原田先生の英語学習法&お役立ちコラム

【受験前に「泣いた方がいい」 科学的理由がエグすぎる】 涙に含まれる天然鎮痛物質「ロイシン・エンケファリン」の驚異的メカニズムと、 泣くことで試験パフォーマンスが上がる脳科学の全貌

💧 CRYING × STRESS RELIEF

受験前に「泣いた方がいい」
科学的理由がエグすぎる

涙に含まれる天然鎮痛物質「ロイシン・エンケファリン」の驚異的メカニズムと、
泣くことで試験パフォーマンスが上がる脳科学の全貌

「泣くな、歯を食いしばれ」──受験生がよく言われる言葉です。
しかし最新の脳科学は、まったく逆のことを教えてくれます。
涙にはストレスホルモンを洗い流し、天然の鎮痛剤を放出し、
記憶力を回復させる驚異的な「脳のリセット機能」が備わっていたのです。
──なぜ、泣いた人の方が試験に強いのか?

1涙は3種類ある──「感情の涙」だけが特別な理由

「泣く」と一口に言っても、実は人間の涙には3つのまったく異なる種類があります。そして驚くべきことに、それぞれの涙の化学組成はまるで別物なのです。

👁️
基礎涙(Basal Tears)
常に分泌され、目を保護・潤す
成分:98%が水分
役割:目の表面の維持管理
🧅
反射涙(Reflex Tears)
玉ねぎ・煙などの刺激で分泌
成分:水分+抗菌成分
役割:異物の洗い流し
😭
感情涙(Psychic Tears)
悲しみ・喜び・感動で分泌
成分:ストレスホルモン+天然鎮痛剤
役割:脳のストレス解毒

ミネソタ大学のウィリアム・フレイ博士(生化学者)の研究チームは、感情的な涙と玉ねぎで誘発した反射涙の化学組成を比較分析しました。その結果、感情の涙にだけ高濃度で含まれる3つの物質が特定されたのです。

感情涙に含まれる物質 正体 効果
ロイシン・エンケファリン 内因性オピオイド(天然鎮痛物質) 痛みを軽減し、気分を改善する
ACTH(副腎皮質刺激ホルモン) ストレス反応ホルモン 体内のストレス物質を涙で排出する
プロラクチン 感情調節ホルモン 感情のバランスを回復させる
💡

つまり「玉ねぎの涙」と「感動の涙」は見た目は同じでも、中身はまったくの別物。感情の涙には、ストレスホルモンを体外に排出し、同時に天然の鎮痛物質を放出する─まるで「脳のデトックスシステム」とも言える仕組みが備わっているのです。

2ロイシン・エンケファリン──涙に含まれる「天然モルヒネ」の正体

この記事の主役である「ロイシン・エンケファリン(Leucine-Enkephalin)」は、人間の体が自ら生成する内因性オピオイド──いわば「天然のモルヒネ」です。

「オピオイド」と聞くと危険な薬物を連想するかもしれませんが、ロイシン・エンケファリンは体内で自然に生成される安全な物質です。ストレス下で脳が放出し、身体的・精神的な痛みを和らげ、気分を改善する働きがあります。

“Tears cleanse the body of substances that accumulate under stress.”

「涙はストレス下で蓄積した物質を身体から洗い流す」

── ウィリアム・フレイ博士(ミネソタ大学 生化学者)

ロイシン・エンケファリンの作用メカニズム

STEP 1

🧠 脳がストレスを検知
試験前の不安・プレッシャーにより、大脳皮質(cerebrum)が強い感情ストレスを検知。視床下部→内分泌系が活性化される。

STEP 2

💧 感情の涙が分泌される
涙腺からロイシン・エンケファリン、ACTH、プロラクチンを含む「感情涙」が放出。ストレスホルモンが涙と一緒に体外へ排出される。

STEP 3

🩹 天然の鎮痛効果が発動
ロイシン・エンケファリンがオピオイド受容体に結合し、痛みの感覚を低下させ、気分を改善。「泣いた後にスッキリする」現象の正体。

STEP 4

🔄 自律神経が切り替わる
交感神経(戦闘モード)から副交感神経(回復モード)へスイッチ。心拍数低下、血圧降下、コルチゾール減少──脳が「安全」と判断する。

重要なのは、このロイシン・エンケファリンは「感情の涙」にだけ含まれるという点です。玉ねぎを切って出る涙にはこの物質は含まれていません。つまり、心から感情を動かして泣くことだけが、この脳のリセット効果を引き起こすのです。

