原田先生の英語とっておきの話

【英語の雑学】ネイティブも知らない 「英語の衝撃トリビア」10選 ──目からウロコが止まらない シェイクスピアが「eyeball」を発明? 10億まで「B」が登場しない? 英語という言語の知られざる素顔を徹底解剖

🧠 ENGLISH LANGUAGE TRIVIA

ネイティブも知らない
英語の衝撃トリビア」10選
──目からウロコが止まらない

シェイクスピアが「eyeball」を発明? 10億まで「B」が登場しない?
英語という言語の知られざる素顔を徹底解剖

世界で約15億人が使い、毎日14.7語のペースで新しい単語が生まれ続ける英語。
あまりにも身近だからこそ、その奇妙で、面白くて、ぶっ飛んだ事実を知らないまま使っている人がほとんどです。
今回は、ネイティブスピーカーですら「え、マジで?」と驚く英語の超絶トリビア10選をお届けします。
──読み終わるころには、あなたの英語の見え方が変わっているはずです。
📖 この記事の内容
  1. 「run」──たった3文字なのに645個の意味を持つ怪物単語
  2. 10億まで「B」が一度も登場しない──数字のアルファベット問題
  3. シェイクスピアが発明した1,700語──「eyeball」も「lonely」も彼のおかげ
  4. 「Big Bad Wolf」の語順が変えられない理由──脳が従う秘密の音法則
  5. 形容詞には「絶対的な順番」がある──ネイティブも説明できないルール
  6. 「I never said she stole my money」──同じ文が7つの意味になるマジック
  7. 「Goodbye」の本当の意味は「God be with you」
  8. 「&(アンパサンド)」はかつてアルファベットの27番目だった
  9. 「nightmare」の「mare」は馬ではなく悪魔だった
  10. 英語には母音が1つもない単語が存在する

1「run」──たった3文字なのに645個の意味を持つ怪物単語

英語で最も意味の数が多い単語は何か。答えは、あのシンプルな3文字──“run” です。

オックスフォード英語辞典(OED)の第3版改訂で、動詞形だけで645の異なる意味が確認されました。辞書での記述は75カラムにも及びます。

走る(run a race)、経営する(run a business)、水を出す(run the water)、立候補する(run for office)、ストッキングが伝線する(run in stockings)、番組を流す(run a show)──これが全部同じ単語というのは、もはや異常です。

CHAMPION HISTORY

OED「最多意味数」の王座の変遷 👑

年代 王者の単語 意味の数 辞書の記述量
1928年(初版) set 約200 32ページ
1989年(第2版) set 430 60,000語
2007年(第3版改訂) put
2011年〜(第3版改訂) run 🏆 645+ 75カラム

OED編集に携わったサイモン・ウィンチェスター氏は、「”set”は上品で安定的な単語、”run”は筋肉質でエネルギッシュな単語。時代が動的な言葉を求めた結果だ」と表現しています。

💡

ちなみに “run” の語源は11〜12世紀の教会時計にまで遡ります。歯車が軸の周りを回転する動きを古英語で “runne” と呼んだのが始まり。「走る」よりも「回転する」が先だったのです。

210億まで「B」が一度も登場しない──数字のアルファベット問題

One, Two, Three, Four, Five… と英語で数字をひたすら書き出していくと、ある驚くべき事実に気づきます。

アルファベットの「B」は、なんと1,000,000,000(One Billion)に到達するまで一度も登場しません。

One(1)から Nine hundred ninety-nine million nine hundred ninety-nine thousand nine hundred ninety-nine(999,999,999)まで──約10億個の数字を書き出しても、使われるのは A, D, E, F, G, H, I, L, M, N, O, R, S, T, U, V, W, X, Y の文字だけ。

🅰️
A の初登場
1,000
One thousand
🅱️
B の初登場
1,000,000,000
One billion
©️
C の初登場
1027
One octillion

