Time and tide wait for no man.
タイム・アンド・タイド・ウェイト・フォー・ノウ・マン
「時は人を待ってくれない(機会を逃さず、すぐ動け)」
このことわざが、いつ誰の言葉から始まったのかは、はっきり分かっていません。語の起こりを調べるサイト The Phrase Finder も、起源は不確かだとしたうえで、現代英語より前からある、とても古い言い方だとしています。
このことわざができたころ、tide は海の「潮」ではなく、「季節・時・しばらくの間」という意味でした。
The Phrase Finder は、1225年の文献(St Marher)に、tide と time を並べた一行があることを紹介しています。
14世紀の終わりには、チョーサーが『カンタベリー物語』の「学僧の話」で、同じ考えを書いています。眠っていても起きていても、歩き回っても馬に乗っても、時はいつも逃げていき、誰も待ってくれない、という一節です。
志望校の願書の締め切りが、来週の金曜日です。
志望理由書は、まだ1行も書いていません。「週末にまとめてやればいいか」と思っていたら、週末は部活の試合でした。
カレンダーを見ると、残りは平日の5日だけです。
「待ってくれないんだから、今日から書こう」
英語なら Time and tide wait for no man. と言えます。
なぜこの意味になるのか
Wiktionary によると、time と tide は、さかのぼるとどちらも同じ根から出た語です。同じ根の2語を並べて、「時」を重ねて言っている形です。wait for no man は「誰のことも待たない」です。
使うときの注意・使い分け
先のばしにしている人を、今すぐ動くように急がせるときに使います。Wiktionary は「機会は待ってくれない。すぐに行動するべきだ」と説明しています。no man は「誰も〜ない」で、男性に限った話ではありません。The Phrase Finder は、今の言い方として Time waits for no man. などの形も挙げています。
例文で確かめる
Start your essay today. Time and tide wait for no man.
作文は今日から始めなさい。時は待ってくれないよ。
The deadline is next Friday, and time and tide wait for no man.
締め切りは来週の金曜日だし、時は待ってくれない。
発音・リズム
time・tide・no・man を強く「タイム・アンド・タイド・ウェイト・フォー・ノウ・マン」と言います。tide は「タイド」で、time と同じく「タイ」の部分をはっきり言います。
入試での出方と、外し方
- こう問われる
- ①tide の意味を問い、「時」を選ばせ、「潮」「波」を並べる形。②Time and tide wait for ( ) man. の空所に no を入れさせ、any や every を並べる形。③会話文の応答選択で、ぐずぐずしている相手への返事にこのことわざを選ばせ、Better late than never. を並べる形。
- ここで外す
- tide を「潮」と訳して、「時と潮は男を待たない」と1語ずつ並べる答案が出ます。もう1つは、no man を「男がいない」と読む誤りです。
- 決め手
- no man を見たら「誰も〜ない」と読みます。wait for no man = 誰のことも待たない。そこから「だから今すぐ動け」という忠告だと取れば、急がせる側の返事として選べます。
- 誤答
- Better late than never./遅れても始めるのを認める側の言葉で、今日から始めろと急がせる B に合いません
- 正答
- Time and tide wait for no man./「時は待ってくれない」で、今日から始めろという忠告につながります
読み方が変わる
Before
tide を「潮」とだけ覚えていて、「時と潮は男を待たない」と訳し、会話文でどんな場面の返事なのか分からなかった
After
tide = 昔の「時」、no man = 誰もと読めば、「時は誰も待たない、だから今動け」と取れる。急がせる場面の返事として選べ、Better late than never. と取り違えなくなる
こぼれ話
tide の「時」という意味は、いまも複合語に残っています。Wiktionary は、eventide(夕暮れ)や noontide(真昼)を「時」の意味の例として挙げ、Christmastide(クリスマスの季節)や Eastertide(復活祭の季節)も tide から作られた語として載せています。
似た表現・反対の表現
- 似た意味
- Time waits for no man.Strike while the iron is hot.
Time and tide wait for no man. を教室で使う(6分)
ねらい: Time and tide wait for no man. を「時は待ってくれない、すぐ動け」と読み、tide が昔は「時」を指していたと説明できるようにする
- 黒板に Time and tide wait for no man. と書き、「tide は何という意味でしょう」と聞きます
- 「今は『潮』ですが、昔の英語では『時・季節』でした。Christmastide は『クリスマスの季節』です」と伝えます
- 「no man は『誰も〜ない』です。では、文全体は何と言っていますか」と聞き、「時は誰も待たない」を引き出します
- Better late than never. を並べて書き、「急がせる言葉はどちらですか」と聞いて答えさせます
出口チケット: 「時は待ってくれないから、今日から英単語を覚え始めよう」を、Time and tide wait for no man. を使って英文2文で書かせる
AIに貼ると、この表現があなたの生活の中の文になって返ってきます。
Time and tide wait for no man. を使った会話を4つ作ってください。条件は次のとおりです。①高校生の受験・部活・アルバイト・文化祭の準備の場面にする。②片方がやるべきことを先のばしにし、もう片方がこのことわざで急がせる流れにする。③それぞれに日本語訳を付ける。④1つだけ Better late than never. を使った会話を足し、2つのことわざの違いを日本語で一言添える。