keep a stiff upper lip
キープ・ア・スティフ・アッパー・リップ
「つらくても感情を顔に出さず、平静を保つ」
語句の由来を調べるサイト Phrase Finder によると、この表現は、イギリスらしさの代名詞になっています。ところが、生まれたのはアメリカです。
Phrase Finder は、感情をこらえる意味がはっきり読み取れる、いちばん古い例として、1830年にオハイオ州の新聞 The Huron Reflector に載ったものを挙げています。アメリカでは1844年までに、ごくふつうの言い方になっていました。
そのあとで、この言い方がイギリスへ渡ります。イギリスでは、パブリックスクール(名門の私立学校)や大英帝国の「感情を見せずに務めを果たす」気風を表す言葉になりました。
Phrase Finder は、この言葉が表す顔つきを、「よそよそしく、笑っていない」ものだと書いています。感情がほとんど表に出ません。
模試の結果が返ってきました。思っていたより、ずっと低い点です。
隣の席の友だちが、のぞきこんできます。どうだった?
あなたは、顔を動かさずに答えます。うん、まあまあ。本当は、泣きたい気分です。でも、教室で泣くわけにはいきません。
つらいのに、顔に出さずに耐える。この姿を、英語は keep a stiff upper lip と言います。
なぜこの意味になるのか
keep は「保つ」、stiff は「こわばった、かたい」、upper lip は「上くちびる」です。上くちびるが震えたり、ゆがんだりしないように、こわばらせて保つという姿が、そのまま意味になりました。a を付けた形で、決まって使います。
使うときの注意・使い分け
つらくても、感情を顔や声に出さないことです。ほめ言葉にも、少し冷たい言い方にもなります。相手を「がんばれ」とはげますときは、Keep a stiff upper lip. のように使います。
例文で確かめる
Even when the team lost, the captain kept a stiff upper lip.
チームが負けたときも、キャプテンは感情を顔に出さずにいました。
I know you're nervous, but keep a stiff upper lip. You can do it.
緊張しているのは分かるけれど、平気な顔をしていて。あなたならできるよ。
発音・リズム
強く読むのは、stiff・upper・lip の3つです。スティフ・アッパー・リップと、リズムよく読みます。keep a は軽くつなげて、キーパ、のように読みます。
入試での出方と、外し方
- こう問われる
- ①下線部の言い換えで、He kept a stiff upper lip. の意味を、remained calm and hid his feelings / spoke in a loud voice / smiled at everyone / asked for help の4つから選ばせる形。②空所補充で、Keep a stiff ( ) lip. の空所に upper を入れさせる形。
- ここで外す
- stiff を「頑固な」と読み、意地を張って言い返す意味だと考える答案が定番です。もう1つは、Keep a stiff lower lip. のように、upper を lower と書く誤りです。
- 決め手
- 悲しみ・痛み・失敗などの場面があり、そのあとで「顔に出さない」「泣かずに耐える」という動きが続くなら、stiff upper lip です。相手に言い返す場面が出ていなければ、意地を張る意味ではありません。
Although she was in pain, she kept a stiff upper lip.
- 誤答
- 痛みがあったので、彼女は上くちびるをこわばらせた。
- 正答
- 痛みがあったのに、彼女は感情を顔に出さずに耐えた。
読み方が変わる
Before
stiff upper lip を「こわばった上くちびる」と直訳していて、下線部の言い換えで、意地を張る意味の選択肢と迷っていた
After
つらい場面のあとに出てきたら「顔に出さずに耐える」と読める。lip の直訳に引っぱられず、言い換えの選択肢を、場面から決められる
こぼれ話
Phrase Finder によると、1815年の新聞 Massachusetts Spy にも、I kept a stiff upper lip という一文があります。ただし、感情をこらえる意味がはっきり読み取れる最初の例は、1830年のものだと書かれています。
似た表現・反対の表現
- 似た意味
- grin and bear ithold it together
- 反対の意味
- break down
keep a stiff upper lip を教室で使う(5分)
ねらい: stiff upper lip が、つらいときに感情を顔に出さない意味だと、場面から気づかせる
- 「模試の点が悪かった友だちに、どうだったと聞かれました。泣きたいのに、平気な顔をして答えます。この顔つきを、英語では何と言うでしょう」と聞き、隣の人と10秒相談させます
- 「上くちびるをこわばらせる、と言います」と言って、keep a stiff upper lip と板書します
- 「upper は上、lip はくちびるです」と説明し、全員で2回声に出して読ませます
- ペアで、A が「つらいことがあった」場面を日本語で言い、B が Keep a stiff upper lip. と声をかける練習をさせます。相手をはげます言い方として使えることも、ここで伝えます
出口チケット: 「つらかったのに、顔に出さなかった」場面を、日本語で1つ書かせる(次回、英語で言い換える)
AIに貼ると、この表現があなたの生活の中の文になって返ってきます。
keep a stiff upper lip を使った英語の短い会話を3つ作ってください。条件は次のとおりです。①試験に落ちた友だちをはげます場面、②試合に負けたあとの場面、③転んで痛いのに笑っている子どもの場面。④それぞれに日本語訳を付けてください。⑤最後に、この表現が「頑固」の意味ではないことを1文で説明してください。