a drop in the bucket
ア・ドロップ・イン・ザ・バケット
「ほんのわずかな量、必要な量に比べて少なすぎること」
水がいっぱいに入ったバケツを思い浮かべてください。そこへ1滴だけ、しずくが落ちます。バケツの水は、増えたようには見えません。
この言い方のもとは聖書です。Dictionary.com によると、1382年にジョン・ウィクリフの仲間たちが英語に訳した聖書に、この言い方が出てきます。
1611年の欽定訳聖書では、イザヤ書40章15節がこうなっています。Behold, the nations are as a drop of a bucket.「見よ、国々はバケツの1滴のようなものだ」。国々でさえ、1滴にたとえられているのです。
文化祭で、クラスは新しいスクリーンを買うお金を集めています。目標は10万円です。あなたは財布を開けて、10円を募金箱に入れました。
友だちが笑って言います。That's just a drop in the bucket.
「それじゃ、ほんの1滴だね」。目標の大きさに比べて、足した量が少なすぎることを表します。10円が悪いのではなく、目標が大きいのです。
なぜこの意味になるのか
drop は名詞で「しずく、1滴」、bucket は「バケツ」です。「バケツの中の1滴」と、全体と1滴の大きさの差をそのまま並べた形です。Wiktionary は、同じ意味の言い方として a drop in the ocean(海の中の1滴)も挙げています。比べる相手が大きくなるほど、1滴の小ささが目立ちます。
使うときの注意・使い分け
必要な量や問題の大きさに比べて、足したものが少なすぎるときに使います。日本語の「焼け石に水」に近い言い方です。むだだと責めるより、「全然足りない」と大きさの差を言う表現です。
例文で確かめる
We raised 500 yen, but that's just a drop in the bucket.
500円集めたけれど、それでは全然足りません。
One new tree is a drop in the bucket, but it's a start.
1本の木を植えるのは小さすぎる一歩だけれど、はじまりではあります。
発音・リズム
bucket はバケットと、u を「ア」で読みます。「ブケット」ではありません。drop の o も口を大きく開けて「ドラップ」に近く読みます。
入試での出方と、外し方
- こう問われる
- ①下線部の言い換えで、a drop in the bucket を a very small amount / a sudden fall / a big mistake / a lucky chance の4つから選ばせる形。②The money we raised was only a ( ) in the bucket. の空所に drop を入れさせる形。③長文の内容一致で、寄付や対策が問題の大きさに比べて足りないという内容を、a drop in the bucket と言い換えた選択肢を選ばせる形。
- ここで外す
- drop を「落ちること」と読み、a sudden fall(急な落ちこみ)を選ぶ答案が定番です。もう1つは、bucket つながりで kick the bucket(死ぬ)と混ぜてしまう誤りです。
- 決め手
- 前後に目標額や問題の大きさがあり、それに比べる形なら、drop は「落下」ではなく「1滴」で、全体は「少なすぎる量」です。
The city gave 1,000 dollars to fix the old bridge, but that was just a drop in the bucket.
- 誤答
- 市は古い橋を直すために1,000ドルを出したが、それはバケツの中に急に落ちた。
- 正答
- 市は古い橋を直すために1,000ドルを出したが、それは必要な額に比べてほんのわずかだった。
読み方が変わる
Before
drop を「落ちる」とだけ覚えていて、長文の a drop in the bucket を何かが落ちた場面だと読み、金額が足りないという筆者の言い分をつかめなかった
After
目標や問題の大きさと並べて a drop in the bucket が来たら「少なすぎる」と読める。筆者が対策に否定的だと分かり、内容一致の選択肢をその場で選べる
こぼれ話
Dictionary.com は、この言い方を「一見いまどきの言い方」と書いています。それでも実際には、1382年の聖書の英訳にすでに出てくるのです。
似た表現・反対の表現
- 似た意味
- a drop in the oceana tiny amount
a drop in the bucket を教室で使う(5分)
ねらい: a drop in the bucket が「全体に比べて少なすぎる量」を表すことを、バケツと1滴の絵からつかませる
- 黒板に大きなバケツを描き、その上に小さな水の粒を1つ描きます。「この1滴で、バケツの水は増えたように見えますか」と聞きます
- a drop in the bucket と板書し、「drop はここでは、落ちることではなく1滴です」と説明します
- 「目標が10万円なのに、集まったのが10円。英語では、それが a drop in the bucket です」と言います
- ペアで、「目標」と「集まった量」を1組ずつ考えさせ、That's just a drop in the bucket. で締める1文を言い合わせます
出口チケット: 「私たちが集めたお金は、必要な額に比べてほんのわずかだった」を a drop in the bucket を使って英語にさせる
AIに貼ると、この表現があなたの生活の中の文になって返ってきます。
a drop in the bucket を使った英文を3つ作ってください。条件は次のとおりです。①募金の目標額に届かない場面、②環境問題への小さな対策の場面、③テスト勉強の時間が足りない場面。④それぞれに日本語訳を付けてください。⑤最後に、この drop が「落ちること」ではない理由を1文で説明してください。