まずはこの3つ
- 今の体験に、良い悪いをつけずに気づく練習
- 心がそれたら気づいて戻す。その「戻す」が練習の本体
- 万能ではない。1日1分から試して、合うか確かめる
マインドフルネスとは
広く使われる定義は「意図的に、今この瞬間に、評価をせずに注意を向けること」(医学者 J. カバット・ジン)。頭をからっぽにすることではない。勉強中に「明日の模試が…」と考えがそれるのは自然なこと。それたと気づいて、注意を今に戻す――この戻す動きをくり返すのが練習の中身。筋トレのように、戻すたびに1回分の練習になる。
研究でわかっていること・いないこと4
- 1心はよくさまようスマホで日常の気分を調べた研究では、起きている時間の約半分(46.9%)は今していることと別のことを考えていた。さまよっている時ほど幸福感が低い傾向(Killingsworth & Gilbert, 2010)。
- 2不安への効果:根拠は中程度瞑想プログラムの研究をまとめた分析では、不安・抑うつ・痛みに改善が見られたが、根拠の強さは「中程度」で効果の大きさも控えめだった(Goyal ほか, 2014)。
- 3集中の研究もある2週間の訓練で、作業記憶と読解テストの得点が上がり、心のさまよいが減ったという報告がある。ただし大学生48人の小規模な研究(Mrazek ほか, 2013)。
- 4宣伝が先行しがち研究の質のばらつきや、効果が大げさに広まっていることを、専門家自身が注意している(Van Dam ほか, 2018)。「成績が必ず上がる」とは言えない。
1分呼吸法(いつでも・どこでも)4
- 1姿勢を整えるいすに座り、背すじを軽く伸ばす。目は閉じるか、机の一点をぼんやり見る。
- 2呼吸を数える吸って吐いたら「1」。10まで数えたら1に戻る。呼吸は変えず自然なままでよい。
- 3それたら戻す考えが浮かんだら、心の中で「考えた」とラベルをつけて、また呼吸と数に戻る。何度それても失敗ではない。
- 4終える1分たったら、ゆっくり一息吐いて目を開け、次にやることを1つだけ決める。
3分呼吸法(勉強の切り替えに)3
マインドフルネス認知療法で使われる「3分間呼吸空間法」をもとにした形
- 1気づく(約1分)今の気分・体の感覚・浮かんでいる考えを、そのまま確かめる。「焦っている」「肩が重い」など。
- 2集める(約1分)注意を呼吸だけに集める。おなかがふくらみ、しぼむ感覚を追う。
- 3広げる(約1分)注意を体全体に広げ、座っている自分全体を感じる。それから勉強に戻る。
場面別の使い方
| 場面 | やり方 |
|---|---|
| 勉強を始める前 | 1分呼吸法→今日の最初のタスクを1つ決める |
| 集中が切れた時 | 3分呼吸法。スマホを見る休憩の代わりに |
| 試験開始前 | 呼吸を5回数える。吐く方を少し長く |
| 試験中に焦った時 | 鉛筆を置いて2〜3呼吸。それから設問文を読み直す |
| 寝る前 | ボディスキャン:布団の中で足先→すね→ひざ→おなか→肩→顔と、順に感覚に注意を向ける |
| 食事の時 | 最初の一口だけ、味・香り・かむ感覚をていねいに味わう |
続けるコツ4
- 1今の習慣につなげる「机に座ったら1分」「歯みがきの後に1分」と、すでにある行動の後に置く。
- 2うまくやろうとしない「何回それたか」は気にしない。気づいて戻せた回数がそのまま練習量。
- 3音声ガイドは補助アプリや動画の誘導は便利。寝る前は画面を見ずに音声だけで使う。
- 4記録は一言で「今日は1分、5回それた」程度でよい。続いた日数が見えると続けやすい。
英語で読むマインドフルネス用語9
心と体は長文の定番テーマ。用語を知っていると速く読める
英語意味メモ
mindfulnessマインドフルネス・気づきmindful of 〜=〜に気を配る
meditation瞑想meditate=瞑想する
mind-wandering心のさまよいwander=さまよう
present moment今この瞬間be present=その場にいる/今に意識を向ける
non-judgmental評価をしないjudge=良し悪しを決める
body scanボディスキャン体を順に感じる練習
let go of 〜〜を手放す考えにしがみつかない
anxiety不安anxious=不安な
well-being心身の健やかさ幸福・健康などを広く含む「良好な状態」
よくある誤解4
- ✕頭をからっぽにする○浮かんだ考えに気づいて戻る考えが浮かぶのは自然なこと
- ✕やれば成績が必ず上がる○集中や気分を整える助けの一つ効果は小〜中程度で個人差もある
- ✕長時間やらないと意味がない○1分から始めて続ける受験期は続けやすさを優先(編集部)
- ✕つらい気持ちを無理に見つめ続ける○苦しくなったら目を開けて中断合わない時もある。無理はしない
合わない時・つらい時は
瞑想の最中に不安が強まる、つらい記憶がよみがえるなど、気分が悪くなる人もいると報告されている。そう感じたらすぐにやめてよい。心の不調が続く時は、マインドフルネスで何とかしようとせず、保護者・先生・スクールカウンセラー・医師に相談する。
確認テスト
- 1マインドフルネスの説明として正しいのは?正解は 今に評価せず注意を向ける。カバット・ジンの定義
- 2Killingsworth & Gilbert(2010)で、心がさまよっていたのは起きている時間のおよそ?正解は 半分。46.9%
- 31分呼吸法で考えがそれた時は?正解は 「考えた」と気づいて呼吸に戻る。戻すことが練習
- 4mind-wandering の意味は?正解は 心のさまよい。wander=さまよう
参考にした資料
- Killingsworth & Gilbert (2010) A wandering mind is an unhappy mind. Science 330(6006)
- Goyal ほか (2014) Meditation programs for psychological stress and well-being: A systematic review and meta-analysis. JAMA Internal Medicine 174(3)
- Mrazek ほか (2013) Mindfulness training improves working memory capacity and GRE performance while reducing mind wandering. Psychological Science 24(5)
- Van Dam ほか (2018) Mind the hype: A critical evaluation and prescriptive agenda for research on mindfulness and meditation. Perspectives on Psychological Science 13(1)
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