英語版 Wikipedia によると、この言い方は、イソップの名で伝わるいくつかの寓話から来ています。
ラテン語で書かれたパエドルスの話では、牛とヤギと羊が、ライオンと一緒に狩りをします。獲物を4つに分けたところで、ライオンが言います。
「1つ目は、私が王と呼ばれているから私のもの。2つ目は、私が仲間だから私のもの。3つ目は、私がいちばん強いから私のもの。4つ目に手を出した者には、わざわいが起きるぞ」
こうして、獲物はぜんぶライオンのものになりました。強い者と組んで分け前を分けると、こうなる、という話です。
文化祭のクラス展示。看板の色塗りも、買い出しも、飾りつけの配置も、気づけばあなたが動いていました。
片づけのあと、担任の先生が言います。
「今回は、ほとんどあなたのおかげだね」
英語なら You did the lion's share of the work. です。全部ではなくても、いちばん大きな部分をあなたが受け持った、という言い方です。
なぜこの意味になるのか
lion's は「ライオンの」、share は「分け前」です。百獣の王が受け取る分け前なので、いちばん大きな部分という意味になります。英語版 Wikipedia によると、英語で「ほぼ全部」の意味で使われるようになったのは、18世紀の終わりになってからです。
使うときの注意・使い分け
何かを分けたときの「いちばん大きな部分」に使います。英語版 Wikipedia は、いまの意味を「大部分」としています。全部を指すのではありません。仕事・お金・予算・時間・食べ物など、分けられるものなら何にでも使えます。
例文で確かめる
My brother ate the lion's share of the pizza.
兄がピザのほとんどを食べてしまった。
The lion's share of the money went to the winner.
お金の大部分は、優勝者に渡った。
発音・リズム
lion は「ライオン」ではなく、「ライアン」に近い音です。lion's share は「ライアンズ・シェア」と、2語をつなげて言います。share の sh は、くちびるを前に突き出して出します。
入試での出方と、外し方
- こう問われる
- ①下線部 the lion's share of ~ の言い換えで、most of ~ や the largest part of ~ を選ばせ、a small part of ~(ほんの一部)や an equal share of ~(等しい分け前)を並べる形。②the lion's ( ) of the profits の空所に share を入れさせ、part や piece を並べる形。③The lion's share of the budget goes to ~. を訳させる形。
- ここで外す
- lion を「勇敢な」「立派な」と読んで、「勇気ある分担」「正当な分け前」と訳す誤りが出ます。言い換えで an equal share(等しい分け前)を選ぶ誤りも同じ根っこです。もう1つは、寓話のとおり「全部」と訳してしまう誤りです。いまの意味は「大部分」です。
- 決め手
- the lion's share のうしろの of + 名詞を見ます。of the work なら「仕事の大部分」、of the money なら「お金の大部分」と、その名詞の大部分が1人や1つに集まっている、と読みます。of が無くても、何かを分ける話なら「いちばん大きな分け前」です。
The lion's share of the club's budget goes to the soccer team.
- 誤答
- 部の予算のうち、サッカー部には正当な分け前が回される。
- 正答
- 部の予算の大部分は、サッカー部に回される。
読み方が変わる
Before
lion's を「ライオンのような、勇ましい」と読んで、the lion's share を「勇気ある分担」のように訳し、言い換えで an equal share と迷っていた
After
分け前を独り占めしたライオンの話と分かると、the lion's share of ~ を「〜の大部分」とすぐ訳せる。言い換えでは most of ~ や the largest part of ~ を選べる
こぼれ話
英語版 Wikipedia によると、フランス語にも le partage du lion(ライオンの分け方)という同じ言い方があります。こちらは18世紀の初めから記録があり、ラ・フォンテーヌが寓話集でこの話を書き直したあとのことです。12世紀のマリー・ド・フランスも、この寓話を2つの形で書き残しています。
似た表現・反対の表現
- 似た意味
- most ofthe largest part of
the lion's share を教室で使う(5分)
ねらい: the lion's share of ~ を「〜の大部分」と読み、由来の寓話を一言で説明できるようにする
- 黒板に丸を描いて4つに区切り、「4人で狩りをして、獲物を4つに分けました。ライオンは何個取ったと思いますか」と聞きます
- 「答えは4つ全部です。王だから、仲間だから、強いから、残りに手を出したらわざわいが起きるから、という理由でした」と伝えます
- 「この話から the lion's share という言い方ができました。ただ、いまは全部ではなく『大部分』の意味で使います」と付け足します
- My brother ate the lion's share of the pizza. を板書し、「お兄さんは、ピザをどのくらい食べましたか。隣の人と15秒で話してください」と聞きます
出口チケット: 「この仕事の大部分は、私たちの班がやった」を、the lion's share を使って英文1文で書かせる
AIに貼ると、この表現があなたの生活の中の文になって返ってきます。
the lion's share を使った英文を4つ作ってください。条件は次のとおりです。①高校生の学校生活・部活・家族・アルバイトの場面にする。②どの文も the lion's share of + 名詞の形にする。③それぞれに日本語訳を付ける。④1つだけ an equal share を使った文を足し、the lion's share との違いを日本語で一言添える。