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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
IDIOMS 第44回 標準 読了 7分

A leopard can't change its spots.の意味と、聖書に出てくる豹

入試に出るイディオム|第44回

人の本質は変わらないと言うA leopard can't change its spots.、お礼への返しDon't mention it.、災いが実は幸運だったa blessing in disguise。今日はことわざ・会話表現・比喩表現を1つずつ、由来から入試の外し方まで四幕で見ていきます。

監修:原田高志(原田英語.com)

同じ失敗を繰り返す人を見て、『結局この人は変わらないんだな』と思ったことはありませんか。今日はそんな場面で使われる表現から始めて、お礼への返し方、不運が実は幸運だったときの言い方まで、3つ紹介します。

A leopard can't change its spots.

ア・レパード・キャント・チェンジ・イッツ・スポッツ 本性のことば

人の本質はそう簡単には変わらない

起源 変えられなかった、肌の色と斑点

旧約聖書のエレミヤ書に、こんな問いかけがあります。『エチオピア人がその肌の色を、豹がその斑点を、変えることができるだろうか』。

預言者エレミヤは、悪い習慣にどっぷり染まった人々に向けて、この問いを投げかけました。肌の色や斑点が生まれつきのものであるように、染みついた性質もそう簡単には変わらない、という意味です。

記録に残る英語での初出は1546年。シェイクスピアの戯曲『リチャード二世』にも、同じ発想の言い回しが登場します。何百年ものあいだ、形を変えながら使われ続けてきた表現です。

いま 『次からは早起きする』と言った友人が、また寝坊した

部活の朝練に、いつも遅刻してくる友人がいます。『次からは早起きする』と何度も約束するのに、また同じ時間に走って現れる。

そんなとき、口には出さなくても、心の中でこう思うことがあります。A leopard can't change its spots. 悪気があるわけではなく、ただ、その人の癖がそう簡単には変わらないというだけの話です。

豹の斑点は生まれつき、消せない。人の性質もそう簡単には消せない。

こう使う

He promised to stop procrastinating, but a leopard can't change its spots.

先延ばしをやめると約束したけれど、人はそう簡単には変わらないものです。

Some critics argue that no matter how much the company rebrands itself, a leopard can't change its spots.

会社がどれだけイメージを変えても、本質は変わらないと主張する評論家もいます。

発音:leopard は『レパード』、真ん中の o は発音しません。spots の s は前の t とつながって『スポッツ』と鋭く聞こえます。

入試 ここで差がつく
こう問われる
①長文中の下線部について、内容を最もよく言い換えた選択肢を選ばせる形。②会話文で、誰かの行動パターンについて話している場面の空所補充。③似た形の A tiger can't change its stripes.(虎はその縞模様を変えられない)と混同させる形。
ここで外す
文字どおり『動物園の豹の模様の話』だと取り違える誤りが定番です。文脈に、ある人物が同じ失敗や同じ性格を繰り返しているという話があれば、これは比喩です。また、意味は同じでも表現が違う A tiger can't change its stripes. を『別の格言だ』と思い込み、選択肢で迷うことも起こります。
決め手
直前・直後に、ある人物の性格や行動が『何度言っても変わらない』という内容があるかどうかを見ます。あれば、これは人の本質についてのことわざです。

Even after being caught lying twice, he still tries to talk his way out of trouble. I guess a leopard can't change its spots.

誤答
豹は生まれつき臆病な動物だ、という意味です
正答
人は生まれ持った性質をそう簡単には変えられない、という意味です

Before

『変わらない人だな』と感じても、それを英語でどう言えばいいのか分からず、He never changes. としか言えなかった

After

動物の性質を借りたことわざで、もう少し柔らかく、かつ印象に残る形で言えるようになる。長文で似た形の表現に出会っても、比喩だと見抜いて読み進められる

A leopard can't change its spots. を教室で使う(6分)

ねらい: 動物の変わらない特徴を借りて『人の本質』を語る、英語のことわざの作られ方を体感させる

  1. 「動物の特徴を1つ挙げてください」と聞き、黒板に3〜4個書き出します(しま模様、甲羅、長い首など)
  2. 「その特徴は、その動物から取り除けますか?」と聞き、『できない』という答えを引き出します
  3. A leopard can't change its spots. を板書し、「豹の斑点も、取り除けないものの1つです」と説明します
  4. 「日本語にも、生まれ持った性質が変わらないという意味のことわざがありますか?」と聞き、『三つ子の魂百まで』などを引き出します
  5. ペアで、身の回りで『変わらないなあ』と思う場面を1つ挙げ、A leopard can't change its spots. を使って一言添える練習をします

出口チケット: 『三つ子の魂百まで』を、A leopard can't change its spots. を使って英語で表現させる

A leopard can't change its spots. をもっと深く(語源・こぼれ話・自分用の例文づくり)

Don't mention it.