さらに驚くべきことに、「J」と「K」は英語の数字の綴りには永遠に登場しません。どんなに大きな数字を書いても、です。

💡

もう一つ面白い事実:“Four” は、文字数と数字の値が一致する唯一の数字です(F-O-U-R = 4文字で4)。また “Forty” はアルファベット順に文字が並んでいる唯一の数字の単語です。

3シェイクスピアが発明した1,700語──「eyeball」も「lonely」も彼のおかげ

ウィリアム・シェイクスピアは、史上最も偉大な劇作家であると同時に、英語史上最大の「単語発明家」でもあります。

その作品群で使われた20,000以上の単語のうち、約1,700語がシェイクスピアによる初出と記録されています。彼は接頭辞や接尾辞の追加、品詞の変換、他言語からの借用など、現代の私たちと同じ手法で──しかし桁違いのスケールで──新語を生み出しました。

SHAKESPEARE’S INVENTIONS

日常で使っているのに、シェイクスピア発だと知らない単語たち

eyeball 👁️
『テンペスト』初出
目玉。概念はあったが単語がなかった
lonely 😢
『コリオレイナス』初出
孤独な。”alone” に -ly をつけた天才的造語
bedroom 🛏️
『真夏の夜の夢』初出
寝室。bed + room という単純な複合語だが、それまで誰も書かなかった
assassination 🗡️
『マクベス』初出
暗殺。”assassin” に -ation をつけて名詞化
swagger 😎
『真夏の夜の夢』初出
気取って歩く。現代では「イケてる」の意味でも使用
uncomfortable 😣
『ロミオとジュリエット』初出
不快な。”un-” + “comfortable” の接頭辞テクニック

さらに、慣用句の世界でもシェイクスピアの影響は絶大です。“break the ice”(氷を壊す=打ち解ける)、“wild goose chase”(無駄な追跡)、“good riddance”(せいせいした)──これらすべてシェイクスピア由来です。

OED第2版で最も多く引用された著者は、33,300回引用されたウィリアム・シェイクスピア。そして最も引用された作品は『ハムレット』。

── Oxford English Dictionary

4「Big Bad Wolf」の語順が変えられない理由──脳が従う秘密の音法則

「オオカミと三匹の子ブタ」に出てくる “Big Bad Wolf”。この語順を「Bad Big Wolf」に変えてみてください。

……なんか、気持ち悪くないですか?

これは “ablaut reduplication”(母音交替反復) と呼ばれる、英語ネイティブが無意識に従っている秘密の音韻法則のせいです。

📏

ルール:母音の順番は必ず I → A → O

似た音を繰り返す表現では、高い母音(口の前で発音する I)が先に来て、低い母音(口の奥で発音する A, O)が後に来る。逆にすると「気持ち悪い」と感じる。

だからこそ、以下の表現はすべてこの順番でしか「しっくり来ない」のです:

tick-tock
× tock-tick
ping-pong
× pong-ping
hip-hop
× hop-hip
flip-flop
× flop-flip
zig-zag
× zag-zig
Kit Kat
× Kat Kit
chit-chat
× chat-chit
King Kong
× Kong King

3語の場合は I → A → O の順番がさらにはっきりします:bish-bash-boshtic-tac-toe。おとぎ話の “fee-fi-fo-fum” もこの法則に従っています。

そして “Big Bad Wolf” は、この母音ルールが次のセクションで紹介する形容詞の順番ルールを「上書き」した結果なのです。

💡

言語学者によると、この法則の理由は「口の前から後ろに向かって発音する方が自然に感じる」から。この傾向は英語だけでなく、異なる言語族をまたいで確認されています。

5形容詞には「絶対的な順番」がある──ネイティブも説明できないルール

英語ネイティブに「なぜ “a lovely little old rectangular green French silver whittling knife” の語順はこの通りなの?」と聞いても、「なんとなく」としか答えられません。

