まず、絵を思い浮かべてください。よく晴れた日です。雲はひとつもありません。空はまっすぐな青。
そこへ突然、雷が落ちます。
予兆がまったく無いというのが、この絵の要です。黒い雲が出て、風が変わって、遠くで鳴って。ふつう雷にはそういう前ぶれがあります。ところがこの雷には、それがありません。
もとの形は a bolt from the blue(青空からの雷)でした。ここでの the blue は青空そのものを指す名詞です。bolt は「稲妻」。
トマス・カーライルが1837年に書いた『フランス革命』に、a bolt out of the blue という形が出てきます。突然の逮捕を、晴れた空から落ちた雷にたとえた場面です。
やがて bolt が落ちて、out of the blue だけが残りました。それでも絵は消えていません。「青から出てきた」と言うだけで、前ぶれの無さが伝わるのです。
何年も会っていない人から、ある日いきなりメッセージが届く。
「中学のときの友だちから、out of the blue で連絡が来たんだよね」
このとき言いたいのは、連絡が来たこと自体ではありません。何の前ぶれも無かったということのほうです。
日本語の「だしぬけに」「藪から棒に」に近い言い方です。藪から棒が出てくるのも、青空から雷が落ちるのも、同じ驚き方をしています。
ちなみに、良いことにも悪いことにも使えます。急に仕事をやめた、急にプロポーズされた、急に雨が降った。中身は問いません。前ぶれが無ければ、それで out of the blue です。
なぜこの意味になるのか
the blue は、色の名前がそのまま名詞になった例です。冠詞の the が付いて「あの青いもの」、つまり空を指します。
同じ作り方が英語にはいくつもあります。the green(芝地)、the deep(海)、the dark(暗がり)。形容詞に the を付けると、その色や状態を持つ「もの」になります。
だから out of the blue は、直訳すれば「あの青いものの中から」。英語の語感では、それだけで空から降ってきた感じが出ます。
使うときの注意・使い分け
話し言葉でも書き言葉でも使えます。くだけすぎていないので、作文で使っても問題ありません。ただし1つの文章で何度も出すと目立つので、1回にとどめてください。
例文で確かめる
She quit her job out of the blue.
彼女はだしぬけに仕事をやめました。
Out of the blue, he asked me to join the team.
思いがけず、彼は私にチームに入らないかと言ってきました。
発音・リズム
out of は「アウトオブ」ではなく「アウタヴ」とつなげます。t は弱く、of の o はほとんど聞こえません。4語ではなく、「アウタヴザブルー」で1かたまりです。
入試での出方と、外し方
- こう問われる
- ①空所補充で、suddenly や unexpectedly の言い換えとして選ばせる形。②長文中で、出来事の唐突さを示す語句として下線を引かれる形。③並べかえで、out / of / the / blue を正しい順に並べさせる形。
- ここで外す
- いちばん多いのは、the blue を「憂うつ」だと取り違える誤りです。たしかに英語には feel blue(気がめいる)という言い方があり、the blues なら「憂うつ」や音楽のブルースを指します。 ですが out of the blue の the blue は青空です。憂うつとは関係がありません。「落ちこみから抜け出して」と読むと、文がどこにも着地しなくなります。 もう1つは、前置詞を from にしてしまう誤りです。a bolt from the blue なら from ですが、bolt が無い形では out of のほうが標準です。
- 決め手
- 文の中に「急に、いきなり」と入れて意味が通るかどうかで判断できます。通れば青空、通らなければ読み違えています。
He called me ______ the blue after ten years of silence.
10年も音信不通だったのに、彼は( )連絡してきました。
- 誤答
- from / a bolt from the blue なら正しいのですが、bolt の無い形では使いません
- 正答
- out of / out of the blue で「だしぬけに」。空所は out of の2語です
読み方が変わる
Before
blue を見ると「憂うつ」だと思いこんでいたので、out of the blue を「落ちこみから抜け出して」と読んでいた。文の意味が合わないのに、なぜ合わないのか分からないまま次へ進んでいた。
After
the blue が青空だと分かるので、その場で「だしぬけに」と読める。さらに a bolt from the blue(青天の霹靂)まで一緒に入るので、長文でどちらの形が出ても止まらなくなる。
こぼれ話
日本語の「青天の霹靂」は、ほぼ同じ絵でできています。青天は晴れた空、霹靂は激しい雷。中国の詩人・陸游が800年以上前に書いた詩から来ている言葉です。
遠く離れた言葉どうしが、まったく同じたとえに行き着いているわけです。前ぶれの無い驚きを、人はどこでも空に見るのかもしれません。
似た表現・反対の表現
- 似た意味
- all of a suddenwithout warning
- 反対の意味
- as expected
out of the blue を教室で使う(5分)
ねらい: the blue が青空だと、絵で入れる
- 黒板に、雲ひとつない空の線を1本引きます。「これ、何色でしょう」と聞きます
- 「青ですね。英語で the blue と言うと、この空そのものを指します」と書きます
- そこへ稲妻を1本描き足します。「前ぶれ、ありましたか」と聞きます
- 「無いですね。だから out of the blue は『だしぬけに』です」とつなげます
- 「最近あった out of the blue な出来事を、隣の人に日本語で1つ話してください」と2分取ります
出口チケット: 「out of the blue を使った文を1つ書いてください。良いことでも悪いことでも構いません」
AIに貼ると、この表現があなたの生活の中の文になって返ってきます。
あなたは英語の先生です。out of the blue を使った短い会話を5往復つくってください。条件は次のとおりです。①場面は、久しぶりに連絡が来た友だちどうしの会話にしてください。②out of the blue は会話全体で1回だけ使ってください。③1回の発言は15語以内にしてください。④会話のあとに、out of the blue が使われた行だけを抜き出して日本語訳を付けてください。⑤文法の説明は書かないでください。