英語質問箱【教えて原田先生!】

英語圏で初対面の人に 「お辞儀」したら どうなるのか? 握手 vs お辞儀──挨拶ひとつで変わる第一印象と、 日本人が海外で「やらかす」NG行動完全ガイド

🤝 GREETING CULTURE SHOCK

英語圏で初対面の人に
お辞儀」したら
どうなるのか?

握手 vs お辞儀──挨拶ひとつで変わる第一印象と、
日本人が海外で「やらかす」NG行動完全ガイド

アメリカのビジネスミーティング。初対面の相手が手を差し出してきた。
しかしあなたの体は無意識に──ペコリとお辞儀。
相手の手は宙に浮いたまま。気まずい沈黙が流れる。
──これ、海外に出た日本人の「あるある」です。

1お辞儀 vs 握手──挨拶の「起源」が真逆だった

日本人のお辞儀と、英語圏の握手。この二つの挨拶は、それぞれまったく異なる哲学から生まれています。そしてその起源を知ると、文化の本質が見えてきます。

お辞儀は、飛鳥〜奈良時代に仏教とともに中国から伝わったとされています。頭を下げることで「あなたに敵意はありません」「敬意を持っています」という意思を示す行為。つまり、自分を低くすることで相手を高めるという思想が根底にあります。

一方、握手の起源は紀元前5世紀のギリシャにまで遡ります。右手を差し出すことで「武器を持っていない」ことを証明する、平和のジェスチャーだったのです。中世ヨーロッパでは、騎士が相手の手を激しく振ることで「袖の中に隠したナイフを落とす」ための実用的な行為でもありました。

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お辞儀の哲学
「自分を低くして、相手を敬う」
身体的接触なし。
角度と時間で敬意の深さを表現。
仏教の礼拝に由来する
謙虚さと敬意の表現
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握手の哲学
「対等な立場で、信頼を確認する」
身体的接触あり。
握力とアイコンタクトで誠実さを表現。
武器を持たない証明に由来する
平等と信頼の表現

17世紀になると、イギリスのクエーカー教徒たちが「お辞儀やお帽子を取る行為」をやめ、より平等主義的な挨拶として握手を普及させました。つまり握手には「あなたと私は対等です」というメッセージが込められているのです。

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面白いことに、お辞儀も握手も根本にある発想は同じ──「あなたに敵意はありません」。ただし、それを「自分を低くする」か「相手と物理的に触れ合う」かで表現するかが、まったく違うのです。

2英語圏で日本式お辞儀をすると何が起きるのか?5つのリアル反応

では実際に、アメリカやイギリスで初対面の人に日本式のお辞儀をしたら、相手はどう反応するのでしょうか?状況別に見ていきましょう。

反応① 「あ、日本の人だ!」と好意的に認識される

最もポジティブなパターン。特に日本文化に興味がある人や、アジア圏の文化に馴染みがある人は、お辞儀を見て「この人は日本人(または日本文化に精通した人)なんだな」と即座に理解してくれます。アメリカでの実話として、ハーフの女性がお辞儀を繰り返していたところ「日本に長く住んでいたの?」と聞かれたエピソードがあります。

反応② 「可愛い!」と微笑まれる

特にカジュアルな場面では、軽いお辞儀がチャーミングな仕草として受け取られることがあります。ただしこれは「子どもっぽい」というニュアンスを含むこともあるため、ビジネスシーンでは注意が必要です。

反応③ 「え? 握手したいんだけど…」と戸惑われる

最も多いパターンがこれ。相手が握手のために手を差し出しているのに、こちらがお辞儀をすると、相手の手が宙に浮くという気まずい状況が発生します。英語圏ではこれを “awkward moment”(気まずい瞬間)と呼びます。

反応④ 「何か失礼なことした?」と不安になる

深いお辞儀をすると、英語圏の人は「自分が何か悪いことをしたのか」「この人は怒っているのか」と誤解することがあります。西洋文化では深いお辞儀には「服従」や「謝罪」のニュアンスが強いためです。

反応⑤ 「フォーマルすぎる…」と距離を感じる

英語圏、特にアメリカではカジュアルさ=親しみやすさです。フォーマルなお辞儀は「この人は壁を作っている」と受け取られるリスクがあります。

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イリノイ大学の研究チームが発表した論文によると、西洋人は東アジア人に比べて握手をより好意的に評価する傾向が確認されています。特に西洋の男性は、握手を「信頼と能力の証」として重視する傾向が強いことが分かっています。

3オバマ大統領の「深すぎるお辞儀」が大炎上した事件

「挨拶一つでこんなに騒ぎになるのか」と驚くかもしれません。しかし2009年、オバマ大統領が天皇陛下に深々とお辞儀をした一件は、アメリカ国内で大論争を巻き起こしました。

