英語には昔、『最後の一枚の羽根が背骨を折る』という言い方がありました。17世紀の文献に初めて登場したときは、まだ『羽根』であり、動物も『らくだ』ではなく『馬』でした。18世紀の終わりごろ、1799年の雑誌『スコッツ・マガジン』が東方のことわざとしてこの言い方を紹介し、そこでは動物が『らくだ』になっていました。19世紀半ば、作家チャールズ・ディケンズが小説『ドンビー父子』で使ったころには、羽根はすでに『わら』に変わっていたことが分かっています。積み荷は少しずつ重くなり、最後に足された一本のわらが、それまで耐えていた背骨をついに折ってしまう。そこから『the last straw』だけでも『限界を超えさせる最後の一押し』を表す言い方として独立しました。
朝練に遅れて注意され、忘れ物をして注意され、それでも我慢していた。だから、最後にグループの連絡を既読スルーしたと決めつけられたとき、思わず言い返してしまった。1つ1つは小さなことでも、積み重なった最後の一言が、我慢の糸をぷつりと切ります。
なぜこの意味になるのか
わら1本は、それ自体はごく軽いものです。すでに山ほど積まれた荷物の上に、ほんの少し重さを足しただけなのに、それが引き金になって背骨が折れる。小さな追加が、大きな結果を引き起こすという不釣り合いさが、この言い方の芯です。
使うときの注意・使い分け
単発の失敗にはbe the last strawとは言いません。それ以前に複数回の我慢があることが前提の表現です。
例文で確かめる
Forgetting my umbrella again was the last straw after a week of bad luck.
ついていない一週間の末に、また傘を忘れたことが我慢の限界でした。
His constant lateness was annoying, but missing the meeting entirely was the last straw.
彼がいつも遅刻するのは迷惑だったが、会議に完全に来なかったことでついに我慢の限界に達した。
発音・リズム
strawの語頭のstrは日本語にない子音の並びです。「ストロー」ではなく、sのあとにtを添えるように発音します。
入試での出方と、外し方
- こう問われる
- ①下線部の言い換え問題で、the last strawをour patience was goneのように書き換えた選択肢を選ばせる形。②長文で、それまで我慢していた人物が急に怒り出す理由として、直前の出来事を選ばせる形。
- ここで外す
- 実際に書かれてしまう誤り:the last strawを『一番最後に起きた出来事』とだけ訳し、missing the connecting flight was the last strawの直前にある『3度の遅延とスーツケースの紛失』という積み重ねを無視して、無関係な選択肢を選ぶ。
- 決め手
- 直前に『すでに何度も我慢していた』という描写があるかどうかを見る。単発の出来事ならjust one more problem、積み重ねの果てならthe last strawが正解。
After three delays and a lost suitcase, missing the connecting flight was the last straw for the tired travelers.
- 誤答
- 疲れた旅行者たちにとって、乗り継ぎ便に乗り遅れたことが最後に起きた出来事だった。
- 正答
- 3度の遅延とスーツケースの紛失のあと、乗り継ぎ便に乗り遅れたことで、疲れた旅行者たちはついに我慢の限界を迎えた。
読み方が変わる
Before
the last strawを見ても『最後のわら』としか読めず、なぜ怒りの場面で出てくるのか分からなかった
After
『積み重なった末の限界』という絵が浮かぶようになり、長文中で人物が急に怒る場面が来たら、その直前に何が積み重なっていたかを探しに戻れるようになる
こぼれ話
もとは『わら』ではなく『羽根』で、動物も『らくだ』ではなく『馬』でした。同じ意味の言い回しが、17世紀から19世紀半ばまで、200年近くかけて今の形に落ち着いています。
似た表現・反対の表現
- 似た意味
- the final strawthe breaking point
the last straw を教室で使う(6分)
ねらい: 比喩表現を、直訳ではなく場面の絵として読む力をつける
- 先生「らくだの背に、わらを1本ずつ積んでいくとどうなる?」と問いかけ、絵を黒板に描く
- 『重さそのもの』ではなく『それまでの積み重ね』が大事だと確認する
- ペアで『小さなことが積み重なって、最後に怒ってしまった経験』を1つ挙げさせる
- 教科書の長文から人物が怒る場面を1つ探し、その直前に何が積み重なっていたか下線を引かせる
出口チケット: the last strawを使って、自分の経験を1文で書きなさい
AIに貼ると、この表現があなたの生活の中の文になって返ってきます。
次の指示をAIに貼ってください。 「the last straw を使った短い物語を1つ作ってください。小さな出来事が3つ積み重なり、最後に限界を迎える流れにして、日本語訳も付けてください」