ドント・メンション・イット 謙遜のことば

どういたしまして、気にしないでください(お礼への返し)

起源 『それについては、もう話題にしなくていい』

お礼を言われた側が、そのことについてこれ以上話す必要はない、と話題そのものを止めてしまう言い方から生まれたと考えられている表現です。

語源辞典には、お礼や謝罪への決まった返しとして1840年から使われていた記録が残っています。You're welcome. よりも一歩踏み込んで、『わざわざ言うほどのことでもない』という気持ちを伝える言い方として、長く使われてきました。

いま 忘れ物を届けてあげたら、何度もお礼を言われた

友人が教室に忘れた教科書を、わざわざ届けてあげたことがあります。相手は何度も Thank you so much! と繰り返しました。

そんなとき、Don't mention it. と一言返せば、『そんなに気にしなくていいよ』という気持ちが、シンプルに伝わります。

お礼にはDon't mention it.、謝罪にはNever mind.。『気にしないで』は2種類ある。

こう使う

"Thanks for waiting for me." "Don't mention it. I wasn't in a hurry anyway."

待っていてくれてありがとう。「気にしないで。どうせ急いでいなかったから。」

"I really appreciate your help with the project." "Don't mention it. That's what teammates are for."

「プロジェクトを手伝ってくれて、本当に感謝しています。」「気にしないでください。それがチームメイトというものです。」

発音:3語をつなげて『ドンメンショニッ』のように一息で言います。強く読むのは mention だけです。

入試 ここで差がつく
こう問われる
①会話文の応答選択で、Thank you very much. のあとに続く一言として選ばせる形。②空所補充で、Don't ______ it. の空所に mention / say / tell のどれを入れるかを問う形。③似た形の Never mind. との使い分けを問う形。
ここで外す
Don't say it. や Don't tell it. と書いてしまう誤りが定番です。この決まり文句では mention 以外の動詞は使いません。また、謝罪への返事である Never mind.(気にしないで)と、お礼への返事である Don't mention it. を混同する誤りもよく起こります。
決め手
直前の発言が Thank you 系なら Don't mention it.、直前の発言が I'm sorry 系なら Never mind. を選びます。何に対する『気にしないで』かを見ます。
Thanks a lot for helping me move all those boxes. A:あの荷物を全部運ぶの、手伝ってくれて本当にありがとう。B:(
______. )。
誤答
Never mind/これは謝罪への返事で、お礼への返事ではありません
正答
Don't mention it/お礼を言われたときの『どういたしまして』にあたります

Before

お礼を言われたとき、You're welcome. しか思い浮かばず、少し事務的な返しになっていた

After

Don't mention it. を使い分けられるようになり、お礼への返しに幅が出る。Never mind. との場面の違いも、会話文の中ですぐに見分けられる

Don't mention it. を教室で使う(5分)

ねらい: お礼への返し(Don't mention it.)と、謝罪への返し(Never mind.)の場面の違いを体感させる

  1. 「Thank you! と言われたら、何と返しますか?」と聞き、You're welcome. を引き出します
  2. Don't mention it. を板書し、「これも同じ場面で使えます」と説明します
  3. 「では I'm sorry! と言われたら、何と返しますか?」と聞き、Never mind. を引き出します
  4. 2枚のカード(Thank you!/I'm sorry!)を交互に見せ、生徒に Don't mention it. か Never mind. かを即座に答えさせます
  5. ペアで、お礼を言う役と、謝る役を交代しながら、正しい返しを声に出して練習させます

出口チケット: Thank you for lending me your umbrella. に対する自然な返事を1文書かせる

Don't mention it. をもっと深く(語源・こぼれ話・自分用の例文づくり)

a blessing in disguise

ア・ブレッシング・イン・ディスガイズ 好転のことば

一見不運に見えるが、実は幸運だったこと(災い転じて福となる)

起源 姿を変えてやってきた、恵み

この表現は、1746年、イギリスの牧師ジェームズ・ハーヴェイが書いた賛美歌の中に、最初に登場したとされています。

ハーヴェイは、一見つらく思えることも、実は神からの恵みが姿を変えて届いたものだ、という考えを歌に込めました。blessing(恵み)が disguise(変装)をまとって届く、という発想です。

