まず、こんな場面を思い浮かべてください。悪いことをした人が、逃げずに前を向き、これから受けるおしかりを待っています。
語句の由来を調べるサイト Phrase Finder によると、face the music の由来ははっきり分かっていません。よく言われる説は2つあります。
- ① 不名誉なことをした士官が、太鼓の音とともに連隊から追い出されたという説
- ② 舞台に出た役者が、オーケストラの席(音楽)のほうを向いたという説
Wiktionary は、戦いの音に向き合う兵士という説も挙げています。どの説にも、決め手になる証拠はありません。
Phrase Finder が見つけた最も古い例は、1834年8月のアメリカの新聞 The New Hampshire Statesman & State Journal です。
We want no equivocation - 'face the music' this time.
「言い逃れはいらない。今度こそ face the music してもらう」という意味です。
あなたは昨日、友達の宿題を写して出しました。今朝、先生に「2人の答えが、まちがいまで同じだね」と言われ、放課後に呼ばれました。
言い訳はいくつも浮かびます。でも、逃げずに職員室へ行くことにしました。
自分のしたことの結果を、正面から受け止める。
この覚悟を、英語は face the music と言います。I have to face the music. と言えます。
なぜこの意味になるのか
face は「〜に向き合う」という動詞、music は「音楽」です。目の前で鳴っている音楽(太鼓や楽団)のほうを、逃げずに向くという絵で読むと、「結果を正面から受け止める」という意味がつかめます。ただし、どの場面の音楽なのかは確かめられていません。
使うときの注意・使い分け
自分のしたことの、いやな結果を受け止めるときに使います。Phrase Finder は「自分の行いのいやな結果を受け入れること」と説明しています。叱られる、罰を受けるなど、これから来る結果から逃げない、という気持ちが入ります。
例文で確かめる
He lied to his parents, and now he has to face the music.
彼は両親にうそをついたので、いまその報いを受けなければならない。
I forgot my homework again.
また宿題を忘れちゃった。
Then you'll have to face the music.
じゃあ、叱られる覚悟をしないとね。
発音・リズム
music を強く読みます。face the は「フェイスザ」とつなげ、the は軽く添えるだけです。
入試での出方と、外し方
- こう問われる
- ①下線部の言い換えで、face the music を accept the consequences / listen to the music / change one's mind から選ばせる形。②空所補充で、( ) the music に face を入れさせる形。③会話文で、うそやいたずらがばれた人への一言として You'll have to face the music. を選ばせる形。
- ここで外す
- 「音楽に向き合う」「音楽を聞く」と、文字どおり訳す答案が出ます。英作文では、face to the music と to を入れる誤りも出ます。face は「〜に向き合う」という他動詞なので、うしろに名詞が直接来ます。
- 決め手
- 直前にうそ・いたずら・失敗など、その人がしたことが書いてあれば、face the music は「報いを受ける」です。音楽の話が前後に1つも無ければ、比喩だと決めてかまいません。
You broke the window, so you have to face the music.
- 誤答
- 窓を割ったのだから、あなたは音楽と向き合わなければならない。
- 正答
- 窓を割ったのだから、あなたは叱られる覚悟をしなければならない。
読み方が変わる
Before
face the music を見ると music を「音楽」と読んで、なぜ急に音楽の話になるのか分からなかった
After
直前にその人がしたことが書いてあるかを見るだけで、「報いを受ける」と読める。下線部の言い換えで accept the consequences を迷わず選べる
こぼれ話
Wiktionary は、関連する表現として bite the bullet(つらいことを我慢してやる)と pay the piper を挙げています。pay the piper は、文字どおりには「笛吹きにお金を払う」です。Wiktionary によると、意味の1つは「いやな結果を受け止めること。とくに、前に楽しんだことから来る、避けられない結果」です。こちらも音楽の絵を使った言い方です。
似た表現・反対の表現
- 似た意味
- face up topay the price
face the music を教室で使う(5分)
ねらい: face the music が「自分のしたことの報いを受ける」の意味だと言え、前後の文から比喩だと見分けられるようにする
- 黒板に face the music と書き、「音楽に向き合う、とはどういうことでしょう」と聞きます
- 「自分のしたことの結果を受け止める、という意味です。由来は分かっていません。太鼓の音で連隊を追い出された説や、役者がオーケストラのほうを向いた説があります」と伝えます
- 「前の文に、その人がしたことが書いてあるかを見てください。あれば『報いを受ける』です」と伝えます
- ペアで、1人が日本語で小さな失敗を言い(「宿題を忘れた」「花びんを割った」)、もう1人が You have to face the music. と返します。役を替えて2回やらせます
出口チケット: 「うそがばれたので、彼は報いを受けなければならなかった」を、face the music を使って英語で書かせる
AIに貼ると、この表現があなたの生活の中の文になって返ってきます。
face the music を使った短い英文を3つ作ってください。条件は次のとおりです。①高校生の宿題・部活・家庭の場面にする。②face the music の由来ははっきり分かっていないと、日本語で短く触れる。③どの文も、前にその人がしたこと(うそ・失敗など)を書く。④それぞれに日本語訳を付ける。