しかし実は、英語の形容詞には厳密な序列が存在します。これを破ると、ネイティブの耳には「何かがおかしい」と即座に感じられます。

順位 カテゴリ
1 数量(Number) five, many
2 意見(Opinion) lovely, ugly
3 大きさ(Size) big, small
4 年齢(Age) old, young
5 形状(Shape) round, flat
6 色(Colour) green, red
7 出身(Origin) French, Japanese
8 素材(Material) silver, wooden
9 目的(Purpose) whittling, sleeping

だから “a green great dragon” とは絶対に言わない。必ず “a great green dragon”(意見→色)になります。映画 “My Big Fat Greek Wedding” も、Big(大きさ)→ Fat(意見)→ Greek(出身)で完璧にルール通り。

MIND-BLOWING CONNECTION

ここで前セクションの “ablaut reduplication” と繋がります。形容詞のルールでは “Bad”(意見)→ “Big”(大きさ)が正解のはず。しかし “Big Bad Wolf” は母音ルール(I→A)が勝つため、語順が逆転するのです。ネイティブの脳は、2つの無意識ルールの優先順位まで「勝手に」判断しているのです。

6「I never said she stole my money」──同じ文が7つの意味になるマジック

次の英文を声に出して読んでみてください:

I never said she stole my money.

たった7語の単純な文。しかし、どの単語を強調するかによって、意味が完全に変わります。

I never said she stole my money.
→ 私は言っていない(他の誰かが言った)
I never said she stole my money.
→ 一度も言っていない(強い否定)
I never said she stole my money.
→ 口に出しては言っていない(暗示しただけ、メールで書いただけ etc.)
I never said she stole my money.
→ 彼女がとは言っていない(別の誰かがやった)
I never said she stole my money.
→ 盗んだとは言っていない(借りた、間違えて持っていった etc.)
I never said she stole my money.
→ 私のお金とは言っていない(誰か他の人のお金)
I never said she stole my money.
→ お金とは言っていない(アイデアを盗んだ、時間を盗んだ etc.)

文法的にはまったく同じ文。変わるのはストレス(強勢)の位置だけ。これは英語が「ストレスタイミング言語」であることの象徴的な例で、日本語の「ピッチアクセント」とはまったく異なる仕組みです。

7「Goodbye」の本当の意味は「God be with you」

何気なく毎日使っている “Goodbye”。この言葉の起源を知ったら、ちょっとだけ見え方が変わるかもしれません。

“Goodbye” は “God be with you”(神があなたとともにあらんことを)の短縮形です。

16世紀後半(1565〜1575年頃)に “God be with ye” が “Godbwye” → “Goodbye” と縮まっていったと記録されています。つまり毎回の「バイバイ」に、じつは祝福の祈りが込められていたわけです。

変遷の過程
God be with you

God b’w’y

Godbwye

Goodbye
同様のパターン
Christmas → Xmas
God’s wounds → Zounds
God’s blood → ‘Sblood
By our Lady → Blimey

8「&(アンパサンド)」はかつてアルファベットの27番目だった

「&」この記号、英語では “ampersand”(アンパサンド)と呼びます。じつはこの記号、かつてはアルファベットの27番目の文字でした。

19世紀初頭まで、子どもたちがABCを暗唱するとき、Zの後に「&」を付け加えていました。そのとき最後の「&」を読むときに、こう言っていたのです:

暗唱の最後:

X, Y, Z, and per se and

「X, Y, Z、そしてそれ自体が “and”」

“and per se and”(アンド・パー・セ・アンド)が早口で繰り返されるうちに、いつしか “ampersand” に変化した──これがこの記号の名前の由来です。

そして記号の形自体にも秘密があります。「&」はラテン語の “et”(= and)の文字を合体させた合字(リガチャ)です。よく見ると、”E” と “t” が融合しているのがわかります(特に筆記体のフォントで顕著)。

💡

このように、間違った発音がそのまま定着して新しい単語になることを “mondegreen”(モンデグリーン)と呼びます。”ampersand” はその代表例です。

9「nightmare」の「mare」は馬ではなく悪魔だった

“Nightmare”(悪夢)の “mare” は、馬(mare)だと思っていませんか?

