📖 英文(221 words)
You open a bag of potato chips. It looks big and full. But inside, only half is chips. The rest is just empty space. “What a waste!” you think. Many people feel angry about this. But there is a very good scientific reason.
First, the gas inside the bag is not air. It is nitrogen. About 78 percent of the air we breathe is nitrogen, so it is completely safe. But why not use regular air? Because air contains oxygen. Oxygen reacts with the oil on the chips and makes them go bad. This chemical process is called oxidation. It changes the taste and smell. Chips become stale and unpleasant. Nitrogen does not react with food at all. It keeps the chips fresh and crispy for months.
Second, the nitrogen works like a cushion. Chip bags travel a long way from the factory to the store. They are stacked in boxes and shaken on trucks. Without the gas cushion, the chips would break into tiny pieces. Nobody wants a bag of crumbs.
A 1994 study proved that chips packaged with nitrogen tasted better and lasted longer than chips in regular air. This packaging method is called “slack fill.” It may look like a trick, but it is actually smart science protecting your snack. So next time you feel cheated, remember: that “empty” space is keeping your chips delicious!
🔊 音読用音声
📝 重要語句
a harmless gas that makes up most of the air(空気の大部分を占める無害な気体)
the gas in air that we need to breathe(呼吸に必要な空気中の気体)
when a substance changes because of contact with another substance(他の物質と触れて変化すること)
a chemical process where oxygen damages food or metal(酸素が食品や金属を劣化させる化学反応)
no longer fresh; old and not tasty(新鮮でなくなり、おいしくない状態)
something soft that protects from impact(衝撃から守るやわらかいもの)
a building where products are made(製品が作られる建物)
very small broken pieces of food(食べ物の細かく砕けた破片)
the material used to wrap and protect a product(製品を包んで守るための材料)
empty space intentionally left in a package(意図的に袋の中に残された空間)
🇯🇵 日本語訳
ポテトチップスの袋を開けてみましょう。見た目は大きくてパンパンです。でも中身は半分だけ。残りはスカスカ。「なんだこれ、損してる!」と思いますよね。怒る人も多いのですが、実はちゃんとした科学的な理由があるのです。
まず、袋の中に入っているのは空気ではありません。窒素ガスです。私たちが普段吸っている空気の約78パーセントは窒素なので、まったくの無害。では、なぜ普通の空気を使わないのでしょうか? 空気には酸素が含まれているからです。酸素はチップスの油と反応して、味や風味を劣化させてしまいます。この化学反応が「酸化」です。チップスは湿気ってまずくなり、嫌なにおいまで出てくる。一方、窒素は食品とまったく反応しません。だからこそ、チップスを何か月もパリパリのまま保つことができるのです。
さらに、窒素にはクッションの役割もあります。チップスの袋は、工場から店舗まで長い旅をします。段ボールに積まれ、トラックの中で揺られ続ける。もし気体のクッションがなかったら? チップスは粉々に砕けてしまいます。袋を開けて「粉」が出てきたら、誰だってがっかりしますよね。
1994年の研究では、窒素を充填した袋のチップスは、普通の空気入りのものよりも味が良く、長持ちすることが実証されました。この包装技術は「スラックフィル」と呼ばれています。一見ごまかしのように見えますが、実はあなたのスナックを守るための賢い科学なのです。次に「袋がスカスカだ!」と腹が立ったら、思い出してください——あの「空っぽ」の空間こそが、チップスのおいしさを守っているのだと。
🧪 コラム:窒素ガスが守っているのはポテチだけじゃない
ポテトチップスの袋に窒素ガスが使われていることを知ると、「なるほど!」と膝を打つ方が多いはずです。でも実は、窒素ガスの活躍の場はスナック菓子だけにとどまりません。食品業界では「MAP(Modified Atmosphere Packaging=ガス置換包装)」と呼ばれる技術として、驚くほど幅広く応用されています。
🔸 コーヒーの「プシュッ」の正体
焙煎したコーヒー豆には脂肪酸が含まれており、酸素に触れると酸化して風味が落ちてしまいます。そのため、コーヒーの袋やカプセルにも窒素ガスが充填されています。缶コーヒーのキャップを開けたときの「プシュッ」という音——あれは閉じ込めていた窒素が外に出る音なのです。何気ない日常の音に、実は科学が隠れていたわけです。
🔸 お肉の「赤」は酸素のおかげ
スーパーの精肉コーナーでは、少し事情が異なります。赤身の肉は酸素がないと鮮やかな赤色を保てないため、あえて酸素を多く(約80パーセント)使うことがあります。一方で、鶏肉やハムなどの加工肉には二酸化炭素と窒素の混合ガスが使われ、細菌の繁殖を抑えています。食品ごとに最適なガスの配合が異なるという点が、この技術の奥深いところです。カット野菜のパックやワインの保存タンクにも、窒素やアルゴンガスが使われています。
🔸 たった1枚の袋に隠された「5層構造」
ポテトチップスの袋を手に取ると、ただのフィルムに見えますが、実は5層もの構造が重なっています。外側から順に、印刷を施すOPPフィルム、接着用のポリエチレン、遮光・バリア用のアルミ蒸着PETフィルム、さらにポリエチレン、そして密封性を持つCPPフィルム。光・酸素・湿気をシャットアウトする精密な設計です。カルビーは1970年代に透明袋からアルミ蒸着袋へ切り替え、日本のスナック菓子の品質を大きく変えました。当時「1袋100円のお菓子に高級包材を使うのか」と社内で議論になったそうですが、この決断が「開けたてのおいしさ」を全国に届ける原動力になったのです。
ちなみに、ブランドごとの窒素ガスの割合はかなり異なります。2018年のアメリカの調査では、業界平均は袋の約43パーセントが窒素。最も少なかったのはフリトス(19パーセント)、最も多かったのはチートス(59パーセント)でした。プリングルスのような筒型パッケージは28パーセントと少なめ——容器自体がクッションの役割を果たしているからです。「損した気分」になったときは、袋に印刷されている内容量(グラム数)をチェックしてみてください。大きさに惑わされず、中身の重さで比べるのが賢い買い方です。

