break は「壊れる」、down は「下へ」。上に組み上がっていたものが、支えを失って下へ崩れる。これだけです。
機械は、部品が組み上がっているうちは動きます。どこか一つが外れれば下へ崩れる。だから break down は「故障する」。
人の心も、平気な顔という組み立てで保たれています。それが外れれば下へ崩れる。だから break down は「泣きくずれる」。
交渉も、両者の合意という組み立てです。外れれば決裂する。そして同じ「下へ割る」を自分の手でやれば、それは『分解して考える』になる。壊れるのか、壊すのか。その違いだけで、4つの意味が並びます。
期限までにやることが多すぎて、手がつかない。頭の中で「無理だ」が一つのかたまりになっている。
こういうとき英語がすすめるのが break it down です。かたまりのまま持つから重い。下へ割れば、一つずつは持てる。
英単語100個、長文3題、単語テストの直し。書き出して割った瞬間、量は変わっていないのに手が動き出す。break down は、崩れる話であると同時に、自分から割りにいく話でもあります。
なぜこの意味になるのか
break は「壊す・折れる」、down は「下へ・機能停止の方へ」。down には『崩壊・機能停止』のニュアンスがあり(fall down、let down、let ~ down)、それに壊れる意味の break が乗ったのが break down です。だから「機械が動かなくなる」も「心が持ちこたえられなくなる」も、じつは同じ動きの別の顔。大きなかたまりを、こなごなに(3の『分解する』)は、同じ down の下降を「細部に降りていく」動きに読み替えたものです。
使うときの注意・使い分け
「ばらばらに壊れて、機能が下に落ちる」が4つに共通する動きです。①は機械、②は人の心、③は概念、④は関係、「まとまっていたものが崩れて動かなくなる」という絵で全部つながります。入試長文では②の『泣き崩れる』が定番のひっかけ。The witness broke down on the stand.(証人は法廷で泣き崩れた)を読めるかどうかで語感が試されます。
例文で確かめる
My car broke down on the way to work this morning.
今朝、通勤の途中で車が故障してしまった。
Let's break the problem down into three smaller questions.
この問題を3つの小さな問いに分けてみよう。
発音・リズム
break DOWN と down を強く読みます。「ブレイクダウン」と一息で。名詞の breakdown(故障・分析)はハイフンなしの1語で、前寄りの BREAK-down。「神経の衰弱」を a nervous breakdown と言うのは英語圏でごく普通の言い回しで、②の意味の名詞形です。
入試での出方と、外し方
- こう問われる
- 長文中の break down の意味を文脈から選ばせる形が中心。会話文で車が故障する場面、社説で交渉決裂の場面、どちらも頻出。
- ここで外す
- 「故障する」で固定していると、The talks broke down. や She broke down in tears. で手が止まる。主語が機械でない瞬間に、知らない熟語に見えてしまう。
- 決め手
- 主語が物なら壊れる、人なら泣きくずれる、話し合いなら決裂する、目的語があれば自分の手で分解する。主語と目的語を見るだけで4つが分かれます。
The negotiations broke down after six hours.
- 誤答
- 6時間後、交渉は故障した
- 正答
- 6時間後、交渉は決裂した
読み方が変わる
Before
break down は「(機械が)故障する」で覚えていた。だから人が主語のときも、話し合いが主語のときも、意味が取れず前後から当てずっぽうで読んでいた。
After
「組み上がっていたものが下へ割れる」という1つの動きだと分かる。何が組み上がっていたのかを見れば、意味は自分で決められる。当てずっぽうが、根拠のある推測に変わる。
こぼれ話
AAA(トリプルエー、アメリカのロードサービス)や日本のJAFのようなロードサービスの英語名は breakdown assistance / breakdown cover。「車が壊れて止まる」の break down が名詞になった典型例です。ちなみに③の break ~ down はプレゼンや学習のコツとして英語圏でよく登場する動作で、Break the task down into small steps.(課題を小さな段階に分ける)は毎年どこかの入試英作文で狙われます。
似た表現・反対の表現
- 似た意味
- failcollapseanalyze
- 反対の意味
- workhold up
break down を教室で使う(6分)
ねらい: 多義動詞を、主語を手がかりに自力で判断する練習を1回だけ通す。
- 主語だけを4つ板書する。「The car / She / The talks / The teacher(+the problem)」
- 「全部 broke down と続く。それぞれ何が起きた?」と投げる。ペアで1分。
- 回収しながら、共通点を1行にまとめさせる。教師が先に言わないこと。生徒の言葉で『崩れる』が出てくると、そのまま板書にできる。
- 最後に Let's break this problem down. を読み、「これは崩れる話? それとも割る話?」と聞いて終わる。
出口チケット: break down の意味が主語によってどう変わるか、例を2つ挙げて説明しなさい。
AIに貼ると、この表現があなたの生活の中の文になって返ってきます。
あなたは大学入試の英語講師です。イディオム「break down」の4つの用法(機械の故障・人が泣きくずれる・交渉の決裂・分解して考える)を、私が主語から判断できるようにしてください。条件:①4つが1回ずつ出てくる英文(120語程度・日本語訳つき)を作る ②主語に注目させる設問を4問、各問1行の解説つき ③高校生の生活に近い場面を使う ④最後に、私が最も間違えやすい用法を1つ挙げ、その対策を書いてください。