The apple doesn't fall far from the tree.
ジ・アップル・ダズント・フォール・ファー・フロム・ザ・トゥリー
「子は親に似るものだ(性格や才能、行動が親とよく似ていることのたとえ)」
リンゴの木の下に立ち、実が地面に落ちる場面を思い浮かべてください。リンゴの実は、木から離れた場所ではなく、たいてい根もとのすぐ近くに落ちます。はっきりした起源は分かっておらず、ドイツ語のder Apfel fällt nicht weit vom Stamm(リンゴは幹から遠くへは落ちない)をはじめ、デンマーク語やアイスランド語にも古くから似た言い回しがある、という説が有力です。この言い回しが英語の記録に初めて現れたのは1830年代で、作家ラルフ・ワルド・エマーソンが1839年の手紙の中で使ったものが早い例として知られています。木のすぐそばに落ちた実のように、子は親から遠くへは離れられない。そんな観察から生まれたたとえです。
部活の顧問の先生に、『字がお父さんに似てるな』と言われたことはありませんか。自分では意識していなかった癖や好みが、気づけば親と同じだった。そんな瞬間に、周りの人はこの表現を使いたくなります。進路の話をしていて、親と同じ学部を選んだときや、料理の味付けが母親そっくりだと言われたときも同じです。
なぜこの意味になるのか
appleは『実』、fall far fromは『~から遠くへ落ちる』のfar(遠く)を否定した形です。語源というより、木から落ちた実の位置という『目に見える距離』を、性格や才能という『目に見えない共通点』の比喩に転用した表現だと考えられています。
使うときの注意・使い分け
同一を表す表現ではなく、共通点が1つあれば使える、ゆるやかな一致を表す表現です。Like father, like son.も同じ発想ですが、こちらは主に男性の親子に使われる決まり文句です。
例文で確かめる
He's just as stubborn as his grandfather. The apple doesn't fall far from the tree.
彼は祖父と同じくらい頑固だ。血は争えないものだ。
With both parents being doctors, it's no surprise she became one too. The apple doesn't fall far from the tree.
両親とも医者なのだから、彼女が医者になったのも不思議ではない。子は親に似るものだ。
発音・リズム
doesn'tは/ˈdʌzənt/で、fallとfarのfが続くため、日本語話者は聞き取りにくく感じます。fall farはlの音を軽く添えるように読むと自然になります。
入試での出方と、外し方
- こう問われる
- ①内容一致問題で、本文中の人物描写と親の描写が重なる箇所を見つけさせる形。②会話文の空所補充で、『子は親に似る』という内容の慣用表現を選ばせる形。
- ここで外す
- Like mother, like daughter.と意味を混同して、The apple doesn't fall far from the tree.を『親子はまったく同じだ』という意味だと思い込む誤りが目立ちます。実際には『似ている』という程度の話で、『同一だ』という意味ではありません。
- 決め手
- 文の前後に、親と子の共通点が具体的に1つ挙げられているかを見てください。共通点が『才能』『性格』のような一致であればこの表現が使え、単に『同じ職業についた』だけならfollow in one's footsteps(後を継ぐ)のほうが近い場合もあります。
Just like her mother, Emma has a talent for solving problems calmly under pressure. The apple doesn't fall far from the tree.
- 誤答
- リンゴの木は、遠くまで実を落とさない。
- 正答
- エマは母親にそっくりだ(母親譲りの才能を受け継いでいる)。
読み方が変わる
Before
The apple doesn't fall far from the tree.を、『親子は同じだ』という強い意味だと思って覚えていた
After
『共通点が1つでもあれば使える、ゆるやかな一致』を表す表現だと分かり、内容一致問題で必要以上に強い言い換えを選ばずに済む
こぼれ話
日本語の『蛙の子は蛙』も、同じ発想を伝えることわざです。ただし日本語のほうはやや皮肉を込めて、平凡さを指摘する場面で使われることが多いのに対し、英語のThe apple doesn't fall far from the tree.は良い意味にも悪い意味にも使われる、より中立的な表現です。
似た表現・反対の表現
- 似た意味
- Like father, like son.Like mother, like daughter.
The apple doesn't fall far from the tree. を教室で使う(6分)
ねらい: 『似ている』の程度を表す英語表現を、具体例を挙げて説明できるようにする
- 先生が「クラスで、家族に似ていると言われたことがある人?」と挙手を求める
- 挙手した生徒に一言ずつ、何が似ているのかを英語で言わせる(My handwriting looks like my dad's.など)
- その内容をThe apple doesn't fall far from the tree.で先生がまとめ直し、意味を『似ている程度』に絞って板書する
- ペアで、家族の共通点を1つ英文にし、最後にこの表現でまとめる練習をする
出口チケット: 自分か知り合いについて、The apple doesn't fall far from the tree.を使った英文を1つ書きなさい
AIに貼ると、この表現があなたの生活の中の文になって返ってきます。
次の条件でThe apple doesn't fall far from the tree.を使った短い会話を作ってください。①話し手Aが友人の性格を褒める。②話し手Bがその友人の親も同じ性格だと知っていて、この表現を使って相槌を打つ。③会話のあとに、この表現がなぜここで使えるのかを日本語で一言説明してください。