the pot calling the kettle black
ザ・ポット・コーリング・ザ・ケトル・ブラック
「自分のことを棚に上げて、人の欠点を責める」
昔の台所では、料理はすべて火にかけて作りました。そのため、鍋もやかんも、火のすすで同じように真っ黒になっていました。その鍋が、やかんに向かって「お前は黒い」と言う。これがこのことわざの絵です。
語句の由来を調べるサイト Phrase Finder によると、いちばん古い例は、1620年にトマス・シェルトンが英語に訳した『ドン・キホーテ』です。そこでは、フライパンがやかんに「あっちへ行け、黒い眉め」(Avant, black-browes)と言う形で出てきます。
「鍋がやかんを黒と呼ぶ」という、いまに近い形は、17世紀の終わりにウィリアム・ペンが書いた格言集『Some Fruits of Solitude』に出てきます。
待ち合わせに5分遅れて着きました。すると、いつも30分遅れてくる友だちが言います。「遅いよ!」
あなたは思わず言い返します。That's the pot calling the kettle black!
「それ、あなたが言う?」。言っている本人も同じ欠点を持っているのに、人を責めることを表します。日本語の「自分を棚に上げる」「お互い様」に近い言い方です。
なぜこの意味になるのか
pot は「鍋」、kettle は「やかん」です。文の骨組みは call+O+C で、the kettle を black と呼ぶという形です。calling は現在分詞で、「鍋がやかんを黒と呼んでいる、その状態」を名詞のかたまりとして表しています。だから That's のあとにそのまま置けます。
使うときの注意・使い分け
相手が、自分にもある欠点を棚に上げて人を責めたときに言い返す言い方です。That's the pot calling the kettle black. の形で使うことが多く、あきれた気持ちが込められます。
例文で確かめる
You're calling me lazy? That's the pot calling the kettle black.
私が怠け者だって? 自分のことを棚に上げてよく言うよ。
When he complained that I was always on my phone, it was the pot calling the kettle black.
彼が、私がいつもスマホを見ていると文句を言ったのは、自分を棚に上げた話だった。
発音・リズム
kettle の tt は、アメリカ英語では舌を軽くはじく音になり、ラ行に近く聞こえることがあります。強く読むのは pot・kettle・black の3つです。
入試での出方と、外し方
- こう問われる
- ①会話文の応答選択で、A: Ken told me I talk too much. B: ( ) He never stops talking! の空所に、That's the pot calling the kettle black. / Every cloud has a silver lining. / The ball is in your court. / Better late than never. から選ばせる形。②下線部の言い換えで、criticizing someone for a fault you also have / praising someone too much / cooking dinner together / telling a lie を並べ、1つ目を選ばせる形。③整序で、the pot / calling / the kettle / black を並べさせる形。
- ここで外す
- the pot calling the kettle as black と、as を入れる誤りが定番です。regard A as B につられています。もう1つは「鍋がやかんを黒く塗る」と直訳して、料理の話だと読む答案です。
- 決め手
- calling のうしろに名詞(the kettle)と形容詞(black)が並べば、call+O+C の「OをCと呼ぶ」の形で、あいだに as は入りません。
My brother said my room was messy. That's the pot calling the kettle black. His room is even worse.
- 誤答
- 兄は私の部屋が散らかっていると言った。鍋がやかんを黒いと呼んでいる。兄の部屋はもっとひどい。
- 正答
- 兄は私の部屋が散らかっていると言った。自分のことを棚に上げてよく言うよ。兄の部屋はもっとひどいのに。
読み方が変わる
Before
pot を「鍋」、kettle を「やかん」と1語ずつ訳していて、会話文に急に台所の道具が出てきたと読み、相手に言い返している場面だと分からなかった
After
the pot calling the kettle black を見たら「自分も同じなのに人を責めている」と読める。call+O+C の形も分かるので、整序で as を入れずに並べられる
こぼれ話
Wikipedia によると、のちに別の読み方も生まれました。やかんはぴかぴかに磨かれていて、そこに映った自分の黒い姿を見て、鍋が「お前は黒い」と言っている、という読み方です。
似た表現・反対の表現
- 似た意味
- Look who's talking.
the pot calling the kettle black を教室で使う(5分)
ねらい: すすで黒くなった鍋とやかんの絵から、「自分を棚に上げて責める」という意味をつかませる
- 黒板に、火にかかった黒い鍋と黒いやかんを描きます。「昔は、どちらも火のすすで真っ黒でした」と説明します
- 「鍋がやかんに『お前は黒い』と言ったら、やかんは何と言い返すでしょう」と聞き、「お前もだ」という答えを引き出します
- the pot calling the kettle black と板書し、calling のあとに the kettle と black が並んでいることを示します。「as は入りません」と言います
- ペアで、A が相手の欠点を言い、B が That's the pot calling the kettle black! と言い返す会話を1回ずつ演じさせます
出口チケット: ( the pot / as / calling / the kettle / black / that's )から不要な語を1つ除いて並べかえさせ、除いた語と理由を書かせる
AIに貼ると、この表現があなたの生活の中の文になって返ってきます。
ことわざ the pot calling the kettle black を使った英語の短い会話を3つ作ってください。条件は次のとおりです。①遅刻を注意される場面、②部屋の片付けを注意される場面、③スマホの使いすぎを注意される場面。④それぞれに日本語訳を付けてください。⑤最後に、call+O+C の形で as が入らない理由を1文で説明してください。