会い。化学反応ではなく、表面のデコボコが引き起こす物理現象でした。

次にグラスの炭酸を見るときは、泡がどこから生まれているか観察してみてください。そこにも小さな「泡の種」が隠れています。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe Mentos and cola fountain is a physical process, not a chemical reaction. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The Mentos and cola fountain is a physical process, not a chemical reaction. Soda contains carbon dioxide that was forced into it under high pressure. When the bottle is opened, the liquid holds more gas than it normally could, but bubbles need a small starting point to form. The surface of a Mentos candy looks smooth, yet it is covered with tiny pits.

Researchers estimated that one candy has 50,000 to 300,000 of these bubble starting points. As the candy sinks, bubbles form all over it at the same time and push the soda out. A 2020 study also found that more foam came out at high places, where air pressure is lower.

113 words ・ CEFR B1

和訳を見る

メントスとコーラの噴水は、化学反応ではなく物理的な現象です。炭酸飲料には、高い圧力で押し込まれた二酸化炭素が含まれています。ボトルを開けると、液体はふだん溶けていられる以上のガスを抱えた状態になりますが、泡ができるには小さなきっかけとなる場所が必要です。メントスの表面はなめらかに見えますが、実は小さなくぼみで覆われています。

研究者たちは、メントス1粒にこうした泡のきっかけとなる場所が5万〜30万か所あると推定しました。メントスが沈んでいくと、その全体からいっせいに泡ができ、炭酸飲料を外へ押し出します。2020年の研究では、気圧が低い高地ほど、より多くの泡が出ることもわかりました。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. According to the estimate, how many bubble starting points does one candy have?

Q3. Where would the fountain probably produce the most foam?

重要単語

  • nucleation siteC1
    名詞(句)核形成サイト(泡が生まれる足場)Scratches on a glass can act as nucleation sites. nucleus(核)から nucleation(核ができること)。雲の粒や氷の結晶ができる話にも出てくる。
  • carbon dioxideB1
    名詞(句)二酸化炭素Soda contains a lot of dissolved carbon dioxide. di-(2つの)+oxide(酸化物)。化学式 CO2。carbon emissions「炭素排出」は環境系の長文で頻出。
  • surface tensionB2
    名詞(句)表面張力Soap lowers the surface tension of water. tension は「張り・緊張」。アメンボが水に浮くのも表面張力。tense(張りつめた)と同語源。
  • supersaturatedC1
    形容詞過飽和のAn opened soda is a supersaturated solution. super-(超えて)+saturated(飽和した)。saturated fat「飽和脂肪」の saturated も同じ語。
  • eruptB2
    動詞噴き出すThe soda erupted from the bottle. e-(外へ)+rupt(破れる)。名詞 eruption。火山の噴火が代表例。interrupt, bankrupt も rupt(破る)の仲間。
  • chemical reactionB1
    名詞(句)化学反応The fountain is not caused by a chemical reaction. react(反応する)の名詞形 reaction。physical(物理的な)と chemical(化学的な)の対比で覚える。
メントスコーラが噴き出すのは化学反応じゃなく「物理」だった。メントス1粒の表面には、泡の種になる小さな穴が数万〜数十万個あると見積もった研究も。しかも標高の高い場所ほど泡がたくさん出たらしい。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Coffey (2008) Diet Coke and Mentos: What is really behind this physical reaction?, American Journal of Physicsdoi.org
  2. Kuntzleman et al. (2017) New Demonstrations and New Insights on the Mechanism of the Candy-Cola Soda Geyser, Journal of Chemical Educationdoi.org
  3. Kuntzleman & Johnson (2020) Probing the Mechanism of Bubble Nucleation in and the Effect of Atmospheric Pressure on the Candy–Cola Soda Geyser, Journal of Chemical Educationdoi.org
  4. Kuntzleman & Imhoff (2021) How Many Bubbles Are in the Foam Produced during the Candy-Cola Soda Geyser?, Journal of Chemical Educationdoi.org