3コルチゾールと記憶の関係──ストレスが「頭真っ白」を作るメカニズム

ここで受験生にとって最も重要な話をしましょう。「試験中に頭が真っ白になる」あの現象─実はこれ、ストレスホルモン「コルチゾール」が直接引き起こしているのです。

バーゼル大学のサンドラ・アッカーマンらの研究(1,200人以上を対象)は、記憶想起時のコルチゾール濃度の変化が、記憶のパフォーマンスに直結することを明らかにしました。コルチゾールレベルが高いまま維持される人は、特定の記憶の想起がより困難になるという結果が出ています。

KEY FINDING

ストレスと記憶の「矛盾したルール」

📝
記憶の「形成」時
適度なストレスは記憶の定着を促進する
🧠
記憶の「想起」時
ストレス(コルチゾール高値)は記憶の引き出しを著しく阻害する

つまり勉強中のストレスは記憶を強化するが、試験中のストレスは記憶を引き出せなくする──この皮肉な矛盾が「頭真っ白」の正体。

Nature誌に掲載されたSchwabe & Wolfの研究レビューでは、ストレスが記憶に与える影響を「時間依存的」と表現しています。ストレスは学習時には記憶形成を強化する一方で、テスト時には記憶の想起を著しく妨害するのです。

コルチゾールは海馬(記憶の中枢)と扁桃体(感情の中枢)の受容体に直接結合するため、ストレスが高い状態では「勉強したはずの知識が引き出せない」という事態が物理的に起こります。

🔬

ここで泣くことの意義が明確になります。泣くことで①コルチゾールが涙と共に排出され、②副交感神経が活性化してストレス反応が鎮まり、③コルチゾール濃度が低下する。つまり泣くことは「記憶想起の障害物」を物理的に除去する行為なのです。

4泣くと副交感神経が起動する──脳の「リセットボタン」の科学

泣くことのストレス解消効果の核心には、自律神経系の切り替えがあります。これを理解すると、受験前に泣くことの戦略的価値が一気に明確になります。

自律神経の2つのモード

ハーバード・ヘルス・パブリッシングの解説によれば、自律神経系は2つの部門で構成されています。交感神経は車のアクセルのように「闘争・逃走反応」を引き起こし、副交感神経はブレーキのように「休息・回復反応」を促進します。

🔥 交感神経(試験前の緊張状態) 🌿 副交感神経(泣いた後の状態)
心拍数 上昇(ドキドキ) 低下(落ち着く)
血圧 上昇 低下
コルチゾール 大量分泌(記憶想起を阻害) 分泌抑制(記憶想起が改善)
脳の状態 「戦闘モード」──思考が狭窄 「回復モード」──思考が柔軟に
呼吸 浅く速い 深くゆっくり

Frontiers in Psychology誌に掲載されたGračaninらの研究レビュー(2014年)は、泣くことの自己鎮静効果について包括的に分析しました。この研究は、泣き始めは交感神経の活性化を伴うものの、泣きの終息期には副交感神経の活動が増加するという回復プロセスの存在を示しています。

Psychology Today誌の解説によれば、泣くことは交感神経と副交感神経の両方を活性化しますが、副交感神経の鎮静効果は交感神経の興奮効果より2〜3分長く持続するとされています。この「時間差」こそが、泣いた後に「スッキリ感」を感じる理由です。

受験生にとっての意味:試験前に泣くことで交感神経の過剰な興奮(=パニック状態)を鎮め、副交感神経を活性化させることで、記憶の想起に最適な「落ち着いているが集中している」脳の状態を作り出せる可能性があるのです。

5オキシトシン×エンドルフィン──泣いた後の「スッキリ感」の化学式

ロイシン・エンケファリンだけではありません。泣くことで放出される「気分改善物質」は複数あり、それらが協奏的に作用することで、あの独特の「泣いた後のスッキリ感」が生まれます。

Harvard Health Publishingの記事は、感情の涙がストレスホルモンなどの毒素を体外に排出し、オキシトシンや内因性オピオイド(エンドルフィン)を放出することを報告しています。これらの物質は身体的・精神的な痛みの両方を和らげる効果があります。

