原田先生の英語学習法&お役立ちコラム

【高周波の曲を聴くと”英語耳”ができる?】モーツァルト効果とトマティス・メソッドの真実!Nature誌に掲載された「2台のピアノのためのソナタ」の衝撃データから、 言語ごとに異なる”周波数帯”の科学、そして英語耳を鍛える洋楽・クラシック特集まで

🎵 SOUND FREQUENCY × ENGLISH EAR

高周波の曲を聴くと
“英語耳”ができる?
モーツァルト効果
トマティス・メソッドの真実

Nature誌に掲載された「2台のピアノのためのソナタ」の衝撃データから、
言語ごとに異なる”周波数帯”の科学、そして英語耳を鍛える洋楽・クラシック特集まで

「英語が聞き取れないのは、単語を知らないからではない──耳が英語の周波数に合っていないからだ
こんな主張をした一人のフランス人医師がいました。そして1993年、Nature誌に掲載されたモーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ」の研究が世界を騒然とさせます。
音の周波数と脳の関係は、英語学習にどこまで科学的に有効なのか?──最新の研究を総ざらいします。
📖 この記事の内容
  1. Nature誌を騒がせた「2台のピアノのためのソナタ K.448」──モーツァルト効果とは何か
  2. 「言語には固有の周波数がある」──トマティス博士の3つの法則
  3. 日本語と英語、周波数の”絶望的なズレ”──なぜ日本人は英語が聞き取れないのか
  4. トマティス・メソッドの科学的検証──効果はあるのか?
  5. 音楽が第二言語習得を加速する──57研究・3,181名のメタ分析
  6. 「英語耳」を鍛えるクラシック音楽セレクション
  7. 洋楽で英語耳を育てる──科学的に正しい「リスニング・トレーニング曲」15選
  8. 注意!「聴くだけで英語ペラペラ」のウソとホント
  9. まとめ──音を味方につけた者が、英語を制する

1Nature誌を騒がせた「2台のピアノのためのソナタ K.448」──モーツァルト効果とは何か

1993年、科学雑誌Natureにわずか1ページの短報が掲載されました。カリフォルニア大学アーバイン校のフランシス・ラウシャーらによるその論文は、世界中に衝撃を与えます。

モーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448」をたった10分間聴いただけで、空間推論能力がIQ換算で8〜9ポイント向上した──というのです。

🎹 THE ORIGINAL STUDY

Rauscher, Shaw & Ky(1993)Nature, 365, 611

被験者
36名の大学生
実験条件
① モーツァルト K.448を10分聴く ② リラクゼーション音声を10分聴く ③ 無音で10分待つ
結果
モーツァルト群が空間推論テスト(スタンフォード・ビネー式)でIQ換算8〜9ポイント向上。ただし効果は10〜15分で消失

この発見は「モーツァルト効果」としてメディアで爆発的に広まりました。ジョージア州知事は州予算10万5千ドルを投じて新生児全員にクラシック音楽CDを配布する政策を打ち出し、関連CDは飛ぶように売れました。

しかし、科学界の反応はもっと慎重でした。1999年のNature誌では、ハーバード大学のクリス・チャブリスが16研究のメタ分析を実施し、効果は空間推論の特定課題に限定され、当初報告より大幅に小さいことを示しました。さらに別の研究チームは、モーツァルトでなくてもシューベルトやスティーヴン・キングの朗読でも同様の効果が見られ、「楽しい」と感じる刺激なら何でも一時的な認知向上をもたらす可能性があると結論づけています。

🔬

ただし、てんかんへの効果は本物だった──2021年、ダートマス大学の研究チームがNature Scientific Reportsに発表した論文では、K.448が脳のてんかん様放電を有意に減少させることが頭蓋内脳波計で確認されました。被験者の約84%で有意な効果が見られ、しかもこの効果は他の音楽では再現できませんでした(唯一の例外がモーツァルトのピアノソナタ K.545)。楽曲のソナタ形式の構造と、128bpmの一定した16分音符リズムが脳の神経同調を引き起こしている可能性が示唆されています。

つまり「モーツァルトを聴けば頭が良くなる」は神話ですが、特定の音楽が脳に測定可能な影響を与えることは科学的事実です。この知見が、英語学習における「音」の力を考える上での出発点になります。

