wear one's heart on one's sleeve
ウェア・ハート・オン・スリーブ
「気持ちを隠さず、すぐ顔や態度に出す」
まず、こんな場面を思い浮かべてください。袖口に、心臓がぶら下がっています。鳥がそれをつつきにやってきます。
Phrase Finder によると、この言い方が記録に残る最初の例は、シェイクスピアの劇 Othello(1604年)です。イアーゴという登場人物が、こう言います。
But I will wear my heart upon my sleeve / For daws to peck at: I am not what I am.
「だが、私は心を袖に着けて、鳥にでもつつかせてやろう。私は見かけどおりの人間ではない」という意味です。daws は鳥の名前です。
中世の馬上試合で、騎士が応援する貴婦人の色の布を腕につけた習慣から来たという説もあります。ただし Phrase Finder は、この言い方はその時代のものではなく、記録の最初は Othello だと書いています。
あなたは、うれしいことも悔しいことも、すぐ顔に出ます。
模試の返却日、点数がよかった日は、席に着く前から口元がゆるんでいます。悪かった日は、ひとことも話さなくても、友だちに気づかれます。
思っていることが、そのまま外に見えている。
これを、英語は wear one's heart on one's sleeve と言います。She wears her heart on her sleeve. と言えます。
なぜこの意味になるのか
wear は「身につける」、heart は「心」、on one's sleeve は「袖の上に」です。心を袖の上につけると、だれからも見えるので、「気持ちを隠さない」という意味になります。
使うときの注意・使い分け
気持ちを隠さず、すぐ外に出す人を指します。Merriam-Webster は、to show one's emotions very openly と説明しています。
例文で確かめる
My sister wears her heart on her sleeve, so I always know when she is upset.
妹は気持ちを隠さないので、落ち込んでいるときや怒っているときは、いつも分かります。
He is the kind of person who wears his heart on his sleeve.
彼は、気持ちをすぐ顔に出すタイプの人です。
発音・リズム
heart は「ハート」と口を大きく開けて読みます。sleeve は「スリーヴ」で、最後は上の歯を下唇に軽く当てて v の音を出します。
入試での出方と、外し方
- こう問われる
- ①下線部の言い換えで、wears his heart on his sleeve を shows his feelings openly / hides his feelings / wears a heart-shaped badge から選ばせる形。②空所補充で、wear one's heart on one's ( ) に sleeve を入れさせる形。③内容一致で、He is a person who wears his heart on his sleeve. を「感情を隠せない人」と読めるかを見る形。
- ここで外す
- sleeve を shoulder や hand と書いてしまう空所補充の誤りが起きやすいです。もう1つは、「袖に心臓をつけた」と直訳して終わる和訳や、hides his feelings を選んでしまう言い換えの誤りです。
- 決め手
- 文の主語が人で、その人の気持ちが顔や態度に出ていると読めれば「気持ちを隠さない」です。動詞は wear(身につける)の形で、sleeve の前の所有格は主語に合わせて変わります。
Mika never hides her feelings. She always wears her heart on her ( ).
ミカは気持ちを隠さない。いつも気持ちを顔や態度に出している。
- 誤答
- hand/「手に心を着ける」という形は成り立ちません
- 正答
- sleeve/wear one's heart on one's sleeve の決まった形です
読み方が変わる
Before
wear one's heart on one's sleeve を丸ごと覚えようとして、sleeve を shoulder や hand と書き間違えていた
After
「心を袖に着けて見せている」という絵が1つ浮かぶので、sleeve を取り違えにくい。下線部の言い換えでも、hides his feelings のような反対の選択肢を消せる
こぼれ話
Phrase Finder によると、Othello の文では on ではなく upon が使われています。いまの形は on one's sleeve ですが、劇の中の言い方とは少し違っています。
似た表現・反対の表現
- 似た意味
- show one's feelings openly
- 反対の意味
- keep one's feelings to oneself
wear one's heart on one's sleeve を教室で使う(5分)
ねらい: wear one's heart on one's sleeve が「気持ちを隠さない」の意味だと言え、sleeve を正しく書けるようにする
- 黒板に袖口と心臓の絵を描き、「この人は、どんな人だと思いますか」と聞きます
- 「気持ちを隠さない人です。英語では wear one's heart on one's sleeve と言います」と伝え、sleeve に線を引かせます
- 「シェイクスピアの劇 Othello に出てくる言い方です。そこでは upon my sleeve と書かれています」と伝えます
- ペアで、1人がクラスの友だちの様子を He / She wears ... の形で言い、もう1人が本当にそうか、日本語で答えます。役を替えて2回やらせます
出口チケット: 「私の妹は、気持ちをすぐ顔に出す」を、wears her heart on her sleeve を使って英語で書かせる
AIに貼ると、この表現があなたの生活の中の文になって返ってきます。
wear one's heart on one's sleeve を使った短い英文を3つ作ってください。条件は次のとおりです。①高校生が、部活・試験・友人関係で気持ちを顔に出す場面にする。②sleeve を shoulder や hand と間違えやすいことに、日本語で短く触れる。③1つは、主語を he にした wears his heart on his sleeve の形にする。④それぞれに日本語訳を付ける。