CHEMICAL CASCADE

泣くことで放出される「幸福物質カクテル」

💊
ロイシン・エンケファリン(天然オピオイド)
痛みを軽減し、気分を向上させる。モルヒネと同じ受容体に作用するが、安全な体内物質。
🤗
オキシトシン(愛情ホルモン)
扁桃体の活動を抑制し、穏やかさと安心感を生み出す。ストレスや不安の軽減効果。
🏃
エンドルフィン(内因性モルヒネ)
「ランナーズハイ」と同じ物質。身体的・精神的な痛みの両方を鎮める。
🧬
神経成長因子(NGF)
涙腺に含まれるタンパク質。神経の成長・生存、神経可塑性の発達に重要な役割を果たす。

さらに興味深いのは、嗚咽(sobbing)そのものにも独自の効果があるという点です。泣くときの速い呼吸で冷たい空気を吸い込むことで脳の温度が下がり、これが気分の改善につながるという研究もあります。つまり「声を出して泣く」ことには、涙の化学的効果に加えて、呼吸を通じた物理的な脳冷却効果もあるのです。

“Crying activates the parasympathetic nervous system and restores the body to a state of balance.”

「泣くことは副交感神経を活性化させ、身体をバランスの取れた状態へ回復させる」

── スティーヴン・シデロフ博士(UCLA臨床心理学者)

6日本発「涙活(るいかつ)」──世界が注目する泣きのウェルネス

実は、この「泣くことの科学的効果」をいち早くビジネス化したのは日本でした。

「涙活(るいかつ)」は、2013年に寺井広樹氏が始めた、意図的に泣くことでストレスを解消する活動です。参加者は感動的な短編映画や詩に触れ、思い切り泣く。「泣きのソムリエ」とも呼ばれる「感涙セラピスト」の吉田英史氏は、早稲田大学で心理学と教育学を学んだ後、涙活の普及に注力し、5万人以上を泣かせてきたと言います。

JAPANESE INNOVATION

涙活が科学的に理にかなっている理由

🔑 吉田氏の気づき:高校教師時代、泣きながら相談に来た生徒は、泣かない生徒と比べて同じ悩みを何度も相談しに来ることが少なかった。泣くことで感情が処理され、問題が「完了」するのだと実感した。
🧪 科学的裏付け:泣くことで自律神経が交感神経優位から副交感神経優位に切り替わる。このメカニズムを意図的に利用するのが涙活のコンセプト。
🌏 国際展開:2025年にはインド・ムンバイにも「Cry Club」が登場。日本発の涙活コンセプトが世界のウェルネストレンドに。

興味深いことに、37カ国を対象にした国際調査(International Study on Adult Crying)によると、日本人は調査対象国の中で最も泣きにくい国民の一つ。「怒りや悲しみを隠すことが美徳とされる文化」がある一方で、その裏返しとして「泣くことの解放効果」に対するニーズも極めて高い。涙活はまさに、日本文化特有の「感情抑制」の裏側から生まれたイノベーションなのです。

💡

英語では涙活のことを“Rui-katsu”とそのままローマ字で呼びます。National GeographicやBBCも特集を組み、”tear-seeking“(涙を求める活動)として世界に紹介しています。日本語の「涙活」が英語でそのまま使われている──まさに逆輸出される日本文化の好例です。

7受験前に使える!科学的に正しい「泣き方」実践ガイド

ここまでの科学を踏まえて、実際に受験前にどうやって「戦略的に泣く」のかを実践ガイドにまとめます。

⏰ タイミング:試験の前夜、または当日の2〜3時間前

副交感神経の鎮静効果が交感神経の興奮より2〜3分長く持続することを考えると、試験直前ではなく少し余裕を持ったタイミングがベスト。前夜に泣いて感情をリセットし、当日はクリアな脳で臨むのが理想的です。

🎬 方法:「感情を動かす」コンテンツに触れる

重要なのは「感情の涙」を流すこと。玉ねぎでは効果がありません。感動的な映画、泣ける動画、思い出の写真、感謝の手紙──心が動く素材を用意しましょう。涙活の吉田氏は「病気のペット」や「親子の絆」がテーマの映像が最も効果的だと語っています。