2「言語には固有の周波数がある」──トマティス博士の3つの法則

モーツァルト効果の何十年も前から、音と言語の関係を研究し続けた先駆者がいました。フランスの耳鼻咽喉科医、アルフレッド・A・トマティス博士(1920-2001)です。

トマティスは1950年代、パリのオペラ歌手たちを治療する中で画期的な発見をしました。

📜 TOMATIS LAWS

トマティスの3法則(1957年フランス科学アカデミー承認)

第1法則:声は耳が聞き取れる周波数しか再現できない
ベネチア出身の歌手たちが「r」を「l」としか発音できなかったのは、ベネチア方言の周波数環境で「r」の音を聞き分ける耳が育たなかったため
第2法則:耳が聞き取れる周波数を変えれば、声もただちに変わる
「電子耳」装置で失われた周波数を補って聴かせると、即座に発音が改善する
第3法則:聴覚訓練を繰り返すことで、変化を永続的にできる
一定期間のトレーニングにより、脳の聴覚回路が恒久的に再編される

トマティスはさらに、フランス語話者、英語話者、ドイツ語話者など多数の母語話者の発話を収集・分析し、各言語に固有の「優勢周波数帯(パスバンド)」が存在することを発見しました。彼はこの周波数帯の違いが、外国語習得の困難さの根本原因であると主張したのです。

言語 優勢周波数帯(Hz) 帯域幅 特徴
日本語 125〜1,500 Hz 狭い(低周波) 母音中心、子音が少ない
イギリス英語 2,000〜12,000 Hz 広い(高周波) 子音が豊富、sibilant音が多い
フランス語 100〜300 / 1,000〜2,000 Hz 狭い(低〜中周波) 鼻母音中心、英語との重なり少
ドイツ語 100〜3,000 Hz 中程度 ガットゥラル音が多い
ロシア語 100〜12,000 Hz 非常に広い スラブ語系は多言語習得に有利

BBCの2019年の特集記事でも、パリの語学学校Sound Senseがトマティス・メソッドを採用し、フランス人ビジネスマンの英語発音改善に「電子耳」を使用していることが紹介されています。

“The voice can only produce the harmonics that the ear is able to perceive.”

「声は、耳が聞き取れる倍音しか再現できない」

── Alfred A. Tomatis(フランスの耳鼻咽喉科医)

3日本語と英語、周波数の”絶望的なズレ”──なぜ日本人は英語が聞き取れないのか

トマティスの理論に基づくと、日本人が英語を聞き取れない最大の理由が見えてきます。日本語の優勢周波数帯(125〜1,500 Hz)と、イギリス英語の優勢周波数帯(2,000〜12,000 Hz)は、ほとんど重なっていないのです。

🇯🇵
日本語の耳
優勢帯域:125〜1,500 Hz
母音5つ(あいうえお)が中心
子音の種類が少なく低周波
高周波の聞き分けが不得意
🇬🇧
イギリス英語の耳
優勢帯域:2,000〜12,000 Hz
s, th, f, v など高周波子音が豊富
帯域幅10,000 Hzと世界最広
高周波の精密な聞き分けが必要

この「周波数のズレ」を実験的に裏付ける研究があります。日本の研究チームが実施した近赤外分光法(NIRS)を使った実験では、2,500〜10,000 Hzの高周波帯域を増幅した英語音声を聴かせたところ、日本語話者の言語処理領域(ブローカ野・BA22)の脳活動が有意に増大しました。特に効果が大きかったのは7,000〜8,500 Hzの帯域で、これはまさに日本語にはほぼ存在しない周波数帯です。

💡

RとLの聞き分けと周波数:日本人が苦手とするRとLの区別も、周波数の問題と深く関係しています。トマティス・メソッドの研究者によると、これらの音素の境界を識別する能力は、母語環境で特定の周波数帯への感受性が失われることで低下します。新生児は全ての言語の音素を弁別できますが、成長とともに母語にない音の識別能力を失っていくのです。

では、この「閉じた耳」を再び「開く」ことは可能なのでしょうか?

4トマティス・メソッドの科学的検証──効果はあるのか?

トマティス・メソッドは世界2,000以上のセンターで実践されていますが、科学的評価はどうなのでしょうか?