実は違います。この “mare” はゲルマン神話に登場する女性の悪霊のこと。古英語では “marōn” と綴られ、眠っている人の胸の上に座り込んで窒息させたり、恐ろしい夢を見せたりする邪悪な存在でした。

FOLKLORE

ゲルマンの「mare(マーレ)」伝承

🌙 夜、眠っている人の胸に座り込む女性の悪霊
🐴 夜中に馬に乗って疲れさせるとも信じられていた(翌朝、馬が汗だくに)
🌳 木の枝をねじ曲げる力を持つとも言われた
🌍 スカンジナビア諸語やドイツ語にも同様の語源を持つ単語が存在

つまり “nightmare” の本来の意味は「夜の馬」ではなく 「夜の悪魔」。中世ヨーロッパの人々にとって、悪夢は文字通り「悪霊に襲われること」だったのです。

10英語には母音が1つもない単語が存在する

英語のすべての音節には母音(vowel sound)が必要──これは基本ルール。しかし綴りの上では母音(a, e, i, o, u)が1つも含まれない英語の単語が存在します。

その代表例が “crwth”“cwtch”

crwth
発音:クルース
ウェールズ起源の弦楽器。
中世ヨーロッパで広く使われた。
cwtch
発音:クッチ
ウェールズ語で「抱きしめる」
または「居心地の良い場所」。

これらはウェールズ語由来で、ウェールズ語では “w” が母音として機能するため可能な綴りです。英語に借用される際も、この独特な綴りがそのまま保たれました。

他にもよく知られている「ほぼ母音なし」の単語として、“rhythm”“myth”“gym”“lynch” などがありますが、これらには “y” が含まれており、英語では “y” が母音として機能する場合があります。完全にa/e/i/o/uを含まないのは、上記のウェールズ語由来の単語だけです。

🌍

英語は世界中の言語から単語を借用してきた結果、自身のルールに反する単語が大量に含まれています。この「なんでもアリ」な柔軟性こそが、100万語を超える語彙を持つ英語の強さであり、同時に学習者を泣かせる原因でもあります。

BONUS TRIVIA

まだまだある!ミニトリビア集

トリビア 解説
“queue” は最後の4文字が不要 Q-U-E-U-E の5文字中、Qだけで同じ発音。4文字分80%がサイレント
“swims” は逆さにしても “swims” 紙を180度回転させても同じに読める「アンビグラム」という現象
“therein” には10個の単語が隠れている the, there, he, in, rein, her, here, ere, therein, herein(並べ替えなし)
“uncopyrightable” はすべて異なる文字 15文字の中に同じ文字が一つもない、最長の英単語
“almost” は文字がアルファベット順 a-l-m-o-s-t。文字が順番に並んでいる最長の一般的な英単語

まとめ──英語は「例外」と「驚き」の宝庫

世界で最も多くの人が学んでいるこの言語は、
実は世界で最もカオスな言語でもあります。

“run” は3文字で645の意味。辞書の記述だけで75カラム
数字を10億まで書いても「B」は一度も登場しない
シェイクスピアは1,700語を発明。eyeball, lonely, bedroom…
I→A→O の母音法則で “Big Bad Wolf” の語順が決まる
形容詞の「絶対的な序列」をネイティブは無意識に守っている
強調する単語を変えるだけで7つの意味に変わる文が存在する
Goodbye は “God be with you” の短縮形
&はかつてアルファベット27番目の文字だった
nightmare の mare は馬ではなくゲルマン神話の悪魔
母音を1つも含まない英単語 crwth, cwtch が存在する

英語を「知っている」と思ったそのとき、
英語は必ず、あなたの想像を超えてくる。