19世紀末のアメリカには、英語を母語としない人たちが大勢いました。中国語を話す移民たちは、久しぶりに会った知人に『好久不見』と声をかける感覚を、そのまま英語の単語に置き換えました。I や have のような、意味を運ばない語を省いても、伝えたいことは十分伝わります。正しい文法より先に、この言い方は生き残りました。
夏休みが終わり、久しぶりに教室に入ったところを想像してください。塾の合宿でずっと会えなかった友達を見つけたとき、日本語なら『久しぶり!』の一言で済みます。英語でそのまま言おうとすると、It's been a long time since I saw you. のような長い文になりがちです。Long time no see. なら、その一言と同じ短さで言えます。
なぜこの意味になるのか
主語を省き、have も使わない、文法的には崩れた形をしています。中国語の『好久不見(hǎojiǔ bú jiàn)』を、そのままの語順で英語の単語に置き換えた『ピジン英語』が元になったという説が有力です。記録に残るいちばん古い例は1900年、W・F・ドランナンの著書『Thirty-One Years on the Plains and in the Mountains』で、ネイティブアメリカンの男性の言葉として "Good morning. Long time no see you." と書かれています。中国語から来たのか、ネイティブアメリカンのピジン英語から来たのか、いまも意見が分かれています。
例文で確かめる
Long time no see! You look great.
久しぶり!元気そうだね。
Long time no see. Are you still playing basketball?
久しぶり。まだバスケ続けてるの?
発音・リズム
4語をつなげて『ロンタイムノースィー』のように一息で言う。see を強く長く伸ばすと、あいさつらしい響きになる。
入試での出方と、外し方
- こう問われる
- ①会話文の空所補充で、久しぶりに会った場面のあいさつを選ばせる形。②Nice to meet you. との使い分けを問う形。
- ここで外す
- 初対面の相手に Long time no see. と言ってしまう誤り、逆に旧知の相手に Nice to meet you. と言ってしまう誤りが、両方とも定番です。
- 決め手
- 『以前に会ったことがあるかどうか』を見る。初対面なら Nice to meet you.、以前会っていて久しぶりなら Long time no see.
- 誤答
- Nice to meet you.
- 正答
- Long time no see.
読み方が変わる
Before
Long time no see. を見るたびに、主語が無いのは間違いだと感じていた
After
文法が崩れたまま定着した表現があると分かり、辞書どおりの形をそのまま覚えればよいと割り切れる
こぼれ話
同じように主語を省いた口語表現に Long time no talk.(久しぶりに話したね、電話やメッセージの相手に)があります。see を talk に置き換えるだけで、会っていない相手にも、連絡を取っていなかった相手にも対応できます。
似た表現・反対の表現
- 似た意味
- It's been a while.It's been ages.
- 反対の意味
- Nice to meet you.
Long time no see. を教室で使う(5分)
ねらい: 文法どおりでなくても定着した口語表現があることに気づかせる
- 先生が教室に入り、すでに知っている生徒に「Nice to meet you.」とわざと言ってみせ、「何かおかしくない?」と聞く
- 生徒に正しい言い方を考えさせ、Long time no see. を引き出す
- 「主語も have も無いのに、なぜ通じるのか」を問いかけ、正しい文法にこだわりすぎなくてよい表現があることを伝える
- ペアで、3か月会っていない設定の再会の会話を30秒で作らせる
出口チケット: Long time no see. を使った2行の会話を書かせる
AIに貼ると、この表現があなたの生活の中の文になって返ってきます。
次の3つの場面設定で、Long time no see. を使った短い英会話をそれぞれ作ってください。①高校の同級生と駅で偶然会う ②オンラインゲームの友達とボイスチャットで話す ③親戚のおじさんに会う。それぞれ4行以内で、場面ごとにカジュアルさのレベルを変えてください。