集合写真だと"盛れる"のは気のせいじゃない? 「チアリーダー効果」と日本の追試の結果

読む前に予想してみよう!
人の顔は、ひとりで見るよりグループの中で見たほうが少し魅力的に見えることがある
実験でそうした傾向が報告されている。ただし効果は小さく、追試で再現されにくいこともある。
- 対象
- 米国の実験参加者/日本の成人(オンライン)
- 規模
- 原著5実験・追試2回(日本の成人95人と153人)
- 研究の種類
- 実験+直接追試
- 確かさ
- ★★☆☆☆
顔はひとりで見るよりグループの中で見たほうが魅力的に見える——「チアリーダー効果」。ただし効果は小さく、日本で行われた追試ではっきり再現されなかったものもある。
ひとことで言うとグループの中だと少しよく見える。でも、その差はほんのちょっと!
友達との集合写真を見て、「あれ、この写真の自分、けっこういいかも」と思ったことはありませんか? それなのに、同じ日にひとりで撮った写真は、なんだかイマイチ……。
もしかするとそれは、「チアリーダー効果」と呼ばれる現象かもしれません。チアリーダーのチームは全体で見るとみんな魅力的に見えるのに、ひとりずつ見るとそうでもない——アメリカのテレビドラマのセリフから名前がついた、ちょっと不思議な現象です。
01実験で確かめられた「グループ補正」
おもしろいのは、「どの顔がグループにいるか」ではなく、グループの中で見ることそのものが評価を上げていた点です。
02カギは「脳の平均化」
研究者たちは、この現象を次の3つの組み合わせで説明しました。
- 私たちの脳は、たくさんの顔を見ると、自動的にグループ全体の"平均の顔"のようなものを作る
- グループの中の一人ひとりの顔は、その平均の顔に引き寄せられて見える
- そして、平均的な顔は魅力的に見えやすい
3つ目については、古くから知られた研究があります。1990年の研究では、たくさんの人の顔写真をコンピュータで重ね合わせて"平均顔"を作ると、もとの一人ひとりの顔の大部分よりも魅力的だと評価されました。しかも、重ねる顔の数が多いほど、平均顔の魅力は上がっていったのです。
つまり、グループの中で見ると、一人ひとりの顔の個性的な部分が少し"ならされて"見え、平均顔に近づく分、魅力的に見える——というわけです。

03日本の追試では「はっきりしなかった」
では、この効果はどれくらい確かなのでしょうか。
日本の研究チームは、元の研究のうち、グループの人数(4人・9人・16人)を変えた実験を、日本の成人(オンライン参加者)を対象にほぼ同じ方法で2回くり返しました(直接追試)。その結果、少なくとも1回は元の研究と似た傾向が見られたものの、統計的にははっきりした差にならず、効果の大きさも小さかったのです。
その後もいくつかの研究で、効果そのものはおおむね見られる一方、「脳の平均化」という説明が本当に正しいのかには疑問の声も出ています。チアリーダー効果は「存在しそうだけど、とても小さい」現象と考えるのがよさそうです。
04まとめ
グループの中だと顔が少し魅力的に見える「チアリーダー効果」は、実験で報告されている現象です。脳が顔を"平均化"して見るからかもしれません。
でも、その効果はとても小さく、追試ではっきりしないこともありました。写真の写りに一喜一憂するより、「見た目の評価って、思ったよりあいまいなんだな」と気楽にかまえるのが、いちばん科学的な付き合い方かもしれません。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe "cheerleader effect" is the idea that people look more attractive in a group than alone.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Do you look better in group photos? Some scientists say yes. They call it the "cheerleader effect." In experiments, people rated the same face as a little more attractive when it was in a group photo.
Our brains may make an "average face" of the group, and average faces often look nice. But the effect is very small. In Japan, scientists repeated the test, and the result was not clear.
70 words ・ CEFR A2
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あなたは集合写真のほうがよく写りますか。そうだと言う科学者もいます。彼らはそれを「チアリーダー効果」と呼びます。実験では、人々は同じ顔を、集合写真の中にあるときのほうが少しだけ魅力的だと評価しました。
私たちの脳はグループの「平均の顔」を作るのかもしれず、平均的な顔はすてきに見えることが多いのです。しかし、その効果はとても小さいものです。日本で科学者たちがその実験をくり返したところ、結果ははっきりしませんでした。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
グループの中だと顔が少し魅力的に見える「チアリーダー効果」がテーマなので C。
Q2. What happened when scientists in Japan repeated the test?
In Japan, scientists repeated the test, and the result was not clear. とあるので A。
Q3. In this passage, "repeated" means ...
repeat は「くり返す」。同じ実験をもう一度行ったという意味なので B。
The "cheerleader effect" is the idea that people look more attractive in a group than alone. Researchers at the University of California, San Diego, tested this in five experiments.
Participants rated the same faces either in group photos or by themselves, and the faces were rated slightly more attractive in groups. The researchers explained this in three steps. First, the brain automatically creates an average of the faces in a group.
Second, each face is seen as closer to that average. Third, average faces tend to look attractive. However, a Japanese team repeated one of the experiments twice with Japanese adult participants. The results did not show a clear difference, and the effect was slight.
