Don't mention it.
ドント・メンション・イット
「どういたしまして、気にしないでください(お礼への返し)」
お礼を言われた側が、そのことについてこれ以上話す必要はない、と話題そのものを止めてしまう言い方から生まれたと考えられている表現です。
語源辞典には、お礼や謝罪への決まった返しとして1840年から使われていた記録が残っています。You're welcome. よりも一歩踏み込んで、『わざわざ言うほどのことでもない』という気持ちを伝える言い方として、長く使われてきました。
友人が教室に忘れた教科書を、わざわざ届けてあげたことがあります。相手は何度も Thank you so much! と繰り返しました。
そんなとき、Don't mention it. と一言返せば、『そんなに気にしなくていいよ』という気持ちが、シンプルに伝わります。
なぜこの意味になるのか
mention(話題にする)に、否定の命令文(Don't ~)を組み合わせた形です。『それについては、話題にする必要すらない』という強い謙遜を、命令文の形で表しています。お礼の中身そのものを、会話から静かに消してしまう言い方だと考えると分かりやすくなります。
使うときの注意・使い分け
親しい相手にも、初対面の相手にも使える、比較的丁寧な返し方です。より軽い場面では No problem. や No worries. もよく使われます。あらたまった場では You're very welcome. のほうが収まりがよいこともあります。
例文で確かめる
"Thanks for waiting for me." "Don't mention it. I wasn't in a hurry anyway."
待っていてくれてありがとう。「気にしないで。どうせ急いでいなかったから。」
"I really appreciate your help with the project." "Don't mention it. That's what teammates are for."
「プロジェクトを手伝ってくれて、本当に感謝しています。」「気にしないでください。それがチームメイトというものです。」
発音・リズム
3語をつなげて『ドンメンショニッ』のように一息で言います。強く読むのは mention だけです。
入試での出方と、外し方
- こう問われる
- ①会話文の応答選択で、Thank you very much. のあとに続く一言として選ばせる形。②空所補充で、Don't ______ it. の空所に mention / say / tell のどれを入れるかを問う形。③似た形の Never mind. との使い分けを問う形。
- ここで外す
- Don't say it. や Don't tell it. と書いてしまう誤りが定番です。この決まり文句では mention 以外の動詞は使いません。また、謝罪への返事である Never mind.(気にしないで)と、お礼への返事である Don't mention it. を混同する誤りもよく起こります。
- 決め手
- 直前の発言が Thank you 系なら Don't mention it.、直前の発言が I'm sorry 系なら Never mind. を選びます。何に対する『気にしないで』かを見ます。
- 誤答
- Never mind/これは謝罪への返事で、お礼への返事ではありません
- 正答
- Don't mention it/お礼を言われたときの『どういたしまして』にあたります
読み方が変わる
Before
お礼を言われたとき、You're welcome. しか思い浮かばず、少し事務的な返しになっていた
After
Don't mention it. を使い分けられるようになり、お礼への返しに幅が出る。Never mind. との場面の違いも、会話文の中ですぐに見分けられる
こぼれ話
英語には、日本語の『とんでもないです』のように、自分をへりくだらせる言い方はあまりありません。Don't mention it. は、自分を下げるのではなく、話題そのものを軽くすることで、へりくだりに近い効果を出しています。
似た表現・反対の表現
- 似た意味
- You're welcome.No problem.
- 反対の意味
- I really appreciate it.
Don't mention it. を教室で使う(5分)
ねらい: お礼への返し(Don't mention it.)と、謝罪への返し(Never mind.)の場面の違いを体感させる
- 「Thank you! と言われたら、何と返しますか?」と聞き、You're welcome. を引き出します
- Don't mention it. を板書し、「これも同じ場面で使えます」と説明します
- 「では I'm sorry! と言われたら、何と返しますか?」と聞き、Never mind. を引き出します
- 2枚のカード(Thank you!/I'm sorry!)を交互に見せ、生徒に Don't mention it. か Never mind. かを即座に答えさせます
- ペアで、お礼を言う役と、謝る役を交代しながら、正しい返しを声に出して練習させます
出口チケット: Thank you for lending me your umbrella. に対する自然な返事を1文書かせる
AIに貼ると、この表現があなたの生活の中の文になって返ってきます。
Don't mention it. を使った短い会話を3つ作ってください。それぞれ、①学校、②アルバイト先、③家族、という異なる場面で書き、日本語訳も添えてください。