😭 泣き方:我慢せず、声を出して泣く

科学的には、嗚咽(sobbing)を伴う泣き方がより効果的です。声を出して泣くことで呼吸リズムが変わり、冷たい空気の吸入で脳の温度が下がる副次的効果も。静かにポロポロ泣くより、思い切りワンワン泣いた方が効果は大きいのです。

🕐 持続時間:数分以上は泣き続ける

ロイシン・エンケファリンやオキシトシンの放出、副交感神経への切り替えには一定の持続時間が必要です。「ちょっとウルっとした」程度では足りません。涙活セッションは通常15〜30分程度で設計されています。

🚫 やってはいけないこと:泣くのを「我慢する」

感情を抑圧する「抑圧的コーピング」は、研究によると免疫機能を低下させ、心血管疾患や不安障害のリスクを高めるとされています。試験前のストレスで泣きたくなったら、それは身体が「デトックスしたい」とサインを送っているのです。

まとめると、受験前の理想的な「泣き方」は:
試験前夜 → 感動的なコンテンツに触れる → 我慢せず声を出して数分以上泣く → スッキリした脳で就寝 → 翌朝、コルチゾールが低い状態で試験に臨む

8「泣くのは弱さ」は大嘘──英語で学ぶ涙のフレーズ集

「泣く=弱い」というイメージは、実は世界的にも根深い固定観念です。しかし英語圏でも、科学の進歩とともに「泣くことは強さの証」という認識が広がっています。ここでは、涙に関する英語表現を学びながら、文化的な視点も深めましょう。

🟣 「泣く」を肯定する英語フレーズ

Have a good cry.
思い切り泣きなさい。
英語圏で最もポピュラーな表現の一つ。”good” がついているのがポイントで、泣くことは「良いこと」だというニュアンスが込められている。
It’s okay to cry. / It’s okay not to be okay.
泣いていいんだよ。/ 大丈夫じゃなくても大丈夫。
近年のメンタルヘルス啓発で広まった表現。弱さを見せることへの許可を与えるフレーズ。
Crying is not a sign of weakness. It shows you’ve been strong for too long.
泣くことは弱さの証ではない。長い間強くあり続けてきた証拠だ。
SNSでもよく引用される名言。受験生への応援メッセージとしても使える。
Let it out.
(感情を)全部出しなさい。
シンプルだが力強い表現。感情を内側に溜め込むのではなく、外に出すことを勧める。科学的にもまさに「デトックス」を促すフレーズ。

🔵 「涙の科学」を語る英語表現

Emotional tears flush out stress hormones.
感情の涙はストレスホルモンを洗い流す。
flush out(洗い流す)は涙の研究で頻出する動詞。体内の毒素を「水で流す」イメージ。
Crying activates the parasympathetic nervous system.
泣くことは副交感神経を活性化する。
parasympathetic nervous system(副交感神経)は英語の科学記事で必須の用語。”rest and digest system” とも呼ばれる。
Tears contain leucine-enkephalin, a natural painkiller.
涙にはロイシン・エンケファリンという天然の鎮痛物質が含まれている。
leucine-enkephalin の発音は「ルーシン・エンケファリン」。英語論文を読む際に覚えておくと便利。
Crying is a self-soothing behavior.
泣くことは自己鎮静行動である。
self-soothing(自己鎮静)は心理学論文で頻出。Frontiers in Psychology誌の重要論文のタイトルにも使われている。

まとめ──涙は最強の「脳のデトックス」である

「泣くな」は科学的に間違いです。
涙には、脳を最適な状態に戻すための驚くべきメカニズムが備わっています。

感情の涙にだけ含まれるロイシン・エンケファリンは「天然のモルヒネ」
泣くことでACTH・コルチゾールなどのストレスホルモンが涙と共に排出される
コルチゾール高値は記憶想起を阻害する──泣いて下げることで「頭真っ白」を防ぐ
副交感神経への切り替えで「戦闘モード」から「回復モード」へリセット
オキシトシン+エンドルフィンの「幸福カクテル」が泣いた後のスッキリ感を生む
日本発の「涙活」は世界が注目する科学的ウェルネスメソッド

受験前夜、泣きたくなったら──
それは脳があなたに「デトックスさせて」と言っているサイン。
思い切り泣いて、クリアな脳で本番に臨もう。

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