2009年11月、東京の皇居を訪問したオバマ大統領は、天皇陛下(当時・明仁上皇)に対して、握手をしながら腰から約90度の深いお辞儀をしました。

THE CONTROVERSY

アメリカ国内の反応は真っ二つに割れた──

🔴 批判派の主張:
「アメリカの大統領は、いかなる外国の指導者にも頭を下げるべきではない。あの深いお辞儀は『服従』を意味する」
当時のディック・チェイニー前副大統領は「アメリカ大統領が誰かにお辞儀をする理由はない」と批判しました。
🟢 擁護派の主張:
「日本文化ではお辞儀は礼儀の基本。異文化への敬意を示しただけだ。過去の大統領もお辞儀している」
Foxニュースの世論調査では、67%のアメリカ人が「よいことだった」と回答しています。

✅ 注目ポイント:最大の問題は「お辞儀したこと」ではなく、「握手とお辞儀を同時にやったこと」。これは日本の作法でもNG。

実はこの騒動、過去の大統領たちも同様の問題に直面していました。1994年にはクリントン大統領が天皇陛下に軽くお辞儀をして批判され、ホワイトハウスは「あれはbow-bow(お辞儀のお辞儀)ではありません」と弁明する事態に。

“This is an elderly gentleman in a country where this kind of greeting is customary.”

「(天皇陛下は)このような挨拶が慣習である国のご高齢の紳士です」

── オバマ政権関係者のコメント(CBS News報道)

この事件が教えてくれるのは、挨拶は単なるジェスチャーではなく、権力関係・文化的価値観・国際政治が凝縮された行為だということです。

4「合掌+お辞儀」──外国人がやりがちな日本文化の誤解

ここで逆の視点も見てみましょう。外国人が日本人に対して「良かれと思って」やってしまう挨拶の誤解があります。

最も多いのが、手を合わせて(合掌して)お辞儀をするパターンです。2024年のパリオリンピックでも、日本人メダリストにメダルを授与する際、外国人プレゼンターが合掌スタイルでお辞儀をする場面がありました。

よくある誤解

❌ 合掌+お辞儀=日本の挨拶
日本では合掌するのはお寺での礼拝や「いただきます」の時であり、通常の挨拶で合掌はしません。合掌スタイルの挨拶はタイの「ワイ」やインドの「ナマステ」に近く、アジア文化の混同です。
✅ 正しい日本のお辞儀
手は体の横(男性)または前で軽く重ねる(女性)。腰から上体を折り、背筋をまっすぐ保つ。目線は下に向ける。これが日本の正式なお辞儀です。

この誤解は、欧米の人が「アジア=合掌」というステレオタイプを持っていることに起因します。日本人からすると悪意はないと分かっていても、少し複雑な気持ちになるもの。ちょうど、日本人が「欧米人」をひとくくりにしてしまうのと同じ構造です。

5世界の挨拶マップ──国ごとにこんなに違う!

お辞儀と握手だけではありません。世界には驚くほど多様な挨拶文化があります。

地域 挨拶の方法 込められた意味
🇯🇵 日本 お辞儀(15°〜45°) 敬意・感謝・謝罪を角度で表現
🇺🇸 アメリカ しっかりした握手+アイコンタクト 自信・誠実さ・対等な関係
🇫🇷 フランス 頬へのキス(ビズ)2〜4回 親密さ・友愛・温かみ
🇹🇭 タイ ワイ(合掌+お辞儀) 手の高さで敬意の度合いを示す
🇮🇳 インド ナマステ(合掌+軽い会釈) 「あなたの中の神性に敬意を表す」
🇳🇿 ニュージーランド ホンギ(鼻と額を押し当てる) マオリ族の伝統。息を共有する=命の交換
🇸🇦 サウジアラビア 長い握手+手を心臓に当てる 心からの歓迎と敬意
🇹🇧 チベット 舌を出す 歴史的に正直さ・敵意がないことの証明
💡

挨拶の形は違えど、世界中のすべての挨拶に共通するメッセージは一つ──「あなたを認識しています。あなたを尊重しています。あなたを信頼しています」。形が違うだけで、人間の根本は同じなのです。

6ビジネスシーンで絶対避けたい「お辞儀×握手」の同時やり

海外のビジネスシーンで日本人が最もやりがちなミスが、「握手をしながら同時にお辞儀をする」という行為です。

これは日本の作法としてもNG(お辞儀中は相手の顔が見えない)ですし、西洋の作法としてもNG(握手中は目を見るべき)。つまりどちらの文化の観点からも中途半端になってしまいます。

❌ NGパターン ✅ 正しいパターン
握手しながらお辞儀する(頭がぶつかりそうになる) まず握手→その後に軽く会釈
相手が手を出しているのにお辞儀だけする 相手のリードに合わせる
ビジネスの場で深すぎるお辞儀(45度以上) 軽い会釈(15度程度)に留める
何度もペコペコ繰り返す 一度のスマートな動作で完結

最強の方法:相手の動きを0.5秒観察してから合わせること。手が出てきたら握手、お辞儀をされたらお辞儀を返す。「相手のリードに合わせる」これが万国共通の正解です。日本在住の多くの外国人ビジネスパーソンもこの戦略を取っています。