✅ ポジティブな研究結果

ギルモアが225名の学習・コミュニケーション障害児を対象に行ったメタ分析(5研究統合)では、言語(効果量 d=0.41)、認知(d=0.30)、心理運動(d=0.32)、社会行動(d=0.31)の各領域で正の効果が確認されました。

またアンティオキア大学のサカリン(2013)の研究では、トマティス・メソッド第1フェーズ(15日間、1日2時間)を受けた児童群が、対照群と比較して処理速度、音韻認識、音読効率において統計的に有意な改善を示しました。

さらに複数の研究が、トマティス介入により外国語学習の所要時間が半分に短縮される可能性を示唆しています。

⚠️ 留意すべき限界

ただし、これらの研究にはいくつかの重要な限界があります。

サンプルサイズが小さい:多くの研究が数十名規模で、大規模なランダム化比較試験が不足している
ランダム割り付けの限界:被験者の無作為割り付けが十分でない研究が多い
健常成人での言語学習効果の直接検証が限定的:多くが学習障害児を対象としており、一般の外国語学習者への効果は推定の域を出ない
🔬

科学的評価の現状:トマティス・メソッドの基本的な前提──「高周波音への曝露が聴覚処理能力を改善し得る」──は、神経可塑性の研究で支持されています。ただし、「言語ごとの固有周波数帯」の概念は、音声学的にはやや単純化されすぎているとする批判もあります。実際の言語音声は単一の周波数帯に収まるものではなく、基本周波数、フォルマント周波数、子音のノイズ成分など多層的な周波数構造を持っています。

5音楽が第二言語習得を加速する──57研究・3,181名のメタ分析

トマティス・メソッドの是非はさておき、「音楽が言語学習を助ける」という主張自体は、近年の大規模研究で強力に支持されています。

2024年に発表された57独立研究・3,181名を統合したメタ分析では、音楽的能力と第二言語習得の間に統計的に有意な正の相関(z = 0.33)が確認されました。この関係は、出版バイアスを考慮した後も維持されていたのです。

📊 META-ANALYSIS

音楽能力 × 第二言語習得の関係(2024, PMC)

知覚面
L2の聞き取り能力との相関 z = 0.35
産出面
L2の発音能力との相関 z = 0.31
声調言語
音楽能力は声調の知覚・産出・分類と特に強く関連

なぜ音楽が言語習得を助けるのでしょうか?パテルのOPERA仮説(2011)は、音楽訓練が言語処理を強化する5つの条件──Overlap(神経回路の重複)、Precision(音楽はより精密な処理を要求)、Emotion(情動的関与)、Repetition(反復)、Attention(注意)──を提唱しています。

さらに注目すべき研究があります。シェーンら(2008)は、歌の中に埋め込まれた人工言語の構造を、通常の発話で聴かせるよりも歌で聴かせた方が有意に速く学習できたことを示しました。音楽のメロディとリズムが、言語の音韻パターンの学習を促進する「足場(scaffold)」として機能しているのです。

💡

ルトケら(2013)の研究では、「聴いて歌う」方式の学習が、わずか15分で外国語フレーズの逐語記憶を促進することが示されました。この効果は音楽のトレーニング歴に関係なく生じたため、特別な音楽的才能がなくても音楽を活用した言語学習の恩恵を受けられることがわかります。

6「英語耳」を鍛えるクラシック音楽セレクション

トマティス・メソッドでは、モーツァルトの楽曲が中核的に使用されます。これは偶然ではありません。モーツァルトの音楽は高周波の倍音が豊富で、明瞭な構造と予測可能な展開を持つため、脳の聴覚処理系を効率的に刺激するとされています。

ここでは、科学的知見に基づいた「英語耳トレーニング」に適したクラシック音楽をご紹介します。

🎻 CLASSICAL SELECTION
🥇 モーツァルト「2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448」
Nature誌研究の主役。ピアノの高音域が豊富で、128bpmの一定リズムが脳の神経同調を促進。てんかん治療でも唯一再現可能な効果を持つ特別な楽曲。高周波成分が非常に豊か
🥈 モーツァルト「ピアノソナタ ハ長調 K.545」
K.448以外で唯一、抗てんかん効果が再現された楽曲。明快な旋律と規則的な構造が特徴で、初心者にも聴きやすい「トルコ行進曲」のようなキャッチーさ。
🎵 モーツァルト「ヴァイオリン協奏曲 第3番〜第5番」
ヴァイオリンの倍音は4,000〜10,000 Hzに及び、英語の子音帯域と重なるため聴覚訓練に最適。トマティス・センターでも頻繁に使用される。
🎵 バッハ「ブランデンブルク協奏曲」
反復的で構造的な旋律パターンはモーツァルトと同様に空間認知能力の向上と関連。特にフルート・オーボエ等の高音管楽器パートが高周波帯域を刺激。
🎵 ヴィヴァルディ「四季」
ヴァイオリン独奏が豊富な高周波倍音を含み、テンポの変化が脳に「驚き」を与え注意を持続させる。BGM的に聴くよりも、能動的に旋律を追う聴き方が効果的。