宗教的な意味合いは薄れましたが、いまも『不運に見えたことが、あとで幸運だったと分かる』場面で、そのまま使われ続けています。

いま 大会に出られなかった夏が、勉強にあてる時間になった

部活のけがで、楽しみにしていた大会に出られなかった夏があります。その時間を、苦手だった科目の勉強にあてたことで、結果として成績が上がった、ということもあります。

そんな経験を振り返るとき、a blessing in disguise という言葉がぴったりきます。あの時は不運にしか見えなかったことが、あとになって、実は良い方向へのきっかけだったと分かる場面です。

恵みは、最初は不運という変装をして現れる。正体に気づくのは、あとになってから。

こう使う

Missing that train turned out to be a blessing in disguise; I met an old friend while waiting for the next one.

あの電車を逃したのは、実は幸運なことでした。次の電車を待っている間に、昔の友人に会えたのです。

The factory shutdown seemed like a disaster at first, but it was a blessing in disguise that led the company to modernize.

工場の閉鎖は最初は大打撃に見えましたが、実は会社が設備を近代化するきっかけになった、幸運な出来事でした。

発音:disguise の gui は『ガイ』と読み、u は発音しません。語末の se は濁って『ズ』になるので、全体では『ディスガイズ』です。

入試 ここで差がつく
こう問われる
①長文の内容一致問題で、ある出来事についての筆者の評価を問う形。②下線部の言い換えとして、直訳ではなく意味を取れているかを問う選択肢。③turn out to be a blessing in disguise(〜だと判明する)の形で、後半の意味を問う形。
ここで外す
a blessing in disguise を『見せかけだけの幸運』『偽物の恵み』と正反対の意味に取ってしまう誤りが定番です。in disguise(変装した)という語に引っぱられて、『本物ではない』と読んでしまうことが原因です。
決め手
直前に、一見ネガティブな出来事が書かれ、そのあとに『実は良い結果につながった』という展開があるかを見ます。ネガティブ→実はポジティブ、という順番が合図です。

Losing that job turned out to be a blessing in disguise for her, since it pushed her to finally start her own business.

誤答
彼女にとって、それは見せかけだけの幸運だった、という意味です
正答
一見不運に見えたが、実際には良い結果につながった、という意味です

Before

つらい出来事が、あとで振り返ると良い方向へのきっかけだったと感じても、それを言い表す英語を持っていなかった

After

a blessing in disguise という1つの言葉で、その感覚をそのまま表せるようになる。長文で in disguise という語に出会っても、『偽物』ではなく『姿を変えた』と正しく読める

動画で見る

a blessing in disguiseの意味を字幕つきで解説する短い動画 (Bob's Short English Lessons) 英語です。blessing(恵み)とdisguise(変装)が、それぞれどんな絵になっているかを短く確かめられます。
a blessing in disguise を教室で使う(7分)

ねらい: in disguise(変装した)という語のイメージを、blessing(恵み)と結びつけて理解させる

  1. 「仮装した友達を見て、最初は誰か分からなかった経験はありますか?」と聞きます
  2. 「その友達は、姿を変えていただけで、中身は変わっていませんね」と確認します
  3. a blessing in disguise を板書し、「恵みが、不運という姿に化けてやってくる、というイメージです」と説明します
  4. 「自分の経験で、最初は嫌だったのに、あとで良かったと思えたことはありますか?」と聞き、2〜3人に発表させます
  5. 発表してくれた内容を、It turned out to be a blessing in disguise. という1文にまとめて黒板に書きます

出口チケット: 自分の経験を1つ選び、It turned out to be a blessing in disguise because ~ の形で英語にして書かせる

a blessing in disguise をもっと深く(語源・こぼれ話・自分用の例文づくり)

よくある質問

A leopard can't change its spots. はどこに由来しますか?

旧約聖書のエレミヤ書13章23節にある『エチオピア人がその肌の色を、豹がその斑点を、変えることができるだろうか』という一節に由来すると考えられています。

Don't mention it. と Never mind. はどう使い分けますか?

Don't mention it. はお礼を言われたときの『どういたしまして』にあたります。Never mind. は謝罪を受けたときの『気にしないで』にあたり、使う場面が異なります。

a blessing in disguise の disguise はどういう意味ですか?

『変装、仮装』という意味です。恵み(blessing)が、最初は不運という姿に変装してやってくる、という比喩から生まれた表現です。