7今日から使える!海外で好印象を与える英語挨拶フレーズ15選

お辞儀の代わりに(あるいはお辞儀と組み合わせて)使える、英語圏で自然な挨拶フレーズを場面別に紹介します。

🟢 初対面・カジュアル

初級

Hi, nice to meet you! I’m [名前].
こんにちは、はじめまして![名前]です。
最もシンプルで万能。笑顔+アイコンタクト+握手のコンボが最強。

初級

Hey! I’ve heard so much about you.
あなたのことはたくさん聞いています。
紹介してもらった相手への定番フレーズ。距離が一気に縮まる

初級

It’s great to finally put a face to the name!
ようやくお名前と顔が一致しました!
メールやチャットでのやり取りの後、初めて対面する時に最適。

🔵 ビジネス・フォーマル

中級

Pleasure to meet you. I’m looking forward to working together.
お会いできて光栄です。一緒に働けるのを楽しみにしています。
ビジネスの場で信頼感を与えるフォーマルな表現。

中級

Thank you for taking the time to meet with me today.
本日はお時間をいただきありがとうございます。
日本語の「お忙しいところ恐れ入ります」に近い、丁寧さが際立つ表現。

中級

Your reputation precedes you—it’s an honor.
お噂はかねがね。光栄です。
相手が業界の著名人の場合に。日本語の「お名前はかねがね」と同じ効果。

🟡 日本文化を自然に伝える上級フレーズ

上級

Sorry, force of habit! In Japan, we bow instead of shaking hands.
すみません、癖で!日本では握手の代わりにお辞儀をするんです。
うっかりお辞儀してしまった時のリカバリーフレーズ。会話のきっかけにもなる

上級

I hope you don’t mind the bow—it’s my way of showing extra respect!
お辞儀をお気になさらないでください。特別な敬意を表す私なりの方法です!
お辞儀を弱さではなく強みとして伝える。ユーモアと自信のバランスが秀逸。

上級

In Japan, we show respect by bowing. The deeper the bow, the deeper the respect. So consider yourself very respected!
日本では敬意を表すためにお辞儀をします。深く下げるほど敬意が深い。つまりあなたはとても尊敬されています!
文化の違いを面白いエピソードとして共有できる上級テクニック。相手の興味を引く。

8日本のお辞儀が「世界で称賛される」瞬間──スポーツ・接客の美学

ここまで「海外でお辞儀すると困ることもある」という話をしてきましたが、逆に日本のお辞儀文化が世界から絶賛される場面もたくさんあります。

称賛① スポーツ選手の礼儀

日本のスポーツ選手が試合前後にお辞儀をする姿は、世界中で「美しい」「スポーツマンシップの極み」と評価されています。柔道や空手はもちろん、サッカーやテニスでもこの姿勢は注目を集めます。

称賛② 接客業の「最敬礼」

日本のデパートやホテルの従業員が、お客様が見えなくなるまでお辞儀を続ける光景は、外国人観光客を感動させてやみません。新幹線の車掌が車両を出る際にお辞儀をする姿も、SNSで世界中に拡散されています。

称賛③ 「電話中のお辞儀」の奥深さ

日本人が電話で話しながら無意識にお辞儀をする──この行為は、海外メディアで「日本文化の象徴」として頻繁に紹介されます。相手が見ていなくても敬意を示す。この「形式ではなく心から発する礼儀」が、世界の人々の心を打つのです。

“Bowing is so deeply ingrained in Japanese culture that people will often bow when speaking on the phone, even if they are aware the other person can’t see them.”

「お辞儀は日本文化に深く根付いているため、相手に見えないとわかっていても電話中にお辞儀をする人が多い」

── 海外の日本文化研究サイトより
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日本の大杉らの研究(2025年、Japanese Psychological Research)によると、お辞儀をする人はお辞儀をしない人に比べて「魅力的に見える」効果が確認されています。ただしこの効果は日本人では顕著に見られたものの、アメリカ・ブラジル・インドの参加者では限定的でした。つまりお辞儀の「魅力アップ効果」は文化依存であることが示唆されています。

まとめ──お辞儀も握手もできる日本人が最強

英語圏でお辞儀をしたら「変」なのではありません。
ただ、相手の文化に合わせた上で自分の文化も伝えられる人が、
真のグローバルコミュニケーターです。

握手の起源は「武器を持っていない証明」、お辞儀は「敬意と謙虚さの表現」
英語圏でお辞儀すると好意的〜困惑まで反応は様々。深すぎるお辞儀には注意
オバマ大統領の事件が証明──挨拶は外交問題にすらなる
「お辞儀×握手」の同時やりは世界共通のNG。0.5秒待って相手に合わせよう
うっかりお辞儀したら、それを会話のネタにするのが上級者の技
日本のお辞儀はスポーツ・接客で世界から称賛されている誇るべき文化

握手で「対等な信頼」を伝え、
お辞儀で「深い敬意」を伝えられる。
この二刀流こそが、日本人だけが持てる最強の武器です。

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