聴き方のポイント:トマティス・メソッドの知見によると、高周波成分をより効果的に受け取るには骨伝導も重要です。通常のイヤホンに加え、骨伝導ヘッドホンの使用や、スピーカーの高音域を少し強調する設定も試してみてください。ただし、音量を上げすぎると聴覚を損傷するリスクがあるので注意が必要です。

7洋楽で英語耳を育てる──科学的に正しい「リスニング・トレーニング曲」15選

クラシック音楽による高周波トレーニングに加えて、英語の歌詞がある洋楽はさらに直接的な英語耳トレーニングになります。研究が示す「効果的な洋楽学習」の条件は以下の3つです。

🎯
条件①:発音が明瞭であること──歌手の発音がクリアで、歌詞が聞き取れる楽曲
🔁
条件②:反復があること──サビの繰り返しは自然なスペースド・リピティション効果を持つ
❤️
条件③:好きな曲であること──情動的関与が記憶の符号化と定着を促進する(OPERA仮説)
🎤 ENGLISH EAR PLAYLIST

🔰 初級者向け(ゆっくり・明瞭・シンプル)

1. “Hello” – Adele|テンポが遅く、一語一語がはっきり聞こえる。感情表現が豊かでイントネーション学習に最適
2. “Let It Be” – The Beatles|サビの反復が多く、基本語彙で構成。ブリティッシュ・アクセントの入門に
3. “Count on Me” – Bruno Mars|日常会話レベルの語彙。ポジティブなメッセージで学習モチベーションUP
4. “Stand By Me” – Ben E. King|わずか73のユニーク単語。反復構造の王道
5. “All You Need Is Love” – The Beatles|タイトルの繰り返しだけで英語のリズムが体に染みこむ

📈 中級者向け(自然な速度・日常表現・スラング)

6. “Shape of You” – Ed Sheeran|現代的な口語表現が豊富。ブリティッシュ・アクセントの明瞭な発音
7. “Happy” – Pharrell Williams|比較的シンプルな歌詞ながら自然な英語リズム。高周波のクラッピング音がアクセント
8. “Someone Like You” – Adele|感情的なストーリーテリングで文脈理解力を鍛える
9. “The Lazy Song” – Bruno Mars|英語スラング満載(birthday suit, kick backなど)。未来時制の自然な用法
10. “Viva La Vida” – Coldplay|やや詩的な表現が混じるが語彙レベルは中級。歴史的メタファーを通じた教養的英語

🔥 上級者向け(速い・詩的・複雑な表現)

11. “Bohemian Rhapsody” – Queen|テンポ・ジャンル・語彙の急激な変化が聴覚の柔軟性を鍛える
12. “Hotel California” – Eagles|比喩表現の宝庫。リスニング+リーディング同時学習に最適
13. “Creep” – Radiohead|イギリス英語の独特なイントネーション。感情的な抑揚が「英語の音楽性」を体感させる
14. “Lose Yourself” – Eminem|ラップの高速英語で極限のリスニング訓練。リエゾン・リダクションの実践的教材
15. “Imagine” – John Lennon|シンプルな語彙で深い内容を語る。英語の「簡潔な表現力」の極致
🎧 SCIENTIFIC LISTENING METHOD

研究に基づく「洋楽リスニング5ステップ」

1
まず歌詞を見ずに聴く(1回目)
何が聞き取れたかを自己評価。この「ギャップの認識」が学習の第一歩
2
歌詞を見ながら聴く(2〜3回目)
文字と音声の対応を確認。知らない単語・イディオムを5〜10個メモ
3
一緒に歌う(シャドーイング)
ルトケの研究が示す「listen-and-sing」効果。発音・イントネーション・リズムが自然に身につく
4
歌詞なしで再び聴く(確認)
最初に聞き取れなかった箇所が聞こえるようになっているはず。これが「耳が開いた」状態
5
数日後に同じ曲でリピート(間隔反復)
繰り返し聴くことで語彙が長期記憶に定着。研究では3〜5回の反復聴取で有意な語彙習得効果