115 words ・ CEFR B1
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「チアリーダー効果」とは、人はひとりのときよりグループの中にいるときのほうが魅力的に見えるという考えです。カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者たちは、5つの実験でこれを検証しました。
参加者は同じ顔を、集合写真の中か、ひとりだけの写真で評価し、その顔はグループの中のほうがわずかに魅力的だと評価されました。研究者たちはこれを3つの段階で説明しました。第1に、脳は自動的にグループの顔の平均を作ります。
第2に、それぞれの顔はその平均により近く見えます。第3に、平均的な顔は魅力的に見えやすいのです。しかし、日本の研究チームは、実験の1つを日本の成人で2回くり返しました。結果ははっきりした差を示さず、効果は小さいものでした。
4択リーディングクイズ
Q1. How many experiments did the San Diego researchers conduct?
tested this in five experiments とあるので D。3は説明の段階の数、2は日本の追試の回数。
Q2. According to the explanation, what is the first step?
First, the brain automatically creates an average of the faces in a group. とあるので B。
Q3. What can we infer from the Japanese study?
追試ではっきりした差が出ず効果も小さかったので、当初考えられたより弱い可能性があると推論できる。完全に誤りとまでは言えないので A。
Some people swear they look better in group photos than in solo shots. Psychologists call this the "cheerleader effect." In 2014, researchers at the University of California, San Diego, reported five experiments in which participants rated the attractiveness of the same faces shown either within a group or alone. Faces were judged slightly more attractive in groups. The authors offered a three-step explanation.
The visual system forms an ensemble representation, essentially an average of the faces in view. Each face is then perceived as closer to this average. And average faces are attractive. That last step rests on a 1990 study in which faces blended by computer were rated as more attractive than most of the individual faces that went into them.
A Japanese team later repeated one of the experiments twice with Japanese adult participants, using groups of four, nine and sixteen faces. Their results only partly matched the original direction, were not statistically significant, and showed a small effect.
Later research has often found the effect itself, so it seems to be real, though tiny. Whether averaging is what drives it is another matter, and some researchers doubt it.
191 words ・ CEFR B2
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ひとりで写った写真より集合写真のほうが自分がよく写っている、と言い張る人がいます。心理学者はこれを「チアリーダー効果」と呼びます。2014年、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者たちは、参加者が同じ顔の魅力を、グループの中で示された場合とひとりで示された場合で評価する5つの実験を報告しました。顔はグループの中のほうがわずかに魅力的だと判断されました。著者らは3段階の説明を示しました。
まず、視覚システムが「アンサンブル表象」、つまり本質的には見えている顔の平均を作ります。次に、個々の顔がこの平均により近く知覚されます。そして、平均的な顔は魅力的です。この最後の段階は、コンピューターで合成した顔が、そのもとになった個々の顔のほとんどよりも魅力的だと評価された1990年の研究に基づいています。
その後、日本の研究チームが、日本の成人を対象に、4人・9人・16人のグループを使って実験の1つを2回やり直しました。その結果は元の研究の方向と部分的にしか一致せず、統計的に有意ではなく、効果も小さいものでした。
その後の研究では効果そのものがしばしば見られているので、効果は実在するようですが、ごくわずかです。それが平均化によって生じているのかどうかは別の問題で、疑問視する研究者もいます。
4択リーディングクイズ
Q1. What did the 1990 study show?
faces blended by computer were rated as more attractive than most of the individual faces とあるので A。
Q2. Which statement about the Japanese team's experiments is correct?
were not statistically significant, and showed a small effect とあるので C。人数は4・9・16人と変えている。
Q3. What is the author's overall conclusion?
it seems to be real, though tiny とあり、平均化が原因かどうかは some researchers doubt it とされているので D。
重要単語
- attractiveB1形容詞魅力的なThe town has many attractive old buildings.
attract(引きつける)の形容詞形。名詞 attractiveness「魅力度」。 - averageA2名詞・形容詞平均(の)The average of 2 and 4 is 3.
on average「平均して」。above / below average「平均以上・以下」。 - perceptionB2名詞知覚、見え方Light can change our perception of color.
動詞 perceive。「認識・受け止め方」の意味でも長文頻出。 - ensembleC1名詞全体、まとまりThe brain can see a crowd as an ensemble.
フランス語由来で「一緒に」。音楽の「アンサンブル(合奏)」と同じ語。 - replicationC1名詞追試、再現Replication is important in science.
direct replication「直接追試(同じ方法でくり返す)」。 - significantB2形容詞(統計的に)有意な、重要なThe difference was not statistically significant.
statistically significant「統計的に有意な=偶然とは考えにくい」。日常では「重要な」。
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同じ顔でも、ひとりで写るよりグループの中にいるほうが魅力的に見える——「チアリーダー効果」という現象が実験で報告されている。脳が顔を"平均化"して見るせいかも。ただし効果は小さく、日本の追試でははっきりしなかった。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Walker & Vul (2014) Hierarchical encoding makes individuals in a group seem more attractive, Psychological Sciencedoi.org
- Ojiro et al. (2015) Two replications of "Hierarchical encoding makes individuals in a group seem more attractive (2014; Experiment 4)", The Quantitative Methods for Psychologydoi.org
- Langlois & Roggman (1990) Attractive faces are only average, Psychological Sciencedoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。












