Take it or leave it.
テイク・イット・オア・リーヴ・イット
「この条件のまま受けるか、断るかのどちらかにしてくれ(これ以上は変えない)」
この言い方の生まれた場面は、はっきり分かっていません。まず、この絵を頭に置いてください。
売り手が、品物を1つだけ机に置きます。「これを持っていく(take it)か、ここに置いていく(leave it)か。ほかの選び方はありません」。
英語には、同じ考え方を表す古い言い方があります。Wiktionary がこの表現の関連語に挙げている Hobson's choice です。英語版 Wikipedia によると、イギリスのケンブリッジで貸し馬屋をしていたトマス・ホブソン(1544〜1631年)から来ています。
ホブソンは40頭ほどの馬を持っていたとされます。それでも客に許したのは、戸口にいちばん近い馬に乗るか、どれにも乗らないかだけでした。良い馬ばかりが選ばれて、くたびれてしまうのを防ぐためだったとされています。
フリマアプリで、ほしかったスニーカーが4,000円で出ていました。
あなたはコメントします。「3,000円になりませんか?」
返事はすぐに来ました。「すでに相場より安くしています。4,000円から下げるつもりはありません。」
「この値段で買うか、やめるかだ、ってことか」
出品者の気持ちを英語にすると、Take it or leave it. です。
なぜこの意味になるのか
take it は「それを取る」、leave it は「それを(その場に)置いていく」です。正反対の2つだけを or でつなぎ、ほかの道を消しているので、「この条件のままか、無しか」という意味になります。I can take it or leave it. と自分のことで言うと、「取っても取らなくてもいい」、つまり「どちらでもいい」になります。
使うときの注意・使い分け
条件はもう変えない、受けるか断るかはあなたが決めてと、交渉を打ち切るときに使います。Wiktionary は「その状況を変えずに受け入れるか、まるごと断るか」という意味だと説明しています。強い言い方なので、目上の人に向かって使うと突き放した感じになります。
例文で確かめる
This is my final offer. Take it or leave it.
これが最後の条件です。このまま受けるか、断るかにしてください。
I can take it or leave it. Coffee is fine, but I don't need it.
どちらでもいいよ。コーヒーは嫌いじゃないけど、なくてもかまわない。
発音・リズム
take と leave を強く「テイキット・オア・リーヴィット」と言います。take it と leave it は、それぞれ1語のようにつなげます。leave の「リー」は長くのばします。短く言うと live(住む)に聞こえます。
入試での出方と、外し方
- こう問われる
- ①会話文の応答選択で、値下げを頼まれた売り手の返事として Take it or leave it. を選ばせ、Take your time.(ゆっくりどうぞ)や Take it easy.(気楽にね)を並べる形。②Take it or ( ) it. の空所に leave を入れさせ、give や lose を並べる形。③I can take it or leave it. の意味を選ばせる形(「好きでも嫌いでもない」)。
- ここで外す
- leave を「去る」と読んで、「それを持って立ち去れ」と訳す答案が出ます。もう1つは、take it で始まる Take it easy. との取り違えです。こちらは相手を落ち着かせる言葉で、条件を突きつける意味はありません。
- 決め手
- 直前に、値段や条件をめぐるやりとりがあるかを見ます。相手が条件を変えてほしいと頼み、それを断る場面なら Take it or leave it.、相手が焦っていて落ち着かせる場面なら Take it easy. です。主語が I で I can take it or leave it. なら「どちらでもいい」です。
- 誤答
- Take it easy./相手を落ち着かせる言葉なので、値段は変えないという B の返事につながりません
- 正答
- Take it or leave it./「この値段で買うか、やめるか」で、最後の値段だという B の言葉につながります
読み方が変わる
Before
leave を「去る」とだけ覚えていて、「それを取るか去るか」と訳し、Take it easy. や Take your time. と同じ仲間だと思っていた
After
leave it = その場に置いていくと読めば、「この条件のまま受けるか、断るか」とすぐ取れる。会話文では、条件の交渉を断る場面でこれを選び、Take it easy. を外せる
こぼれ話
英語版 Wikipedia によると、Hobson's choice が書き言葉に出てくる最初の例は、オックスフォード英語辞典によると1660年のサミュエル・フィッシャーの本です。そこでは、選ぶのは「これにするか、何も無しか」だと書かれています。ホブソンの貸し馬屋があった土地は、いまはケンブリッジ大学のセント・キャサリンズ・カレッジのものです。
似た表現・反対の表現
- 似た意味
- This is my final offer.Hobson's choice
Take it or leave it. を教室で使う(5分)
ねらい: Take it or leave it. を「この条件のまま受けるか断るか」と読み、Take it easy. と場面で使い分けられるようにする
- 机にペンを1本置き、「このペンを持っていくか、ここに置いていくか。ほかの選び方はありません」と言います
- 黒板に Take it or leave it. と書き、「leave は『去る』ではなく『置いていく』です」と確認します
- ペアを作り、1人が「この消しゴム、100円で売ってよ」と値下げを頼み、もう1人が「200円が最後。Take it or leave it.」と返す練習を2回させます
- Take it easy. を並べて書き、「試験の前で焦っている友達には、どちらを言いますか」と聞いて答えさせます
出口チケット: 値下げを頼まれた売り手として、最後の値段を言ってから Take it or leave it. で締める英語の返事を2文で書かせる
AIに貼ると、この表現があなたの生活の中の文になって返ってきます。
Take it or leave it. を使った会話を4つ作ってください。条件は次のとおりです。①高校生のフリマアプリ・アルバイト・部活の当番決め・家族の場面にする。②どの会話でも、相手が条件を変えてほしいと頼み、それを断る流れにする。③それぞれに日本語訳を付ける。④1つだけ Take it easy. を使った会話を足し、2つの違いを日本語で一言添える。⑤最後に I can take it or leave it.(どちらでもいい)を使った例文を1つ付ける。