8注意!「聴くだけで英語ペラペラ」のウソとホント

ここまでの科学的知見を踏まえた上で、冷静に注意点を確認しましょう。

誤解 1
「クラシック音楽を聴くだけで英語が話せるようになる」
モーツァルト効果は空間推論に限定された一時的な効果であり、英語力に直接転移するエビデンスはありません。トマティス・メソッドも「聴くだけ」ではなく、能動的な聴覚訓練を体系的に行うプログラムです。BGM的に流しておくだけでは効果は期待できません。
誤解 2
「日本語の周波数帯が狭いから、日本人は英語が不可能」
脳の神経可塑性は成人後も維持されています。トマティスの理論は「耳は再教育できる」ことを前提としており、実際に多くの成人がトレーニングで聴覚能力を改善しています。困難ではあっても、不可能ではありません。
誤解 3
「高周波の音楽さえ聴けば全て解決」
言語習得は聴覚訓練だけでは完結しません。57研究のメタ分析も「音楽能力は言語習得の一因子であり、唯一の因子ではない」と結論づけています。語彙学習、文法理解、スピーキング練習との組み合わせが不可欠です。
真実
科学が支持する「音楽×英語学習」の有効な使い方
研究が支持しているのは、①英語の歌を能動的に聴き、歌い、歌詞を学ぶ ②高周波成分の豊かな音楽で聴覚の感受性を鍛える ③「楽しい」と感じる音楽を通じて情動的な学習環境を作る──この3つのアプローチです。受動的な「聴き流し」ではなく、能動的な関与が鍵なのです。

まとめ──音を味方につけた者が、英語を制する

「英語が聞き取れない」のは才能の問題ではない。
耳の「チューニング」と、脳の「音声処理回路」の問題──
そしてそれは、科学的に再訓練可能なのです。

モーツァルトK.448は脳に測定可能な影響を与える唯一無二の楽曲
各言語には固有の優勢周波数帯があり、日本語と英語の差は最大級
音楽能力とL2習得には統計的に有意な相関(57研究メタ分析)
「listen-and-sing」方式は15分で外国語フレーズの記憶を促進
高周波クラシック×洋楽シャドーイング×能動的聴取が三位一体
ただし「聴くだけ」は無効。能動的な関与が全ての研究の共通条件
脳の神経可塑性により、大人の「閉じた耳」も再教育可能

まずは今夜、モーツァルトのK.448を流しながら、
お気に入りの洋楽の歌詞を追ってみてください。
あなたの耳は、まだ「開かれて」いない周波数で満ちている。

📚 主要参考文献
Rauscher, F. H., Shaw, G. L., & Ky, K. N. (1993). Music and spatial task performance. Nature, 365, 611.
Quon, R. J., et al. (2021). Musical components important for the Mozart K448 effect in epilepsy. Scientific Reports, 11, 16490.
Chabris, C. F. (1999). Prelude or requiem for the ‘Mozart effect’? Nature, 400, 826–827.
Gilmor, T. (1999). The efficacy of the Tomatis Method for children with learning and communication disorders: A meta-analysis. International Journal of Listening, 13(1).
Sacarin, L. (2013). Early effects of the Tomatis Listening Method in children with attention deficit. Dissertation, Antioch University.
Slevc, L. R., & Miyake, A. (2006). Individual differences in second-language proficiency: Does musical ability matter? Psychological Science, 17(8), 675–681.
Meta-analysis (2024). Is musical ability related to second-language acquisition? PMC. 57 studies, n=3181.
Ludke, K. M., Ferreira, F., & Overy, K. (2013). Singing can facilitate foreign language learning. Memory & Cognition, 42, 41–52.
Patel, A. D. (2011). Why would musical training benefit the neural encoding of speech? The OPERA hypothesis. Frontiers in Psychology, 2, 142.
Schön, D., et al. (2008). Songs as an aid for language acquisition. Cognition, 106(2), 975–983.
NIRS study on Japanese English listening: frequency-enhanced speech and brain activation (ResearchGate).
Kyushu University (2017). An acoustic key to eight languages/dialects. Scientific Reports, 7, 42468.