Beggars can't be choosers.
ベガーズ・キャント・ビー・チューザーズ
「もらう立場の者は、えり好みできない」
道で食べ物を分けてもらう人を思い浮かべてください。差し出されたパンが、少しかたくても、好きな味でなくても、その人は選べません。もらう側は、選ぶ側に回れない。これがこのことわざの絵です。
Phrase Finder によると、もとになったのは、ジョン・ヘイウッドのことわざ集です。そこには Beggers should be no choosers, but yet they will(物乞いは選ぶべきではない。それでも選ぶものだ)と書かれています。
Phrase Finder はこの本の年を1562年としています。はじめから「それでも選ぶものだ」と、人のくせまで言い当てていたのです。
体育の日に、ジャージを忘れました。隣のクラスの友だちが貸してくれましたが、サイズがかなり大きめです。袖を2回まくっても、手が隠れます。
あなたは笑って言います。Beggars can't be choosers.
「借りておいて文句は言えないね」。人に頼っている立場なので、出されたものに注文をつけられないことを表します。自分のことを笑って言うことが多い言い方です。
なぜこの意味になるのか
beggar は「物乞い、物をもらう人」、chooser は「選ぶ人」です。どちらも -er が付いた「〜する人」の形です。「もらう人は、選ぶ人にはなれない」と、2つの立場を並べただけの文です。be のあとに名詞が来ているので、受け身ではありません。
使うときの注意・使い分け
人に頼っている立場なので、出されたものに文句を言えないときに使います。自分のことを苦笑いして言うことが多い言い方です。相手に向けて言うと、「文句を言うな」と突き放す感じになるので気をつけてください。
例文で確かめる
The jacket was too big for me, but beggars can't be choosers.
そのジャケットは私には大きすぎたけれど、ぜいたくは言えなかった。
Is this the only bike you can lend me?
貸してもらえる自転車はこれだけ?
Sorry.
ごめんね。
That's fine. Beggars can't be choosers.
いいよ。借りる側は文句を言えないから。
発音・リズム
choosers はチューザーズと、s を濁って読みます。beggars も「ベガーズ」と濁ります。強く読むのは Beggars と choosers の2つです。
入試での出方と、外し方
- こう問われる
- ①下線部の言い換えで、Beggars can't be choosers. を If you need help, you must accept what you get. / Poor people cannot be chosen. / You should always choose carefully. / Asking for help is wrong. の4つから選ばせる形。②会話文で、A: This umbrella is too small. B: Well, ( ) の空所にこのことわざを入れさせる形。
- ここで外す
- choosers を「選ばれる人」と読み、Poor people cannot be chosen. を選ぶ答案が定番です。be のあとなので受け身だと思ってしまうのです。もう1つは、choosers の -er を落として Beggars can't be chosen. と書く誤りです。
- 決め手
- be のうしろが -er で終わる名詞(choosers)なら受け身ではなく「選ぶ人」なので、「もらう側は、選ぶ人にはなれない」と読みます。
The only seat left was near the door, but beggars can't be choosers.
- 誤答
- 残っていた席はドアの近くだけだったが、物乞いは選ばれることができない。
- 正答
- 残っていた席はドアの近くだけだったが、ぜいたくは言えない。
読み方が変わる
Before
can't be choosers を「選ばれることができない」と受け身のように読み、ことわざ全体の意味が取れなかった
After
be のあとの choosers を「選ぶ人」と読めるので、「もらう側はえり好みできない」とすぐ分かる。-er で終わる名詞を見て、受け身かどうかをその場で見分けられる
こぼれ話
Phrase Finder によると、原文は should be no choosers(選ぶべきではない)でした。いまの can't be choosers(選べない)とは、少しちがう形です。「べきだ」が「できない」に変わって、いまの言い方になりました。
似た表現・反対の表現
- 似た意味
- Take what you can get.
Beggars can't be choosers. を教室で使う(5分)
ねらい: chooser が「選ぶ人」であることを押さえ、ことわざの意味を「もらう側・選ぶ側」の2つの立場からつかませる
- 黒板に、パンを差し出す人と受け取る人の2人を描きます。「選べるのはどちらですか」と聞きます
- 「差し出す側です」という答えを受けて、beggar(物をもらう人)と chooser(選ぶ人)と板書します
- Beggars can't be choosers. と板書し、「もらう側は、選ぶ人にはなれない。つまり、ぜいたくは言えないという意味です」と言います
- 「choosers は選ばれる人ではありません。-er は、する人です」と添え、teacher・player などを例に確かめます
出口チケット: Beggars can't be choosers. と言うのが自然な場面を1つ考え、日本語で1文書かせる
AIに貼ると、この表現があなたの生活の中の文になって返ってきます。
ことわざ Beggars can't be choosers. を使った英語の短い会話を3つ作ってください。条件は次のとおりです。①友だちに傘を借りる場面、②残り物のお弁当を分けてもらう場面、③空いている席が1つしかない場面。④それぞれに日本語訳を付けてください。⑤最後に、choosers が「選ばれる人」ではない理由を1文で説明してください。